ダンジョン配信でアイドル売りしてたポーション中毒者、我慢できなくてラリってるところを配信したら、なぜかバズってしまう   作:ポーション中毒

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―30― 覚醒

 ポーションはとんでもなくうまかった。

 それもポー禁していて久々に飲んだ影響か、いつも以上にポーションがおいしく感じる。

 うへーっ、ポーションをもっと飲むぞー! と、次々とアイテムボックスから取り出したポーションを飲み続ける。

 あぁ、なんだか体中、ポカポカし始めた。

 あれ? 実際、布団に包まれているように柔らかいのが当たっているような?

 

「にょき、にょき、にょき」

 

 わー、実際にわたしの周りに小さい生き物が「にょき、にょき」というかけ声と共に増殖していた。

 小さい生物はわたあめに似ていてふわふわしている。そうか、柔らかい感触がするのはこの子たちのおかげか。

 

「あなたたちは誰?」

 

「僕たちは、ポーションの妖精だよ!」

 

 ポーションの妖精? なるほどー、きっとわたしのポーションに対する愛がこの妖精たちを生んだのね。

 

「ねぇーねぇー、ユメカちゃん」

 

「なぁに?」

 

「ユメカちゃんに聞きたいことあるんだ!」

 

「僕も聞きたい」

 

「僕も僕も!」

 

 たくさんのポーションの妖精が一斉にしゃべるので収拾がつかなくなる。

 

「みんな落ち着いて! ひとりずつ順番に質問を聞いてあげるから」

 

「じゃあ、僕から!」

 

 手をあげた妖精がにょきにょきと不思議な足音をたてて近づいてくる。

 

「うん、わたしになにを聞きたいのかな?」

 

「んーとねー」

 

 ポーションの妖精は舌足らずな言葉使いでそう呟いてから、こう言葉を続けた。

 

「なんで、僕たちを生んだの?」

 

 えっ? 一瞬、ポーションの妖精がなにを言っているのか理解できなかった。

 

「だって、生まれなければ、苦しむこともなかったのに」

 

 そう口した瞬間、ポーションの妖精の体が木っ端微塵に砕けた。

 大きくゲーミングツチノコがポーションの妖精を食べてしまったのだ。ゲーミングツチノコは巨大な牙でポーションの妖精を噛み砕く。

 その度に妖精は「ギャーッ!! 痛い痛い痛いッ!!」と騒ぐのだ。

 

「やだよー!」

 

「死にたくなーい!」

 

 ポーションの妖精たちが次々と悲鳴をあげる。

 けれど、そんなことお構いなしにゲーミングツチノコは次々とポーションの妖精を食べるのだった。

 ポーションの妖精が噛み砕かれるたびに、血は噴き出し「痛い痛い!」と悲鳴があがる。

 まさに、ポーションの妖精の躍り食いだ。

 

「ユメカのせいだ!」

 

「ユメカが僕たちを生まなければ、苦しまなくて済んだのに!」

 

「そうだ! そうだ!」

 

「ユメカが全部、悪いんだ!」

 

 なんかわたしが妖精たちから責められているんだけど!?

 

「ごめんね、妖精さん」

 

 わたしは涙ながらに謝罪した。

 だって、こんな悲しいことがあるなんて思いもしなかった。全部わたしが悪いのだ。

 

「謝って済む問題じゃないんだぞ!」

 

 抗議するポーションの妖精をわたしはそっと持ち上げた。わたしは慈愛に満ちた表情でポーションの妖精をみつめる。

 

「ちゃんと謝罪しろぉ!!」

 

 そう言って抗議するポーションの妖精をそっと口元近づける。

 パクリ、とわたしはポーションの妖精を食べた。

 うっまぁっっっ!!

 食べられたポーションが「ギャー――ーッ!! 痛いよー!」と悲鳴をあげるがお構いなしに妖精をかじって食べる。

 おいしいよー! こんなおいしい食べ物、わたしは食べことない!

 ごめんねー! わたしが妖精をおいしくしてしまったばかりに。まずければ食べられることはなかったのに……。

 

「どうやらポーションの妖精のおいしさに気がついたようだね、お嬢さん」

 

 ふと、ダンディーな男の声が聞こえる。あなたは――!?

 

「ゲーミングツチノコさん!!」

 

 ゲーミングツチノコが妖精をパクパク食べながら話しかけてきたのだった。

 

「お嬢さん、僕と一緒にポーションの妖精のパーティーをしないかい?」

 

「うん!」

 

 それからわたしとゲーミングツチノコは一緒にポーションの妖精たちを捕まえては一緒に食べてた。

 ポーションの妖精は色によって味が違うのだ。

 ピンク色の妖精は甘くて、黄色の妖精はすっぱい。青色の妖精はさわやかな味がして、緑色は渋いのだ。

 

「もうわたしお腹いっぱいだよ」

 

「あぁ、僕もすでにお腹いっぱいだ」

 

 ゲーミングツチノコはお腹を見せつける。すでにそのお腹はパンパンに膨れていた。

 

「ゲーミングツチノコさん」

 

「なんだい? お嬢さん」

 

「また一緒にポーションの妖精を食べようね」

 

「なんだ、そんなことかい。そんなの当たり前だろ。だって、僕たちはもう友達じゃないか」

 

「ゲーミングツチノコさん――ッ!! そっか、わたしたちもう友達なんだね!」

 

 わたしは感極まった口調で、彼のことを呼ぶ。

 そっか、わたしたちってもう友達なんだね。

 

「だったら、わたしのために死ねぇええええええええッッ!!」

 

 ザシュ、ザクッ、ザクッ、と剣でゲーミングツチノコを斬りつける。

「この卑怯ものぉおおおおおお!!」と、ゲーミングツチノコが言っていた気がするけど、きっと気のせいだよね。

 

「ヌルちゃぁあああああん、見てぇえええええ! 無事に、ゲーミングツチノコを倒したよぉおおおおお!!」

 

 ずっと、隅で様子を見ていたヌルちゃんのとこへ駆け寄る。

 

「あれ? どうしたの? ヌルちゃん」

 

 ヌルちゃんはワナワナ震えるだけで、なにも答えようとしないので心配になってそう語りかけた。

 

「ユメカの頭がおかしくなった――!!」

 

 ヌルちゃんは突然、叫んだ。

 えぇ、なにを言い出すかと思えば、めっちゃ心外なんだけど!

 

 

 

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