――どのような影響を我々に齎すのだろうか。

と言う名の、心中おしゃべり口調かっこつけクソオタクの独白


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炎元素キャラの一覧を見てたら思い付いただけの話です。続かない。



神の目・炎の項

 

――神の目、と言うものをご存じだろうか。

 

 このテイワットに溢れる、元素力という摩訶不思議な力を引き出すためのものだと言われている。

 遥か昔、人々は神々に信仰を捧げ、この元素という力を操るに至ったらしい。

 元素には種類があり風、岩、雷、草、水、炎、氷の七種類。神の目はそのどれか一種類のみを引き出すことができるとのことだ。

 噂によると、人の願いが一定の強さに達した時、神の視線がその者に降りそそぎ、「神の目」が現れる……と聞いている。

 

 話の種として出しておいて、何一つとして確証のない言い方だなと思われるだろう。それはもっともな疑問だが、仕方ないことでもある。なにせ私はしがない小市民であり、神の目など持たない民衆の一人でしかないのだから。

 情報を集める事すら苦労する一般の民草としては、そういった噂話や伝聞でしか知り得ないのだ。その正確性は、推して知るべしであろう。

 そういった噂話の中の一つに、神の目を持つものはみな似通った性質を持つ。なんてものもある。炎元素を持つものは活発で情熱的だ――とか、水元素を持つものは穏やかで冷静だ――とか。眉唾な話ではあるが、私の知っている神の目を持つものたちを想像するとあながち間違いであるとも言い切れないのだ。

 

 例えば今、私が璃月港を眺めている場所である玉京台。

 その片隅の机でとある老婆と語らっている少女の腰には、炎の元素を示す紅色の神の目が吊るされている。彼女はこの璃月でも有数の法律家で、どんな些細なことも見逃さない厳格な方である。だが、それでいて意外と感情的でもある。

 あれは何時だったか。偶然通りがかっただけなのだが、相席している友人らしき方に食事を一品食べられたようで涙声で喚いているのを見たことがある。あの時は、彼女もそのような表情をするのだな、と驚いたものである。いや、なにせ私はそれまで仕事中の彼女しか見たことが無かったのだ。驚くのも無理はないだろう。

 

 閑話休題(それは兎も角)

 

 今も老婆と語らっている合間に、ここから見ても暖かそうな食事に頬を緩ませているのを見るとあちらが素の彼女なのだろうと思う。仕事と休日の顔が違う人と言うのは数多いるが、ああも変わるの人は中々お目にかかれない。それだけ、公私がハッキリ分けられているという証左でもあるのだが。

 それにしても、あのように美味しそうな食事をしているところを見ているとこちらも何か食べたくなってしまう。他人に影響を受けるのは人の性、こればかりは誰に止められるものでもないだろう。私の意思を無視して暴れる腹の虫を落ち着かせるためにも、これは要望通り食事に行くしかあるまい。

 そうと決めた私は足早にその場を離れ、市井に身を投じる。

 

 ◆

 

 黒背スズキの唐辛子煮込み、と言う料理がある。今私が食事に来ている万民堂の名物料理であり、炎元素のような赤い料理でもある。唐辛子の赤を用いたその料理は当然のように強く舌を刺激する。辛いものを好き好んで食べているわけではないが、今はそういうものが食べたい気分であった。

 おそらく炎元素の影響を受けたのだろう、と言ってみたり。実際に影響があるかは知らないが、そういった視点から見てみるのもまた、面白い考察を導けるかもしれない。新たな発見とは、そういった奇抜なところからも見つかるものだ。

 

 そうそう、確かこの店の店主――卯師匠だったか。その娘さんが炎元素の神の目を持っているとかいう話をいつかに聞いた覚えがある。確認のため彼女の姿を探してみると、どうやら友人たちと思わしき者たちに笑顔で料理を振る舞っていたようだ。そんな彼女の腰には、これまた綺麗な紅色の神の目が見えるのが分かる。

 美食に身分の区別はない、と彼女は言う。誰であろうと、美味しいものを須らく食べる権利があると。暖かいその心は、幾人もの人々の心とお腹を救ったことだろう。無論、私とて例外ではない。初めて振る舞って貰った時は、その熱意あふれる料理に感動し言葉を失ったものである。

 この黒背スズキの唐辛子煮込みも、彼女の苦労の末の賜物だと聞いている。私にはその苦労や難しさを知る由もないが、時折客がいる訳でもないのに熱心に調理する姿を見ていると、なるほどこれだけ美味な料理ができたというのも納得の出来である。

 私は溢れ出る汗を袖で拭きながら、食事を進める。ホロリと崩れる柔らかい魚の身に、唐辛子の辛さが相まって手は止まることを知ってくれない。この味はここでしか味わえない、秘蔵の一品と言えるだろう。

 

 そして驚くべきことに、料理を振る舞っていたその友人たちも炎元素の神の目を持っているというではないか。神の目の話をしている最中にこうも見かけることができるとは、実に数奇な巡り合わせである。これもまた神の恩恵ということなのだろうか。私は神の目を授かっていないが。

 この璃月ではあまりみない奇抜な恰好をした少女と、梅の花の飾りを帽子に付けている少女。私の記憶では音楽家と葬儀屋だったはずだが、彼女たちの友人関係というものにはその肩書はあってないようなものなのだろう。

 

 音楽家の少女は、確かロック……?なるものを題材とした派手なライブを主としていると嘗てパフォーマンス中の本人が言っていた。元素を操ってまで行うライブは、他の人物には真似できない彼女唯一無二の芸術と言えよう。派手派手、と言うヤツである。

 彼女の音楽は激しく、情熱的だ。私は音楽に詳しくないが、彼女の音楽が既存のそれと違うことは容易に分かる。一見すれば粗暴で乱雑と思う人もいるだろうが、よくよく聞けば彼女の歌には一本筋の通った芯が聞こえてくるはずだ。偏見や拒絶にも負けず高らかに歌い続ける彼女の姿は、まさしく活発で情熱的なお方である。

 今の彼女は楽しそうに歓談しており、私が汗を掻きながら食べている黒背スズキの唐辛子煮込みを涼しい顔で食べている。炎元素の神の目を持つ人は、熱に強かったりするのだろうか。汗でじっとりと湿る服を思うと、少しだけそれが羨ましく思える。

 

 そんな私の足元で、何やら動く影が見えた気がする。何かと思いそこを見てみれば、飲み物を入った器を持っている茶色の小動物――皆がグゥオパァーと呼ぶ存在がこちらを向いていた。

 グゥオパァーは一体どのような存在なのか全く持って検討が付かないが……この存在が今、私を心配してくれているのは確かである。いつも傍にいる料理好きな彼女に似て、どこまでも優しい食いしん坊だと言うのはとっくの昔に分かっている。

 私はグゥオパァーに礼を言って器を受け取ると、その中身を一息に飲み干す。冷たく、爽やかなのどごしが私の口の中を癒していく。うむ、やはり水分は命の源。心なしか涼しくなった気がする。未だに舌がヒリヒリと痛むが、幾分かマシになったと言えよう。

 

 葬儀屋の彼女はいたずら好きだ。

 なぜか私は気に入られているのか、度々驚かされる。私はその度にやめて欲しいと伝えてはいるものの……聞き入れてもらえたことは一度もなかった。お陰で彼女の姿を見たら警戒するようになってしまった。……まぁ、その警戒が意味を成したことは無かったが。

 急に驚かしてくるのはとてもやめて欲しいのだが、それ以外は非常によくできた御仁でもある。言動は些か軽いが……あの若さで堂主を務めているのだから、摩訶不思議と言うわけでもない。

 肉親の葬儀を頼んだ時は、その堂々たる姿に思わず感嘆の声を漏らしたものである。あれは正しく、葬儀という仕事に誇りと情熱を注げるからこその姿だろう。今、新しくいたずらを思い付いたのか悪い顔をしている彼女とは同一人物と思えない程その雰囲気は凄まじかった。

 できればいたずらは控えて欲しいが――これもまた、彼女の持つ魅力なのだろう。他人が強制できるものでもない、その人だけの生き方だ。だから、まあ……少しは驚くのを我慢する訓練でもするとしようか。結局のところ、私も彼女のことが嫌いと言うわけではないのだから。

 

 これが私の知っている炎元素の神の目を持つものの全てだが、どの人物にも活発で情熱的な面があるのが分かってもらえたと思う。元からそういった性格だったのか、それとも神の目の影響なのか。謎はまだまだ多いが、今回はこれくらいで話を終わろうと思う。

 食事を終えた私は、料金を支払い席を立つ。飲み物に入っていた氷を音楽家の少女の首筋に当てようとしている葬儀屋の少女を尻目に、そそくさと立ち去る。後ろで悲鳴が聞こえた気がするが、下手に関わらぬ方が安全だというのは葬儀屋の彼女を知っている人の共通認識である。

 長々と語ってはいたが、今日と言う日はまだ続く。昼下がりにどこへ行こうかと思案しながら、橋の上から海を見る。煌めく海面は、騒がしい地上と比べて実に穏やかであった。

 本日の璃月港も――実に平和だ。

 





とある法律家
「彼かい?」
「仕事で数回話したことはあるくらいだけれど、あの若さで私に何度も仕事を頼めるくらいには稼げているらしいね」

万民堂の娘
「え?あの人?」
「定期的に来てくれる常連さんだよ!いつも静かだけど新しい料理も積極的に食べる、意外にも挑戦的な人なんだ!」

反逆の音楽家
「あいつか?」
「離したことはないけれど、アタイのライブに通りがかった時いつもじっくり聞いていってくれる良いやつだぜ!」

詩人の葬儀屋
「彼?」
「面白い人だよ!びっくりした時は猫みたいに飛び上がるの!文句は言われるけど、怒らないしなんだかんだ許してくれるからついからかっちゃうんだ。」

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