トレセン学園であった怖い話   作:塩化プラス

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【第二話】タイキシャトル/B3~NEXT

「手招きされた、とか?」

 

当てずっぽうな私の返答に、タイキは深く頷いた。

 

そう、そうなんデス!

もしやスズカはマインドリーディングのココロエがあるんデスカ?!

ない? フーム……今度詳しく聞きますカラネ。

 

あっと、ソーリー、 Let's get back!

それで手招きされたマシロ。

頭の上にクエスチョンマークを浮かべたまま近づいていったんデス。

 

「あの、大丈夫かな?」

「みつけた」

「え?」

 

ファスター・ザン・クエスチョン。ナゼか目の前が一瞬マックラになりマシタ。まるで誰かに目隠しされてるミタイニ。驚いたときにはもうクラヤミはなくなって、ついでにリトルガールの姿もなくなってイマシタ……

 

 

タイキはそこまでを語って口を閉ざした。

狭いようで広い多目的室に静寂が立ち込める。

数秒の沈黙だけならたえられるけど、十数秒とまで来ると不安が勝りだす。

何故だろう、何となく肌寒いような気がする。

足元に掛けていた毛布を引き上げ首元まで覆う。それでも不思議と寒さは消えない。

語り部の声がなくなるとこうまで心細いなんて。

話し上手なタイキのことだからこれで終わりということはないだろうが、まさか……

 

「え、もしかしてこれでお話終わり、ですか?!」

 

そう思って訪ねようとしたとき、私ではない誰かが動きのなかった静寂に横やりを入れた。するとタイキはこれ見よがしに溜め息をついて見せ、ひどくアメリカチックに肩をすくめた。

 

ノンノン、ここからが真相ッてヤツデスヨ!

ミナサン、チョッートヘイスティ! 安心してくだサーイ! ちゃんとステップを踏んで話しマスヨ!

 

あの日、マシロは結局それ以上は何も見ることはナッシング。素直に自主トレを済ませて寮に帰りマシタ。

でもその翌日からマシロの何かが変わりマシタ。何故かわかりマセンガ、体育館で練習するたび、フシギな感覚に襲われるようになったんデス。

 

スタンツ・プレーで投げ飛ばされたときに、ここで落ちたらどうなってしまうんだろう。

私が悪意を持って指を尖らせていたら、ベースの子たちはどうなるんだろう。

落ちてみようか、傷つけてみようか。

事故だったら仕方ないんだから、一生に一度の体験をしてみようよ。

 

そんなのシンキングするようなマシロじゃないノニ、練習をしていると何故か自分や他人を痛めつけたくナル……そんなよくわからないマインドにマシロは陥ってイマシタ。

 

「そんなのダメよ」

 

イヤなキモチが芽を出す前に、自分のキモチを押し殺して。一週間、二週間と耐えマシタ。

そんな毎日を過ごしてたらトーゼンヘトヘトになりマス。

そして、ついに恐れていた事態が起きたのデス。

 

いつものようにスタンツのミンナと練習していたとき、大事故が起きてしまいマシタ。高く高く放り投げられたマシロが、いつものようにバランスを取りながら空を回っていたトキ。突然目の前がマックラになりマシタ。

あとはもう音だけしか聞こえマセン。どちゃっ。自分のウェイトと落下スピードからじゃあり得ない、ひどく鈍くて重たいものが空から落ちるようなサウンド。

 

そこから意識が遠のくまでずっと、嫌な音がリフレインして頭に響きマス。どちゃっ。どちゃっ。どちゃっ。落ちたのは一回だけのはずなのに、何度も何度も叩きつけられているミタイニ。不思議と痛みはありませんデシタ。ただ、ただ。落下がリピートされるダケ。エンエンと、終わることなく、ひたすら、気を失ってしまうまでズット……

 

……ケッキョクどうなったのカッテ?

スタンツ・プレーの失敗ということで、マシロは入院をすることになりマシタ。

アァ、もちろんイマではゲンキイッパイですよ?

全身を打って気絶した関係で念のため検査を……したら、ゼンゼン異常ナシ。

ナニゴトもなく一日で退院しましたカラネ。

 

あのリトルガールを見かけてからずっと考えていた、バッドなイマジネーションもサッパリ無くなってイマシタ。今でも一体あれはなんだったんだろうって思ってるらしいデスヨ。

 

ンン? なんでワタシが詳しく知ってるかって?

ええとデスネ、ワタシがお見舞いに行った日、いろいろ教えてくれたんデス。

というよりは聞いたんデス。だってマシロのスキルはハイレベル。

ベースの子たちだって同じくらい上手。イージーミスをしちゃうなんてアリエナイ!

そう思ってましたカラネ。

 

ホーボー聞きマクッテ、マシロは最後に言ってイマシタ。

ゴメンナサイって繰り返す悲しそうな泣き声が、耳元でしたんだって。

でもそれだけでそんな大けがしちゃうかなって、思ったんデス。

それで、よーくマシロを見まシタ。ソウシタラ……

真っ白なはずのマシロのヘアー……

そのホトンド、真っ黒く染まっていたんデス……

 

ワタシはオカルトには詳しくありませんガ、もしかするとゴーストは悲しい気持ちを知ってほしかったのかも知れませんネ。ソリャ、やり方はよくありませんケドモ。

前にフクキタル、言ってマシタヨネ。幽霊のことをカワイソウ、とかヘルプしなきゃって思ったらダメって。付いて来ちゃうカラって。でもマシロはあわ……アー……ピティー。ソウ、憐れんでシマッタ。だから何かに取り憑かれた……のかも知れませんネ。

それに、自分から近づいてしまったのも良くなかったんデショウ。

よりディープな場所まで近づいてしまったからこそ、ここまで体に変化が表れてシマッタ……カモデスネ。

 

ただ、ソコで気になるのが、マシロのダメージのことデス。

マシロのダメージがひどくなかったのは、ゼアズノウダウト! パラノーマルな現象が起きたとしか思えまセーン!

アサミング、仮にあのリトルガールがゴーストだったとして。ソモソモなんでファーストインプレッションのところで、見つけた、ナノカ。

 

マア……絶対とは言えマセン。

ワタシはスピリチュアルはカラキシ、デスカラ。

けど、タブン……もしいまカフェが居たらソーメニー教えてもらえそうデスガ……ンー……分からないってコトは、分かっちゃいけないって言われちゃいそうデスネ。マウスにジッパー、シマース!

 

トモマア、ワタシの話はここまでデス。ワタシのトークがスクールにアリガチなフェイクロアなのか、それとも事実がちゃんとあるフォークロアなのかは、アナタの気分次第デース!

それにしても、夜も深まってきましたし、雰囲気も出てきマシタネ。

カフェやフクキタルアレンジで言うなら、そろそろゴーストたちもウキウキし始めた頃合い、なんじゃないデスカ?

フフ……ワタシもホンのチョーット怖いデスガ……ミナサンがいますしノープロブレム!

…………アー………………デスヨネ?

 

オーライ、次のヒトにバトンを……パス!

次のトークは誰デショウ?!

 




休憩しますか?

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