なんかこう、泣きそうになった…。
特に最後の主人公ラッシュが、良いよね。
因みに私のファーストガンダムは、覚えている限りだとSEEDです。その後、友達にGガン進められて見て、見事ハマりました。今は、ずっと見てなかったZZ見ていたりします。
そんな訳で、ランブルリングの続きです。それでは、どうぞ。
第9戦術試験区画
『約束通り、ホルダーを倒すまでは共闘だからな!!』
『わかってる!!』
『裏切るなよ!!』
ランブルリングに参加した一部の生徒は、一時的な共闘をしていた。現状この場で1番強い相手は、無敗のホルダーであるスレッタとエアリアル。そして三日月とバルバトスだ。
そんな2日人に正面から1対1で戦っても、勝ち目は薄い。いや、勝ち目なんて全く無いだろう。そこで先ずは、最も強い敵を協力して倒す事にしたのだ。
『いいか!絶対に近づくなよ!!とにかく徹底的に遠距離攻撃するんだ!!』
『了解だ!!』
一応、対策も考えた。グラスレーの時と同じように、徹底的に遠距離で攻撃をし続けるというものだ。なんせバルバトスは、近接戦闘の化身。
おまけに最近、尻尾が生えて中距離も対応するようになっている。そんな化物に近づいても、餌食になるだけ。だからこその、遠距離攻撃である。
『うおっ!?』
『何だ!?』
だが、そう簡単に行くわけも無い。彼らのとって敵は三日月とスレッタだけでは無いのだから。
『スレッタ・マーキュリー。雑魚は僕が倒しておくよ』
スレッタに攻撃を加えようとした生徒達に、エランのファラクトが新武装であるビームカリヴァで攻撃を開始。おかげで彼らは、エアリアルに攻撃ができなくなった。
『あ、ありがとうございます!エランさん!』
『いいって。その変わり、試合が終わったら一緒にご飯とかどう?』
『え!?えーっと、試合が終わったら考えるので、待ってて貰っていいですか?』
『うん、いいよ』
そしてエランは、試合中にもかかわらずスレッタをデートに誘う。スレッタの反応を見る限り、決して望み薄ではなさそうだ。
(……あいつ、エランじゃないよな?)
そんなエラン事、強化人士5号の正体を、三日月は秒で見抜く。今まで強化人士5号とまともに会話なんてしていないのだが、今の話し方で直ぐにわかった。アレは、自分が知っているエランじゃないと。
(まぁ、今はいっか)
しかし、今は大事な試合中。それに、まだ彼はスレッタに何かをした訳じゃない。なので、今は保留でいい。最も、試合中にスレッタに何かしたら容赦しないが。
『いたぞ!!地球寮の悪魔だ!!』
『距離を取れ!!兎に角遠距離で奴を攻撃をしろ!!』
そんな三日月の元に、4機のモビルスーツが現れる。ランブリングに参加している、他の寮の生徒達だ。彼らは3方向からバルバトスを囲みつつ距離を取りながらビームライフルやビームランチャーを構える。
『撃て!!』
そして合図と共に、バルバトスに向けて一斉に射撃を開始。普通のパイロットとモビルスーツなら、こんな攻撃避けられないだろう。
「よっと」
『んな!?』
だがあいにく、三日月とバルバトスは普通なんかじゃない。三日月はバルバトスのスラスターを吹かすと同時に、上に大きくジャンプした。
そして手に持っているソードメイスを、重武装のタンク型のモビルスーツの頭目掛けてブン投げる。
『ぐえ!?』
そのままタンク型のモビルスーツは、頭部を破壊されて失格。そして三日月は、空中でバルバトスを前に1回転させ、テイルブレードを起動させる。それはすんぐりとしたモビルスーツの足に刺さり、三日月はテイルブレードをそのまま巻き戻す。
するとバルバトスは、一気にずんぐりとしたモビルスーツに接近。そしてぶつかる寸前に、相手のモビルスーツの頭部を足蹴にしたのだ。
『そんなんありかよーー!?』
無論、ありだ。何もルール違反はしていないのだから。
『嘘だろ!?』
『う、撃て!!今なら背中からやれる!!』
残った2機のモビルスーツは、バルバトスの背中に向かって攻撃を開始。しかしバルバトス、テイルブレードに未だに刺さっているずんぐりとしたモビルスーツを盾にすることで、その攻撃を防御。
『『な!?』』
そしてずんぐりとしたモビルスーツからテイルブレードを外すと、そのままテイルブレードを大きく横に薙ぎ払うように振るう。
『よ、よけ…ぐあ!?』
『早すぎる!?』
2機のモビルスーツのパイロットは、攻撃を避けようとするが遅かった。そのまま横に振るわれたテイルブレードによって、頭部を破壊される。
「先ずは4機」
ランブルリング開始1分足らずで、三日月は4機のモビルスーツを破壊。そして相手の頭部に突き刺さっていた、ソードメイスを引く抜く。エアリアルとは違う、荒々しく激しい戦い方。その姿を見て、周囲にいた何機かのモビルスーツの足がすくむ。やはりただ囲んで攻撃するだけでは、勝てそうに無い。
しかし、このまま彼を自由にさせておくと、それだけでこちらがやられてしまう。何とかして、三日月にはここで脱落してもらわなければ。
『おーっと!地球寮の三日月・オーガス!さっそく4機のモビルスーツを破壊!流石ホルダーに次ぐ最強のパイロットですね!』
『おお!!なんという!!』
『あれが噂のガンダムフレームか。素晴らしいな』
『ですね。是非我が社で詳しく調べたい。あれが量産されれば、地球にいるテロリストなど一網打尽です』
『私はモビルスーツそのものより、内蔵されているエイハブリアクターが気になりますね。どうにかして手に入れる事はできないものか』
『やはりここは、決闘で彼に勝利するか、例の株式会社ガンダムに業務提携を持ちかけるのが得策では?』
その光景に、司会進行を努めているセセリアと、その光景を見ていた大勢の観客が騒ぎ出す。三日月とバルバトスが強いのは知っていたが、こうして実際に目にするとその強さがよくわかる。
というか、背中のテイルブレードが無法すぎる。あれ、使用禁止にしてほしいくらいだ。
『よくやったわ三日月!そのまま相手を全滅させる勢いで続けなさい!そうすればもっと株式会社の知名度はあがるわよ!!』
「わかってるよ」
ミオリネからそんな命令を受けるが、元からそのつもりだ。ここでしっかりと勝って、株式会社ガンダムの知名度をあげていこう。
『くそ!!囲め!!囲んで攻撃をしろ!!』
『あの尻尾に細心の注意を払え!少しでも気を抜いたらやられるぞ!!』
そんなバルバトスを、怖気ついていた生徒達が再び囲む。
「いいよ。全員、かかってきな」
そして三日月は、ソードメイスを持って眼前の敵を見る。例え誰がどれだけ来ても、結果は同じだろう。なんせ三日月は、スレッタとエアリアル以外には負ける気がこれっぽちも無いのだから。
一方スレッタは、バルバトスから少し離れた場所で安堵していた。
(うん、三日月は大丈夫そう)
かなりの数のモビルスーツがバルバトスに攻撃をしていたが、その全てをバルバトスは撃破している。あれなら、援護の必要なまだ無さそうだ。だったら、自分は自分の事に集中しよう。
『リベンチマッチだ!!ガンダム!!』
「っ!?」
そう思っていると、スレッタに攻撃をしかける者が現れる。レネが乗っている、ハインドリーだ。
「くっ!」
スレッタはエアリアルのエスカッシャンを起動し、レネの攻撃を防御。同時に、ビームライフルでハンドリーを攻撃。
『当たらないって!!』
その攻撃を、レネは避ける。そしてビームハンドガンで、エアリアルを再び攻撃。
「なんのです!!」
だが、それもエスカッシャンでスレッタは防御。
『ちっ!本当に厄介だね!そのスウォーム兵器はさ!!』
エアリアル専用装備であるエスカッシャン。防御と攻撃、どちらにも転用できる万能兵器。バルバトスのテイルブレードと同じくらい、厄介で仕方が無い。
『でも、ここで引くなんてしない!!今度こそ、あんたは私が倒すんだから!!』
しかしレネは、攻撃をやめない。それどころか、先ほどより激しい攻撃を続ける。ビームハンドガンで攻撃をし、その間にエアリアルに近づく。そしてエアリアルに電磁射出式ランスで近接攻撃を仕掛ける。
(この人、前より強い気がする!!)
グラスレーとの決闘の時も、スレッタはレネと戦っている。しかし、今のレネはあの時より強い気がする。なんというか、迫力とやる気があるのだ。それに付随して、パイロットとしての技量も上がっている。恐らく、相当な訓練をしてきたのだろう。
「でも、私も負ける訳にはいきません!!ミオリネさんと約束したんですから!!」
無論、だからと言って負ける気は無い。ミオリネの誕生日まで、無敗のホルダーでいると約束しかたらだ。
『じゃあ、やってみなよ!!スレッタ・マーキュリー!!』
そんなスレッタに、レネは攻撃を続ける。スラスターで加速し、一気にエアリアルとの距離を詰める。そのハインドリーに、スレッタはエスカッシャンによる飽和攻撃を開始。
だがその飽和攻撃を、レネはなんとか避ける。これがその辺のパイロットだったら、これで終わっているだろうが、レネはパイロット科上位成績者。更に言えば、ここ最近はハイレベルなシミュレーションを何度も何度もこなしてきた。おかげでこれくらいなら、なんとか避けれるのだ。
そして再びエアリアルに接近できたレネは、ハインドリーの右手に装備している電磁射出式ランスで頭部を攻撃。
「あぶなっ!?」
その攻撃を、エアリアルは避ける事に成功。そしてレネのハンドリーからバックステップで距離を取り、ビームライフルで攻撃。
『当たるかっての!!』
だがレネも、その攻撃を避ける。そのまま、またエアリアルに近接戦闘を繰り返す。
『本当にムカツク!なんであんたなのよ!!なんで三日月の側にいるのが、あんたなんだよ!!』
「え!?なんですか突然!?」
やっかみを言いながら。
『私だって、三日月みたいな子に側にいて欲しかった!!あんたみたいに、小さい頃から側にして欲しかった!!そうだったら、私も普通の幸せを手にする事ができたかもしれないのに!!』
「本当になんですか!?」
『これはただの愚痴と八つ当たり!!だから気にしないで!!』
「いや無理ですけど!?」
突然のレネの口撃に、スレッタは少し困惑。一体彼女に、何があったというのか。
ここで少し補足すると、レネは一応三日月に対する気持ちに整理をつけてはいる。しかし、今回先ずスレッタを狙うことになった時、そのスレッタを見て凄く嫉妬してしまったのだ。
ズルイ。
自分にも、三日月みたいな子に側にして欲しかった。
ズルイ。
そうすれば、態々こんな事をしなくても良い人生を歩めたかもしれない。
ズルイ。
これがただの八つ当たりなのは、レネも理解している。しかし、人は時に理性で無く本能で動く生き物なのだ。どうせエアリアルは、この場で倒す必要がある。ならば、ここで積もった恨みつらみを晴らそう。
「なんかよくわかりませんけど、こっちも負ける訳にはいかないんです!!」
そんなレネの嫉妬心など知らないスレッタは、レネに対して応戦する。ビームライフルによる攻撃や、エスカッシャンによる飽和攻撃。
更に近づいて、ビームサーベルによる攻撃も行う。しかし、その攻撃をレネは全ていなす。流石パイロット科成績上位者なだけはある。簡単にやられるような相手じゃない。
「っ!?」『っ!?』
そんな2人の間に、突然別の人物が攻撃をしてきた。
『水星女ぁぁぁーーーー!!』
攻撃をしてきたのは、大型ヒートアックスを装備したラウダのディランザだった。そして彼は、明らかにスレッタに対して憎悪を燃やしている。
『お前だけは、お前だけは必ず倒す!!水星女ぁぁぁ!!!』
「っ」
狂気すら感じるラウダの声色。そんなラウダに、スレッタは少し怯える。
『邪魔すんな!ラウダ・ニール!!』
スレッタへの攻撃を邪魔サレレネは、ラウダに攻撃をしようとした。
『っ!?』
『あんたは、私が相手する!!』
『できんの!?あんたに私の相手がさぁ!!』
だがフェルシーに攻撃を邪魔され、レネは一層不機嫌になる。さっさと倒して、スレッタにまた攻撃をするとしよう。そうすれば、この気持ちも少しは晴れるだろうから。
一方サビーナは、頭に血が上っているレネにため息をつく。
(はぁ…何をしているんだレネは…)
エアリアルとファラクトを優先的に攻撃するとは言ったが、今のレネは冷静さを失っている気がする。攻撃こそ大したものではあるが、色々と繊細さに欠ける。あれでは、エアリアルに勝つなんて無理だろう。
(まぁいい…こちらでエアリアルを破壊すれば)
そんなレネをほっといて、サビーナはラウダのディランザに追われているエアリアルに照準を合わせる。
「っ!?」
だが攻撃をしようとしたその時、サビーナにビームライフルによる攻撃をしてきた者がいた。サビーナはその攻撃を避けると、攻撃をしたきた者達を見る。
『行け昭弘!!』
『ああ!!」
視線の先にいたのは、チュチュが乗ったデミトレーナーと、明弘のグレイズ改だ。2人は昭弘のグレイズ改が前衛を担当し、それをチュチュのデミトレーナが援護射撃をするという王道の戦略を取りながらツーマンセルでサビーナに攻撃をしてきたのだ。
『くらえええ!!』
「くっ!!」
サビーナは昭弘のグレイズ改のバトルアックスの攻撃を、ランタンシールドで防御。
「またお前か!!」
『そうだ!またてめぇを倒してやるよ!!』
グラスレーとの決闘で、サビーナは昭弘とチュチュの作戦にはまり、敗北している。
「2度もやられるかぁ!!」
だがあんな事、2度もあってなるものか。サビーナはすかさず、ハンドリーのランスで反撃。
『舐めるなぁ!!』
「っ!?」
その攻撃を、昭弘は左腕でランスを弾いた。所謂、パリィだ。攻撃を弾かれたハインドリーはバランスを崩し、隙が生まれてしまう。その瞬間を見逃さす、再びバトルアックスでハインドリーを攻撃。
「それくらいで!!」
『なっ!?』
だがサビーナは、ハインドリーのスラスターを起動し、昭弘の攻撃を上に避ける。
『良い的だ!!くらえ!!』
しかしそれを見たチュチュは、直ぐに狙撃を開始。
「当たらん!!」
『んな!?』
でもそのチュチュの攻撃も、サビーナは全て避けたのだ。それも、必要最小限の動きだけで。
「先ずはお前だ!!」
そしてそのまま、上空から昭弘のグレイズ改目掛けて突進攻撃を開始。並のパイロットならば、ここで脱落しているだろう。それだけの、速度による後攻撃であった。
『やられるかぁ!!』
だがその攻撃を、昭弘は避けたのだ。
『着地狩りだ!!』
そしてそれと同時に、チュチュがハインドリーを攻撃。
「ちっ!」
サビーナはその攻撃も避ける事ができたが、正直危なかった。ほんの少し反応が遅れていたら、今ので自分はやられていただろう。
(こいつら、以前より連携が上手くなっている…)
あの決闘の時より、明らかに2人は腕前が上がっている。少しでも油断すると、自分がやられてしまいそうなくらいに。
昭弘とチュチュの2人がここまで動けるようになったのは、三日月やスレッタと、ほぼ毎日シミュレーションによる決闘を行っていたおかげである。エアリアルによる精密な飽和攻撃や、バルバトスにより暴力的な攻撃。2人はこれらの攻撃を、シミュレーションで散々受けてきた。
そんな学園最強と最恐、その2人とずっと決闘をしていれば、おのずと経験値も溜まり、パイロットとしてレベルも上がっていくもの。おかげでこうして、サビーナと以前よりずっと上手く戦えているのだ。
(全く、どうして予定というものは、こう上手く行かないのだ…)
以前の決闘の時もそうだったが、今回も当初の予定通りには行かない。先ずは2人を倒さないと、エアリアルまで辿り着けない。その事実に、サビーナは少し苛立つ。
(まぁいい。また倒すだけだ)
だが直ぐに冷静さを取り戻し、今度もまた2人を倒そうと決める。確かに連携は厄介だが、それでもエアリアルとバルバトスに比べると数段劣る。これならば、自分1人でなんとかなる筈だ。
(あまり、時間はかけたくないのだがな…)
でも同時に、2人にそこまで時間はかけられないので、少しばかり焦りも生まれる。
なんせ予定では、あと数分たらずでこの場は地獄となるのだから。
『ぐへ!?』
『ちくしょーーー!?』
『地球寮の三日月・オーガス!またモビルスーツを撃破ーー!!たった1人で参加者のおよそ4分の1を撃破とは、流石の強さですねー!!』
その頃、三日月は自分を囲っていた決闘参加者を兎に角倒していた。その戦う姿は、まさに圧倒的。今まで彼を囲んでいた参加者達は、既に脱落。これまで彼が撃破した数、なんと11機。恐るべき数字である。
『ここまで、なのかよ…!!』
『くっそ!』
これが地球寮の悪魔、三日月・オーガスとバルバトスルプスレクス。ホルダーに次ぐ最強であり最恐。やはり彼を倒すのに、ただ数で押したり、囲んで叩くだけではダメだった。彼を倒すには、彼と同等の腕前のパイロットとモビルスーツが必要。
しかし残念ながら、今三日月を攻撃している生徒の中に、そんな生徒もモビルスーツもいない。それにしても、未だに受け身でも時間がかかってしかたない。なので、今度はこっちから攻めるとしよう。
(そろそろ、こっちから行くか)
ここで、三日月が動く。彼は対戦相手が固まっている場所に、一気に接近したのだ。そして敵の懐に入ったバルバトスは、ソードメイスを思いっきり横に薙ぎ払うように振るう。
『『ぎゃああああ!?』』
あっという間に距離を止められ、攻撃を避けきれなかった2機のモビルスーツが、そのまま攻撃をモロに受けて脱落。更に三日月は、テイルブレードを起動する。テイルブレードは残っていたモビルスーツの足に突き刺ささり、そのままの勢いで思いっきり投げ飛ばす。
『よ、避けろぉぉぉ!!』
『うわあーーっ!?』
とっさに避ける事ができず、また2機脱落。この時点で、三日月のスコアは15機。しかも、1人でこのスコアだ。やはり強い。
『あのパイロット、良いな…卒業後はドミニコスにこないだろうか?』
『いや、あの子には是非我が社のテストパイロットを務めてもらいたい!』
そんな三日月の強さを見ていた来賓は、一様に三日月に興味を持つ。バルバトスも勿論凄いが、それを手足のように扱える三日月もまた凄い。
おかげで今三日月は、注目の的だ。多分その内、グループ内の企業から『是非うちのパイロットに!」という趣旨のスカウトが大量に来るだろう。最も、三日月はそれら全てを断るだろうが。
「数も減ったし、そろそろスレッタの援護にでもっ!?」
そんな三日月がスレッタの元に行こうとした時、突然何者かが正面から攻撃をしてきた。
「何だ、こいつ?」
三日月はその攻撃を防御しながら、攻撃してきた相手を確認。それは全身緑色の機体で、頭部に大きな2本のブレードアンテナがあり、両腕に剣を装備している。両肩にシールドのようなものと、腰には巨大なスラスターがあり、いかにもな高速戦闘機に見える。
『お久しぶりです、三日月・オーガス』
「あ、金髪の人じゃん」
眼の前のモビルスーツから聞こえたのは、アリアンロッド寮のジュリエッタの声。どうやら、これは彼女のモビルスーツのようだ。
「もしかして、それがあんたの新型機?」
『ええ、そうです。名を、レギンレイズ・ジュリア。ようやく完成した、アリアンロッド社の新型モビルスーツです!!これなら、あなたにも勝てる!!』
ジュリエッタが乗っている新型機の名前は、レギンレイズ・ジュリア。
かつてグラスレーと決闘をした時に、ジュリエッタが乗っていた未完成だった新型機の、完成機だ。グラスレーとの決闘後、アリアンロッド本社にて徹底的に機体を見直され、そこに一緒に戦っていたバルバトスのデータも組み込んだ事で、つい先日ようやく完成した、出来立てホヤホヤのモビルスーツである。
本来なら、そのあまりの高速機動力のせいでとても操縦が難しいモビルスーツなのだが、ジュリエッタはそれを徹底的に訓練することで、自在に扱えるようになっている。
全ては、今度こそ三日月とバルバトスを倒す為に。
「じゃあ、やってみなよ」
ようやく、骨のありそうな者が現れた。でも今は、スレッタのところに早く行きたいので、正直邪魔だ。なのでさっさと倒すとしよう。
三日月は先ず、ジュリエッタから距離を取る事にした。
『させません!!』
「なっ!?」
しかしそうしようとした直後、レギンレイズ・ジュリアの両腕に装備されたいた剣が伸びたのだ。そしてその伸びた剣先が、バルバトスのブレードアンテナを少しかすめる。
「あっぶな…何だあの武器…」
まさか剣が伸びるとは思っておらず、三日月は少し驚く。
この武装の名前は、ジュリアンソード。見た目は少し長い物理剣に見えるが、実はこれ、伸びる事が可能な蛇腹剣なのだ。それこそ、バルバトスのテイルブレードのように。
(くっ!今ので決めたかったのですが…!)
そしてジュリエッタは、初撃を避けられた事に焦る。三日月の戦闘センスと、バルバトスの戦闘力は脅威でしかない。戦いが長引けば長引くほど、こちらが不利になる。なので今の不意打ちのような一撃で決めたかったのだが、避けられてしまった。
(いいえまだです!このジュリアなら、バルバトス相手でも正面から勝てる!!)
だが、まだ勝負は始まったばかり。ここで諦める程、ジュリエッタは潔くない。この日の為に、沢山訓練をしてきたのだ。全ては、三日月とバルバトスを倒す為に。
『行きます!!』
そしてジュリエッタは、4つの大型スラスターを吹かして、バルバトスに接近しながら、ジュリアンソードを大きく伸ばす。それをバルバトス目掛けて、鞭を振り下ろすかのように思いっきり振り下ろした。
「くっ!」
だが三日月、その攻撃をソードメイスとバルバトスの大きな両腕で防御。それと同時に、テイルブレードをジュリアに向かって起動した。
『なんの!!』
そしてジュリエッタは、テイルブレードの攻撃を回避することに成功。訓練の賜物だ。そのままバルバトスから少し距離を取りながら、両肩に装備されているビーム砲で攻撃。
当然、バルバトスにこの攻撃は効かない。だからといって、バルバトスも防御をしない訳ではない。ブレードアンテナを破壊されたら、終わりなのだ。なので頭部だけは、しっかり防御する。
『ここです!!』
その間に、ジュリエッタはバルバトスの側面に移動。そこからジュリアンソードを使い、バルバトスに猛攻を開始。
「これくらいで!」
だが三日月、その猛攻をソードメイスでいなす。流石である。
『ジュリエッタ!援護する!!』
そこに、今度はイオクが三日月に攻撃を開始してきた。そしてイオクのレギンレイズの長距離ビームライフルが、バルバトスの肩周辺に着弾する。大したダメージでは無いが、気になる攻撃であった。
(あいつ、以前より狙いが正確になってるな…)
なんせ以前戦ったときより、明らかにイオクの射撃の腕が上がっているのだ。以前は明後日の方向に撃っていたのに、今はかなり正確にバルバトスを撃ってきたし、何なら攻撃が当たっている。
これは、少しマズイ。ただでさえ厄介な新型機のレギンレイス・ジュリアがいるのに、そこに成長したイオクの援護射撃があったら、流石のバルバトスも無傷とは行かないかもしれない。
「なら!」
ここで三日月は、ソードメイスを地面に思いっきり叩きつけて、辺りに土埃を舞わせる。
これでイオクは狙撃ができないだろう。更にテイルブレードを起動し、それを横に薙ぎ払うように振るう。
『それは既に対策済みです!!』
だがジュリエッタは、そのテイルブレードの攻撃をジュリアンソードでテイルブレードを叩き落とす。
そしてそのまま一気にバルバトスに接近し、ジュリアンソードで攻撃をする。
無論バルバトス、その攻撃を全て防ぎ、いつしかお互い鍔迫り合いをしているような状態になった。ここでジュリエッタは、さらなる攻撃をしてきた。
『ここです!』
それは、なんと回し蹴り。レギンレイズ・ジュリアのスラスターには、脚部ブレードというのが
ついている。本来はこの部分が脚部なのだが、地上戦使用ではまるでケンタウロスの後ろ足のようになっており、スラスターからそれが伸びた状態になっている。
そしてこれ、思っている以上に長い。ジュリエッタはこの脚部ブレードを、そのまままるで格闘家のようにバルバトスの頭部目掛けて攻撃をする。
だが、
『なっ!?』
「読んでたよ」
三日月は、バルバトスの左腕でその脚部ブレードを掴んで防御。そしてそのまま、レギンレイズ・ジュリアを思いっきり投げ飛ばした。
『なんの!!』
しかしジュリエッタ、投げ飛ばされながらも体勢を立て直し、綺麗に着地。そして着地と同時に、肩に装備しているスラスラー内部のビーム砲でバルバトスを攻撃。その攻撃を三日月は避けながら、1度距離を取る。
『無事か?ジュリエッタ?』
『問題ありません。まだまだいけます』
『そうか。ならいくとしよう』
イオクがジュリエッタと合流し、再びバルバトスに照準をあわせる。そして三日月は、警戒しながら2人を見る。
(油断できないな。元からする気も無かったけど)
眼の前の2人は、間違いなく本日1番の強敵。今日自分が蹴散らしてきた、有象無象の名前すら覚えていない生徒とは違う。油断すれば、こっちがやられるかもしれない。
特にレギンレイズ・ジュリアのあの機動性と運動性は厄介極まりない。元からスレッタ以外に負ける気なんて無いし、油断も慢心もする気は無いが、それでも気を引き締めななければいけない。こうして三日月は一層気を引き締めながら、ジュリエッタとイオクの相手をするのであった。
地球寮 モニター室
「三日月はジュリエッタとイオクの2人、スレッタはラウダ。エランはその他大勢で、そして昭弘とチュチュはサビーナ。今のところの対戦カードはこんな感じね」
ミオリネの眼の前にあるモニタ-では、現在の地球寮の対戦カードが映されている。三日月は少し苦戦しているように見えるが、それ以外のメンバーはあまり苦戦はしていないようだ。
特に昭弘とチュチュは、あのサビーナ相手に善戦している。これは凄い成長だ。三日月とスレッタによる日頃の訓練は、無駄じゃなかったと言えるだろう。
「このままだったら、ランブルリングは勝利で終わりそうだな」
「いやいやヌーノ?油断はダメだよ?まだ誰も勝負はついていないんだし」
「そう言うけどよマルタン。実際皆大丈夫そうじゃねーか。三日月に至っては1人で15機も倒しているし」
「それはまぁ、そうなんだけどさ…」
ヌーノの言う通り、現在地球寮側で不利といえる子がいない。これなら、ランブルリングは全員脱落せず勝利し、そして株式会社ガンダムの名が一層売れそうだ。そうなれば、業績も上がるだろう。
「ま、このまま相手に隠し玉とかなければね。流石にグエルやシャディクの時みたいに、空調やスプリンクラーに細工する事は無いだろうし」
「そうだね。こんな大勢の前でそんな事すれば、それこそ恥だし」
ミオリネの言葉に、アリヤが頷く。ただでさえ今日は、グループ内の大勢の企業の役員が来ているのだ。こんな大勢が見ている場所でそんな真似をすれば、大きな不信感を抱かれてしまう。いくらなんでも、誰もそんな真似はしないだろう。
「ていうか、結局ソフィとノレアはどこ行ったのよ?ニカもまだ戻ってこないし…」
それはそうと、ミオリネは少し気になる事があった。それは、地球寮の新しい編入生であるソフィとノレア、そしてニカの3人が未だに行方知れずな事だ。
「リリッケ。まだ連絡つかないのか?」
「はい。オジェロ先輩。3人共全然です」
「ソフィとノレアはまだしも、ニカはマジでどこ行ったんだよ?あいつ、こういうのサボるような奴じゃないだろうに」
恐らくどっかで道草でも食っているのだろうが、こうも協調性が無いのはどうかと本気で思う。とりあえず、2人が戻ってきたら1度叱って置こう。当然、ニカもだ。
「あ、ラウダの奴がスレッタに肉薄してんぞ」
そんな事を思っていると、モニターにラウダのディランザがエアリアルに大型ヒートアックスによる攻撃をしているのが映る。
「そう。でも大丈夫でしょう。今のスレッタとエアリアルに勝てる奴なんて、三日月くらいしかいないし」
しかしミオリネ、全くスレッタが負けるとは思っていない。だってスレッタは、自分と約束したのだ。自分の誕生日まで、誰にも負けないと。だからミオリネは、自分の婚約者の勝利を信じる。
(このまま勝ったら、何かご褒美でもあげようかしら…スレッタが望むなら、キ、キスくらいならしてもいいし…)
内心、そんなちょっと邪な事を思いながら。
スレッタと追うラウダは、かなり苛立っていた。
『全部お前のせいだ。お前が来てから全ておかしくなったんだ!!』
兄が決闘に負けて行方知れずになったのも、ジェタークの御三家の地位が揺らいでいるのも、全部スレッタと三日月がこの学校にやってきたからだ。あの2人は、ジェターク寮にとってはまさに疫病神。だから倒す。ここでこれまでの恨み辛みを、必ず晴らしてみせる。
「ちょっと申し訳ない気もしますが、こっちも負けたく無いのでやらせていただきます!!」
『水星女ぁぁぁーーーー!!!』
だが、スレッタも負けたくない。ラウダが自分を相当に恨んでいるみたいだが、それでも態と負けてあげる訳にはいかないのだ。
そしてスレッタがラウダのディランザにビームライフルの照準をあわせた時、
ドォォォォン!!!
「え!?」
『なっ!?』
突然、ランブルリングが行われている第9戦術試験区画の地面が爆発した。そして爆発し、崩壊した地面から何かが飛び出してきて、それはラウダのディランザの頭部を瞬時に破壊した。
『なぁぁぁ!?』
頭部を破壊されたディランザは、そのまま地面に倒れこむ。そして土埃が晴れると、そこには見たことの無いモビルスーツが1機いた。
「な、何あれ?」
初めて見るモビルスーツだが、どこか既視感がある。よく見ると、何処と無くエアリアルに似ているのだ。
『やっほー、スレッタ・マーキュリー』
「え?まさか、ソフィさん?」
『そうだよ。ちょっと準備に手間取ったけど、ここからは私も決闘に参加するね』
そしてそのエアリアルに似ているモビルスーツから、ソフィの声が聞こえる。だがソフィは、そんなスレッタから直ぐに視線を外し、三日月とバルバトスの方を見る。
『さぁお兄ちゃん。決闘、やろっか』
そして手にしたビームガトリングを、外壁に向かって乱射した。するとどうだ。本来なら特に問題無い筈の外壁が、破損している。
「こ、これって一体…?」
『邪魔です』
「っ!?」
その時、コックピット内でアラートが鳴る。それは、自分が誰かにロックオンされている時のアラート。スレッタが直ぐにエスカッシャンで防御して事なきを得るが、明らかに威力がおかしい。
攻撃を受けて理解できたが、これは決闘用レギュレーションの威力では無い。どう考えても、実戦使用の威力だ。
「な、何をしてるんですかソフィさんにノレアさん!?」
『何って、開幕の花火って奴だよ』
『ついでにあなたを殺せればいいと思いまして』
悪びれる様子も無く、2人は淡々と話す。そして再び、スレッタに向かって攻撃をしてきた。
「っエアリアル!皆!!」
スレッタは直ぐにその攻撃を防御。
「きゃあ!?」
だがその衝撃で、少し後ろに吹き飛ばされてしまう。
『じゃ、死んで?スレッタ・マーキュリー』
そこにソフィのルブリス・ウルのビームガトリングが雨あられと降り注ぐ。
「くっ!!」
『あ、すっごーい。今の避けれるんだ。流石私らと同じガンダムだね』
その攻撃を、スレッタは大急ぎで回避する。そして再び、エスカッシャンで防御。実戦仕様の攻撃など、まともに当たればエアリアルも無事では済まない。なので必死になって回避と防御を行う。
『おっと』
『てめぇら!スレッタから離れろーー!!』
そこに、今度はチュチュのデミトレーナがビームライフルによる攻撃をしてきた。当然だが、そんな攻撃当たるわけが無い。チュチュとソフィでは、踏んできた場数が違う。これくらいの攻撃、いくらでも避けられる。
『スレッタ!逃げるぞ!!援護する!!』
「あ、ありがとうございます!!」
更に昭弘も、エアリアルの元にやってきて、スレッタを庇うように立ちふさがる。
『アーシアンのくせに、スペーシアンの味方をするなんて…』
そんな昭弘のグレイズ改に、ノレアが攻撃をする。昭弘はアーシアンではあるが、ノレアにとってはスペーシアンを助けている時点で敵なのだ。
だから、殺す。とっとと殺す。泣こうが喚こうが、殺す。
「皆!!」
だがそれも、エアリアルのエスカッシャンで防御。
『す、すまねぇ!助かった!!』
「いいえ!それよりも!」
『ああ。あいつら、本気でこっちを殺す気だ!!』
ここでスレッタも、昭弘もチュチュも、あの2人が遊び半分では無く、本気で殺しにきている事を理解する。
これはマズイ。なんせこちらは、あくまで学園の決闘仕様のレギュレーションプログラムを入れている状態。全く抵抗できない訳では無いが、有効な反撃手段が無い。
(このままだと、殺される…)
その状況を理解したスレッタは、静かに震える。彼女にとって、モビルスーツで殺すか殺されるかの現場なんて生まれて初めてなのだ。怖がってしまうのも、仕方がない。怖い。今直ぐここから逃げたい。
(でも、三日月はこんな怖い状況を体験して、そして生き残ったんだよね…)
だが同時に、三日月の事を思うとこのまま怖がるなんてできない。三日月は恐怖を押し殺しながら、プラント・クエタで戦ったのだ。
そして自分は、彼に業を背負わせてしまった。もしこのまま逃げ続けていたり、自分が殺されそうになったりすると、また三日月が人を殺してしまうかもしれない。
それは、嫌だ。もう三日月に、そんな業を背負ってほしくない。それに、スレッタも約束をした。もう、三日月に守ってもらうばかりじゃなく、自分が三日月を守れるくらい強くなると。
(やるしかない…!いや、やらないとダメだ…!!)
結果スレッタは、とても怖いが覚悟を決める。そもそも別に、相手を殺す必要は無い。ソフィとノレアを、動けなくすればいいだけだ。
例えば、かつてグエルにしたように、エスカッシャンで相手モビルスーツの手足を破壊するとか。だから、戦う。もう三日月に、人殺しという業を背負って欲しくないから。
『スレッタ!!』
「ミオリネさん!?」
そこに、ミオリネから通信が入る。
『兎に角そこから逃げて!!決闘仕様じゃ、実戦仕様に勝てない!!今は兎に角逃げて!!』
「は、はい!!」
それは、撤退を命ずる通信だ。こんな状況では、当然の通信である。
『おいチュチュ!お前も逃げろ!!』
『わぁーってるよ昭弘!!』
昭弘もチュチュも、その通信を聞いて逃げに徹する事にした。
(今は逃げる。でも、隙を見てなんとか反撃してみせる!!)
だがスレッタだけは、なんとか反撃の機会を探しながら逃げる事にしていた。なんせ、相手は2機だけ。これなら、なんとか隙を見つけて反撃する事も可能かもしれない。
『逃げられると思ってる?ノレア、早速あれ使うよ』
『了解。それじゃあ…』
『『パーメットスコア3』』
しかし残念ながら、スレッタのその考えは直ぐに否定される。2人がそう呟くと、2機の背中に装備されているフェーズドアレイキャノンが大きく開き、そして2機が赤く光りだしたのだ。
すると試験区画内で、またいくつかの爆発が起こった。そしてその爆発が起こった場所から、何かが飛び出してきたのだ。
「も、モビルスーツ?」
それは、胸元と額が赤く光っている灰色のモビルスーツであった。その数、10機。
『ぐっ!?やっぱりこの数1度に動かすのは、キツイなぁ…!』
『だね…!でも、作戦を成功させる為の我慢だよソフィ…!』
その間、ソフィとノレアは苦しそうな声をする。
このモビルスーツの名前は、ガンヴォルヴァ。
ウルとソーンが装備する、モビルスーツ型のGUNDビットだ。中に人は乗っていない無人機で、有人機にはできない動きが出来るし、壊れても最後は特攻兵器として扱える。
しかし、これを動かすパイロットへの負荷は半端では無い。1機動かすだけでも苦しいのに、今回はそれあを纏めて10機だ。実際ソフィとノレアは今、脳みそをかき回されているような感覚になってる。今直ぐにやめたいくらいに苦しいが、ここでやめる訳にはいかない。
『今度はこっちもGUNDビットがあるからね。そんじゃ、暴れろ!ガンヴォルヴァ!!』
ソフィがそう言うと、10機内4機のガンヴォルヴァが、スレッタ達を攻撃し始める。因みに残りの6機は、ノレアの周りの回って飛んでいる。
「くっ!?」
『くっそ!増援とかありかよ!!』
『これじゃ、迂闊に逃げ切れねぇ!!』
突然の敵増援による攻撃で、3人はその場に足止めされてしまう。相手の攻撃を避けるので精一杯で、これでは反撃どころでは無い。
『ソフィ。そいつらはそのままにしておいて。本命はこっちじゃないしね』
『了解。じゃーね、スレッタ・マーキュリー。私達はお兄ちゃんのところへ行くから』
「ま、待って…うぐうっ!?」
ソフィとノレアは、スレッタ達への攻撃をガンヴォルヴァに任せて、その場から立ち去る。
(今の発言…まさか、あの2人の目的って…!!)
そしてスレッタは、あの2人が一体なんの目的でこんな破壊活動をしているかを理解してしまった。
(三日月…っ!!)
ならば、一刻も早く行かないと。でなければ、自分の大切な幼馴染が殺されてしまう。
『緊急事態!ランブルリングは中止!ランブルリングは中止!試験区画内にいるモビルスーツは、直ちに避難を!!』
学校全域に、セセリアの焦った声が聞こえる。その放送を聞いた他の参加者が、一斉に逃走を開始した。
『何がどうなってるんだ!?』
『知るか!でもやばそうだし逃げるぞ!!』
状況はよくわからないが、これが普通の出来事で無いことはわかった。ならば、さっさと逃げるとしよう。
『くそ!足が…!』
そんな逃走をしているモビルスーツの中に、1機動きが悪いモビルスーツがいる。ハッシュが乗る、スピナ・ロディだ。
実はここに来るまでの間に、彼は流れ弾を脚部に運悪く受けてしまっていた。おかげで、他と比べるとかなり動いが悪い。
そしてそれは、敵にどうぞ狙ってくださいと言っているようなものなのだ。
『っアラート!?』
そんなハッシュに、ノレアは狙いを定める。当然、狙う箇所はコックピットだ。本来なら決して狙えないのだが、学園のレギュレーションシステムが入っていないルブリス・ウルならそれが出来る。
『スペーシアンは、全員死ね』
『ハッシューーー!!』
『う、うわあぁぁぁl!?』
モニター室で様子を見ていたザックが叫ぶと同時に、ノレアの攻撃がハッシュに放たれる。
『っ!?』
『え?』
だが、その攻撃がハッシュに届く事は無かった。ハッシュのスピナ・ロディの前に、とあるモビルスーツが現れて彼を庇ったからだ。
そして庇ったモビルスーツにビーム攻撃が当たるが、ビームがそのまままるで水を弾くかの如く周囲に散乱する。
『三日月・オーガス…!?』
それは、三日月とバルバトス。バルバトスはナノラミネートアーマーが備わっているので、例え実践仕様でもビームライフルによる攻撃は脅威じゃない。なんせ殆ど完全に無効化出来るのだから。
『あ、ありがとう…』
「邪魔だからさっさと逃げて」
『あ、ああ!わかった!!』
三日月に言われ、ハッシュは直ぐにその場を退散。
『お前…!お前がぁぁ…!!』
そしてノレアは、わかりやすく三日月に対する憎悪を燃やす。プラント・クエタでは、彼のせいで大勢の仲間が殺されたのだ。ここで皆の仇を討たないと、気がすまない。
『死ね!三日月・オーガス!!』
ノレアは早速攻撃を開始。だが、三日月はそれらの攻撃を難なく回避する。宇宙と違って機動力が落ちている筈なのに、ここでもバルバトスの機動力と運動性能は抜群だ。そもそもこちらの攻撃が当たっても、大したダメージにならないし。
『ちょっとノレア!言ったじゃん!1人でやらないでって!』
『っわかってる!でも、あいつだけは殺さないと気がすまないの!!』
『それはわかるけど、ならちゃんと作戦通りにやってよ!』
そこに、ソフィがノレアと合流。更に、6機のガンヴォルヴァも合流した。そしてソフィが合流したことで冷静になったのか、ノレアは攻撃を止める。
『さてと。お兄ちゃん、約束通り、今から決闘してよね?』
ソフィは、まるで日常会話でもするかのように、三日月に話しかける。
『暴れろ!ガンヴォルヴァ!!』
そして、周囲に飛んでいるガンヴォルヴァと呼ばれるモビルスーツに、攻撃命令を出した。6機のガンヴォルヴァ、そしてソフィのノレアのウルとソーンは、三日月のバルバトスに集中砲火をする。
「しっ!」
その攻撃を三日月は、何と前に進みながら避けた。もう少し詳しく言うと、弾幕の間をすり抜けながら近づいてきたのだ。ビーム攻撃が当たっても大したダメージにはならないのだが、それでもナノラミネートアーマーは少しづつ剥がれていく。なので、可能な限り攻撃は受けない方が良いのだ。
『あ、距離距離』
勿論、バルバトスに近づかれるなんて自殺行為、2人がする訳が無い。直ぐにバルバトスから距離を取り、2機のガンヴォルヴァを盾にするように動かす。
「邪魔」
三日月はそれを、先ずソードメイスで頭部を潰して1機を破壊して、次にテイルブレードで1機を串刺しにし、それをノレアのソーンに投げつけた。
『もうその手は喰らいませんよ』
無論、そう簡単には当たらない。そして投げ飛ばされたガンヴォルヴァは、そのまま地面に落ちて爆発四散した。そしてバルバトスは、重力に従って下に落下していく。
『ほら!後ろががら空きだよ!!』
その最中、ソフィのウルがバルバトスを後ろから攻撃。すかさず三日月はバルバトス動かすが、これは流石に避けられなかった。そのままウルの攻撃が当たってしまう。
しかし、やはり大したダメージにはなっていない。ナノラミネートアーマー様々である。
『あーもう!本当にその装甲卑怯だよねー!それ禁止にしてほしいんだけどー!』
折角バルバトスの背後を取って攻撃できたというのに、正直萎える。まるでゲームでいうチーターを相手しているような感覚だ。あれさえなければ、少しはダメージを与えられた筈なのに。
「……」
『ん?どうかした?お兄ちゃん?』
地上に着地した三日月は、静かにソフィとノレアを見る。
「お前らさっき、スレッタを殺そうとしたよな?」
そして三日月は、冷たい声で2人に尋ねた。
『ん?そうだけど?だって邪魔だしあの子。私と家族になるんだったら、あんなどんくさい子、いらないでしょ?』
「へぇ…」
この時点で、三日月はソフィとノレアを許す事はしないと決める。そもそも昨日、ニカに危害を加えていた時点で、良い心象なんてこれっぽっちも無い。そして先程、2人はスレッタ達も殺そうとしている。
ならば、もう遠慮無く殺そう。
またスレッタやミオリネに怒られ、悲しませてしまうかもしれないが、ここでこの2人を野放しにしておく方が危険だ。だから、殺す。もう2度と、自分達に何もできないように。
『三日月・オーガス!無事ですか!?』
『無事か!?親友!!怪我とかしていないか!?』
「大丈夫だよ」
そこに、ジュリエッタとイオクが三日月に合流。これで戦力差がいくつか埋まった。
『イオク先輩、あれは』
『テロリスト、だろうな。どうやってこの学校に入ってきたのか…』
イオクは冷静にそう言うが、実際は腸が煮えくり返りそうになっている。なんせ、イオクがこの世で1番嫌いな存在であるテロリストだ。できればこのまま、ここで始末したい。
だが怒りに任せて突っ込んでも死ぬだけなので、今はまだ我慢だ。
『三日月!あんた何してんの!?さっさとそこから逃げなさい!!いくらバルバトスでも、あの数相手じゃ無傷とは行かないでしょ!?』
そこに、ミオリネから撤退の通信が入る。
「でもあの2人は、こっちを逃がすつもりは無いみたいだし」
『だからって!』
「ごめんミオリネ。それでも、あいつらはここで倒さないとダメだ」
だが三日月、当然撤退する気は無い。そもそも、ここで背中を見せて逃げ出せば、良い的だ。そうならない為にも、ここで2人は倒す。
『っあんたねぇ!!危険な事はもうしないって約束したでしょうが!!あんたの体にまた何かあったらどうするつもりよ!?』
「…ごめん。通信切るね」
『は?ちょ、ちょっと…!!』
そう言うと三日月は、本当に通信を切った。ミオリネには悪いと思っているし、彼女が自分の身を案じてくれているのもわかっている。それでも、あの2人はここで倒さないとダメなのだ。三日月の勘が、ずっとそう囁いているから。
あと正直、ちょっとうるさくて集中できない。
その事も含めて、倒した後でいくらでも頭を下げて謝罪するとしよう。
「ちょっといい?」
『なんですか?』
「俺があの2機の相手するから、2人は周りの残った4機の相手してもらえる?」
『了解です』
『うむ!任せろ!!』
そんな中、三日月が2人に提案をする。実際三日月、1度ウルとソーンに勝っている。見た感じ、あれからどこか強化されたようには見えない。
ならば、周りに浮いている邪魔者の相手を任せて、自分がさっさと本丸を落とせば終わりだ。
『へぇ、ヤル気なんだ。よかったよかった。これで思う存分に殺し合い出来るね!』
「それで勝てるって思ってるの?前に殺されかけたくせに」
『いいや?多分このまま戦っても、また私達が負けるだろうね』
「は?」
ソフィの返答に、三日月は疑問符を浮かべる。勝ち目が無いのなら、どうしてこんな事をしているのか。そもそも勝ち目が無いと知りながら、戦うのはどういう意味があるのか。
『だ・か・ら、お兄ちゃんにはとっておきの相手を用意したんだ!』
「は?相手?」
『そうそう!お兄ちゃんのモビルスーツに、最も相応しい相手だよ!!』
そんな中、ソフィはとっておきの相手を用意したと言い出す。まさか、まだ援軍がいるというのか。ならばより一層、周りを警戒しながらこの2人を倒さなければ。
『それじゃ、いざお披露目!!』
ソフィがそう言うと同時に、三日月とジュリエッタ、そしてイオクは周囲を警戒する。
瞬間、地面が爆発し、眩い光が天に向かって放たれた。
それは、真っ直ぐに学校の外壁まで行き、そのまま外壁を破壊した。
「は?」
『な、なんですかあれ?ビーム?でもあんなの、まるで戦艦の主砲じゃないですか…』
『が、外壁が…!!』
その瞬間を見ていた3人は、驚きのあまり固まる。同時に、地面から大きな音と地響きがし出す。
『まさか、地震か!?』
『そんな訳ないでしょうイオク先輩!ここはフロント区域、宇宙ですよ!?地震なんてある訳ありません!!』
「これ、何か近づいてきてる…?」
下の方から大きな音がし、それはだんだんこちらに近づいているように聞こえる。
そして遂に、その音の正体が判明した。
「何だ、あれ?」
穴の空いた地面から、何か大きな物が這い出てきたのだ。パッと見、鳥のように見える。くちばしのように鋭利でシャープな顔つき、両肩には大きな羽のようなものがあり、2本の足でしっかりと立っている。
そして何より、デカイ。目測で、30メートル以上はある。こんなに大きいもの、宇宙船以外では見たことが無い。
『なんですか、あれは?』
『あいつらテロリストの、新兵器か?』
初めて見る、未知の兵器らしき物。そのあまりに異様さに、ジュリエッタもイオクも迂闊に近づかず様子を見る。
「ぐっ!?」
その時、突然三日月の頭に大量の情報が流し込まれた。
「何だ…っ?一体…っ?」
初めてバルバトスと阿頼耶識で繋がった時以上の情報量。それがどんどん、三日月の頭に無遠慮に流し込まれて行く。おかげで視界は真っ暗になり、吐き気もヤバイ。
「ああ…そうか…そうなのかバルバトス…あれが、お前の敵なのか…」
そして数秒後、三日月はようやく痛みが引いて視界がクリアになる。今の流し込まれた情報で、あれが何なのかわかったからだ。
それには、いくつもの異名がある。
人類抹殺兵器。
無敵の機械人形。
そして、殺戮の天使。
それはかつて、人類を絶滅寸前まで追い込んだ化物。大昔、それは地球圏で大量に跋扈しており、ひたすらに人類を殺してまわった怪物。
既にこの世から全て駆逐された筈だが、なんの運命か今こうして眼の前にいる。それも、かつての仇敵の前に。
「モビル、アーマー」
『ーーーーーーー!!!』
この日、人類史上最悪の殺戮兵器、モビルアーマーが、およそ300年振りに地球圏に復活したのだった。
天使、再誕。
やっとここまで書けた。書き始めてからここまで、長かったです。ようやく、天使を暴れさせる事が出来る。
次回は天使戦、前哨戦って感じの予定です。それと、どこかおかしな箇所や矛盾している点があったら言ってください。修正いたします。
それでは、またね。
ランブルリングの被害は、
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原作通り割と軽微
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原作以上に被害甚大
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三日月が超頑張って被害無し