それはそれとして、ガンダムの新作発表されましたね。結構楽しみ。
今回、結構2万字あるので長いです。それでは、天使VS悪魔の決闘、決着編です。どうぞ。
学園内 モビルスーツ格納庫
「三日月、大丈夫かな?」
「わかんねーよ。でもまぁ、三日月とバルバトスなら、あのデカイ敵も倒せるだろ」
「だといいんだけど…」
マルタンとオジェロは、たった今格納庫から超大型メイスを持って出撃したチュチュのデミトレーナー改を見送りながら、未だに試験区画にいる三日月達の心配をする。
突然現れた、謎の超大型兵器。その相手を、三日月が行う作戦。正直、もう三日月にそんな危険な真似をしてほしくない。グラスレーとの決闘や、プラント・クエタでの戦い。既に三日月は、十分戦っているのだ。
なのにまた、命の危険がある戦いを三日月は行っている。いくら三日月が強くても、彼はまだ学生で自分達の友達。もう、そんな危険な真似をしてほしくないと願うのは当然だ。出来れば直ぐにでも試験区画から逃げて、あとはフロント管理社にでも任せたい。
「せめて、無事を願おうぜ」
「そうだね。これ以上、僕達に出来る事なんてないし…」
しかし、どういう訳か未だにフロント管理社は出てこない上、三日月達も逃げれない状況。ならばもう、このまま学園最恐である三日月とバルバトスに任せる他無い。あとは、無事を祈るだけだ。
「ひう!?」
その時、格納庫が揺れた。恐らくまた、あの大きなGUNDビットが暴れているのだろう。
「大丈夫か?リリッケ?」
「は、はい…なんとか…」
「そうか。でもまずいと思ったら、直ぐに言うんだぞ?」
アリヤはリリッケを優しく抱きしめながら、落ち着かせる。以前よりマシになったとは言え、未だにリリッケはプラント・クエタでの出来事がトラウマの状態。
こんな状況では、また過呼吸を起こしてパニックになるかもしれない。だから少し過剰に、心配をする。こういうのは、それくらいが丁度いいのだ。
「アリヤ先輩。三日月先輩達、大丈夫ですよね?」
「正直、わからない。でも、三日月なら多分大丈夫さ。なんたってスレッタより強いし、バルバトスは伝説のガンダムフレームだからね」
「そうですね。大丈夫、ですよね」
そしてリリッケは、今は自分より三日月達が心配だった。あんな怖い何かと戦っている。それも、また命の危険がある状態で。もし自分があそこにいたら、多分耐えきれない。そんな三日月達に比べたら、自分のこの恐怖なんて大したことないだろう。
「三日月がアレを倒して無事に帰ってきたら、皆でどこかご飯でも食べにでも行こう」
「いいですね。三日月先輩の事を、しっかりと労いましょう」
アリヤの提案に、リリッケも同意する。自分達と違い、三日月はとても危ない目にあっているのだ。なのでせめて、この戦いが無事に終わったら、三日月を労おう。三日月の好物が出る店とかに、皆で行くとしよう。
「今直ぐチュチュを止めて!!」
そこに、ミオリネが血相を変えた顔でやってきた。
「ど、どうしたんだよミオリネ!?」
「止めろって…お前が行けってゴーサインだしたんじゃないか」
オジェロとヌーノは、突然のミオリネの発言に驚き混乱。ほんの数分前まで、チュチュに提案を苦い顔しながらも了承したいた筈なのに、今は掌を返して止めろと言い出す。こんな事、誰でも混乱するだろう。
「落ちついてミオリネ。一体何があったっていうんだ?」
ティルがミオリネを落ち着かせながら、ミオリネに事情を聞く。
「間違いない…!三日月はチュチュから武器を受け取ったら、またバルバトスのリミッターを解除する気よ!!」
『!?』
そしてミオリネを発言を聞いて、その場にいた地球寮の面々は全員が驚愕した。バルバトスのリミッター解除。これがどれだけ危険で恐ろしい事かを、よく知っているからである。
「いやいやミオリネ!?それはねーだろ!?そもそもバルバトスのリミッターって以前より固くしたってシン・セーから言われたじゃねーか!!なのにまた解除なんてできねーだろ!?」
オジェロの言う通り、以前グラスレーとの決闘でリミッターを解除したバルバトスは、その後シン・セーでルプスレクスに改修された際、リミッターを簡単に解除出来ないようシステム面のプロテクトをかなり強化しているのだ。故にそう簡単に、リミッターを解除出来るとは思えない。
「それならシャディクとの決闘の時もその筈だったでしょ!なのに三日月は、バルバトスのリミッターを解除してる!多分だけど、三日月が任意でリミッターを解除出来る何かがバルバトスにはあるわ!」
言われてみれば、そうだ。そもそもモビルスーツのリミッターというのは、乗っているパイロットが解除できなようになっているのが当たり前。普通はモビルスーツをハンガーに戻して、相応の道具などを使用して
解除するもの。戦いながら解除なんて、出来る訳がない。
もし出来るとすれば、それはそもそも自分達が知らない何かがある場合だろう。
「で、でもよ!三日月だってもう自分を犠牲にするような無茶な真似はしないって約束したし!またそんな危険な真似をする訳無いんじゃないのか!?」
しかしそんなミオリネに、オジェロが反論。確かに、ミオリネの言う事も一理ある。しかし、三日月はグラスレーとの決闘後に、スレッタやミオリネと約束をしている。
もう2度と、自分の命を粗末に扱うような真似はしないと。
なのにまたリミッターを解除するなんて無茶な真似、するとはあまり思えない。だってリミッターを解除するという事は、また三日月の体のどこかがダメになるかもしれないのだから。
「じゃあ聞くけど、他にあの大きなGUNDビットを倒せる方法は何!?」
「え、えっと…」
「エアリアルの攻撃も、バルバトスの攻撃も致命打になりえてない!あるとすれば、今あの場にいるモビルスーツのシステムを実戦用に変更するか、今のバルバトスが限界を超える事くらいでしょ!!」
しかし、現状ソフィとノレアを倒せる方法が他に無い。そして三日月は、やると決めたら最後までやる子であり、自分が仲間だと信用した子らは守る子だとミオリネは知っている。でなければ、グラスレーやプラント・クエタであんな事はしない。そんな三日月だから、皆の命の危機が迫っている今、また無茶をする可能性が非常に高い。
「あの子はやる!絶対にまたやるわ!!いくらソフィ達を倒せるとしても、あの子がまた犠牲になるだなんて、私は認めない!!そんなの勝利でもなんでも無い!!だから今直ぐチュチュに連絡入れて!!あの武器を渡さないでって!!」
このまま誰も死なずにソフィ達を撃退できても、三日月の体がダメになったら意味なんてない。ミオリネは、そんな犠牲ありの勝利なんて望まない。だから止める。そして何か別の方法で、ソフィ達を撃退するとしよう。
「わ、わかった!!」
ミオリネのあまりの剣幕に、オジェロは直ぐチュチュに連絡を入れる。普段お気楽な彼も、三日月に犠牲になってほしくないと思っているからだ。
しかし、少し遅かった。
『受け取れーー!三日月ーー!!』
「チュチュ!だめー!!」
試験区画では、既にチュチュのデミトレーナー改から超大型メイスを受け取ったバルバトスがいる。これはマズイ。直ぐに三日月に通信でリミッター解除だけはするなと言いたいが、三日月は先ほどその通信機能を切っている。これでは通信が出来ない。
「なんだこれ!?」
「どうしたのティル!?」
更に悪い知らせは続く。
「バルバトスのリミッターが、勝手に解除されていく…!!」
「!?」
ミオリネの懸念した通り、バルバトスのリミッターが外されていったのだ。これはマズイ。非常にマズイ。今直ぐ三日月とバルバトスを止めなければ、グラスレー戦の二の舞だ。
「それだけじゃない!!バルバトスのシステムが、実戦使用に変更されていってる!!どうなってるんだこれ!?」
『はぁ!?』
おまけに、何故かバルバトスの戦闘システムが実戦しように勝手に変更されている。ここまでくると、バルバトスにはシステム面の安全装置が備わっていないのではと思えてくる。
でも今はそんなの、後で良い。今重要なのは、このままでは三日月がまた大変な事になるという事。
「やめなさい!三日月ーーー!!」
ミオリネはインカム越しに三日月に必死に言うが、その言葉が三日月に届く事はなかった。
第9戦術試験区画
『『っ!?』』
最初にソフィとノレアが感じたのは、怖気だった。突然バルバトスが、プラント・クエタで見たあの大きなメイスを手に取ったかと思えば、そのバルバトスの目が真っ赤に光り、と雰囲気が明らかに変わった。
まるでプラント・クエタの時のように、こちらを確実に殺すという強い殺意をひしひしと感じる。
『あ、あははは!いいねいいねその殺意!!それだよそれ!!』
少し後ずさりしたノレアと違い、ソフィは嬉しそうに歓声をあげる。
これだ。プラント・クエタで感じ、ソフィが求めていた殺意はまさにこれだ。あの時よりずっと鋭く大きい殺意だが、ソフィはこの殺意に、本気でときめいたのだ。
最高だ。本当に最高だ。だからこそ、三日月には是非家族になってもらう。だってこの殺意は、自分に本気になってくれている何よりの証拠なのだから。そんな人とこそ、ソフィは家族になりたい。
「いっつ…」
一方で三日月。彼はグラスレー戦の時と同じように、いや、それ以上に血を流していた。全開と同じように、鼻や右目からは涙のように血を流し続けているのだが、それが全く止まらない。今も絶え間なく、血を流し続けている。
そして以前のように、血まみれで前が見えなくなると思い、ヘルメットのバイザーは上に上げている。おかげで、コックピット内に血が滴り落ちていく。
(実戦仕様だと、頭に入ってくる情報も多いな…)
理由は単純で、阿頼耶識システムを通じて入ってくる情報量が、これまでの比じゃないからである。リミッターを解除し、バルバトスとより深く繋がったおかげで、何時も以上に情報が流れてくる。
おまけにバルバトス今、初の実戦仕様に変わった。プラント・クエタの時でさえ、実戦仕様では無かったが、今は違う。それも相まって、バルバトスから大量の情報が、洪水のように三日月の頭に流れてくいるのだ。おかげで血は止まらないし、頭も痛い。
(約束、破っちゃったな…)
それと同時に、少し罪悪感も感じていた。スレッタとミオリネ、そして地球寮の皆との約束。それを自分は今、破っている。でも今ここで無茶をしなければ、大勢が殺されてしまう。
それは絶対に嫌だ。だって皆、この学校に来て出来た、大切な仲間なのだから。だから三日月は、約束を破る。皆を、守る為に。
「じゃあ、行くぞ。バルバトス」
そして三日月は操縦桿を強く握り、眼の前にいる脅威であるモビルアーマーと、ソフィとノレアの撃破に動き出す。
先ずは単純に、距離を詰めた。背中のスラスターを思いっきり吹かして、三日月はモビルアーマーに接近。
『っ近づかないでください!!』
そんな三日月に、ノレアは攻撃を開始。
「もう当たらないよ」
しかし、リミッターを解除したバルバトスに、そんな攻撃が当たるわけも無い。三日月はバルバトスを自分の体のように動かして、ノレアの攻撃を回避していく。
『くそ!ソフィ!!』
『了解!!』
そんなバルバトスに、今度はソフィのウルと、彼女が操るモビルアーマーのビーム攻撃が降り注ぐ。普通ならば、このような雨のような攻撃を避けるなんて不可能だ。
しかし、今のバルバトスは普通じゃない。かつてプラント・クエタで戦った時以上に、動けるのだから。
『なっ!?』
『うっそ!?』
バルバトスがビーム攻撃を、地面を滑りながら掠る事も無く避けていく様子を見て、流石に驚愕する2人。
早すぎる。いくらなんでも、早すぎる。それに、まるで人間のように柔軟な動きをしている。あんな動き、普通なら乗っているパイロットが失神するか、モビルスーツの関節部分が破損する筈だ。
しかし三日月とバルバトスに、そうなる様子はまるで無い。一体どういう事なのだろうか。
『なら!!』
けれど、そんな疑問は後回しでいい。今は兎にも角にも、バルバトスを倒すのが先だ。そしてビームによる点の攻撃がダメならば、避けられないであろう面や線の攻撃をすればいい。ソフィはハシュマルの尻尾である超硬ワイヤブレードを動かすと、破壊されたガンヴォルヴァに突き刺す。そしてそれを、バルバトス目掛けて投げつけたのだ。
「ふっ!」
『嘘っ!?』
しかしなんと、バルバトスは投げつけられたガンヴォルヴァを、超大型メイスで文字通り木っ端微塵に粉砕した。その様子に、ソフィも流石に驚く。プラント・クエタで見た時以上のパワーだ。
もしもあんなパワーで、そしてあの超大型メイスで殴られたら、いくらガンダムと言えど原型を保つ事は出来ないだろう。というか、モビルアーマーであるハシュマルでさえ、無傷とはいかない。
(これは、ちょっとマズイかも?)
予想を遥かに上回るバルバトスに、ソフィも焦りが見える。三日月は殺さないでいるつもりだったが、これはもう手加減出来そうにない。
『だったらさ、もう出し惜しみなしでやるしかないよねぇ!!』
なのでソフィは、残り3発と撃てる回数が少ないハシュマルのビーム砲を使う。更にそこに、ウルとソーンによる攻撃だ。これを避けるなんて、出来るわけが無い。
『なっ!?』
『これも避けますか!?』
しかしバルバトスは、その攻撃も避けていく。極太とも言えるハシュマルのビーム攻撃を避け、ウルとソーンの手数によるビーム攻撃も全部回避。そのありえない様子に、ソフィとノレアは冷や汗を流す。
『援護します!イオク先輩!まだ動けるのなら援護射撃を!私は側面から攻撃をしますので!』
『りょ、了解だ!!』
そうしていると、ジュリエッタとイオクの2人がハシュマルに対して攻撃をしようとする。今三日月が敵の注目を集め、敵が明らかに動揺しているこの状況なら、こちらの援護のひとつやふたつで、ソフィとノレアを倒せる可能性が高い。そう考えるのは当然だ。
『わ、私も援護します!!』
『あーしもやるぜ!おいハッシュ!てめぇはそこで昭弘を守ってやってくれ!!』
『う、うっす!了解です!チュチュさん!!』
『くっそ!何もできねぇのが情けねぇ…!!』
更にスレッタ達地球寮も、三日月の援護をすると言い出してきた。
実はスレッタ達、つい今しがたミオリネから通信を受けていた。
ーーーーー
『スレッタ!チュチュ!聞こえる!?』
『ミオリネさん!?どうしましたか!?』
『今直ぐ三日月を止めて!!』
『え?な、何で?』
『あの子、シャディクと戦った時と同じように、今バルバトスのリミッターを解除してる!!』
『……え?』
『このまま戦い続けると、三日月の体にまた何か起こるかもしれない!!だから三日月を止めて!!それが出来そうになかったら、1秒でも早くこんな戦いを終わらせて!!』
『は、はい!!わかりました!!』
『チュチュ!あんたもよ!!援護でも何でもして!!』
『お、おう!わかった!!』
ーーーーー
この通信でスレッタ達は、三日月がバルバトスのリミッターを解除している事を知った。そんな状態で戦っていれば、また三日月の体がダメになるかもしれない。
そんなのは嫌だ。絶対に嫌だ。だからミオリネに言われた通り、三日月を援護してこの戦いを1秒でも早く終わらせる。
そして戦いが終わったら、直ぐに三日月を病院に連れて行こう。
『では、私の合図で!』
「いらない」
『え?』
「多分、邪魔になるから」
しかし、ジュリエッタが援護攻撃の合図をしようとした時、三日月はその援護攻撃を拒否した。理由は単純で、邪魔になると判断し。
そして間違って殺してしまうわないようにという、三日月なりの配慮でもあった。
現在三日月は、ソフィとノレアを本気で殺す気で動いている。あの2人相手に、手を抜く事は出来ない。だからこそ集中して、2人を殺さないといけないのだが、そこに外部から攻撃がくれば、それが敵か味方のどっちによるものかの判断をしないといけない。その判断している僅かな時間が、命取りになるかもしれない。
なので三日月は、自分の視界に入る攻撃は全部自分に向かってくる攻撃だと判断するため、援護を拒否したのだ。そうする事で、この戦いに集中できるから。だからこそ、援護はいらない。
「よし、入った」
そして三日月は、遂にハシュマルの懐に入り、ハシュマルの左足目掛け、超大型メイスを力いっぱい薙ぎ払うように振るった。
大きな衝撃音が、当たりに響く。そしてその凄まじい音と共に、ハシュマルはバランスを崩しそうになる。だが直ぐにバランスを取ると、その場で今度はバルバトスに足による攻撃を行った。もう少し詳しく言うと、バルバトスを踏みつけるようにしたのだ。
並のモビルスーツなら、このまま踏み潰されて終わりだろう。しかしバルバトスは、その攻撃を超大型メイスで防御しながら受けると、そのままハシュマルを押し返した。
『えぇ…マジ?』
『まさか…どれだけパワーがあると思ってるんですか…?』
いくら現在技術で復活したせいで元よりはパワーが落ちているとはいえ、モビルアーマーであるハシュマルはかなりのパワーを持っている。そのハシュマルが、まさかバルバトス相手に力負けするとも思っておらず、本気でビビる2人。
その間に三日月は、バルバトスのスラスターを吹かし、ハシュマルの頭上へと飛ぶ。そして超大型メイスを思いっきり振り上げて、ハシュマルの頭部目掛けて振り下ろしたのだ。
『やらせないって!!』
しかしこの攻撃は、六角形の防御型GUNDビットにより防御される。だがこれはあくまでビームによる攻撃を防御するGUNDビット。現在バルバトスが手にしている質量の塊みたいな武器を防御するようには、作られてない。
おかげで防御型GUNDビットは、そのままあっけなく破壊されてしまう。これでハシュマルの防御力は、かなり落ちてしまった。
『今なら!!』
けれど、これはチャンスだ。今ならバルバトスは禄に攻撃を避けられない筈。そう思ったソフィは、ハシュマルの超硬ワイワーブレードを動かして、バルバトスの頭を狙い攻撃をする。
『なっ!?』
だがその攻撃が、バルバトスに命中する事はなかった。むしろバルバトスは、超硬ワイヤーブレードを掴んで、地上に着地すると同時に力の限り引っぱりだしたのだ。
もしこれが、300年前の厄祭戦当時のハシュマルであれば、このままバルバトスを投げる事も出来ただろう。しかし今ここにいるハシュマルは、現代技術で復活した模造品とも言えるハシュマル。当たり前だが、ほぼ厄祭戦当時の技術を身に宿したバルバトス相手に、力で勝てないのだ。その結果、ハシュマルは頭から地面に倒れてしまったのである。
「これで、終わりだ」
そこに三日月が、超大型メイスによる攻撃をハシュマルの頭部に行う。だが片手で攻撃したせいか、少しだパワー不足にようだ。おかげでハシュマルの頭部にダメージを与える事は出来たが、頭部を破壊するまでには至っていない。
「ちっ!だったらもう1回!」
三日月は今度こそハシュマルを破壊するべく、その場で大きく超大型メイスを、バルバトスの両手でしっかりと持って振り上げる。
『やらせないよ!!』
だが振り下ろそうとした瞬間、ソフィがハシュマルのビーム攻撃を至近距離で行う。この距離なら、バルバトスも避けれない筈だ。
『ええ!?お兄ちゃんこれも避けるの!?』
しかし、その至近距離により攻撃でさえ、バルバトスは回避する。だが流石に危険と三日月は感じたのか、ハシュマルから少し距離を取る。その間に、ハシュマルを再び立ち上がらせる事に成功。これでまた、攻撃が可能だ。
『ビームは避けられるみたいだし、こっからは尻尾による攻撃に変更!!』
これまでの戦いで、バルバトスにビーム攻撃はほぼ意味が無いと理解。ここからは、物理攻撃に切り替えよう。そう思ったソフィは、ハシュマルの超硬ワイヤーブレードによる攻撃をバルバトスに実施。
「何度も何度も同じ手を…!」
しかしその超硬ワイヤーブレードによる攻撃を、バルバトスは背中のテイルブレードで相殺。何度攻撃をしても、その全てをバルバトスは防ぐ。でもこれで、バルバトスはこっちに釘付けだ。その間に、ソフィとノレアはガンダムによる攻撃をバルバトスに向ける。
『三日月!!』
だが2人が攻撃をするその前に、スレッタが横から攻撃をしてきた。三日月には援護は不要と言われてしまったが、それでも大切な幼馴染が危険な真似をしてまで戦っているこの状況で、何もしないという選択肢はスレッタには無かったのである。
『っ全然効いてない!?』
しかし、エアリアルの攻撃はハシュマルに当たっても、大したダメージにはなっていない。エアリアルが現在決闘仕様になっているのと、単純にハシュマルが硬すぎるせいだ。
『ちょっと!邪魔しないでよね!!』
折角三日月と戦っているのに、水を刺されれ普通に頭に来るソフィ。なのでこのまま、スレッタを排除する事にした。バルバトスに超硬ワイヤーブレードで攻撃をしながら、ハシュマルは頭部のビーム砲をエアリアルに向ける。
更にそこに、ノレアのソーンに攻撃がエアリアルに降り注ぐ。スレッタはエスカッションを使い直ぐに防御。しかしこれで、素早い身動きが出来ない。
『じゃ、ばいばい』
『しまっ!?』
ハシュマル最後のビーム攻撃が自分に来ると思っていなかったスレッタは、初動が送れてしまった。これでは、直撃してしまう。
「やらせるかって!」
だが攻撃する寸前で、三日月のバルバトスが超大型メイスをハシュマルの頭部目掛けて投げつけた。それは見事命中し、ハシュマルは頭部から火を吹く。
おかげで狙いがズレて、ビーム攻撃はエアリアルから大きく外れて学園の外壁を直撃。再び外壁に穴が空いたが、あれなら多分なんとかなるだろう。
『あああもう!流石にしつこすぎるよお兄ちゃん!?』
ソフィは再び標的をバルバトスに絞る。そして超硬ワイヤーブレードにガンヴォルヴァの残骸を刺して、それをバルバトスに投げつける。その残骸を、バルバトスは右手のレクスネイルで破壊。
「っ何か挟まった…?」
だが破壊した残骸の一部が、テイルブレードの接続部に挟まってしまった。これでは、テイルブレードが使えない。
『あはは!それじゃこっちの攻撃は防げないね!!』
ソフィもそれを見て、テイルブレードが使えない事を直ぐに理解。そしてハシュマルを操作し、超硬ワイヤーブレードで攻撃を再開する。
「防げないなら、避ければ良い…!」
しかしその攻撃を、バルバトスは全て避けていく。その姿は、まるで反復横跳びのように見えるが、速さが異常だ。
『なんですか、何なんですかその動き…!!』
『これは、ちょっと予想外かも…!』
元々バルバトスは、尤も警戒しているモビルスーツであった。なんせプラント・クエタでは、バルバトスただ1機によって大勢の仲間が殺されたのだ。
だからこうしてかつての仇敵であるモビルアーマーまで用意して戦いに望んでいるというのに、未だにバルバトスは健在。それどころか、まだ誰も殺せていない。まるで悪夢だ。一体自分達は、何と戦っているのだろう。
しかしとうとう、一矢報いる瞬間が来た。
「っ!?」
『よし!掠った!!』
ハシュマルの超硬ワイヤーブレードが、バルバトスの肩を掠めたのだ。おかげでバルバトスに初めて、傷らしい傷がついた。といっても、こんなのは文字通りの掠り傷だが。
『三日月!!』
「大丈夫」
三日月は優しい声でそう言うが、スレッタは心配でたまらなかった。
(三日月が、三日月がまた凄い無茶をしてる…!なんとかしないと…!)
自分の大切な幼馴染が、また無茶をしている。今だって1歩間違えていれば、ハシュマルの超硬ワイヤーブレードで貫かれて死んでいたかもしれない。
だからスレッタは、三日月の言葉を無視して先ほど援護してみたが、逆に三日月の足を引っ張ってしまった。そして三日月は、今また殺されかけている。
『エアリアル!!皆!!』
やはり、このままではダメだ。今直ぐあのモビルアーマーを破壊して、三日月の戦いを終わらせなければ。そのために、今度はもっと大きい攻撃で援護をしよう。そう思ったスレッタは、エアリアルのエスカッションを動かして、ビームライフルと合体させたガンビットライフル形態をハシュマルに向けて構える。
『何をする気ですか!?スレッタ・マーキュリー!!』
『え、援護です!少しでもエアリアルで援護すれば、三日月だって!』
『ダメです!今私達が攻撃をすれば、彼の邪魔になる!!』
しかし、それはジュリエッタに止められてしまう。なんせ今三日月は、ハシュマルの攻撃を動き回りながら回避している。よほどの射撃の名手でも無い限り、こんな状況でこっちから攻撃をしたら、バルバトスに当たってしまうかもしれない。
『ちゅ、チュチュさん!!』
『無理だスレッタ!いくらあーしでも、あんなに激しくバルバトスが動いていたら、正確には狙えねぇ!!』
『あー、スレッタ・マーキュリー。悪いけど、僕も無理だね。下手に打つと、三日月・オーガスに当たるだろうし』
『すまん!私も不可能だ!くっ!友が戦っているのに、なんと情けない!!』
狙撃特化型のデミトレーナー改に乗っているチュチュにお願いしてみるが、やはり難しいとの事。それは、ファラクトに乗っているエランや、レギンレイズに乗っているイオクも一緒。つまり現状、自分達は見ていることしか出来ない状況だ。
(なんで、なんで私は、こんなに弱いんだろ…)
悔しい。悔しくて悔しくて堪らない。どうして自分は、ここで三日月と一緒に戦うことが出来ないのだろうか。エアリアルも改修され、自分も訓練やシミュレーションを沢山やって強くなった筈だった。だからこそ、スレッタは未だにホルダーを維持している。
でも、三日月とバルバトスには全く及んでいない。自分は学園最強のホルダーだというのに、強さは三日月とバルバトスが未だに上。
現在も、三日月の援護ひとつまともに出来ない。三日月はあんなに無茶をしているというのに、自分は何も出来ない。このままでは、三日月がまた犠牲になってしまう。なんとかしないといけないのに、何も出来ない。
(何が、ホルダーだろ…)
スレッタは操縦桿を強く握りしめながら、悔しくて泣きそうになりそうになる。自分自身を、何にも出来ないハリボテのホルダーと揶揄しながら。
スレッタが自己嫌悪に陥っている時、三日月はバルバトスで再びハシュマルに近づこうとしていた。超大型メイスは無いが、バルバトスにはレクスメイルという爪がある。これでハシュマルを、破壊できるだろう。
そう思った三日月は、ハシュマルの超硬ワイヤーブレードの攻撃をバルバトスで殴り返しながらハシュマルに近づいていく。
「使ってやるからもっと寄こせ!こんな物かよ?お前の力はさぁ…!!」
三日月の言葉に応えるように、バルバトスは更に速度を上げる。そしてハシュマルに取りつき、右肩の装甲を力づくで剥がそうとした。おかげでハシュマルの装甲が剥がれ、中の機械が晒される。オイルが血のように、周りに飛び散っていく。
目を真っ赤に光らせて、天使を惨殺するその姿は、まさに悪魔そのものであった。
『悪魔…』
その姿に、ノレアは恐怖する。あれは、自分達が乗っているものと同じモビルスーツの筈だ。いくら伝説とか言われていても、モビルスーツである事に変わりは無い。なのに、バルバトスはまるでソーンやウルとは違う別の何かに見える。本当に、あれはモビルスーツなのだろうか。
『あれが、厄祭戦を終わらせたガンダム…すっごい…』
一方で、ソフィはうっとりとしていた。あんなに凄いガンダム、見たこと無い。プラント・クエタの時以上の、計り知れない力。あの力があれば、一体どれだけ大勢の人間を殺せるのだろうか。
『いいなぁ…あれ』
ソフィは今、三日月とバルバトスの両方が欲しいと思うようになっていた。自分も三日月みたいに、あのガンダムに乗ってみたい。どうにかして乗れる事が出来ないか、ソフィは思案する。
『それはそうと、折角手に入れた大切なおもちゃなんだから、その子をそれ以上壊すのは認めないよお兄ちゃん!!』
だがこのまま黙って見ているなんて出来ない。ソフィは超硬ワイヤーブレードを動かして、背後からバルバトスを破壊しようとした。
「っ!?」
しかしその背後からの攻撃も、避けられてしまう。そしてバルバトスは、超硬ワイヤーブレードをハシュマルの背中で足で踏みつけ動かなくすると、そのまま右手のレクスメイルをハシュマルの右肩に突き刺す。おかげでハシュマルは、右肩から火花と火を吹き出していく。これでかなりのダメージになった筈だ。
「?」
このまま攻撃を続けようとした三日月だったが、突然右腕に変な感触があった。なんというか、一瞬だけ右腕そのものが無くなったみたいに感じたのだ。
「何だ今のっ!?」
その一瞬に隙を、ソフィは見逃さなかった。ウルでバルバトスんび突貫し、バルバトスをハシュマルから蹴り落としたのである。これでバルバトスから距離を取れたが、もうハシュマルはボロボロだ。時間をかけすぎたせいで、時期にフロント管理社もやってくるだろう。
『ソフィ、もうダメだ。逃げよう』
『やだ』
『我儘言わないで。このままじゃ、フロント管理社がやってきて捕まるよ?スペシーシアンを誰も殺せていないのは悔しいけど、捕まったらそれで終わりなんだから』
『やだ』
『だからやだじゃないって』
状況は最悪に近い。バルバトスは強すぎるし、エアリアルも他のモビルスーツも健在。昭弘のグレイズ改と、イオクのレギンレイズは破壊できたが、それでもパイロット本人は無事だ。ハシュマルもボロボロだし、ウルとソーンだってもうあまり弾薬とエネルギーが無い。
そしてたった今、バルバトスが土埃の中から再び立ち上がってきた。しかも先ほどソフィのウルに蹴り飛ばされた衝撃で、背中に挟まっていた破片が取れて、テイルブレードが仕様可能になっている。ああなったら、もう勝てないだろう。
はっきり言って、今回の作戦は失敗である。ならば、捕まる前にさっさと逃げよう。そして再起を図り、今度こそスペシーシアンとバルバトスを殺そう。
『あるじゃん。あの陰気な人から使うなって言われてた、最後の手段がさ』
『は?』
しかしソフィは、それでもここから逃げようとはしない。それどころか、まだ戦おうとしている。しかし、最後の手段とはなんだろうか。ノレアは首を傾げる。
『…まさか!ソフィ!ダメ!!』
そしてその最後の手段が何かわかった瞬間、ソフィを静止させる。だが、一歩遅かった。
『ハシュマル・リメインズ。リミッター解除…!!』
ソフィは最後の手段である、ハシュマルのリミッターを全解除させたのだった。
『がっ!?あああああああ!?』
『ソフィ!!』
その瞬間、ソフィに大量のパーメットが襲いかかる。この痛み、ガンダムの比では無い。
『痛い!痛い痛い痛い!!』
まるで脳みそを、直接ミキサーでグチャグチャにしているような、体全体を破砕機で粉砕されているような痛みだ。いっそ殺してくれと思うほど、痛くて痛くて仕方がない。
『でもこれなら、お兄ちゃんに勝てる!!』
しかしおかげで、ハシュマルを今まで以上に動かせる。それこそまるで、自分の体のよう。ただしその変わり、今ソフィが乗っているウルはまともに動かせなくなるが、そんな事決闘に勝ちさえできるのならどうでもいい。
『この決闘に勝って…!お兄ちゃんと家族になるんだから…!!』
両目から血を流し、顔からパーメット反応を輝かせながら、ソフィはハシュマルを動かす。するとソフィに応えるように、ハシュマルは俊敏に動き出した。先ず尻尾の超硬ワイヤーブレードを、バルバトスに地を這う蛇のように近づける。
「くうっ!?」
今までなら避ける事が出来る速度の攻撃だったが、それが難しくなっている。なんせ、攻撃の速度が普通じゃない。テイルブレードでなんとか防御してわかったが、威力も明らかに上がっている。
恐らくこれが、ソフィがハシュマルのリミッターを解除したおかげなのだろう。まともに攻撃を喰らえば、バルバトスとて危ない。
『はぁっ!はぁっ!まだまだいくよーー!!』
すると今度は、ハシュマルがバルバトス目掛けて大きくジャンプした。そしてそのまま、バルバトスを踏みつけようとする。だがバルバトス、その攻撃を両腕を十字にクロスさせて受ける。ガンダムフレームの強靭な防御力のおかげで、機体に対したダメージは入っていない。
しかし衝撃を完全に防ぐ事は出来ず、コックピット内のモニターの一部が壊れてしまった。そのモニターの破片が、三日月の顔に当たり、三日月は頬から血を流す。
「あっぶねぇ…なぁ!!」
その危険な攻撃に、三日月は軽くキレる。ぶっちゃけ逆ギレだ。そして両腕でハシュマルを押し返し、左腕でハシュマルの下顎を殴る。人間だったら脳震盪を起こしているだろうが、あいにく相手は機械。そんな事は起きない。
なので三日月は、今度はそのままハシュマルにタックルをかます。更にそこに回し蹴りもした。これでかなりダメージが入った筈だが、やはり決定打にかける。
(やっぱり、武器がいる…)
先ほどスレッタを助ける為に、超大型メイスを投げてしまったので、今のバルバトスはステゴロ状態。これではリミッターを解除して、強くなったハシュマルを破壊する事は難しいかもしれない。
「あ」
三日月が周りを見渡していると、近くに丁度良い武器が落ちていた。三日月はテイルブレードで近くに落ちていたガンヴォルヴァの残骸を刺すと、それをハシュマルに投げつける。
そして投げた瞬間、バルバトスのスラスターを吹かし、動けなくなっていたフェルシーとラウダのディランザに近づいた。
『え!?』
「これ、借りるね」
『あっ…』*1
三日月は有無を言わさず、ディランザの装備である大型ヒートアックスを手に取る。超大型メイスに比べると小さいが、素手よりずっとマシだ。
『三日月!ついでにこれも受け取れ!!』
ハシュマルの攻撃をしようとした時、昭弘の声が聞こえた。声のした方を見ると、そこには持っていたバトルアックスをこちらに投げてくる昭弘のグレイズ改がいた。
三日月は右手の大型ヒートアックスを持ち、左手に昭弘から受け取ったバトルアックスを受け取り、二刀流のようになる。
そしてスラスターを吹かして、ハシュマルに一気に近づいて大型ヒートアックスでハシュマルの頭部を攻撃する。更に左手のバトルアックスでハシュマルの下顎部分を攻撃。
「ちっ!これじゃダメか」
攻撃は当たり、ハシュマルにダメージも入っているが、どうしても威力が少し弱い。これでは仕留めきれない。ハシュマルは、体から火を出しながらも未だに超硬いワイヤーブレードで攻撃をしてくる。
その攻撃をバトルアックスで防御し、借りパクしている大型ヒートアックスとテイルブレードでハシュマルに反撃。ハシュマルの装甲の一部破壊する事は出来たが、仕留めるには至っていない。
やはり、もっと大きい武器がいる。このままでは効果が無いと思った三日月は、ハシュマルから1度距離を取った。
(これで狙うなら、頭じゃなくて足の付け根か、背中のエネルギータンクかな。本当ならあの2人を殺すのが1番早いけど、モビルアーマーが邪魔してきて無理だろうし、そもそもあの2人、俺からあからさまに距離取ってるし)
ハシュマルを操作しているソフィを殺せれば、ハシュマルも動きを止めるだろうが、ソフィとノレアは現在、バルバトスからかなり距離を取っている。あれでは、こちらの攻撃は届かないだろう。だからやはりここは、ハシュマル本体を破壊するしかない。
『三日月!!』
そう思っていた時、スレッタの声が聞こえた。
『今からバルバトスの超大型メイスを投げるから、それを拾って!!そして、勝って!!』
「わかった」
『あと、終わったら絶対に病院行くよ!!』
「うん、わかったよスレッタ」
どうやら、ここにあの超大型が来るらしいとの事。
これは、スレッタなりに考えた作戦である。スレッタは、本音では自分がしっかりと三日月を援護したりして、
この戦いを終わらせたいと思っていた。でも、今の自分では三日月の邪魔になる。下手に援護すると、それが原因で三日月が死んでしまうかもしれない。
そこでスレッタは考えた。だったらせめて、三日月にちゃんとした武器を渡そうと。
今この場で、ハシュマルを破壊できるのは三日月のバルバトスだけ。しかしそのバルバトスは、現在専用の武器が無いのでハシュマルを破壊できていない。
でも逆に言えば、ちゃんとした武器さえあればいいのだ。
そうすれば、バルバトスはちゃんと力を発揮できて、あのモビルアーマーハシュマルを破壊できて、この戦いを終わらせる事が出来るだろう。
スレッタは、チュチュやハッシュと協力し、超大型メイスを回収。なおその間ジュリエッタは、いざという時即座に動けるよう待機している。そして超大型を回収したスレッタは、エアリアルでなんとかそれを持ち上げて、今空中で投げる準備をしている。
因みにこの時、エアリアルがすっごく重そうにしてた。パーメットに頼り切りで、あまり重いものを持ったことが
無かったせいである。でもスレッタに今は我慢して頑張ってと言われ、根性でなんとかしたりしていた。
『三日月!受け取って!!』
そしてスレッタは、エアリアルを操作し、超大型をバルバトスの直ぐ近くに投げる。
『やらせませんよ!!』
そこに、ノレアが超大型メイスに向けて攻撃をしてくる。なんとしてでもバルバトスにあの超大型メイスを受け取らせないようにだ。あれがバルバトスの手に渡れば、いくらリミッターを解除したハシュマルでも、今度こそ破壊されてしまうだろう。
『それは、こっちの台詞です!!』
しかしそのノレアの攻撃は、エアリアルのエスカッシャンで全て防御されてしまう。その隙に、バルバトスは借りパクした大型ヒートアックスと、昭弘から受け取ったバトルアックスを地面に落として、スレッタが投げた超大型メイスを手に取る。
そして超大型メイスを手に取った三日月のバルバトスは、そのまま一気にハシュマルに接近。
『それは、もう受けれないかなぁ!!』
流石にボロボロになったハシュマルに、あの質量の攻撃はマズイと判断したソフィは、超硬ワイヤーブレードを使ってバルバトスを攻撃。
しかしの攻撃を、バルバトスは超大型メイスで何度も防ぎ、打ち返していく。上からの攻撃も、横からの攻撃も、隙を空いた背中からの攻撃も、バルバトスは全て打ち返すか、防御していく。何をしても、もうバルバトスに攻撃が当たらない。
『はっ…!はっ…!ほんとに、強いよね!お兄ちゃんはさぁ!!』
奥の手さえ使っているのに、未だにバルバトスに勝てない。むしろ、追い詰められている。本当に、バルバトスと三日月は規格外だ。ソフィがそんな風に思っている内に、バルバトスはハシュマルに接近し、そのまま力いっぱいハシュマルに超大型メイスを振り下ろした。途端に、ハシュマルの全身にヒビが入り、また体中から火花と火を出す。
「うん。やっぱり、これがいい」
今までと違い、明らかに手応えがあった。やはり、この武器ならハシュマルを完全に破壊できる。マズイと思ったソフィは、ハシュマルをその場で横に1回転させながら、バルバトスに向けて超硬ワイヤーブレードを振るう。まるで回転斬りだ。
だが今までより素早く振っているというのに、バルバトスはそれを簡単に避ける。そして少し距離を取ったバルバトスは、超大型メイスを両手で槍のように構えて、ハシュマルに突撃を開始。
「これなら、殺しきれる」
その攻撃は、そのままハシュマルの喉元を直撃。そして内蔵されていたパイルバンカーを発射し、ハシュマルを貫いたのだ、瞬間、ハシュマルの胴体から大きな火が上がり、ハシュマルの首が地面に落ちる。間違いなく致命傷だ。これでもう、ハシュマルは動けないだろう。
『終わった、の?』
『みてーだな…』
『はは…マジかよ、三日月・オーガス…あんなバケモノを、仕留めやがった…』
『すっげーなあいつ…』
スレッタとチュチュ、ハッシュと昭弘はようやくこの戦いが終わったと思う。ハシュマルは首を落とされたし、ソフィとノレアのガンダムも無傷じゃない。そろそろフロント管理社もやってくるだろうし、これで本当に終わりだろう。
『そこのテロリスト、投降しなさい。もう貴方達に、戦う術は無いでしょう?』
『その通りだ!無駄な抵抗はやめて大人しくしろ!このテロリスト共め!!』
ジュリエッタとイオクも、それを理解したのかソフィとノレアに投降を促す。勝敗は決した。こんな事をしておいて、無罪で済む訳ないだろうが、ここはもう大人しく投降するべきだろう。
だが、勿論2人は投降なんてしない。する理由が無いし、まだ終わっていないからである。
「っ!?」
『三日月!?』
なんと首を落とされ、全身から火を出しているハシュマルが、超硬ワイヤーブレードを三日月のバルバトスに自分ごと巻き付けてきたのだ。
更に両足で、バルバトスを完全に固定させる。流石のバルバトスも、こうなってしまえば簡単には抜け出せない。
『あ、あはは!残念だったね、お兄ちゃん…!まだその子は…なんとかギリギリで動けるよ…!!』
三日月の超大型メイスに攻撃を受けて、もうほぼ破壊されているハシュマルだったが、実は動力部はまだギリギリ生きていたのだ。要するにハシュマルは、最後の最後で九死に一生を得たのである。
無論、ハシュマル事態はもうほぼ死に体。今までのような動きは出来ない。しかし、それでかまわない。だってこれで、三日月には勝てるのだから。
『これで、私の勝ちだねお兄ちゃん!!』
ソフィは最後の力を振り絞り、パーメットレベルを最大まで上げてハシュマルに自爆命令を実施。バルバトスも巻き込まれるだろうが、バルバトスなら耐えられるだろう。
そしてボロボロになったバルバトスと共に三日月を回収して、この学園から去ろう。その後、三日月と家族になろう。きっと、素敵な家族になてくれる筈だ。
『三日月!!』
『三日月・オーガス!!』
スレッタやジュリエッタが、すかさず動き出す。チュチュとイオク、ハッシュや昭弘もビームライフルをソフィとノレアに向ける。とても間に合わないだろうが、それでも動かずにはいられなかった。
しかし、その時である。
『あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?』
突如、ソフィの悲鳴が響きわたったのは。
『ソフィ!?どうしたのソフィ!?』
ノレアが直ぐにソフィを心配するが、ソフィはそれに答える事が出来ない状態にいた。
『な、なにこれ!?パーメットを通じて…!頭に、沢山の情報が入ってくるっ…!?』
今ソフィの頭には、ウルのパーメットを通じて、どこからか大量の情報が入って来ている。いや、ねじ込まれていると言った方が正しい。
ガンダムや、ハシュマルのリミッターを解除した時とは桁違いの情報量だ。まるで、この世の全てを頭に直接叩き込んでいるような異常事態。はっきり言って、最悪で最低な気分である。
『エデン・プロジェクト?メルカバ?メタトロン?なにこれ!?一体なんなの!?』
聞いたことも無い言葉や情報。それが一気に頭に入ってくる。こんなの、人間に耐えられる訳が無い。
結果としてソフィは、両目や両耳、そして口や鼻といった箇所から大量の血を吹き出す。目の焦点は合っておらず、ノレアの声も聞こえない。
『痛い!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?』
いつもなら、この痛みも生きている証拠としているソフィだが、今だけは違う。直ぐにこの痛みから解放されたい。いっそ殺して欲しいと思うくらい、痛くて痛くて堪らない。
『誰かが…!誰かが私の頭に入ってくる!?いや、私の頭を見てる!?』
おまけに得体の知れない何かが、ウルのパーメットを通して、ソフィの頭の中を覗いてくる。なんていう不快感だろう。誰でもいいから、助けてほしい。
『ノ…レア…!お兄…ちゃん…!たす…け…て…!!』
『ソフィ!ソフィ!!』
ソフィの必死の言葉を聞いて、ノレアは直ぐにソーンを動かして、ウルを掴む。そしてそのまま、凄い速さで学園の外壁に空いた穴から、飛び立っていってのだ。
「今なら!!」
ソフィがいなくなった事でハシュマルの制御が失われ、掴まれていた足や超硬ワイヤーブレードが緩む。
その隙に、三日月は直ぐにその場から脱出。
「ぶっとべ」
そして三日月は脱出した直後、ハシュマルに向かって超大型メイスを思いっきり振るう。その攻撃が直撃したハシュマルは、そのまま少し吹き飛び、爆発した。想定していたより、ずっと規模の小さい爆発であったが、巻き込まれていれば無傷とはいかなかっただろう。
「終わった、でいいのかな?」
ハシュマルは破壊され、ソフィとノレアも逃げて行った。現在、自分達の命を脅かす存在はいない。とりあえず、これで終わりと見ていいだろう。
『三日月!!』
三日月がそう思っていると、スレッタが凄く心配そうにしてエアリアルでやってきた。
『三日月大丈夫!?どこか痛いところとか無い!?』
「うん、大丈夫だよスレッタ。また血は出てるけど、別に痛く無いし、意識もはっきりしているよ」
『いや血が出てるのに痛みが無いってかなり危険だよ!?』
スレッタの言う通りで、それは痛覚が無い事になる。そんなの、危険でしかない。一刻も早く、三日月を病院に連れていくべきだろう。
『兎に角、ソフィさん達はもういないんだし、今直ぐにバルバトスを格納庫に連れていくよ!そして三日月は直ぐに病院だからね!!』
「わかってるよ、あと、約束破ってごめん」
『それは後!今は直ぐに病院だよ!』
三日月が約束を破った事に色々と言いたい事はあるが、そんな事は後回しでいい。今は、バルバトスのリミッターを解除して戦った三日月の方が大事だ。病院へ行って、問題が無かったらミオリネと一緒に説教をしよう。
『ふむ、先ずは怪我人を優先するべきだろう。おいジェターク寮の2人!やってくるであろう救助隊には、先ずお前たちから救助させるが良い!』
『あ、ありがと…』
『気にするな!』
『イオク先輩も救助されてくださいよ?無傷じゃないでしょ?』
『少し頭を切っただけだ。こんなの、ほぼ無傷と変わらん』
突然のテロリストの襲撃。滅びたはずのモビルアーマーの出現。それらの戦闘が、今終わった。その事を周りも理解し、徐々に今後について動き始める。イオクは救助要請をし、フェルシーはその場で大人しく待つ。そしてジュリエッタは、レギンレイス・ジュリアの武装をしまい戦闘状態を解く。
『俺、何も出来なかったな…』
『気にしすぎだ昭弘。あーしだって、碌なことできてねーし』
『チュチュは三日月に武器を届けただろ』
『あーしだけの力じゃねーよ。そこにいるハッシュや、援護射撃という名の囮になってくれたスペシーシアンのおかげだ』
『あの、チュチュさんは怪我とか無いですか?』
『何もねーよ。あと、手伝ってくれてありがとな、ハッシュ』
『いえ、俺なんて、これくらいしか出来ませんでしたから…』
『謙遜すんな。お前がいなかったら、三日月に武器を渡せなかったかもしれなんだぞ。もう少し胸貼れ』
『…うっす。ありがとうございます』
『ふ、お前がスペシーシアンにそんな事を言うなんてな』
『前も言ったけど、あーしだってちゃんと助けてもらえれば、スペシーシアン相手でも礼のひとつくらい言うさ』
昭弘は何も出来なかった事に落ち込み、チュチュは手伝ってくれたハッシュにお礼を言う。嵐が過ぎ去った後のような、平穏な時間だ。
なんせ三日月の頑張りにより、ソフィとノレアによる犠牲者はいないのである。これは本当に、素晴らしいことだ。後はこのまま、全員然るべき機関で治療を受けて、学園設備を修理すれば、またいつもの生活が戻ってくるだろう。
誰もが、その時まではそう思っていた。
「あれ?」
『三日月?』
三日月がバルバトスを格納庫に向けて動かそうとした時、突然眼の前が真っ暗になったのだ。覚えがある。これは、以前グラスレーとの決闘を戦い終えた時と同じ感覚だ。
「あぁ…また、この感覚か…」
そして三日月は、そのまま意識を完全に失ったのであった。
『三日月!!三日月!!』
『おい三日月!返事しろ!!』
『マルタン俺だ!今直ぐ医療班を呼んでくれ!!』
スレッタとチュチュが、三日月に声をかける。その間に、昭弘がマルタンに医療班を呼ぶよう連絡。
『ジュリエッタ!ここでは親友の救助が難しいかもしれん!お前のレギンレイス・ジュリアで、親友のモビルスーツを地球寮の格納庫まで運んでやってくれ!その方が安全だ!!』
『了解しました!そこでぼーっとしているエラン・ケレス!あとえーっと、あなた!手伝ってください!』
『はいはい、了解だよ』
『は、はい!了解です!』
イオクはジュリエッタに、三日月とバルバトスを地球寮の格納庫まで運ぶよう命令。なんせここ、第9戦術試験区画は、先程の戦闘のおかげで、未だにそこら中に破片などが落ちている。これでは、救助隊もうかつに近づけない。
それに三日月に破壊したモビルアーマーも、何かが原因でまた動き出すかもわからない状況。故に今、ここで救助活動をするのは危険だ。そう判断したイオクは、ここでバルバトスから三日月を下ろすより、設備の整った格納庫で三日月を下ろした方が良いと思い、そんな命令を下したのだ。
その後、ジュリエッタのレギンレイス・ジュリアと、エランのファラクト、そしてハッシュのスピナ・ロディによって、三日月とバルバトスは地球寮のモビルスーツ格納庫まで運ばれる。その間にミオリネは格納庫で準備を整えて、いつでも三日月を助けだせるようにしておいた。そしてスレッタは、ずっと三日月に声をかけ続けていた。
こうして、学園で再現された天使と悪魔と戦いは、学園設備が壊された以外には、犠牲者無し、意識不明1名という結果に終わり、幕を閉じのであった。
少し補足説明。
この時のバルバトスは、鉄血本編のハシュマル戦の時のようにリミッターを解除して目が真っ赤に光りましたが、鉄血本編ほどの力は出せていません。理由は、プロスペラがバルバトスにエイハブ・ウェーブ対策をしているから。なのでエイハブ・ウェーブと言われている?、あの青い炎も出していません。なので多分、三日月の代償も、本編よりは軽くなるでしょう。
あと本文の台詞部分の「」と『』の違いですが、これは「」が主人公の台詞で、『』がモビルスーツに乗っている他の人の台詞を、通信機越しみたいな感じで現しています。
もし読みづらいと感じたら、全て「」にしようと思います。アンケート設置しますので、よろしければお答えください。
そして今後について、いくつか報告的なものがあります。
本作の今後の展開なんですが、クワイエットゼロ編までは、割と本編通りにいく予定です。しかしその後、かなりオリジナル展開で行ってから、物語を閉めようと思っております。今回あった、水星本編で聞いたことの無い台詞も、それへのフラグみたいな感じです。
そういうのが嫌な人もいるかもしれませんが、折角の二次創作なので、どうせなら作者の好きに書こうかなって思っております。
でもまぁ、今はまだその予定というだけなので、もしかすると普通にクワイエット・ゼロとかで終わるかも。その時はごめんなさい。
読んでてどこかおかしいところや、矛盾しているところがあれば言ってください。修正いたします。
次回はランブルリング後のそれぞれの反応や結末。それが終わったら、地球にいるグエル編です。因みにグエル編では、鉄血からメインキャラが登場予定。その辺もお楽しみに。
それでは、また次回。まだまだ熱い日が続きますので、皆さんお気をつけください。じゃあね。
台詞の「」と『』の使い方
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『』のままでいい
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「」の方が読みやすのでこっちに統一
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正直、どっちでもいい