【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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最終話 峰田ァ! お前は俺にとっての新たな光だ!!

 

【2年後】

【side 幾野】

 

 

 小腹が減った。

 見れば峰田の前の棚にお菓子がある。

 

「峰田ー、お前の前の棚のオレオ取ってオレオ」

「こんな雑なタイトル回収許されねェよなァ!? あァ!?」

 

 イグジスト事務所のソファに頬杖付きながら横になり、棚に置かれてるオレオを峰田に取ってもらおうとお願いしたところなぜか急にキレられた。

 どうした急に。別に俺変なこと言ってないよね? 今お前手を伸ばせばオレオが取れるところにいるんだから取ってもらおうとしてもいいよね??

 

「まぁいいけどよ……ホレ、受け取れ」

あーんってして♥」

「殺すぞ」

「ごめん」

 

 いつもの如く茶化したらキレられた。今日の峰田はキレやすいな。誰のせいやろ。

 手渡しで貰ったオレオをもぐもぐと食べながら、スマホを弄り今日の予定を確認する。

 

 今日は俺たちA組が雄英を卒業してから初めて行われる雄英体育祭の日。

 そこでみんなで一度集まり、一カ月ぶりの同窓会を開こうという話になっているのだ。

 

 ───少し昔を振り返ろう。

 例の死柄木らヴィラン連合とAFOによる『災禍戦線』が終結したのち、俺らは普通の学校生活に戻った。

 ……戻ったかな?

 いや戻ったか? 微妙じゃねぇか? 月に1~2回はデカい事件が起きてなかったか?

 とにかくAFOが関わってた闇組織が全部摘発されそうになった結果、世界各地で巨大ヴィラングループの決起、反乱、蜂起が多発して……俺たちA組もそれぞれのインターン先のプロヒーローの下でめちゃくちゃ事件解決に励んでた。

 那歩島でのナイン率いるヴィラングループとの抗争、アメリカを本拠地としたクソ組織ヒューマライズの世界同時多発テロが代表的で……他にもエジプト呪いのヴィラン事件、大阪大爆発、復活の(治崎)、焼き肉パーティの悲劇、キセル乗車無限列車編、イグジスト性別反転事件、A組B組大乱闘事件、上耳7日間の大喧嘩、AFOシンパ事変、相澤先生児ポ冤罪事件、8・22事変、第一次イクノガールズ大戦、物間拳藤駆け落ち事件、白雲さん個性暴走事件、尾白メス堕ち未遂事件、メタルシガラキ襲来、第四回ドキドキ☆女装大会、文化祭最終戦争、雄英が蔓に呑まれた茨ちゃん落日事変、デュエルシティ編、ホワイトデーの乱、年始餅つき大会、HLB(ヒーローリーグベースボール)の破壊者イグジスト事件、卒業式大爆発─────うん。

 

 一言で表せないくらい濃い学生生活を歩んできたわマジで。

 

 まぁそんな俺達A組B組42人もなんとか無事に卒業し、それぞれの進路を歩んでいる。

 俺らの世代、A組B組のおおよそのメンバーはインターンでお世話になっていたプロヒーローの元にサイドキックとして就職してる。

 それ以外で違う進路を選んだのは……まず俺と峰田。

 俺と峰田はマウントレディ事務所へのサイドキック就職ではなく、卒業後に二人で事務所を立ち上げることにしたのだ。

 イグジスト&グレープジュース事務所って名前にしようとしたところで峰田が「お前の名前が一番売れてんだからオイラの名前いらねぇわ事務所名長くなりすぎるし」と言い出して一晩中協議した結果、イグジスト事務所になってしまった。悲しい。

 ヒーロー事務所として設立しているが、事務所の周りをパトロールして普通のヒーロー活動して……ってのとはだいぶ毛色の違う形での活動を行っている。

 

 簡単に説明すればヒーローのデリバリーだ。俺や峰田、あと俺が在学中に縁を結んだ多数のヒーローと契約を結び、チームアップを希望するヒーローの下に能力が合致したヒーローや手が空いてるヒーローを派遣するというもの。

 これは在学中に色んなヒーローとチームアップしながらラーカーズの下で働いていた時に俺と峰田が強く感じた部分で、やっぱり今の時代は個人のヒーローが一人で事件を解決して名を上げて……ってんじゃなくなってる。

 迅速、適切、被害ゼロで事件を解決するためにも、チームアップでヴィラン事件にあたることが一般的に浸透してきたのだ。

 

 で、その中で公安とかもヒーローからのチームアップの依頼を捌いてたわけだけど、公安委員長に飯奢ってもらったときに詳しく話聞いたら、ヒーローからの依頼の50%くらいしか受けられてなかったんだって。

 ヒーロー飽和社会……と言うが全く仕事できてないヒーローを減らすためにもできればチームアップを円滑に組みたいという話も合って、んじゃそこを俺が埋めればいいやんって考えに至ったのだ。

 

 みんなの隣にいたい。

 そんな俺の目指すヒーローの形に一番近づけるのがこれだと思ったので、マウントレディにはその点をしっかり説明して納得してもらって、俺たちはさっそくヒーロー事務所を立ち上げた。

 まだ業務内容は手探り感もあるけど、これもなかなか楽しいもんだ。今の所来月まではチームアップの斡旋で大体埋まってる。俺と峰田が本気で回ればいけないところないしな。ワープしますし。

 

 

 はい。俺と峰田の話はこの辺りで。

 次にお互いの彼女の話をしますか。まず峰田の彼女、梅雨ちゃん。

 彼女はウチの事務所に紹介OKのヒーローとして登録もしてくれてるが、基本的には水難レスキューの方でヒーロー活動したいという想いもあり、セルキー事務所でサイドキックすることになっている。

 1年契約という事なのでそれが終わったら独立するんだって。そん時は手伝ってあげよう。

 なお峰田とは現在同棲しています。20歳になったら結婚予定だって。

 ……まぁ別にいいんだけどね。そりゃ雄英色ボケ世代と呼ばれた俺たちの中でも一番平和なカップルとして在り続けた二人だし。末永くお幸せになってほしいと俺も願う所存だし。峰田の事を宜しくとも思うし。でもウチのヒーロー事務所の仕事時間は9時17時で8時間は俺と一緒にいるし寝る時間を除けば俺の方が峰田とは一緒にいるからいいんだけどね。

 

 さて次に俺の彼女……というか、愛を交わしあった女性たち。

 透ちゃんと百ちゃんと明ちゃんと、あと冬美さんと優さん*1と切奈ちゃんとパンさん*2と、二つ学年下でヒーローに憧れて雄英に入学したこだまちゃん*3ですね。

 

 ……うん。

 はい。

 節操のない男で本当にごめんなさい。

 みんな心から愛してるし戸籍関係とか結婚関係とか住まいの関係とか世間の風評関係はこう……百ちゃんのご実家にお世話になっていい感じにしてもらってるから。責任は取るから。

 今は超広い豪邸を八百万家からプレゼントされてそこでみんなで暮らしてます。夜のお付き合いも計画的にしてるから……(震え声)。

 

 まず正妻である透ちゃんはイグジスト事務所で働いてくれている。

 俺から目を離してはいけないということでサイドキックの話を蹴ってこちらに来てくれていた。有難すぎる所があります。俺も透ちゃんから離れたくないです。正妻。

 百ちゃんはなんと女子大に進学した。ヒーロー免許は取ったからウチの事務所に登録はしてくれてるけど、ヒーロー活動のかたわら大学で教員免許を取って将来的には雄英で教師をするらしい。

 で、明ちゃんもなんとそれについて行った。というよりこの二人は余りにも発明力、創造力が高まり過ぎて世界のバランスが崩れることを懸念されてなんか政府とかそういう方からも話が通って、雄英に勤める形でまとめて管理したいのだと。二人ともある意味そっちの方が自由だし教師も興味あったようなのでそちらに進路を向けたとのことだ。

 俺の嫁のうち3人が女教師ってすごい(欲望)。

 

 冬美さんはそのまま小学校教師を継続中。月に2~3回は轟家に一緒に帰ってみんなで飯食べてます。

 優さんは今やビルボードチャート2位の超有名ヒーローだ。俺と峰田があらゆる事件でインターンで活躍した結果マウントレディの名が世界中に広がりました。無限に茶化し続ける俺達の面倒を3年間見てもらってホントありがたい。頻繁にチームアップしてます。

 切奈ちゃんはサイドキックからの独立の予定だって。お互い愛してるけどそれはそれとして生き方はお互いに縛られなくていいよね? ということで。彼女らしいですね。すき。

 パンさんはイグジスト事務所の事務員として働いてもらってる。ちょうど雄英に避難してた頃に大学生だったパンさんとその後も交流を深めて、大学卒業の時にヘッドハンティングさせてもらったのだ。縁故採用バッチコイ。

 こだまちゃんはまだ雄英高校二年生。花のJKである。楽しく学生生活しているようです。植物を癒す力→地面に個性を通して植物を生やして操る力、と個性が伸びてて、んで丸太を振り回す剛腕で中々の活躍をしている。こだまちゃんだけはまだ寮生活だけど今は俺らの時とは違い寮生活もカンヅメではなくなり外出、外泊届は簡単に通るようになったので結構な頻度で家に来て自分の部屋に泊っていく。相変らずちっこいけど可愛いんよ。

 

 女性関係周りの説明だけでこんなにかかることある??

 

 


 

 

 説明ターン疲れたのでいったん休憩。

 オレオをつまみながら、俺は棚からファイルを取り出して事務所に登録しているヒーローのリスト一覧を眺める。

 もちろんPCの中にもデータは入ってるけど、すぐ手に取って確認するのはファイリングが一番だ。

 

「……デリバリーに登録してくれてるヒーローが500人超えたけど、これでもまだまだ足りねーなぁ」

「そーな。オイラやお前が速攻で派遣先行って解決したっていいんだけど……結局突発的なヴィラン事件の解決ってよりも色んな仕事の助っ人で呼ばれること多いもんなー。大型施設の掃除とか建築の手伝いとかで……」

「まぁ広義的な解釈で言えば公務員だしな俺たちヒーローって。人たちが困ってるのを助ける何でも屋みたいなもんで、ヴィラン退治だけが全部じゃねぇしな。そういう意味でも派遣先とかやれること色々もっと詰めていきたいな」

 

 ぺらぺらとファイルを捲りながら、目についたやつらの現状について。

 

 緑谷。

 こいつは独立した。世間的にもOFA、オールマイトの力を継いだヒーローとして相当名前が売れてたが……サイドキックでどこかの事務所に行くことはなく、デク事務所を設立。設立の時にめっちゃ手伝ってやった。

 で、麗日ちゃんもそこのヒーローとして登録して、二人で切り盛りしながらやってってるって話だ。

 ……あ、麗日ちゃんってもう呼べないのか。卒業して即結婚したからなアイツら。緑谷お茶子か。ウラビティってヒーロー名どうすんだよってクラス全員でツッコんだのが懐かしい。まぁ麗日ちゃんでいいやまだ。慣れないし。

 麗日ちゃんのご両親の経営してる建築会社が二年前の災禍戦線の後の建築ラッシュでかなり右肩上がりの業績になり、そこの手伝いを緑谷も積極的にしてたことでご両親の覚えも相当よかったらしい。二人とも幸せになれよ。

 ところでデク事務所の事務員にメリッサさんの名前があるんですがそれは。

 

 爆豪ちゃん。

 こいつはミルコと同じフリーで動くタイプのヒーローになった。

 人脈も出来てるし天才マンだからほっといたって仕事はするんだろうけどな。勿論イグジスト事務所にも登録してもらってるんで割と雑に難しい依頼はコイツに投げさせてもらってる。

 災禍戦線の時の活躍は世間にも知れ渡り、その後二回行われた雄英体育祭でも緑谷OFA100%とのガチタイマンで勝ったシーンなども見られててまーあ世界最強はコイツかもな。俺とミリオ兄さんを除けば。

 目指すはナンバーワンヒーローらしいけど俺を超えられるかな。ふふふ。あ、俺いまビルボードチャート1位です。プロヒーローになった4月のビルボードチャートでトップでした。多分歴代破られない記録になるよ。

 まあ俺自身は別に一位に拘りとかはないんで。爆豪ちゃんのこれからの活躍に期待しよう。

 

 轟焦凍。

 こいつはエンデヴァー事務所を父親から引き継いだ。実力もエンデヴァー以上であることはハッキリしてたしね。卒業と同時にエンデヴァー事務所の取締役に就任している。

 で、それと同時にエンデヴァー事務所をエンデヴァー……わかりづらいな、お義父さんと呼ぶか。お義父さんが引退した。焦凍の卒業を待ってた、っていうのが正しいかな。

 プロヒーローを引退したお義父さんと、冷さん……お義母さんは、これから仏教の修行をして出家する予定だ。

 これには燈矢さんの件が絡んでいる。災禍戦線の半月後に亡くなった荼毘……燈矢さん。今は一応義理の弟って立場になるのかな、俺は。

 社会の事態がある程度収束した時点で、荼毘が息子であったことを世間に公表。同時にヴィラン連合による被害に遭われた方々に私財をほぼすべて投じての賠償を行い、道義的責任を果たした。

 この件について世間の声は賛否両論と言ったところではあったが、同時にビルボードチャートのノミネートから除外する扱いになる事と、近いうちに引退になることを発表して、しばらくたったところで世間はお義父さんを忘れていった。

 すぐに世界同時多発テロが起きてそれどころじゃなかったしね。それらの事件でもきっちり仕事はして世界を救う一助になったし、憑きものが落ちたように誠実になったお義父さんにいつまでも悪意をぶつけるほど世間も暇ではなかったのだ。

 エンデヴァー事務所を引き継いだ焦凍も縁故採用ではなく、実力でその席を勝ち取ったことを分からせるようにインターンやチームアップミッションで活躍しまくっていた。『轟』の誇りを胸にこれから頑張るんだ、って卒業式のときに言った焦凍の笑顔が実にイケメンで胸に残っている。頑張れよ、困った時はいつだって手伝うからな。

 

 飯田。

 こいつは卒業後にインゲニウム事務所を再興することになった。お兄さん……インゲニウムさんは今は四肢麻痺などの重度障害に苦しむ人たちの支援をするヒーローという新しい道を歩み出しているが、以前にインゲニウムさんが組んでいたチームでの活動は3年弱停止していた……が、それを飯田が引き継ぐ形となった。

 まぁ世界最速の男だからな。でもヒーロー名は『テンヤ』のままで行くんだって。天に哉る。よくよく考えたらめっちゃかっこいいネーミングだな? って俺も慣れてきたらなったし。誰よりも速く事件を解決するヒーローとしてこれからも活躍することだろう。

 まぁスピード解決って言う面だと俺もライバルだからな。ワープで飛び込める俺に正面から負けないぞ! って言ってこられる委員長はやっぱすげえよ。

 随分と柔軟な考え方もできるようになったからしっかり再興できるだろ。今日の体育祭の後に行われる同窓会で困ってないか聞いてやろ。

 

 ……うん、他にもA組のみんながそれぞれの道を歩んでいる。

 全部記すとマジで終わりが無くなるからあれだけど、あと数名ピックアップするなら……青山か。

 あいつはご両親と共に、ちょっと特殊なヒーローの道を歩むことになった。

 AFOの奸計による被害に遭った人たちへの支援団体を私財で立ち上げ、その支援を行っているのだ。

 俺が無力化して、結局死刑になったAFOだけど……やっぱアイツの残した爪痕ってのはかなり深くて。さっき言ったようにシンパがその後に続くように事件を起こしたりしてたしな。

 で、それで被害に遭った人たちの被害者友の会みたいな会社をご両親が設立して、そんな人たちの救いになるようなヒーロー活動をしたいそうだ。

 イグジスト事務所に登録もしてもらってるけど、むしろ逆に俺の力を頼られることも多い。勿論俺も応えてる。前を向けたアイツを、俺はこれから先も応援してやりたい。

 

 あ、あとアレだ。相澤先生と白雲さんだ。

 相澤先生は俺らの卒業式を見届けたのちに教職を休職。同時にマイク先生も休職し、俺らA組に留年して編入して一緒に卒業できた同級生の白雲さんと一緒に新たにヒーロー事務所を立ち上げている。

 またこれもとんでもねぇことだよマジで。昔からの夢だった猫のいるヒーロー事務所にしたんだってさ。俺も一度挨拶に行ったけどめっちゃにゃーにゃーしてた。白雲さんを寮生活のうちに緑谷爆豪ちゃんに続く掃除マンに改造しておいたから掃除は多分大丈夫だろう。

 この後しばらくは3人でヒーローやって、また教職に戻るかどうかはこれから次第だって話。でも白雲さん自身も教師やってみたいと話してたのも寮で聞いたことあるし、もしかするとまた3人で教師として雄英に戻ってくるかもしれない。

 因みにエリちゃんはミッドナイト先生が身元引受人ということで正式に養子扱いになり、香山笑理となった。名前の漢字は戸籍登録する時に笑っていてほしいというみんなの願いを込めてそれになった。けどミスジョークの名前と被ってない? とは口に出さなかったけどね。

 今は雄英付属小学校に通ってます。相澤先生のヒーロー事務所のすぐ近くにある学校だから相澤先生もかなり気にかけてやってるみたい。早く結婚しろ(圧)

 

 あとB組で言うと物間と拳藤ちゃんが事務所立ち上げて頑張ってる。

 アイツらいつの間にか付き合ってた。かなり隠してたんだけど駆け落ち事件でそれがバレて物間は責任を取ることになった。永遠に尻に敷かれるなアイツ。

 あ、心操は無事塩崎ちゃんに捕まりました。二人ともラーカーズの一員になって働いてます。渋谷はラーカーズの街になったよなぁ。俺達のお陰な所もあったと思いますね。

 

 駄目だ! クソ長くなる!!

 はいはい説明ターンおしまい!!

 俺はぱたりとファイルを閉じて、時計を見て時間を確認する。

 朝の9時にもう間もなくなろうとするころ。もういい時間かな。あと30分で体育祭の一年生の開会式が始まるころだ。

 今日はウチの事務所は休みなのでパンさんは自宅だし、透ちゃんはA組女子で前日に集まって一泊して、直接雄英に行くという話で先に行っている。

 この事務所を待ち合わせ場所にして集まったのは俺と峰田だけ。なので戸締りだけ確認してと。 

 

「よし、んじゃ行くか」

「おう」

 

 俺は峰田の手を取って、1カ月ぶりの雄英高校へワープした。

 

 


 

 

 A組のみんなと再会して、まぁ一カ月ぶりなんでなんも変わってないみんなの姿に安心して、緑谷夫婦を茶化して、パトロールしながら生徒達の活躍も見て、観客の皆さまの視線を集めるためにチアガールコスを見せて脳破壊して、先生たちにも挨拶して、こだまちゃんが決勝で負けちゃったので慰めて、他にも色々いつものA組のノリで楽しんで。

 

 そしてその日の夜。俺たちA組は飲み屋を貸し切り、同窓会を開いていた。

 

「まぁ俺らまだみんな未成年なんで酒飲めねーけどな」

「あ、でも考えようによっては俺34歳じゃね? 酒チャレンジいけね?」

「肉体年齢で考えたまえ白雲くん! 今日は全てノンアルコールにしてあるぞ! ヒーローたる者法令は順守しなければ!」

「大学だと新入生歓迎の飲み会などで未成年でもお酒を飲ませてしまう文化があるようでしたわ。勿論わたくしはお断りしましたが」

「吞めるようになったらみんなでお酒飲んでみたいねー!」

「絶対義兄さんは悪酔いするだろうなって確信があるんだよな」

「どーだろね。酒は流石に試したことねぇからな……」

「ケロ。実ちゃんは体のサイズ的にお酒は飲んじゃダメね」

「オイラも分かってるから大丈夫だ梅雨ちゃん。イクノが酔っ払ったときのフォローも今から考えてる」

「相変らず隣に在り過ぎだろ」

「幾野の周りみんな甘やかすからな……」

「寮生活が終わってもうブレーキかけられないもんね僕たち。峰田くん、大変だったらいつでも呼んでね」

「サンキュな緑谷」

「どうして」

「お前が3年間でやらかしてきた事件の数を数えてから疑問に思え??」

「ビルボードチャート一位のヒーローが余りにも問題児すぎる」

「過去最高に日本が水面下でヤバい状況だからね……」っっっ ←汗の表現

「みんな頑張って早急に幾野くんを落としてほしいね」

「ケッ! すぐに俺が一位奪い取ったるわァ!!」

「つーか何しなくてもイクノは落ちるんじゃない? 本人が表に出ないタイプの仕事じゃん?」

「芦戸ちゃんの言う通りなんよね。ぶっちゃけ今は話題性だろうしその内落ち着くでしょ。俺も気にしてないし」

「チームアップ中の生放送とかで名前は売れてるしねー。センちゃんや峰田くんのグッズ売り上げもかなり高いし」

「その分メディア出演とか話題性とか社会全体の在り方考えてるからなオイラ達」

「チームアップの斡旋は助かるよなー、どの地域が忙しいかとか分かるし縁も広がるしな」

「他のヒーロー事務所が何やってるかも見れるの助かるよなー」

「事務所立ち上げてすぐってかなり忙しくて……その辺りも支援してもらってるからすごい助かってるよ。ね、お茶子さん」

「せやね、やっぱ何でもできるセンくんは便利や」

「俺の体がいいように使われている」

「本望だろ」

「あ、そーいや緑谷は麗日と結婚したんだよな。式いつごろになりそう?」

「おー、そうだそうだ結婚式! 絶対行くからねェ!」

「うん、事務所の立ち上げも落ち着いてきたから……来月くらいで予定立ててるんだ。本決まりしたらまた連絡するよ」

「でへへー、照れるなー! 絶対みんな呼ぶからね!」

「麗日はウェディングにするの? 白無垢?」

「どちらも似合いそうですわね。ご祝儀はいっぱい包まなければ」

「ほどほどにしといてねヤオモモ!?」

 

 料理が並べられてみんなが思い思いに飲み物を注文しながら、無限に話は膨らんでいく。

 A組で過ごした3年間……そのうち2年半以上を寮で共に過ごした仲だ。

 だからこそ、卒業して一か月という、それぞれが歩み出した時間が新鮮で……その話をするだけでいつまでだって話し続けていられそうになる。

 雄英で過ごした3年間で、家族のようにともに生活してきた仲だからこそ。

 このつながりはきっと一生無くなることはないんだろうな。ヴィラン連合のクソ襲撃によって始まった寮制度だけど、これだけはマジであってよかったと心から思う。

 ヴィラン連合撃退した後に寮制度終わりにするかっていう案が学校側から来たけど全生徒の反対があって継続することになったという経緯がある。特にヒーロー科は強かった。横のつながりがモノを言う世界だからなヒーローは。

 

 さて、みんなの飲み物も揃って、委員長による乾杯の音頭が始まろうとしたそんな時だ。

 

「んむむむむ」

 

 もうずっと体内に埋め込んである俺のダイブセンサー宛に着信が入った。

 

「む……電話か幾野くん?」

「タイミング悪ィなオイ」

「……いや、違ぇ。ダイブセンサー宛なら仕事の緊急依頼だ」

「マジか峰田」

「ちょっとゴメン、先に乾杯しちゃっていいから……もしもし」

 

 俺は乾杯を前にしてちょっと席を外す。

 連絡してきた人を確認すれば公安委員長で。一気に意識が切り替わった。

 唐突な依頼が来るのが俺の事務所の特徴だ。業務時間外は表の連絡網は閉じてるが、有力ヒーローや公安などにのみ知らせている緊急コールは24時間受け付けている。

 話を聞けば……マジかよ。

 

「……ごめんみんな。()()()()()()?」

「ん。どんな事件だったの幾野くん」

「雄英体育祭で俺ら含む有力ヒーローが一か所に集まってるの見越していくつかの指定ヴィラン団体がつるんで東京で大規模なジャック事件起こしやがった。東京駅にいる市民全部を人質にしてやがる」

「ッ!」

 

 俺の言葉にみんなが息を呑んだ。

 はぁー……マジでさぁ。ヴィラン共はさぁ。想像力欠如しすぎだろ。

 俺たちA組が一か所にまとまってる時にそんな事件起こして無事に済むワケねーのによ。

 

「ヴィランの規模は!」

「64人。センサー表示させる。向こう行ったらさらに詳細に精査するわ」

「幾野、俺のワープゲートはどこ開ける?」

「俺のワープで閉所での速攻が利く緑谷と爆豪ちゃんと峰田、建物内索敵に耳郎ちゃん連れていきたい。白雲さんは駅周辺と、あと敵がジャックしてる駅の管理室に上鳴持ってって。みんなに俺の無視個性通しとくわ、規模が規模だし」

「了解。向こう行ったら万が一がないようにウチも聞いて精査するよ」

「フム……店員さん、大変申し訳ありませんがこのテーブルはこのまま保全しておいて頂けますか。料理が冷めてしまうことは心よりお詫び申し上げますが、必ず戻ってきますので」

 

 全員の目つきが緊急事態と聞いて一瞬で切り替わった。

 3年間磨き続けて来た実力と、インターンで積み重ねた事件への判断力、対処力。

 世界で最も強いヒーローチームが俺たちA組だ。

 俺抜きになるとB組の方が強くなるけどね。まぁ今日は俺がいて、みんなもいる。

 ヴィランも馬鹿だね。俺がいる以上、デカい事件起こしたらどこで何しても俺が駆けつけちまうってのによ。

 俺はどこにでも存在する。イグジストだからな。

 

「助かるよ。んじゃ動こう……百ちゃん」

「インカム20個。すべてセンさんのダイブセンサーに繋いでおります。映像も端末に」

「ヒーロースーツじゃないけど幾野の個性通されてりゃ心配いらねぇな!」

「全く、せっかく久しぶりに集まれた時間を不意にしてたまるかってんだ!!」

「速攻ブッ殺して戻ってくンぞ。俺が頼んだ四川麻婆が冷める前になァ!!」

「好きだね相変らず」

 

 腰を上げ、靴を履き、インカムを耳に着け……俺たち21人はヒーローとして現場に向かう。

 みんなに向けて俺が手を伸ばして……それを、みんなが掴んでくれる。

 俺はもう一人じゃない。

 峰田がいて、彼女たちがいて、A組のみんながいてくれるから。

 俺たちにできないことなーんもない。

 

 

 ─────さ、行くか。

 ヴィラン共に目に物見せてやろうぜ。

 

 

 もう大丈夫。

 

 ────────俺たちが来た!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 END

 

 

*1
マウントレディの本名が岳山優。ヒーローとしてではなく女として付き合う時はこっちで呼んでる。

*2
ドスケベ一般女性。あの人名前原作で公表されてないのでとりまセンちゃんはこう呼んでるみたい

*3
マウントレディや緑谷と一緒にチームアップミッションで行った村の巫女の子






これにてセンちゃんのヒーローアカデミアの物語は完結となります。
マジで好き放題書きたいものを書き続けて終わりを迎えられたことにほっとしております。

出落ちみたいなお話を最後まで書き続けられたのはこの作品を読んでくれた皆さまの温かい感想と応援と素晴らしいファンアートのお陰です。
長らくご愛読いただきましてありがとうございました。


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