短編小説:時を駆けるウマ娘――ライドストライカー 作:DUN.ネコノカンリニン
原作:ウマ娘プリティーダービー
タグ:オリ主 アンチ・ヘイト クロスオーバー オリウマ娘 アンチ・ヘイトは念のため 仮面ライダージオウ
そこには、“究極の時の王者”オーマジオウのかつての姿―――仮面ライダージオウの愛車――ライドストライカーの名を冠したウマ娘が居た。
そして、この物語は、そのウマ娘が“王者”から“覇王”へと上り詰めた時の記録である。
―――昔から、夢を見るのが好きだった。
一番好きな夢は、王女様になる夢。だって、私は王女様にはなれないから。
けど、そんな夢を現実に変えてくれる出来事があるなんて、その時は想像もつかなかった。
そう、あの日までは―――……
ピピピッ!ピピピッ!
そんな軽快な電子音で目が覚める。待ちわびたこの日が来たのを確認して。
「おはよう!今日もいい朝だね!」
誰も居ないのにそう言ってしまうのは、やはり浮かれているからなのだろうか?
窓の外を見てみると、日は地面を明るく照らし、鳥はさえずり、花は咲き誇る。
何故私のテンションがここまで高いのかと言うと、それは今日ある出来事に関係ある。
それは……
「そう!皐月賞!」
私は、この前めでたく皐月賞出場ウマ娘に決まったのだ。
「いや〜しかし、どんな人達がいるのかな〜楽しみだなぁ(某ハンバーガーショップのピエロ)。いや、ネット見ればわかるかな?」
けど、こうしちゃいられない。今日はトレーナーさんと一緒に会場に行くので、遅れられないのだ。
急いで着替えて、寮を出る。トレセン学園の中では珍しく、私の部屋は、私以外に住人は誰も居ない。
「それじゃ行ってくるね」
誰に言うわけでもなく、そう言って、私は寮を出た。
………
「よう!早いな。あと数分余裕はあったぞ?」
「はい!けど、この日が楽しみすぎて、早く起きてしまったんです!トレーナーさんも早いですね」
「まあな、ワシも、もうそんな長くねえからな、早く起きて、一秒でも人生を楽しみたいわけよ。ハッハッハッハッハ!」
今話しているのが私のトレーナーさんの
「トレーナーさんにはまだまだ長生きしてほしいですよ!」
「まあ、優しいもんだね。しかし、今日の皐月賞、そして、その後にある日本ダービーと秋の天皇賞までは死ねねえな。そこでのお前さんの活躍を見れば、ワシに未練はねえ」
一応、私は日本ダービーと秋の天皇賞にも出ることとなっている。
「さて、行くか会場。あそこ行ったら気ぃ抜くなよ」
「はい!」
そうして、私達は、中山競馬場へと、向かったのであった。
………
「ほえ〜たくさん人がいるなあ。これがG1かあ」
周りを見ると、他のウマ娘たちが、着々と準備運動などをしている。
『今回の注目ウマ娘はなんですか?』
『やはり一番人気のライドストライカーでしょう。彼女は“時を駆ける者”、“時の王者”、“相対性理論を無視する者”などの数々の異名がありますからね。そして、二番人気のシーザムーンも外せませんね。彼女はドイツ出身で、日本の芝には最初は慣れていない様子でしたが、その後グングンと成績を伸ばし今ではライドストライカー同様“
実況・解説さんの声が聞こえる。
そして、その中で登場したライドストライカーというのが、私の名前だ。
他のウマ娘たちが並ぶので、私も遅れまいと並び…
バン!
扉が開く音で一瞬にして全員がスタートした。
『始まりました、皐月賞。今年の皐月賞はどんな戦いになるのでしょうか?』
『ええ、今回はやはりライドストライカーとドイツ出身のシーザムーンの戦いですね。どちらも速く、先ほど紹介しましたが、ライドストライカーとシーザムーンはどちらも数多の異名を持つウマ娘。その異名に恥じぬプライドで見事なレースを見せてくれることでしょう』
うっるさいんだよ!と内心愚痴を吐く。私は、今の自分の異名に満足していない。なにせ、“王者”で止まっているのだ。何なら“覇王”にでもなりたい。
そして、私がついたのは列の最後尾―――要は最下位である。
『ここでウマ娘並びました。……最後尾はライドストライカーです』
『ライドストライカーはどのレースでもここから勝ち上がってきていますからね。期待しましょう』
まだだ……まだアレを使うときではない。
私の今までのレース結果はこの戦法で勝っている。それは―――『オールテュエンティタイムブレーク』と『アポカリプス・オブ・キングダム』である。
『オールテュエンティタイムブレーク』は最初は遅く走り出し、温存した体力を使い、スピードを上げていく方式。
『アポカリプス・オブ・キングダム』は最初は本当に遅く走り、中盤らへんから最高速度で行く戦法である。この走り方は、“逢魔時王必殺撃”という走り方で足に負担がかかるので、連発はできない。
ちなみに、この名前は、全てトレーナーさんがつけた。なんでも「技にはかっこいい名前がないと華がない」だからだそうだ。
しかし、レースも中盤。となると…勝ちを狙いに行くならこれしかない!
足に貯めたすべての力を込めて……“逢魔時王必殺撃”!
『おーっと!ここでライドストライカー仕掛ける!これは、あの走り方だーー!』
『そうですね。『アポカリプス・オブ・キングダム』という戦法だそうです。ちなみに、この名前をつけたのはライドストライカーのトレーナーさんらしいですね』
『ライドストライカー、抜く抜く抜くぅー!あっという間に先頭です!』
よし!このまま行けば……!
『しかし!それを許さないのがシーザムーン!ここで仕掛ける!』
『この走り方は『ニーベルンゲンの指環』ですね。足の動きが早すぎて円に見えることからそう名付けられました。そして、“
『ここで二人の王者が並んだ!最後の直線、勝つのはどっちだ!』
チッ!ドイツの皇女か!
私は、スピードを上げていく。
負けられない。ここで負ければ、トレーナーさんのやる気を削ぐ原因にもなる……なにせ
“王者”のままじゃ、いられない!私は、“覇王”になる!
「はああああああ!」
その雄叫びに呼応したのか、シーザムーンも
「ニヒト・フェアローレン!(負けない!)」
とドイツ語で叫ぶ。なんと言っているのかはわからないが。
そして、先にゴールしたのは……
『一着、ライドストライカー。二着、シーザムーン……』
私だった。
この日、私は、異名ではなく史実として“王者”となり、その後、地方ウマ娘全国協会設立以来の最高記録―――59連勝を達成し、“究極の時の覇王”と呼ばれることとなるのだが、それはまた別のお話である。
短編小説です。オリです。