ダンジョン配信でアイドル売りしてたポーション中毒者、我慢できなくてラリってるところを配信したら、なぜかバズってしまう   作:ポーション中毒

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―07― ユメカ、宴をする!!

「ぷはぁああああ、やっぱこれだわ~!!」

 

〈スライム一本締め〉を勢いよく飲んでいるわたしがいた。だってポーションを飲みたかったんだもん、仕方がないよね。

 

「あぁああああ~~~、ポーションうますぎるよぉおおおおおお!!」

 

 ポーションを飲んだ瞬間、脳の中を快感が駆け回る。この快感がやめられねぇんだわ!!

 

「流石わたしが作っただけあって、このポーションおいしいなぁ」

 

 そう言いつつ、ポーションを飲む。

〈スライム一本締め〉はスライムを素材にしただけあって、ヌルヌルとした質感がある。この質感とポーションならではの風味が絶妙にマッチしていて最高においしい。

 

「あ、もう空っぽだ」

 

 気がつけば、空き瓶の中身は空っぽだった。もっと飲みたい。

 

「一本も二本も変わらないし、もう一本ぐらい飲んでも別にいいよね」

 

 というわけで、2本目突入だーッッ!!

 

「あひゃひゃっ、やっぱこの瞬間のためにわたしって生きているんだーっ!!」

 

 ポーションおいしすぎるよぉおおおおお!!

 二本目もすぐに飲み終わった。よっしゃー、次は三本目だー!

 

「そうだ、せっかくだしダンチューバーの配信でもみよーっと」

 

 ポーションを飲みながらダンチューバーの配信を見るのが、わたしの癒やしだった。なのでスマホで動画サイトを開く。

 

「あーっ、華月リアンちゃんが配信してるー!」

 

 華月リアンちゃんはわたしの最推しのダンチューバーだ。

 もともとわたしはダンジョンに対していい印象を抱いてなかった。ダンジョンを攻略しないでポーションを密造していたのも、そういった理由による。

 けれど、華月リアンちゃんの配信を見てダンジョンに対する印象が変わったのだ。ダンジョンは危険なことも多いけど、ワクワクするような楽しい体験がたくさんあるんだってことを学んだ。

 

 わたしも彼女のようなキラキラ輝くアイドルのようなダンチューバーになりたいなぁ。

 まぁ、今のわたしじゃ彼女の足元にも及ばないんだけど。

 彼女はプラチナムハーモニーという大手ギルド兼事務所所属。そんでもって、チャンネル登録者200万人超えのエースだ。

 しかも、探索者としてのレベルも相当高いので非の打ち所がない。

 

「ぐへへっ、リアンちゃん今日もかわいいなぁ」

 

〈スライム一本締め〉を飲みつつそう口にする。

 彼女は話しながらダンジョンを進んでいた。今日はソロで攻略しているらしく、彼女以外の姿は見当たらない。

 

 おっと、3本目も飲み終わっちゃた。4本目飲もーと。

 リアンちゃんは配信で、初心者にもわかりすいようにダンジョンの解説をしていた。その丁寧な口調はわかりやすいと評判だった。また、彼女は少し天然だから、時々おっちょこちょいをやらかす。それがまた見ていてかわいいのだ。

 

「あぁああああリアンちゃん好き! 好き! 結婚したい!」

 

 ポーションはもう五本目に突入している。

 ポーションを飲んだせいか、さっきからテンションがおかしいような……。

 配信では華月リアンはモンスターの解説をしていた。けど、内容なんて頭に入っていなかった。彼女のかわいい姿にわたしは目を奪われていた。

 

「リアンちゃんエッチすぎか? リアンちゃんエチエチすぎるんじゃ! リアンちゃんの太ももペロペロしたい。リアンちゃんエッチすぎるよぉ! このままだと、ユメカの中のおっさんが目覚めちゃいそう!」

 

 すでにポーションは六本目に突入していた。

 

「リアンママ! ユメカのママになってー! リアンちゃんの赤ちゃんになって、ママの胎児に戻ってもう一度生まれたんじゃあああああああ!!」

 

 七本目突入。

 配信では戦闘が終わり、今度は雑談配信へとうつっていた。他の事務所のメンバーとあったおもしろい話を展開していく。

 

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッッ!! おもしろ、リアンちゃんの話、おもしろすぎ! あひゃひゃひゃひゃひゃッ! 笑い死ぬ! このままだと笑い死ぬ!」

 

 八本目突入。

 ポーション飲んでいるとどんな話もめちゃくちゃおもしろく感じるから不思議だ。

 

「あひゃひゃひゃひゃっ、やっぱポーションヒャイコー!!」

 

 すでに九本目に突入していた。

 

『このトレントというモンスターから薬草を採取することができます。この薬草はポーションの素材として活用できるので、皆さん忘れずに採取してくださいね』

 

 リアンちゃんが解説してくれている。

 あぁ~、このトレントというモンスターから採れる薬草で作ったポーションってサイコーにおいしいんだよなぁ。

 なんか見てたら欲しくなってきた。じゅるり。

 ぶっちゃけ〈スライム一本締め〉だけだと飽きてきたし、他のポーションも欲しいと思っていた頃合いだ。

 

「よしっ、今からこの薬草を採り行くじょー!」

 

 そうすれば、新しいポーションも手に入るし、運が良ければ生リアンちゃんも拝めるかもしれない。つまり一石二鳥だ。

 こんなことを思いつくとは天才か、わたしは。

 

 そうと決まれば、寝袋を〈アイテムボックス〉にしまってしゅっぱーつ! ついでに走りながら観るのは危険だし、リアンちゃんの配信も閉じちゃう。

 

 ポーションを飲んだせいか体力は回復して、体は異様に軽い。だから、いつもより走るスピードが速いような。

 なんでだろ?

 

「まぁ、考えてもわからないし、どうでもいっか」

 

 とか言いつつ、ポーションを飲む。

 早くしないとリアンちゃんが帰ってしまう。そう思ったわたしは焦りながら、ダンジョンを下層へ進んでいた。

 

「待っていてね、リアンちゃん! 今、ユメカが行くからね!!」

 

 そう叫びながら、わたしは全力疾走した。

 

 

「え? なんでこんなところにゴールデンミノタウロスが?」

 

 配信をしていた華月リアンはふと、切羽詰まった声を出していた。

 ゴールデンミノタウロス。金色の鎧に身を纏った牛の頭を持つ巨人が目の前にいた。ただでさえ強いと言われるミノタウロスよりもさらに強いとされているモンスター。

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

黄金の牛男(ゴールデンミノタウロス)

 レベル:556

 

△△△△△△△△△△△△△△△

 

 無意識に〈鑑定〉してゾッとする。

 レベルが五百超えなんて異次元の強さだ。

 

【ゴールデンミノタウロスはまずい!】

【早く、にげて!】

【もしかして、イレギュラーか!?】

 

 ふと、コメントが荒れ出す。

 イレギュラー。

 ダンジョンでは時々そう呼ばれる現象が起きる。本来、階層によって出現するモンスターは決まっているのだが、時々その階層には出現しないような強力なモンスターが現れることがあるのだ。

 

「グラァアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 ゴールデンミノタウロスは手に拳でリアンに襲いかかろうとした。

 一方、リアンは全力でその場から逃げようとする。例え、格上のモンスターだとしても、全力で逃げれば振り切れるはず。

 

「うそ……?」

 

 けど、リアンは立ち止まった。

 

「「グゥルル……!!」」

 

 というのも目の前に喉を鳴らした複数のミノタウロスがいたのだ。

 これだけのミノタウロスが出現するのもイレギュラーであった。

 前方にはミノタウロス、背後にはゴールデンミノタウロス。完全に逃げ道を失ってしまった。

 

「ゴラァアアアアアアッッ!!」

 

 叫びながらゴールデンミノタウロスは拳を振り下ろした。

 リアンは愛用している剣で受け止めようとする。

 

「くっ……」

 

 パリン、と剣が粉々に砕けた。リアンの使っていた剣はそれなりに強いとされる剣だったのに。それがいとも簡単に砕けたのだ。

 

「ガハァッ!?」

 

 そのままリアンはゴールデンミノタウロスの拳を受けてしまった。

 攻撃を受けたリアンはそのまま壁にめり込むように激突する。

 

【このままだとリアンちゃんが死んじゃうよ!】

【誰か、早く助けてあげて!】

【頼む! この配信を見ている探索者! 助けてくれ!】

【おい、近くにいる探索者はいないのか!?】

 

 リアンの無事を祈るコメントがたくさん流れる。

 

「う、うぐ……」

 

 リアンは立ち上がろうとするも力が全く入らなかった。

 どうやらもう戦えないことが伝わったようで、ゴールデンミノタウロスは勝ち誇った顔でニタリと笑みを浮かべた。

 

 どうやら私はもうダメみたい。

 と、リアンは確信していた。

 探索者として活動している以上、いつかこういう日が来るかもと覚悟してきたつもりだ。それでも、死ぬ間際になると、まだ死にたくないという後悔がつのった。

 

「ごめんね、お母さん」

 

 誰かに聞こえるかどうかの声量でそう口にした。

 真っ先に、今でも家で自分のことを待っているであろう母親のことを思い浮かべたのだ。

 ヒュッ、と風の音が鳴った。

 見ると、今にもゴールデンミノタウロスが拳を叩きつけようとしていた――。

 

 ドカンッ、と大きな音が鳴った。

 それは、ゴールデンミノタウロスが発した音でなかった。というのも、ゴールデンミノタウロスはなんらのか攻撃を受けたのか大きく仰け反っている。

 

「あ~っ、リアンひゃんひゃー! ひょんにゃところにぃいたんだぁ!!」

 

 それは、うれしいことがあったかのような弾んだ口調だった。

 

「あひゃひゃっ!! あっ、まずは、ヒクッ……ひぃこひょうかいひなきゃ! おはにゅめ! ひょうもみんにゃに笑顔ににゃる魔法をかけひゃうぞ、虹天ユメカでひゅ!」

 

 アイドルのような口上だった。ところどころ滑舌が悪かった。あと、口がポーション臭かった。

 

「…………」

 

 リアンは絶句していた。思考しようとしても、脳が拒否していた。

 

「ガゥッ!!」

 

 ふと、彼女の背後にいたゴールデンミノタウロスが襲いかかろうとしていた。

 とっさにリアンは「後ろ!」と叫ぶ。

 

「うるせぇ! わたしとリアンちゃんの時間を邪魔するなぁ!!」

 

 ドカーン、とユメカはパンチを繰り出す!

 すると、ゴールデンミノタウロスは壁にめり込む勢いで吹き飛んでいった。

 

「……は?」

 

 思わずリアンは呆けた声を出していた。

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