姫ギルに転生しましたが、どうやらFate世界では無いようです。   作:Shohei Hayase

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次話からは押しの子に戻ります。


※初戦闘です

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)百門展開形態(ケントゥリア・フォーメーション)!」

 

迫りくる剣の雨を、宝物庫から先端だけ出した魔杖で迎撃する。

 

それと同時に錬鉄の英雄に向けて突っ込み、まずは1合、続けて2合と剣を合わせる。予想外の不意打ちは防御宝具で強引に耐え、まずは彼の剣を覚えることに注力する。

 

「あら、私は仲間外れですか?」

 

「んな訳無いでしょ……!」

 

アーキタイプ・アースには王の財宝を10門向けて、戦車砲のプレゼントだ。

 

「あらあら……」

 

()ェっ!」

 

発射ガスが吹き上がり、APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)がマッハ5の高速で少女を貫くべく飛翔する……が、着弾する前に急激に威力を減じられ、やがてチリのように消滅した。

 

(空想具現化(マーブル・ファンタズム)……厄介な!)

 

思わず歯噛みする。思うがままに自然現象を書き換える空想具現化は、星のバックアップを受けている以上生半可な攻撃は通さない。これ以上となると155mm榴弾砲を使うしかないが、それだと威力を一点に集中できない。

 

『かぜよ』

 

空想具現化が叩きつけられ、さしもの防御宝具と言えどもミシリと鈍い音を立てた。

 

「ヴァジュラ!」

 

インド神話に連なるお手軽攻撃兵装──具体的には所有者の魔力に関係なくB+のダメージ数値を出す──を開放し、アーキタイプ・アースとの距離を取る。

 

「陣形変更、二百門展開形態(マニプルス・フォーメーション)!」

 

錬鉄の英雄に百門、アーキタイプ・アースに百門。アーキタイプ・アースには近代兵装の他に魔術礼装も混ぜて、より多角的に攻める。

 

『ひかりよ』

 

彼女の攻撃を魔術礼装を使って迎撃し、こちらは戦車砲で攻める。……硬直状態。あちらは問題ない。

 

「……問題はこっちか」

 

相対するは赤き外套、抑止の守護者たる錬鉄の英雄(エミヤシロウ)

 

……要するにギルガメッシュと相性最悪な彼である以上、俺の背中には冷や汗が伝いっぱなしだ。

 

(UBWを使われたら、こっちも本気を出さないと削り殺される……かと言って星のバックアップを受けている以上、全ての能力でこちらを上回っている。投影と真作の強度差で競り勝ってはいるが、それもいつまで持つか……)

 

ジリ貧、という言葉が頭を(よぎ)る。別に殺すだけなら簡単だ。一万門ぐらい展開して飽和攻撃で滅殺すればいい……が、それをしても次の抑止の守護者が送られてくるだけだ。宝物だって無限に近いが無限ではない。いつかは必ず底をつくし、アイ達に累が及ばないかも心配だ。

 

迫る剣雨を撃ち落とし、彼と双剣で切り結ぶ。

 

怪訝そうな表情は瞬く間に消え、どこか感心したような声音で彼は呟いた。

 

「私の剣を……なるほど、その目は飾りというわけではなさそうだ」

 

「黙ってろシニカルボーイ、足元がお留守……!?」

 

下から王の財宝を撃ち出そうとすると、どこからともなく飛来した剣が射出口を破壊し……前ッ!

 

「チィ!」

 

音速で迫りくる赤原猟犬(フルンディング)を体を倒すことで躱し、彼の蹴りは甘んじて受け入れる。

 

「だがまだまだだ。経験値が全く以て不足している。大人しく斬られた方が身の為だと思うがね」

 

「ご丁寧なご教授どうも……ってか、アンタ割と喋るんだな。守護者ってもっとこう……自由意志が無いイメージがあるんだけど」

 

Fate世界の設定によれば、霊長の守護者として召喚された時点で自意識は剥奪される。描写的に記憶は残るらしいが……いま普通に喋ったよな?

 

「今回は出張でね。僅かな縁を辿って来たは良いが、肝心の抑止力も縛り付けが薄い。何ともまぁ、キミも変な状態になっているみたいだが……それでも私は人の守護者だ。キミの後ろにあるものが危険である以上、それを放置することはできない」

 

防御宝具に捉えられた赤原猟犬が鈍い音を立てて圧し折れる。

 

それに注意を向ける事すらせず、彼は話は終わりだと言わんばかりに戦意を滾らせた。

 

(あー、やっぱりコレが何か分かってる感じか……何で辿られたのか、それとも()()()()()()使()()()()()か……多分後者かな)

 

馬鹿なことを。余程ブチギレなければ使わないと決めていたものを使わせるとは……どうやら抑止力は自滅をお望みだったらしい。

 

「俺だってキレないようにしてるし平和に生きたいと考えてるけどさぁ? やっぱり機械じゃないわけで」

 

自分のことはどうだっていい。アンガーマネジメント位できなくて日々の理不尽業務を耐え抜けるかよ。煽りには煽り返してやるが煽り耐性自体は高いぞ俺は。

 

……しかしそれとは別に、自分の大切な人を傷つけられたらムカつくことも殺してやりたいと思うこともあるし、それを抑えられるかどうかとは別の話だ。

 

自己分析を勘案するに、狙われたのは……アイ、か。

 

この容姿ゆえに知り合いは数多くいるものの、友人と呼んで差し支えない相手は彼女しかいない。

 

金髪赤眼の日本人とか普通におかしいだろって。その点、物怖じせずに話しかけてくる彼女にはだいぶ助けられた。

 

その存在は俺の中で大きい。社長や施設の人達も無論大事ではあるが……我を忘れる程に怒るかと言われれば否だ。

 

(まぁ敵を作りそうなタチではあるが……ファンにでも刺されたのか?)

 

そこで一旦思考を棚上げし、お返しとばかりに向こうから突っ込んでくるのを財宝の斉射で押し止める。

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

……のを、宝具の真名開放で抜けられた。

 

王の財宝の欠点その1。確かに宝具の数自体は多いが、英雄王ギルガメッシュはそれらの武具の担い手では無いため真名開放が出来ない。

 

宝具(ノウブル・ファンタズム)とは、物質化した奇跡であり英雄の偉業の象徴、彼らの逸話の再現である。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()であるゆえに、当然ながらその力は極めて大きい。

 

この記述を見て気付いた方もいると思うが、英霊ギルガメッシュはあくまでも──宝具というカテゴリに限れば──所有するのは後の時代の英霊に渡る前の原初宝具であり、後の英霊が築いた伝説の担い手ではない。

 

つまりギルガメッシュはいくら宝具を持っていようが、その真価を引き出すための真名開放を出来ないのだ。

 

普通なら欠点にならないが、こと無限の剣製(UBW)相手だと話が変わってくる。

 

戦闘技術では剣に宿る使い手の経験ごと複製する無限の剣製が有利、同じ宝具を使うならば真名開放出来る無限の剣製が有利、固有結界を展開すれば結界内に宝具が存在する無限の剣製が武器を取り出す速度で有利。

 

……改めて見るとガンメタ決められてるなぁ。とはいえ、付け入る隙が無い訳ではない。

 

取り出したるはゲイ・ボルグの原典、王の財宝による宝具を強化する宝具に加え、ルーン転写の宝具で必中の呪いを付与する。

 

──投擲は人類の歴史において最初の武器として位置づけられる。

 

他の霊長類に比して広い肩の可動範囲によって、ヒトは物を高速かつ正確に投げることを可能とした。

 

弾は地に落ちている石でいい。ローコストハイリターンな遠距離攻撃手段を獲得したことこそ、人間(ホモ・サピエンス)を霊長に押し上げた最大の要因。

 

故にこそ選択したのは投槍。狙いはルーンが補正する。俺はただ万力を込めて、この一撃を解き放つのみ!

 

「この槍は呪いの一条……吹っ飛べ! 疑似対軍宝具、数多穿つ轟きの槍(ゲイ・ボルグ・レプロデュシエラ)!」

 

腕を振り抜く。瞬きの間に極超音速領域まで加速した槍は、刻まれた呪いの効果に従って()()し、()()する。

 

全投影、連続層写(ソードバレル・フルオープン)!」

 

対する彼は物量で迎え撃つ。投影宝具の雨あられが光の航跡を描いてゲイボルグの()を破壊していく。

 

30の棘に対し200の剣。魔力を失い、勢いを殺された魔槍は俺の求めに応じて手の中に舞い戻る。

 

壊れた剣の破片の向こう側で、彼が携えるはかの王の剣。人々の願いを束ねる最強の幻想(ラスト・ファンタズム)、星の聖剣。

 

ならばこちらは、選定の剣で迎え撃つ。

 

王の財宝から原罪(メロダック)を呼び出す。……が、これでは足りない。

 

今できるのは、足して勝つこと──!

 

「この光は、遥か届かぬ王の剣……」

 

(こぼ)れるは光、虹の極光……(これ)なるは螺旋虹霓!」

 

単純な威力比較をするならば、原罪(メロダック)の出力では約束された勝利の剣を受けきれない。抑止力のバックアップによる出力差もあるが、なにより俺は王ではない。選定の剣に認められていない以上、武器としてのランクが落ちてしまう。

 

合わせるのは原罪(メロダック)勝利すべき黄金の剣(カリバーン)虹霓剣(カラドボルグ)。音に聞こえし3振りを一本に束ねたこの(つるぎ)、受けれる物なら受けてみろ!

 

「疑似真名開放……無窮に輝く虹の剣(カレドヴルフ・アスター)ッ!!」

 

「……永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)!」

 

僅かな驚愕を押し殺し、彼の剣が振り抜かれ、俺の剣が振り上げられた。

 

エクスカリバーが魔力を光に変換するなら、カレドヴルフは魔力を虹に変換する。

 

対を成す……(ある)いは血を分けた双子の如き性質を持つ2つの光は、その中間点で互いを掻き消すべく喰らい合う。

 

「おぉぉぉぉっ!!」

 

「るぁあぁぁぁっ!!」

 

なりふり構わずに裂帛の気合を上げて押し込む。体を駆け巡る魔力を掻き集め、ただ一点、この一合を制することにのみ注力する。

 

「持ってくれよ! 界王拳、3倍だあぁぁっ!!」

 

宝物庫から取り出した令呪によるブースト。バックアップとしての純粋な魔力源を、盛大に聖剣へと叩き込む。

 

「何だと!? ここに来て、まだ……!?」

 

虹が光を食い破る。衝突点を急速に後退させられ、焦った彼も魔力を聖剣に注ぎ込み……そこで、限界が来た。

 

パキン、と澄んだ音を立ててエクスカリバーが割れる。光の線が薄くなり、慌てて刀身を振り抜いて彼から軌道を逸らす。

 

「──何と」

 

それでも尚噴出する虹の勢いは収まらず、丁度振り抜かれた方向にいたアーキタイプ・アースに掠ると、余波だけでその体勢を大きく崩した。

 

威力はほぼ同等、故に勝敗を分けたのは……投影品と真作との強度差。

 

(今だ!)

 

互いに消耗はしているが、バックアップの差で彼の方が先に復帰する。攻め込むなら今しかない。

 

「この……!」

 

アーキタイプ・アースが無理矢理にでも横槍を入れるべく王の財宝の包囲を抜ける。

 

「少し力を貸してくれ……乖離剣(エア)ッ!」

 

ここまで頑なに乖離剣の使用を渋ったのは、(ひとえ)に乖離剣が生み出す空間振動によって王の財宝が使用不可能になるから……それに尽きる。

 

防御宝具の使えない状況で抑止力×2を相手するのは危険すぎる。故に彼を……剣を使った遠距離攻撃ができる彼を無力化乃至(ないし)それに近い状態まで持っていかなければ、乖離剣は使用できなかった。

 

なにも最大出力で放つ必要はない。ほんの一瞬足を止めさえすれば、王の財宝による飽和攻撃が可能になる。

 

乖離剣を出力10%で起動。剣から解き放たれた空間圧流がアーキタイプ・アースを直撃し、その場に押し留める。

 

「待ちなさい!」

 

「誰が待つかバァァカ!」

 

王の財宝による斉射でアーキタイプ・アースを封殺する。

 

そして宝物庫から取り出すのは……契約阻害の短剣。

 

「何を……!?」

 

「オラ悪徳ブラッククソ野郎(抑止力)! 後始末に代理人を派遣してんじゃねぇ! テメェが来やがれえぇぇぇぇっ!!」

 

振り下ろした短剣は彼の胸を貫き……肉体を破壊することなく、抑止の守護者としての契約を阻害した。

 

一瞬、時が静止する。

 

乾いた音を立てて、彼の体から剥がれ落ちるように青色の炎が溢れ出し……一点に収束して球体を作り出す。

 

「霊長の抑止力……見るのは初めてだな」

 

()()()()()

 

声が届く。全人類の無意識たるアラヤは、発声すらせずしてこちらの願望を問う。

 

「取り敢えず、俺達にはもう関わるなってのが一つ。んで、交換条件として……ステッドファストに搭載されている切り札に、出力制限をかける。それでどうだ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あのなぁ? 俺はお前らに()()()してるんじゃない。()()()()()()って言ってんだ」

 

王の財宝から門を開く。地球を破壊できる兵器なぞ山程ある。ステッドファストに搭載したものは、飽くまでもその一つに過ぎない。むしろそれよりも凶悪な品々が、人類という種族の悪性の極限が、この宝物庫には詰まっている。

 

「ここでお前が要求を飲めば、俺は()()()()を出さない。それで互いに手打ちにしよう」

 

アラヤは黙りこくり、アーキタイプ・アースは何処か恐怖を滲ませたような表情を俺に向ける。

 

「貴女は……どれ程の覚悟と、底無しの意思を……」

 

「そうだな。敢えて言うならば……人間を舐め過ぎだ。星の精霊」

 

王の財宝の展開をすべて解除。戦闘態勢を解くと、彼らも続けて魔力の放出を収める。

 

「炎、機械、武器、奴隷、戦争……己の快と言う目的を達成するためなら何でもやる……それがホモ・サピエンス・サピエンス(智慧あるニンゲン)という生き物の本質だ。善も悪も問わず、な」

 

「ならば、貴女は人の裁定者足り得る、と?」

 

「馬鹿を言うな。人間の現在行為に善と悪を問うのは無価値だ。全ては結果に於いて後世が判断する。俺は人に善を為せと奨励する心算(つもり)はないよ」

 

人に裁定を下せると思うほどに、俺は思い上がっている訳ではない。

 

アーキタイプ・アースは考え込み、代わりに彼が口を開く。

 

「一つ聞きたい。君にとって、正義とは何だ?」

 

エミヤシロウの、正義の味方であることを求めた彼の問いに、真正面から立ち向かう。

 

「個人にとっての正義と社会正義とでは求められるものが違う。故に、正確にその 「正義」に沿う回答はし兼ねるが……俺個人で言うならば、今俺が居る周りの人を幸せにすること。それが俺の掲げる正義だ」

 

 「ただ一人の為の正義の味方、か。それだけの力を持っていながら……」

 

「よしんば俺がそう決意したとしても、俺が救える万人は、あくまでも俺の認識範疇内の人に過ぎない。生きとし生ける衆生を救済するには、いくら俺であっても力不足だ。俺は神じゃない。現在、過去、未来……俺は世界を背負えないよ」

 

ヒトを仮に救済することは出来る。尽きせぬ黄金で心を癒やし、贅なる食で体を癒やすことは出来る。だがそれは、あくまでも仮初めの物に過ぎない。それでは全く意味がない。

 

仮の救済はヒトの心を腐らせる。愛玩動物のように扱うのは、俺の本意ではなかった。

 

「ある意味では慈悲であり、ある意味では傲慢、ですね」

 

少女が嘯く。痛い所を突かれて、俺の表情が僅かに歪む。

 

「笑ってくれて結構。これが俺だ。自分でもどうしようもない程に矛盾している」

 

「キミは人間をどう思う。キミは人間に何を求める」

 

「……初めは、関わるつもりもなかった。ただ日々を安寧に暮らせれば、それでいいと思っていた」

 

転生したと自覚したとき、俺はギルガメッシュの能力を把握しても、特に自分から何かをしようとはしなかった。

 

この力を行使することによって生じるリターンと責任(リスク)、それらを天秤にかけて、後者を取っただけだった。

 

だが……アイに出会った。

 

「友が居る。初めは興味だった。だが見通した未来は……決して祝福できるような道のりではなかった。危なっかしくて見てられない。放っといたらすぐに奈落へと転げ落ちて行くようなやつだから、手を取って……今度は俺が引き摺り込まれた」

 

希薄なイメージだった。誰が、何がは因果律の確立が弱い故に靄がかかったようにしか見えなかったが、この少女が悲劇的な結末をたどることは把握できた。

 

……それで彼女はアイドル、俺はファッションモデルなのだから、世の中、本当にどうなるか分からない。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アラヤが手を伸ばす。分岐した契約が俺の体の中に入り込み……俺はそれを、笑って拒絶した。

 

「俺は確かにそう成れる。だけど残念ながらタダ働きは嫌いでね。もし後始末に駆り出されて、うっかりそいつが魅力的だったら──世界、壊しちゃうかもしれないぜ?」

 

アラヤは手を引っ込める。沈黙を破ったのは、アーキタイプ・アースだった。

 

「我ら地球意思は、金城玲奈を新たなる隣人として認めます。願わくば、その力を善き方向に用いるよう」

 

「善き方向ってのが難しいが……まぁ、努力はするよ」

 

握手を交わす。これで第1関門は達成した。

 

「それで、霊長の意思はどうするのかね?」

 

彼は思わせ振りな視線を頭上の球体に向ける。

 

()()()()()()()退()()()()()()()()()

 

「一先ずは、アイと一緒に笑って暮らせる世界かなぁ。特殊兵装だって、本当に保険なんだ。使いたくないのは本当さ」

 

……()()()()()()

 

アラヤも、彼も、剣の破片も……全てが溶け消えるように消失する。

 

(……何とかなった、か)

 

一度深く息を吸って、大きく、溜息を吐く。

 

抑止力に目を付けられた時は、本当にどうなることかと思ったが……切り抜けることには成功した。

 

「金城玲奈、これを」

 

アーキタイプ・アースが何かを放り投げる仕草をして、直線を描いて俺の手の中に収まる。

 

「虹の……宝石?」

 

極彩色の輝きを放つ丸い宝石が埋め込まれたネックレス……それが、彼女が俺に渡したものの正体だった。

 

「通信礼装です。大気中の魔力を収束してエネルギー源にするので、充電は不要です。個人的な贈り物は初めてで、(つたな)いとは思いますが……」

 

何処か気恥ずかしげに、チラチラとこちらを見る彼女を見ては、邪険にもできず……

 

「綺麗な贈り物ですよ。ありがとう」

 

「嬉しい。 ……そちらが素なのかしら?」

 

チェーンを解いて首に付けると、彼女は嬉しそうに両手を合わせた。

 

「素、というかキャラ付けと言うか……この姿で男言葉を使うのは、違和感が大きいですからね」

 

客観的に見て美の精髄が如き容姿をしていると言うのに、口から出てくるのが野郎言葉というのでは余りに情けない。

 

丁寧な口調というのは肩が凝るが、この体のイメージにはそれが一番合っている。

 

「先程の口調も、雄々しくて素敵ですよ?」

 

「それは好みの問題ですね。 ……けどまぁ、嬉しいよ」

 

お世辞と受け取って、リップサービスを返しておく。

 

「うふふ。 ……それでは、また会いましょう」

 

彼女の体が崩れて消える。恐らく星に戻ったのだろう。

 

「っはあぁぁ……疲れました」

 

誰も居なくなったことを確認して、溜息と共に愚痴とも付かぬ言葉を吐き出した。

 

 




主人公:口調が素に戻っているのは感情の箍が外れたから。初めての命のやり取りなので人並みに恐怖している。今回の戦闘でエミヤの戦闘技術の5割くらいを吸収した。

抑止力×2:こちらの世界ではマナの減少により本来のスペックを出せていない。とはいえ個体能力では同等以上。魔力の回復速度で負けている。本来なら存在し得ないものを無理やり定着させているため、こちらの世界にとっては負担が大きい。

疑似真名開放:宝具を改造した宝具。真名開放をせずともそれと同等の威力を叩き出すことを目標としているため、純粋な武器としての性能が極めて高い。反面、魔力や宝具による補助等で威力を補っている為、武器にかかる負担が多く、連発はできない。
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