夢を見た。

けしてあるはずのない遠い夢を...

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それは始まり、静穏の夢

夢を見た。

 

懐かしい、もう決してある筈のない...そんな夢を。

 

 

 

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「.....きろ..」

 

声がする。誰かの声が聞こえた気がした。きっと気のせいだろうと僕はなぜか剥ぎ取られた毛布を被り直す。

 

「...起..きろ.」

 

うるさい。眠りが妨げられ、僕は少し苛立った。

 

「...そ.か、起き..か」

 

声の主はそう呆れたようにため息を吐きベッドから離れた。

 

(これでようやく眠れる)

 

僕はそう思い意識を睡魔という最悪最高の悪魔に委ねた。

 

 

 

 

 

 

そして次の瞬間、ベッドが...いや()()()()()()()()()()()()()()()

 

「──【福音(ゴスペル)】──【サタナス・ヴェーリオン】」

 

「...は?ッッがあぁぁあぁ!!!!????」

 

鳴り響く轟音と共に放たれる魔力の塊は小さな少年の体と木製のベットを蹂躙する。蹂躙されたベッドはもはや原型を留めていない木屑へとかわり矮小な少年の体は魔力の塊に殴り飛ばされ小屋の外に投げ出された。

 

「どうだ?目は覚めたか?」

 

そう僕を吹き飛ばした女は悪びれも無く少年に言った。

 

「...ええ、しっかりと覚めましたよッ」

 

皮肉を含めて僕をふっと飛ばした女に言った。僕は途絶えそうな意識を何とか保って半壊した小屋にいる女...アルフィア義母(かあ)さんを睨む。

 

その膠着が続いているなか半壊した小屋の無事だった場所からドタドタと足音が聞こえてきた。

 

「おい!一体何があっ...た」

 

まず初めに奥から出てきたのは2Mを超える巨体を持ち顔に傷のある大男のザルド叔父さん。その次にさっきまで気持ちよく寝ていたが義母(かあ)さんの魔法で奇しくも叩き起こされた弟のベルだった。

 

ここで祖父がいないことに気づき辺りを見回した。そして、畑に顔面から突き刺さっている祖父を見つけたが、いつもの事なのでスルーした。

 

「おい...何があったこれは?あと昨日直した小屋が半壊しているのは何故だァ」

 

この家の家事とあらかたの仕事をしているザルドの絶叫が響き渡る。

 

「こいつ「義母(かあ)さん」が悪い」

 

などと責任を相手に押し付ける二人を見て、ザルドは正気を失いベルは最初こそ怯えていたが「何だいつものさっさと起きろ(モーニングコール)」かと安心してその覚めた目を擦りながらリビングに戻っていった。

 

「あ、リビングも無くなってる」

 

ベルの何回目かの朝部屋の一部が無くなったことに対する呟きであった。そろそろ慣れそうである。

 

 

 

祖父ちゃんにアルフィア義母(かあ)さんとザルド叔父さん、そして弟のベルと僕。

 

この皆んなで、僕たちはこの日常を生きていく。

 

 

 

【それは遥か彼方、静穏の夢】

 

 

 

 

 

 

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「...て.く....い」

 

また声が聞こえる。誰の声だろう。

 

「....起..てく..さい」

 

どんどん声が大きくなる。

 

「起きてください!()()()()()!!」

 

「ッツ!」

 

ガバッと音をたてベッドから飛び上がる。そこで僕は...いや、()は夢から覚めた。

 

「うわぁ!いきなり飛び起きないでください!」

 

俺の名前を言った目の前の少女は飛び起きて驚いた文句を言った。

 

「あぁ...悪いな、少し驚いたんだ」

 

「もうしっかりして下さいよ、先生がいないと講義が出来ないでしょう?」

 

「ああ...そうだな」

 

少女...アリサは俺に小言を言いながらスケジュールを確認して出て行った。

 

 

眠気を覚ましながら扉を開け、長い廊下を抜けた後外に出る。

 

 

そう、ここは【海上学術機関特区】。

 

通称を『学区』と言う、世界を旅する世界勢力の一つである学舎。

 

世界最大の浮遊艦【超巨大船(フリングホルニ)】の上に存在する世界最大の教育機関である。

 

「ここに居たのか、ラオン」

 

「レオン、何か用か?」

 

いま俺に話しかけたこの男は『レオン・ヴァーデンベルク』。この学区に現存する最高戦力の一人であり現在世界に3名しか存在しない『LV.7』の一人である。

 

「いや何、遠目に君が見えたからね、それに後1ヶ月で一旦学区から出る君の様子も見たかったからね」

 

「そうか」

 

「・・・・君はいまだにその仮面を外さないな」

 

「・・・・」

 

そう、俺は未だにこの身につけている仮面を外したことはない。主神(バルドル)と契りを交わした時も、風呂や食事の時でさえも。

 

「・・・僕はもういくよ」

 

「ああ」

 

そう、この仮面を外さないのは簡単な話だ。俺が『繝が・繧ゥ繝Ν』では無く『ラオン・セフィラル』である為。

 

だから俺はこれからも仮面を被り、嘘を纏い己を騙る事をやめる事はないだろう。けれど、この仮面を外す時がもしあるならそれはきっと『繝が・繧ゥ繝Ν』の事を…()の本当を見てくれる人が現れたらなのだから。

 

「モンスターの大群を進行方向に確認しました!応戦をお願いします!!!」

 

ちょうどそんな物思いに耽っていた時、自身の生徒であり、監督生であるさほど歳の変わらないアリサが焦りながら報告してきた。

 

「数と対象の推定レベルは?」

 

俺はアリサに敵の正確な情報を聞く。

 

「推定レベルはLV.4〜2相当の水生モンスターが主体で数が約70体程です」

 

「わかった、いま行く」

 

俺は今手元にある武器を持ち敵のいる場所へと向かう。

 

「アリサ、君は元の場所に戻れ」

 

「ッッな!?私だって監督生です!少しぐらいなら役に立つこともッッ」

 

()()()()()()

 

「ッッ...!」`

 

俺は興奮しているアリサを諭す。

 

「ラーガスト、…いや()()()。監督生である君だからこそ他の生徒達...特にLV.1やまだ戦闘向きじゃない子たちの避難に徹してほしい」

 

そう、俺は知っている。アリサのステイタスが決して戦闘向きではなかったとしても、戦闘においての補助としては大いに役に立つということを。

 

そう、俺は...いや、()()()()()()()()達も知っている。アリサ・ラーガストは決して役に立たない存在ではないということを。

 

「だから君は自分がやるべきことをやれ。俺からは以上だ」

 

「・・・わかったよ()()()()

 

言葉はいらない。互いにやるべきこと、負うべき責務と責任がある。

 

「だから...さあ、行くか」

 

 

 

 

そう、こんな所でおれは止まるわけにはいかない。停滞は許されない。俺は持つべき責務と責任を果たす。

 

 

 

 

「散れ、──【祝音(フェリシタル)】」

 

放たれる魔力を用いた音の砲撃は世界的に見ても強力な力を持つモンスター(LV.3~4)達を一撃で塵へと変える。

 

 

 

そう、立ち止まることは許されない。あの日、あの知らない場所で見た景色を、思いをつかみ取るために。

 

 

 

────遥か遠い、あの静穏の夢を見る

 

 

 

 

 




【シレンティウム・カテドラル】

・超短分詠唱魔法

・音属性収束砲撃魔法

・対人特攻

詠唱式 【祝音(フェリシタル)


威力は【サタナス・ヴェーリオン】と同等。

射程は約55メートル前後、一方向約90度の砲撃範囲。





最後いろいろ迷子になったけどあんま気にしないで見てくれると嬉しいな。

次いつ作るかわからないからいま投稿しているシリーズ全部いったん短編にして10話超えたら連載の形にします。

待っててくれた人はごめんなさい!

またどこかで!!!


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