水星の魔女2期7話ネタ タイムスリップ? して色々あった末シャディクの義弟になった成長利守 「ドーモ、トシモリ・ゼネリです。ここどこ?」(https://syosetu.org/novel/305126/)の続きのような 「大事なものは身近に置いておく」シャディクに、アスティカシアに囲われている利守だったが……
▼シャに本名あったんですね……あれだ、なんか、スネイプ先生と設定共通してません? ハーフでプリンスで初恋引き摺ってる
pixivより転載

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【水星の魔女×結界師】鳥籠の鳥は羽搏くことを決めた

 僕がシャディク同様ゼネリの養子になれたのは、当初は日本語しか解さなかったのにアカデミーにて瞬く間に英語を解するようになったことの伸びしろへの期待と、なにより「プリンス」とあだ名されたほどの優れた成績を築いたシャディク――イエルに「僕には補佐が必要です」と僕を引っ張ったからだ。それで僕は、ゼネリ家の次男として勉強することになったのだ。

 そして今、僕は現状に強い不満を抱いている。

(僕はいつまでここにいればいいんだ)

 学校の授業が終わり、僕はグラスレー寮に帰る。このところの僕はひとりで行動していた。思うところがあってのことだ。

 ――義兄に逆らったのだ。

 シャディクがアーシアンの援助をしているのは知っていた。それが義父の関与していることではないとも知っていた。けれど、テロリストにまで関与しているとは思わなかった。

 僕を補佐として引き立てると言いながら、僕には何も知らせていなかったのだ。

『義兄さん、どういうこと。このことを――』

『――父さんに言うかい?』

 そう言った瞬間、サビーナたちが寮長室に雪崩れ込んできた。彼女たちも同じアカデミー出身なので幼馴染と言えるけれど、このときはそんな心温まる呼び方はできなかった。

 緊迫する僕たちの中で、シャディクは僕を見据えた。

『トシモリ。お前に俺のことをわかってもらえるまで、お前には学園にいてもらう。……いつか俺たちの思想を理解してもらえると信じているよ』

 ――そして僕の体には、発信機が取り付けられた。外すなよ、と言われている。外したら命はないと言うことだろうと解釈している。

 あれから色々あって、義父を狂言誘拐してグラスレー寮に閉じ込めていることも僕は知っている。僕ひとりが知ったところでどうにもならない。一応ゼネリの息子とは言え、僕はシャディクに何も知らされていなかった身だ。

 わかっている。シャディクは恐れている。僕のことを。弟として大切に思われているのは本当だろう。そして、僕を喪うことも恐れているのだ。1番近いところに置いておいて、自分の思想を話すこともできなかったほどの僕を。

 けれど、僕は鳥籠の鳥ではない。僕は――

「――トシモリ」

 不意に声を掛けられる。それは義兄の声ではなかった。意外な人物の声だった。振り返る。

「グエル先輩?」

 グエル・ジェターク。シャディクが一方的に信任していた人物。学園を出奔して一時行方不明だったのが、突如として戻って来て亡き父の跡を継いでCEOになった。今も仕事に行っていたはずだが……CEOとしての礼服ではなく、学園の制服を着たグエルの傍には恰幅の良い中年男性がいる。護衛だろうか。不審に思っていると、グエルは僕の腕を掴んできた。

「わっ、なんですか」

「静かに。――トシモリ。お前、シャディクのことは知っているか」

「――」

 その言葉の意味するところを、僕は正確に悟ってしまった。あぁ、グエルは知ってしまったのだ。そしてその真相を究明しようとしている。僕は腕を強く握りしめられる痛みを感じながら、視線を逸らす。

「――僕に、義兄を売れと」

「違う。トシモリ」

 落ち着いた声だった。スレッタがやって来る前のホルダー時代のとげとげしていた頃とは打って変わり、本当に静かな声だった。それに驚く。本当に、一体何があったのだろう。僕が困惑していると、グエルは僕を見下ろしながら言った。

「過ちを正させたいだけだ」

 ――その一言に。

 僕は、つきものが落ちた気がした。

 一瞬呆けてしまう。そんな僕をグエルは不審そうに見ていたけれど、僕が手を振り払ったときは何も言わなかった。

 僕は、ネックレスを外す。一見ただの装飾品のそれをグエルに見せながら、僕は言った。

「これはシャディクが僕につけている発信機です。僕の居場所は常にモニターされていると思われます」

「――」

「いいですか。寮に入ったら僕はこれを壊します。そのあとから義父の監禁場所まで走ります」

「お前――」

「それと、これは交換条件ですが。僕も、今から連れて行ってもらえますか」

 僕が見上げると、グエルは息を飲んだ様子だった。自分でも思う、覚悟が決まった目だと。

「もう、鳥籠に閉じ込められているこの状況は嫌なんです。――シャディクを止めたいんだ」

「……わかった。手伝ってくれ」

 グエルの言葉に、僕は深く頷いた。

 

 これは鳥籠の持ち主への反逆。彼を止めるための、彼の手をこれ以上血で汚させないための――。

 

 

 

 

 

End.


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