巷で噂の大人気アイドルグループ、『悶星酢(もんすたあず)』。そのリーダーはどうやらメンバーに不満があるようで……?

「逆にどうやったら不満が出ないと思ったの???」

※昔の作品のリメイクです。

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イカれ過ぎたメンバーを紹介するぜ!! ~色物アイドルの叫び~

 突然ですが、私はアイドル! 巷の大人気アイドルグループ『悶星酢(もんすたあず)』のリーダーです! トレードマークはボブカットの上に巻いたバンダナ! ファンからの『なんかリーダーっぽい貫禄がないんだよな。バンダナの所為で精々が海賊の下っ端って感じで(笑)』という風評と日夜戦い続ける女!

 そんな私は、今!

 

「アイドル辞めるぅぅぅぅっ!!」

「ど、どうした急に!」

 

 プロデューサーの足元に辞表を叩きつけたところだった!!

 

 

「それで、一体どうしたってんだ?」

「大人しく話を聞く姿勢を取りながら辞表を破いてんじゃないよ」

 

 私は事務所のゴミ箱の中にビリビリにされて捨てられていく辞表を眺めながら、勧められた応接用のソファに腰を下ろした。対面に御年39歳のプロデューサー(マネージャー兼任)も座る。

 

「何故辞めるなんて急に言い出すんだ。言っちゃなんだが今のお前たちは飛ぶ鳥も落とす勢いの売れっ子アイドルグループだろう? しかもお前はリーダーだ」

「うん。そうだね」

「お前が辞めるとすると事務所は差し押さえの札が貼られた素敵なインテリアだらけになるんだが……」

「そんななの? ワンマンってレベルじゃないな」

 

 そう。プロデューサーの言う通り今の私たちは売れ筋のアイドルだ。界隈へ颯爽と現われライブにバラエティと八面六臂の活躍をし、今では毎日どこかしらの番組で顔を出している。CMにも引っ張りだこ。飛ぶ鳥を落とし桶屋は儲かりおばけは墓場で運動会。そんな同業者が聞けば羨ましがられそうな生活を送っていた。

 しかし、全てが順風満帆な訳ではない。

 

「ギャラの話か? こう言っちゃなんだがウチはタレント側に相当有利な契約を結んでいるぞ。がっぽがっぽ儲かってるだろ」

「言い方。うん、給料に不満はないよ。歳の割に無茶苦茶稼がせてもらってる自覚はあるし」

「なら労働環境か? 確かにこの間のツアーは忙しかったな。だが過度な酷使はしてないし、適度なオフも作ってるだろう?」

「そっちも、まぁね。ツアーの時は限界まで身体を酷使すると胃痙攣が始まるんのが人間なんだって教えてもらったけど、それは今は置いておくよ。これが過度じゃないのかって思ったけど、置いておいてやるよ」

 

 正直、事務所に不満はない。そりゃ細かいことを挙げていったら切りがないが、いずれも辞めるほどのことじゃない。ツアーの時は痙攣して胃が食べ物を受け付けないくらい限界だったけど。点滴を打ちながら走る羽目になったけど。

 

「メンバーとの仲だって良好で……」

「それだよ」

 

 だから私が辞めたがっている理由はもっとシンプル。

 ずばり人間関係だ。

 

「えっ?」

「それ。メンバー。もう無理」

「え、え、何故だ!?」

 

 私の拒絶の言葉にプロデューサーが驚愕して立ち上がる。信じられないという風なリアクションだ。この世の終わりを告げられるとこんな感じになるのかなと思わせてくれる。

 

「な、なんで……みんな良い子ばかりだろう!?」

「じゃあ私以外みんなの属性列挙してみてよ」

 

 慄くプロデューサーに私は提案した。

 

「どういうことだ?」

「おしとやか、ドジっ子とかみたいに」

「あぁ、そういうことか。いいぞ」

 

 プロデューサーはしばし考え、そして答える。

 

「……ニート、マサイ族、チュパカブラだな」

「逆にさァ!! なんで不満が無いと思ったのかなァ!!!!」

 

 

 

「……つまり、お前はこの俺自らがスカウトしてきたメンバーに不満があるということだな」

「どうやってスカウトしてきたのか分からないメンバーもいるけど、そうだね」

 

 絶叫し取り乱した私が落ち着くのを見計らって、プロデューサーはそう切り出した。『悶星酢(もんすたあず)』はオーディションではなく全員プロデューサーによる直々のスカウトで集められたメンバーだ。私は和歌山の奥地でドジョウ釣りをしていたところを半分拉致のような形でスカウトされた。どんな行動範囲と強引さだ。

 そんな辣腕というか変形して六本ぐらいに増えそうなプロデューサーが、真剣に言う。

 

「……まるで見当が付かないな」

「マジ? 正気じゃないでしょ……」

 

 どうやら私と彼とでは重大な認識の差があるようだった。十代の娘と四十間近のおじさんの間で共通となる認識も少なかろうとは思うが、これは人間としての根本的な何かがズレているのではないか。私は訝しんだが、話が進まないのでさておく。

 

「ふむ。じゃあそうだな。一人ずつ不満点を上げていってくれ。もしかしたら些細な誤解や不幸な行き違いがあるかもしれないからな」

「そんなレベルの話じゃ……いや、うん。まぁ一人ずつ列挙していくのには賛成かな。数えきれないぐらいにあるし」

「え、そんなに?」

「あるに決まってんだろ。こんなイカれ過ぎたメンバー」

 

 私は吐き捨てるように言った。なんで想像できないの? 常識が違う? 私だけもし○ボックスの中に突っこまれた?

 

「じゃあ一人ずつ聞いていこう。まずはニートから」

「自分で言って分かんない? 働かねぇんだよソイツ」

「……盲点だったな」

「もはや全盲だろ」

 

 メンバーその1。ニート。

 抜群のスタイルとダウナーな表情から人気を博する『悶星酢(もんすたあず)』のビジュアル担当。ファンからの人気も一番高い。私が隣にいると結構な身長差があり、その所為で私は『ちんちくりん』の異名を得てしまっている。私のファン失礼過ぎじゃない?

 コイツの問題は至って単純。働かないことだ。

 

「怠惰なキャラだったらまだ良かったよ。でもホントに、一切働く気力が無いんだよコイツ」

「いやしかし、一応歌ったり踊ったりしているだろう? ステージにも毎回立つし……」

「私が必死こいて連れて来てるからね! わざわざ家まで迎えに行って布団に包まったキャツと格闘して引き摺りだしてるからね!! 私がいなかったらコイツ、あらゆる約束事を守らないからね!!!」

「お、おぉ、そうだったのか……」

 

 ニートであるが故に働く気力を一切見せないのだ。生活リズムは不規則で予定は平気ですっぽかす。アニメとゲームだけが生き甲斐で布団の中こそが至福の聖域。そんなニートの鑑のような性格をしている。

 なので私は時間を守らせるべく一々奴の家に突入して連れ出しているのだ。

 

「マジでやる気無いんだもん……レッスンだって私がトレーナーさんから教わったことをアイツに合わせて最適化して纏めて、労力を最低限にしなきゃやんないんだよ……二度手間だよ……」

「そんな苦労が……し、しかしビジュアルはいいだろう? グループの中では一番の美人と評判だぞ」

 

 確かにプロデューサーの言う通り、ニートのビジュアルは良い。やる気がないだけの表情が愁いを帯びた(かんばせ)へと変換されるくらいには。個別の写真集の売れ行きもコイツだけがぶっちぎりだ。ちなみに私は最下位だ。他二人にも負けているのはショックだったよ。

 

「顔はいいと思うよ。……それが日々不精するあの子にスキンケアだとか髪のセットだとかマッサージだとかを毎日している私がいなきゃなぁ!!」

 

 しかしそのビジュアルの維持だって、私がやっているのだ!!!

 

「ほっとくと何もしないんだよアイツ!! 仮にも女子なのに!! 手入れどころか風呂にも入らず邪魔だからって髪をバリカンで剃ろうとすらするし! 生活リズムも不規則で肌に悪いってレベルじゃないしご飯だってポテチで済まそうとするし!! 私が全部、ゼ・ン・ブ!! やってるの!! 飯食わして風呂入れて髪乾かして化粧水塗って駄々をこねるアイツを無理矢理寝かしつける私がいなきゃアイツは不摂生でとっくにあの世行きなのくらいなの!!!」

「お、おう」

 

 バンバンテーブルを叩いて私は訴えた。手が痛い。

 

「そうか、負担掛けてたんだなぁ。一緒にダンジョン潜ってる時突然ログインが切れるのはお前が寝かせてくれてたからなんだなぁ」

「なんでオンラインプレイしてるの? 注意しろよマネージャーも兼任するなら」

 

 私はプロデューサーに不信感を抱きつつ、一旦は落ち着いて座った。ここで自ら使う一旦程嫌な物もない。何故ならまた後で喚き散らすのが目に見えているからだ。

 

「まぁ、ニートの分は分かった。改善を検討しよう」

「どう改善したら解決するのか分からないけど、お願いね」

「だが他二人はどうなんだ? 二人に問題があるとはいまいち想像が付かないが」

「逆に問題以外を想像出来るのがおかしいよ」

 

 私は吐き捨てる。週末精神科の予約を入れることを決めた。

 

「ふむ、マサイ族の彼女は? ニートと違って毎回練習にも積極的だし、ダンスは最高峰だぞ」

「確かに卓越した身体能力から繰り出されるキレのあるダンスは圧倒されるね」

 

 メンバーその2。マサイ族。

 エキゾチックな見た目と驚異的な身体能力から生み出されるアクロバットが人目を引く『悶星酢(もんすたあず)』のダンス担当。当グループがパフォーマンスでも高評価を受けるのは彼女あってこそ。運動系のバラエティでも大人気だ。アメフトで他アイドルをぶっ飛ばした際は炎上したが。主に監督責任で私が。なんでだよ、それは企画に問題があるだろ。

 

「なら……」

「でも言葉ぐらいは覚えさせて欲しかったなぁ! 何しゃべってるか分かんないんだよ!」

「訛りの無いマサイ語だが……」

「ここ! 日本! ケニアでもタンザニアでも違う!!」

「あ、一応勉強してるんだな……」

「歩み寄りの努力はしたよ。でも英語すら一切使わないのは問題外なんだよ」

 

 なんで国内で活動するアイドルなのに日本語が使えないんだよ!!

 

「リーダー、そういうのはよくないぞ。言葉や人種で区別があるのは褒められたことじゃないな」

「いくらなんでもアイドルとして芸能活動をする上での必須スキルだろ!! 言語は!!」

 

 外国人労働者だってまったく言葉が通じない相手じゃ話にならないだろう。ましてやアイドルでは。

 

「というか最悪言語はいいんだよ。よくないけど」

 

 日本語の通じない外国人タレントがいない訳でもない。しかしそんな彼らでも、最低限備えている物がある。

 

「あの子は! 言葉以前に!! 文明を理解していない!!!」

「文明……それは人類の何を以て指し示すべきか。言葉、歌、建築……築き上げられたそれらに果たして優劣を付けるべきなのか? 俺はそうは思わない。全ては平等に評価されるべきであり――」

「どこでもヤギを連れ歩くの止めさせろって言ってんだよ!!!」

 

 彼女の一番の問題点。それは都市だろうが屋内だろうがヤギを連れ回すことだった。

 

「……いやしかし、マサイ族は遊牧民でな」

「だからって街中でヤギを解き放つのは間違ってるでしょ! それにきょうびマサイ族だって観光ガイドで生計稼ぐ時代だよ!」

「ホントに勉強したんだなぁ」

 

 マサイ族の彼女は自由奔放を絵に描いたような奴で、およそこの世のあらゆる摂理に縛られないと決めているかの如く文明を解さない。なのでヤギを平然と解き放つし、その回収に私が追われることになる。ヤギってすごいんだ。ほぼ垂直な崖を駆け上がれるの。私はそれをロッククライミングで追いかけるの。しんどいの。

 

「はぁ、はぁ……百歩、いや千歩譲ってヤギはいいとしよう」

「おぉ、随分寛容だな……」

「でも生き血を求めるのはやめてくれ! 毎回打ち上げやメンバーで遊びに行った時にお店の人に『生き血ありますか?』って聞かなきゃいけない私の身になれ!! 毎回店員に常識を疑う目をされる私の身に!!!」

「あー……マサイ族の主食かー……」

 

 マサイ族は主食として家畜の生き血を飲むことがあるらしい。だからといってどこにでもそれを求めないでほしい。みんなで遊びに行くときのプランニングがまず『生き血がありそうな、あるいは頭を下げたら分けて貰えそうな店』から始まるのホントに狂ってる。私の検索履歴大分事件性が高いぞ。

 

「ホントやだ……生臭いし……」

「うーん、確かに問題がありそうだな。少し考えてみるか」

「さっきから曖昧な返事に聞こえるんだけど、ちゃんと検討してくれるんだよね」

「………」

「おい」

 

 プロデューサーは目を逸らしながら次の話題へ移った。

 

「……まぁ、二人には問題があったことを認めよう」

「よかった、これで認められなかったら今日も回収したヤギのフンを叩きつけるところだった」

「そのビニール袋を捨てろ。……だが、最後の一人は? そんなに酷いか?」

一人(・・)ってか、一体(・・)って感じなんだけど」

 

 メンバーその3。チュパカブラ。

 歴とした未確認生命体である。『悶星酢(もんすたあず)』の、こう……ミステリアス担当。きっと。

 

「チュパカブラ……UMA界隈では最も有名な怪異の一つだ。一説によれば宇宙人とも、恐竜の生き残りとも言われている蚊のようなストロー状の舌を持った爬虫類。出自もハッキリしているじゃないか」

「一説って言ってるじゃん。胡乱が過ぎるじゃん」

 

 人間ですらない。このプロデューサーはどうやって見つけてきたんだ? 宇宙人か?

 

「何か問題が?」

「チュパカブラの生態を言ってごらん」

「家畜の生き血を吸う」

「そうだよ。コイツも生き血勢なんだよ」

「……盲点だったな……」

「おう逆にチュパカブラの血を吸う以外の特徴言ってみいや」

 

 チュパカブラ一番の問題。それはこの子も生き血勢であることだ。しかもこっちは吸血しかできないので、生死に関わる事象である。故に私は生き血を求めるのだ。ヴァンパイアの眷属みたいな生態だな私って生き物。

 

「メンバー中半分が生き血勢。これは確かに問題だな」

「ホントだよ。メンバーで遊びに行くたびにショッキングな光景を見せられるんだよ。食事中他のテーブルから奇怪な目で見られるしさぁ」

「だが歌も踊りも一生懸命だろ?」

「そこなんだよ!!」

「お?」

 

 だがそれも、まだいい。問題なのはそこじゃない。

 

「チュパカブラ、メンバーの中で一番いい子なんだよ!! 練習中スポーツドリンクやタオルを差し出してくれるし、ライブで失敗した時も励ましてくれる!! 遊びに行った時マサイ族がはしゃぎ過ぎて怪我した時ポーチから絆創膏取り出したりするほど女子力満載だし!!」

「いい子じゃないか……」

「一番性格のいい子が人外ってのが一番ヤダー!!!」

「えぇ……」

 

 私は魂の底からの雄叫びを上げた。

 チュパカブラはメンバーの中で一番いい子なのだ。性格は聖人レベルで優しいし滅多なことでは怒らない。よく気が利いて困っている人には必ず手を差し伸べる。声も可愛い。私が男で、それでできれば同種なら迷わず告白するレベルだ。

 だからこそ嫌だ。

 

「ニートはすぐ逃げようとするしゲーム三昧だし、マサイ族は自分よりジャンプ力の低い奴を見下すし、その中でチュパカブラだけが優しさを見せつけてくるのヤーダー!! 人間の闇を見せつけられてる気がするー!!」

「チュパカブラ悪くないじゃんか」

「悪くないよ! 悪くないけど嫌だよ!」

 

 どうして人外が一番性格がいいんだ。ニートは普通にニートなので性格がクズだし、マサイ族はルールを守るということを積極的に嫌がるし。それなのに人間ではないチュパカブラが一番人間ができているのか。人間ってなんだ。ゲッター線ってなんだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「うぅん、よもやこんなにもウチのグループに問題があったとは。お前じゃなきゃ分かんなかったなぁ」

「何で? なんか認識を阻害する物体でも出してるのあの三人」

 

 私の必死の訴えは、どうにかプロデューサーに届いたようだ。こうまでしなきゃ届かないのが問題ではあるが。

 

「しかしお前に辞められると困る。今お前たちのグループに何かあるとウチの事務所は全員ヤの付く人たちに捕まってシベリア送りにされてしまう」

「そんなレベルなの? 最早経営破綻してない?」

「社長の辣腕だぞ」

「剛腕の間違いでしょ」

 

 恐ろしい裏事情がサラッと暴露されて私の背に冷や汗が流れた。今度見せてもらえる範囲でも帳簿とか確認しよう……。

 プロデューサーは手を合わせて祈るように私へ頭を下げた。

 

「とにかく、辞めないでくれ! 来年には上の子も中学に上がるんだ。お前たちに憧れる子どもを露頭に迷わせていいのか?」

「私たちに憧れてるって時点で将来が不安なんだけど」

 

 流石はプロデューサーの血を引いているというべきか。どうやらメンバーの異常性を認識できていないらしい。

 

「頼む、この通りだ!」

「はぁ……いいよ、頭を下げなくて」

「お? ……いいのか?」

 

 プロデューサーが意外そうな表情で顔を上げる。私もそう思う。この流れで許すことがあるんだ。

 だけど私は、妙にスッキリした気分だった。

 

「言いたいこと言ったらなんかスカッとしたし。それに……」

「それに?」

「……みんないいところもあるって、知ってるからね。じゃなかったら一緒に遊びに行ったりしないよ」

 

 別に、みんなのことが嫌いな訳ではない。アイドル活動が嫌な訳ではない。ただ、あまりにも非常識的すぎるから訴えただけだ。

 彼女たちと別れるのは少し、寂しい。

 

「……ふっ、やっぱり、お前たちは最高のグループだよ」

「イカれ過ぎたメンバーだけどね」

 

 だから結局、私は許してしまうのだ。

 でもカウンセリングは受けよう……せめて私が常識を保つ為にも。

 

 

 ※

 

 

 その日、私たち『悶星酢(もんすたあず)』はプロデューサーに呼ばれて事務所に集合していた。

 

「……愚痴った日から一ヶ月。アレから改善の兆しは特に見えないけど……」

 

 私は結局アイドルを続けていた。カウンセリングは受けたがすぐ止めた。カウンセラーに『そのレベルのストレス下におかれてどうして正気を保ってるんですか……?』と戦慄されたからだ。私にも分からん。

 

「ちょっとー、引き摺んのやめてよおぶってよー」

「転がさないだけマシだと思いなさい」

 

 私に首根っこを掴まれたニートが文句を言う。今日も私が連れ出さなければコイツはすっぽかすつもりだった。

 

「■■■、■■■■」

「ごめんなんて言ってるか分からない。マサイ語以外にもせめて英語覚えて……」

 

 マサイ族は相変わらず言葉も文明も解さない。今日もヤギがメーメーうるさいし。あれ一匹いない……またチー助か。多分屋上にいるから後で回収しなきゃ。

 

「リーダー、大丈夫ですか? 気分が悪いようでしたらいくつか薬持ってますけど……」

「UMAの持っている薬ってなんか怖いなぁ……大丈夫だよ、ありがとう」

 

 そしてチュパカブラはいい子だ。渡された薬がどどめ色をしていて怖いけど、これ人間にはどうやって作用するの? 頭の形とか変わらない?

 

「いえいえ。……あ、呼ばれた部屋に着きましたね」

「ホントだ。じゃあ、入るか……プロデューサー、居る?」

 

 私はノックをして伺いを立てる。すると中からすぐに返事があった。

 

『おう、入れー』

「ほらみんな入って」

「だるー」

「■■■■」

「おじゃましまーす」

 

 全員を連れ、私たちは入室する。

 

「それでプロデューサー、何の用?」

「おう、用というのは他でもない……」

 

 

 

 

 

「新メンバーのヤンデレと幽霊だ。みんな仲良くしてやってくれ」

「辞めます!!!!!!」


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