覇王先輩を倒して少し厳しそうな燕の元に向かう。
「お待たせしました」
「ナイスタイミングだよん」
これで源氏組を倒せば俺と燕の完全勝利。
でもここまで連戦するとは思わなかった。揚羽様にヒュームさん、それに覇王先輩と最高峰の相手を連戦とは。百代先輩が聞けば羨ましがられそうだ。
そして今度は燕と一緒に源氏組を攻略する。もうこれ以上にない連戦だ。
「そこまでだ!」
一触即発の空気の中、よく通る声が聞こえてきた。
「双方武器を収めよ! ここからは話し合いだ!」
紋様が声を上げた。紋様と一緒に英雄様と局様もおられた。
「ここが収め時ですね」
「まあ正直こうして止めてくれた方が良かったよね」
俺と燕の目的はこの件をうやむやにすること。だから穏便に話し合いで終わらせれるのならいいことだ。
てか良かったぁ。これで弁慶先輩と戦って勝っていたら気まずいどころじゃなかった。
その後、俺と燕の処遇が決まった。処遇と言えば悪く聞こえるかもしれないが、こうなったことへのけじめと言うか周りへの示しだな。
燕は少しの間九鬼での労働。
そして俺はしばらくの減給だけで済んだ。序列を下げられるものかと思ったがそういう話は全く出てこなかったのは意外だ。それにこれからも紋様の専属従者として働く。
どうやら俺の強さを示すことができたのが大きいらしい。
九鬼への裏切り行為をしたのにこれだけで済んだのなら安いものだろう。それに燕に関しては九鬼に引き込もうともしているらしいから俺が介入しなくても良かったのではないかというレベルだ。
さすがは九鬼。器がでけぇな。
まああの九鬼を燕のサポートアリだとは言え立ち回って勝つことができたんだ。そんな人材を逃すわけがないか。
燕は家に帰り、俺は九鬼にいづらかったからどこかに行きたかったが反転術式をアウトプットできて円鹿を出せる俺はそんなことはできず後始末を行った。俺、今日は若獅子タッグマッチトーナメントで覇王と燕、武神と戦っての連戦なんですけど。関係ない? 自業自得? まあそうですね。
でも楽しめたから良かった。
「ん?」
後始末も終わって自室にてベッドに横たわってスマホを見ると百代先輩からメールが来ていた。
『九鬼で何が起こっているんだ? すごい闘気だ』
数時間前に来たメールだ。
『揚羽様とヒュームさんと覇王先輩と連戦してました』
九鬼で起こったことは川神にいる人間ならすぐに感付くだろうな。でも九鬼での問題だから川神院が介入することはなかった。
寝ていると思っていた百代先輩からすぐにメールが返ってきた。
『なに!? そんな面白いことをしていたのか! ずるいぞ! 私は闘気に当てられて眠れないのに!』
『もう怪我は大丈夫ですか?』
『もう完全復活だ。今は体を落ち着かせるために軽く鍛錬をしているところだ。早く本格的な鍛錬をしたい』
元気だしやる気だな。でもいいことだ。
『まあ頑張ってください。俺はいい気分のまま寝るので。さぞ負けた後の睡眠は寝つきが悪そうです』
『よし、今すぐに九鬼に乗り込んでやる』
ハァ、昨日であの件は終わりかと思ったら嘆かわしいババアとか俺の反転術式で元気になった老体のヒュームさんやらにチクチクと言われた。
何だよ。九鬼にしてみれば物凄い人材が入っているって証明されたじゃん。もう少し序列上げてもいいのに。でもこれくらいで済んで良かったとは思っている。
昨日は朝方になるまで後片付けをしていたが今日は朝から平常運転だ。若獅子タッグマッチトーナメントが終わったからその関係で少し忙しくなっているようだが。
「んはっ! 遊びに来たぞ!」
「仕事中です」
今は紋様と離れた仕事をしておりそこに覇王先輩が来てしまった。
「この俺が直々に来たのだぞ。何かしろ」
「はぁぁぁぁぁ……昨日は〝二度〟も負けた覇王先輩がねぇ……」
「そこを強調するなぁ!」
「ずっと覇王先輩なんですか? 清楚先輩の人格とかはどうなっているんですか?」
覇王が目覚めたことでも色々と嘆かわしいババアが忙しそうにしていたな。
「俺はずっと封印されていたからな。清楚が俺を自由にさせている」
「ということは二重人格みたいなものですか」
マープルさんがどういう想定をしていたのかは分からないがこれはこれでいいね。
「おはよ、深夜」
「おはようございます。俺は今仕事中ですよ」
今度は弁慶先輩が俺のところに来た。
「弁慶か。今は俺が深夜と遊んでいるところだ」
「仕事中です」
「いや~、ちょっと攻めないといけないかなと思って」
そう言うや否や弁慶先輩は俺にピッタリとくっ付いてきた。
「告白を保留にされて他の女に取られるのは嫌だからね」
「いや、その……その件はもう少し時間をください!」
「私のことが嫌いなわけじゃないんだよね?」
「まあ……好きか嫌いかで言えば好きですけど」
「深夜は難しく考え過ぎなんだよ」
やっぱりそうなのか……? それなら弁慶先輩と付き合ってもいいのかもしれない。
「俺がいるのにそんな話をするな! そ、それに……深夜は俺の配下になる男だ! そんな勝手は俺が許さん!」
「今は配下じゃないんだよね?」
「いつかなるんだ! 俺が深夜に勝った暁にな!」
「それなら今はよくない?」
「うっ……お、俺は覇王だぞ! 俺が許さんと言えば許さん!」
あれ。何でこんな空気になっているんだ? 仕事したいから他の場所でしてほしいんだけど。
「あれれ、何だか修羅場みたいな空気になってるねん」
この空気の中で来れた猛者は燕だった。
「また悪さしに来たんですか?」
「昨日のことで懲りたからねー」
「それは何よりです。またする予定があるのならご一緒しますよ」
昨日のあれは面白かった。普通の戦闘とは全く違う実戦のピリピリ感が経験できた。
「もうしないよん。人のことを何だと思っているのかな?」
「しっかりしてそうなバカ」
「まあそう思われても仕方がないことをしたよね」
「何ですかね。そういうところをお父さんから受け継いでいるんですか?」
奥さんに愛想つかされた父親の話は聞いている。聞いているからこそふと思ってしまった。
「そういうのはやめて」
「あっはい」
ガチトーンで言われたからこれ以降言うのはやめておこう。
「ねぇ深夜。今日の夜は部屋に行ってもいい?」
「予定はないですしいいですよ」
「二人っきりで楽しもうよ。私深夜のあれがないと我慢できないんだよ……!」
「なっ!?」
言い方。川神水にそれに合うつまみを要求しているだけだ。
「ただ晩酌に付き合っているだけなのにその言い方はやめてくれませんか?」
「私にとっては変わらないよ」
「そ、そうなのか……」
「あれ、何で清楚ちゃんホッとしているの?」
「そ、そんなことはないぞ!?」
あの、仕事したいんですが。
「その晩酌私も行っていいかな? 前から行きたかったんだよねー。今なら松永納豆も付いてきます!」
「それはいつもでしょ。……弁慶先輩がいいのなら構いませんよ」
「無理に決まっているだろ。私は深夜と二人でいたいんだから」
「それはそうだよね。(一番手強そうなのは弁慶ちゃんだなぁ。告白もしているしうかうかしていられないね)」
何だか不穏な空気が漂っているんだけど。
「深夜! 一刻も早く俺の配下になるために俺と決闘だ!」
「昨日二度負けたのに今日やっても変わりませんよ」
戦えば戦うほど強くなるサイヤ人みたいな人だけど限度がある。
こう喋っているところにヒュームさんに見つかって仕事をしろと言われて怒られてしまった。
これ俺が悪いの? いやそうだよね俺が悪いよ俺が働いているんだから。他の三人は働いていないんだからサボっている俺が悪い。
若獅子タッグマッチトーナメントが終わってから落ち着いたと思ったが川神はそんなところではなかった。
世界を賑わせる話題が二つ発表された。
まず一つ目は次代を担う四天王の発表。四天王の三人が引退したため新たな三人が発表された。
撫子深夜、松永燕、黛由紀江。この三名が新たに追加された。
若獅子タッグマッチトーナメントを経てこの三人が選出されるのは当然だと世間は思っていた。
深夜に至っては戦いぶりから世間ではこう呼ばれるようになった。
〝鬼神〟
圧倒的な力によって武神すらもねじ伏せるその姿はまさに鬼神。
今まで最強の称号をほしいままにしていた武神を倒した姿はネットをかなり沸かせた。
そして二つ目は摸擬戦復活。
クローン組が転入してきたことで前々から摸擬戦の復活は考えられていたが若獅子タッグマッチトーナメントで覇王が目覚めたことがキッカケで川神学園は摸擬戦の復活を宣言した。
これもまた世間を騒がせることになる。
ここまで一方的に深夜が勝てたのは若獅子タッグマッチトーナメントで放った黒閃もあったからです。
ちなみに原作虎杖並みにこの主人公は黒閃を息をするように放ちます。
摸擬戦再開! 撫子深夜はどこへ!?
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最強ライバルタッグ! 川神軍!
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暴威を振るう二人の鬼神! 覇王軍!
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主に勝利を! 九鬼軍!
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一年生の意地を見せろ! 武蔵軍!
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圧倒的な策略! 松永軍!
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平安の世をここに! 源氏軍!