慎重術師   作:コケ

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短いけど許して。


侵食

 

 今日は3人目の1年生を迎えに虎杖と恵は原宿へ。まだ五条が来ていないため、2人は来るまで軽い雑談をしていた。

 

「なあ、伏黒。『慎重のすゝめ』って本知ってる? 野口英世が書いた本に題名がそっくりなやつ」

 

「『学問のすゝめ』だろ。それに野口英世じゃなくて福沢諭吉な。

 それなら確か灰原さんが持ってたな」

 

「灰原さん?」

 

「優秀な補助監督だよ。あの人より優秀な人いねーんじゃねえか? 慎重すぎて怖いけど」

 

「ホジョカントクって?」

 

「はぁ、五条先生に教えてもらってないのか? 簡単に言うと、俺たち呪術師のサポートをしてくれる人だ。

 それで『慎重のすゝめ』がどうしたんだ?」

 

「爺ちゃんが大切にしてた本なんだよ、それ。凄い気に入ってたのか、6冊も持っててさ」

 

(あー、完全に染められてるな)

 

 恵はその本のタイトル、冊数で全てを察した。そして少し読んでみたいとも思った。竜宮院程じゃないにしても少しだけ実践してみるのもアリだな、と。

 

「まあ、別にそれはいーんだけどさ。この前、1冊どっかにいっちゃって、たまたま近くにいた学長にどこかで見てないか聞いたんだよ。そしたら、急に脚が震えだして『頼む、その話題は俺に降らないでくれ』って断られたんだけど、伏黒何か知ってる?」

 

「学長は『慎重』って単語に拒否反応を起こすんだよ。所謂、慎重アレルギーだな」  

 

「慎重アレルギーぃ?」

 

「・・・・・・まあ、色々あんだよ」

 

 恵はある人物たち、主に竜宮院、夏油、乙骨、狗巻を頭に浮かべて答える。

 

「そっか」

 

 虎杖は恵の反応からして学長には壮絶な過去があるんだなー、と思い深く聞かないことにした。

 

「おまたせー」

 

 五条が集合場所に5分遅れてやってきた。しかし、恵はいつものことなのであまり気にしない。どうせ何言っても無駄だからだ。

 

「おっ、制服間に合ったんだね」

 

 五条は虎杖の新品な制服を見て言う。

 

「おうっ、ピッタシ。でも伏黒と微妙に違ぇんだな」

 

 パーカーついてるし、とそれを触りながら疑問を述べる。

 

「制服は希望があれば色々いじって貰えるからね」

 

「え、俺そんな希望だしてねぇけど」

 

「そりゃ、僕が勝手にカスタム頼んだんだもん」

 

「・・・・・・ ま、いいか。気にってるし」

 

「気をつけろ。五条先生、こういうところあるぞ」

 

 と、恵は虎杖に忠告する。

 

 3人はガヤガヤと賑わっている通りを歩き、3人目の1年生と約束している集合場所へ向かう。

 そして五条が茶髪の女子高校生らしき人に声をかける。

 

「おーい、コッチコッチ」

 

 その声に反応してサラッサラの綺麗なボブヘアを靡かせながら五条たちのいる元へやって来る。

 

「釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点よ」

 

「俺、虎杖悠仁。仙台から」

 

「伏黒恵」

 

 虎杖は人当たりの良い元気な、恵はそっけない自己紹介をする。

 そんな2人を釘崎は分析するように観察し始めた。

 

(虎杖・・・ 見るからにイモ臭い。絶対幼少(ガキ)の頃、ハナクソ食ってたタイプね。

 で、伏黒・・・ 名前だけって。私、偉そうな男って無理。それに今はまだマシかも知れないけど、いずれガミガミ文句言ってくる面倒臭いタイプね。そんな感じするわ)

 

「私ってつくづく環境に恵まれないのね」

 

 2人を分析し終えて、大きくため息をついた。

 

「これからどっか行くんですか?」

 

「フッフッフ、せっかく1年が揃ったんだ。しかもその内2人は おのぼりさん ときてる・・・・・・行くでしょ、東京観光」 

 

 五条の言った "東京観光" に気分を明るくする おのぼりさん2人。しかし恵は絶対に2人が想像しているものではないと普段の五条の言動から察した。

 

 

 

 

 

 

「いますね、呪い」

 

 恵は五条に連れてこられた廃ビルを見て言う。

 

「嘘つきー!!」

 

「地方民を弄びやがって!!」

 

 期待を裏切られた2人はギャーギャー騒ぐ。そんな中、五条は説明を始める。

 

「でかい霊園があってさ。廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ」

 

「やっぱ墓とかって出やすいの?」

 

 呪術師になったばかりの虎杖は疑問を口にする。そんな彼に恵は簡潔に説明する。

 

「墓地そのものじゃなくて、墓地=怖いって思う人間の心の問題なんだよ」

 

「あー、学校とかも似た理由だったな」

 

「ちょっと待って。コイツ、そんなことも知らないの?」

 

 恵の説明に納得する虎杖だが、これは呪術師ならば当然の知識のため、釘崎は驚く。

 そんな彼女に恵は虎杖が呪術師になった経緯を説明し出す。

 

「飲み込んだぁ!? 特級呪物をぉ!? きっしょ、ありえない!! 衛生観念キモすぎ!!」

 

「んだと?」

 

 釘崎が罵倒するため、虎杖が青筋を浮かべ、恵は・・・

 

「いや釘崎、俺が慎重だったら・・・」

 

 消えいるような声でそんなことを呟いた。虎杖、釘崎はそんな恵の言葉は耳に入らなかったが、五条はしっかりと耳に入った。しかし、恵に何も言わずに2人へ声をかける。

 

「君たちがどこまでできるか知りたい。ま、実地試験みたいなもんだね。

 野薔薇、悠仁。2人で建物内の呪いを祓ってきてくれ」

 

 それを聞いた釘崎は げっ、と声を漏らす。なんせ衛生観念キモすぎるゲテモノ食いと一緒なのだから無理もない。

 

「あれ、でも呪いは呪いでしか祓えないんだろ。俺、呪術なんて使えねぇよ」

 

「君は半分呪いみたいなもんだからね。体には呪力が流れてるよ。でも、呪力の制御は一朝一夕じゃいかないから、これ使いな」

 

 そう言って、呪具『屠坐魔』を渡した。

 

「呪力が篭ってるから呪いにも効く。あー、それから宿儺は出しちゃ駄目だよ。アレを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど、近くの人間も巻き込まれる」

 

 そう忠告し終えると、2人は建物へ入っていった。恵はそんな2人を見て自分も行くと言い出すも、五条に行くなと止められた。

 

「でも、虎杖は要監視でしょ。それに予期せぬ事態が起こるかもしれない・・・ そもそも虎杖がこうなったのも・・・・・・」

 

「ねえ、アレは恵のせいじゃない。あの任務自体、君に行かせるようなものじゃなかったんだ。あまり自分を責めるのは良くないよ」

 

 そう言って五条は近くにあった椅子に腰をかけ、恵にもそう促す。

 

「・・・・・・」

 

「それに今回試されてるのは野薔薇の方だよ。悠仁はさ、イカれてんだよね。君みたいに昔から呪いに触れてきたわけじゃない、そんな普通の高校生が躊躇なく呪物を飲み込んだ。才能があってもこの嫌悪と恐怖に打ち勝てず、挫折した呪術師を恵も見たことあるでしょ。

 今日は彼女のイカれっぷりを確かめたいのさ」

 

 そうして恵と五条の2人は喋りながら待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば五条先生」

 

「んー?」

 

「さっき虎杖に貸した呪具、禪院先輩のじゃ・・・・・・」

 

 恵は先程から気になってたことを聞く。

 

「あー、ま、大丈夫でしょ」

 

「ダメですよ、ちゃんと使い慣らしてからじゃないと。いきなり実戦で使うなんて。もし壊れたらどう説明するんですか」

 

「えー、恵も慎重になってんの? 影響されちゃった?」

 

「・・・別に竜宮院さん程じゃないですよ」

 

「ホントかなー?」

 

 五条はニヤニヤしながら恵を見る。

 

「逆に嘘つく必要あります? あとその顔やめてください。ムカつくんで」

 

「やめなーい」

 

「はぁ・・・」

 

 恵がため息を吐いたと同時に廃ビルから呪霊が飛び出してきた。

 

「祓います」

 

「待って」

 

 それを見て恵は立ち上がるが、五条が止める。納得できない恵は念のため、術式展開の準備をする。

 

「・・・」

 

 しかし、呪霊は体内からの攻撃で弾けた。

 

「いいね、ちゃんとイカれてる」

 

 五条は満足いったのか口角を上げ、嬉しそうに言う。

 

「五条せんせー、終わったよー。それと子どもいた」

 

 声がした方へ五条と恵は顔を向ける。するとそこには釘崎と腕に男の子を抱えた虎杖がいた。

 

「お疲れサマンサー!! 子どもを送り届けてから飯行こっか」

 

 こうして呪霊討伐は無事に終わった。

 

 

 

 




交流戦・・・・・・ 秤が停学になってないから1年生は参加しないだろうし。交流戦自体やらないかもしれないし、軽く描写するだけかもしれない。うーん、悩む。
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