時は戦国・乱世の時代
後に伝説と呼ばれる刀鍛冶「四季崎記紀」という男がいた。
(………えっ?伝説って?…………あぁ!)
彼は刀身はもちろん柄、鍔など刀にまつわることをたった一人でやってのけた天才であった。
彼の創る刀は「変体刀」と呼ばれ、その素晴らしい出来と特異的な力を持つという。
変体刀は四季崎の手で1000本打たれ、国中にばら撒かれた。
刀の一本一本が強大な力を持つゆえに「変態刀を多く持っている方が戦に勝つ」と言われるほどであった。
後に旧将軍が天下を治めた際、変態刀に執着した将軍が稀代にの悪法とも言われた刀狩令を発し、国中の刀を集めようとしたことを見ても、四季崎記紀の創る刀がどれほど価値のある物かわかるだろう。
刀狩りにより、旧将軍は全国から合計10万本の刀を集めることに成功。しかし、変体刀は1000本のうち98
旧将軍が集めることが出来なかった12本の刀は最も完成度が高く「完成形変体刀」と呼ばれ、四季崎が作った1000本のうち988本はこの12本を打つための試作品であったと言われている程だ。
その12本の刀は、1本で大群を全滅させるほどの力を持ち、1本で国が買えるほどの価値がある。
時は流れて、尾張時代。
今、かつての将軍が集めることが出来なかった12本の刀をめぐり、とある2人の男女が、幕府が、忍者が、刀の力に魅入られた者達の人生が大きく動く。
これは、そんな刀をめぐる人々の運命を記した物語である。
さて、聡明な読者諸君。ここまで読んでいて違和感がなかっただろうか?
かつての将軍が集めた刀は987本。そして、完成形の変態刀は12本だ。
……………………一本足りなくね?
………実は、変体刀に魅入られた旧将軍も
その変体刀の見た目は、刀というよりも不格好な鉄の塊という様な見た目で、刀そのものに殺傷能力はなく、特殊能力もないように見えた。
後に、この刀について四季崎はこう語った。
「あの刀は、完成度で言えばあの12本の刀にも引けを取らねぇだろう。だが、あの刀には欠点がある。それは、あの刀が使用者の魂を求めていることだ……いや、魂を吸う妖刀なんかじゃねぇよ。魂そのものを使用者としてみてるんだ」
「刀は使用者を選ぶって言うが、それは使用者の腕や心待ちなどを見て刀自身が『こいつになら使われてもいい』と思うから成り立つもんだ。腕やら心持は日々の鍛錬や気の持ちようで結構変わっていくもんだ。だが、魂は違う。魂は生まれた時からもう決まっているもので、そいつがどうあがいても変えることのできない不変のものだ」
「俺が見た限り、あの刀は『とある人間の魂』を求めている。つまり、その個人にしか使われたくねぇんだな。だからそいつ以外には使えない、ただの鉄の塊になっちまう。言ってみりゃあ、あの刀は『とある奴専用の刀』ってわけだ……そいつが誰かって?知らん。俺も個人の為に作ったわけじゃないんだがなぁ…そのとある奴が刀と巡り合えるかもわからんから、あの刀にどんな力が秘められてるのかもよくわからん」
「……ただ、あの刀を作るとき、急に頭の中に刀の名前と形が浮かんだんだよなぁ……あれは、何だったんだろうなぁ……あの刀の名前?あぁ、あの刀は――――――
ここは、とある無人島・不承島。
一見何の変哲もない島であるが、この島はただの無人島ではない。かつての大乱の英雄・鑢六枝が、その拳法の強さを恐れられ、将軍に一家丸ごと島流しにされた島である。
その島の森の中で、2人の男が対峙していた。
男の一人は、かなりの長身であった。ボロボロの布を身に纏っており、その布の間から見え隠れする鍛え抜かれた肉体から、只者ではないことがわかる。
この男の名は「
英雄・鑢六枝の息子であり、刀を使わない剣術「虚刀流」の七代目当主である。
もう一人の男もまた、ボロボロの布を身に纏っていた。
しかし、先述の男との違って腰にのみ布を巻いている状態で変態度はこちらの方が高かった。
そして、この男の見た目は、鑢七花と瓜二つであった。
双子だろうか?いいや違う。
この男の正体は、暗殺専門の忍者集団・真庭忍軍の十
真庭蝙蝠は、「忍法・骨肉細工」によって自身の肉体を変化させ、他人に成り代わることを得意としている。つまり、真庭蝙蝠は忍法によって鑢七花の姿となっているのだ。
真庭蝙蝠の右手には一本の刀が握られていた。
その刀こそ、完成形変体刀の1本である「絶刀・鉋」
頑丈さを主眼におき、絶対に折れたり切れ味が落ちたりしないという刀であった。
さて、この2人が対峙している理由は完成形変体刀を12本全て集めようとする2人組と忍者軍団の戦いなのだが、詳しく説明するとややこしいため割愛する。ぜひ原作かアニメ本編を見て欲しい。
「虚刀流七代目当主・鑢七花。押して参る!」
そう言って七花が構える。
その構えは空手でも柔道の形でもない、虚刀流独特の構え方であった。
「きゃー!!格好つけてんじゃあねーよッ!!」
対する蝙蝠は、その構えと発言を笑い、大地を蹴り上げて高く跳んだ。
「だだだだだだだだだだだだああぁぁぁぁぁぁ!!!」
蝙蝠の笑い声のような、自分を鼓舞するような声が辺りに鳴り響いた。
『報復絶刀ッ!!』
絶刀・鉋の特性を活かし、大跳躍して袈裟懸け斬りを放つ奥義『報復絶刀』の構えを取る蝙蝠。
それに対して七花は不動の構えを貫き、迎え撃とうとしている。
重力に任せて下に落ちていく蝙蝠。3m、2mとその距離を縮めていく。
そして、刀の射程距離内に七花を捕えた時、鉋を振り下ろす。
“すぽっ!!”
振り下ろす寸前、気の抜けた音と共に蝙蝠の手から刀がすっぽ抜けた。
「なっ!?なんで……!!」
蝙蝠は思わず呟く。その声に動揺の色が見えるのは気のせいではないだろう。
「虚刀流の人間は代々剣術の才能がこれっぽっちもねぇんだよ!刀を使わない剣士なんじゃない、刀を
「ええっ!!」
七花の言葉に驚く蝙蝠。
それもその筈である。強敵である鑢七花の身体を真似ることによって身体能力を互角にし、絶刀・鉋を持つことで自分の方が優位に立つという目論見が裏目に出てしまったのだ。動揺するなという方が無理な話である。
「こ、この俺が…!!」
「くらえっ!虚刀流最終奥義!!ちなみに最終奥義とか言ったけどさ!なんでかってーと、これは俺が考えたばかりの必殺技だからだ!!」
焦りながら無様に落ちていく蝙蝠に向かって、必殺技の説明を聞いてもいないのに丁寧にする七花。
七花が放とうとしている技は『七花八裂』
1つ1つが開いてを両断するほどの技を七回放ち、相手を八つ裂きにする技である。
いくら裏世界で有名な真庭の忍者といえども、この技を1つでも受けてしまえば無事では済まないであろう。
『虚刀流・七花八裂!!』
下半身をどっしりと構え、腰のひねりを加えて掌底を繰り出す技、虚刀流一の奥義『鏡花水月』が蝙蝠の胸に炸裂した。
“バキィ!”という胸骨の折れる音が響く。
この時点で、蝙蝠のダメージは深いもので、一命をとりとめてはいるが、後一撃でも食らったら、蝙蝠は死んでしまうだろう。
しかし、無情なことに今受けた技と同等なものが後6回も続くのだ。身体が持つわけがない、蝙蝠は理解していた。
な、何とかしなくては……!!
蝙蝠はこの状況を打開する方法を考えた。
しかし、ダメージが深く身体が思うように動かない。自分ではどうすることもできないと蝙蝠は察した。
真庭蝙蝠は忍者である。
忍者は一人で行動する物ではなく、集団行動をするものである。
では、仲間の助けが期待できるのではないか?否、それは期待できない。
何故なら、真庭忍軍は特殊な忍者集団で、集団行動は好まずほとんどの頭領が単独行動を好んでいるからだ。
それは、蝙蝠も例外ではなく、この島にも一人で来たし、仲間にも行き策を教えてはいなかったのだ。
蝙蝠の頭の中に走馬灯が映った。その光景は、それぞれが我が強く、争いも絶えないどうしようもない連中だが、一緒に居るのは楽しいと思えた仲間と過ごした日々であった。
“あいつらと来ていたら、結果は変わったかもな―――”
なんとなく、蝙蝠はそう思った。
そんな蝙蝠に、虚刀流二の奥義『花鳥風月』が蝙蝠を貫いた。
“ポフっ♪”
七花は『ん?』と頭の中で疑問に思った。
自分の放った技の感触が、人を殴った感触ではないのだ。
これは、筋肉や骨の感触ではない。なんだか……毛むくじゃらの何かを殴ったような感触だ。
対する蝙蝠もまた、疑問に思っていた。
目の前の男の技が自分を貫いたはずなのに、痛みが全く来ないのだ。
一体何が起こった?その瞬間、両者の動きは一瞬だけ止まった
――――――その一瞬で、十分だった
「速攻魔法発動!!『閃刀機―ウィドウアンカー』!!」
そんな掛け声と共に、どこからか鍵づめの様なものが現れ、蝙蝠を掴むとそのままどこかへ行ってしまった。
「なっ!?」
突然の出来事に、七花は驚きの声を上げる。
今、なにが起こった?
技が上手く決まらないと思ったら、突然現れたよくわからない物に戦っていた男がさらわれてしまったのだ。誰だって驚くだろう。
『クリクリぃ~♪』
七花がなにが起こったのか考えていると、突然自分の隣から可愛らしい声が聞こえて来たのに気が付いた。
その声の方向を見ると、そこには人ではない小さい生物がいた。
その生物は、全体的に丸っこくて、茶色い毛で覆わていた。
――――なんだ、こいつは?
七花はこの島に20年以上住んでいたが、こんな生物を見るのは初めてであった。
消えた男に謎の生物。七花の頭はパンク寸前であった。
「残念だったな!俺はお前の攻撃の瞬間、手札の『クリボー』を捨てて、ダメージを無効にさせて貰ったぜ!!」
突如、混乱している七花の頭上から聞いたことのない男の声が響いた。
七花が上を向くと、そこには木の上に立っている2つの影が見えた。
影の一つは人間の男であった。
忍者の様な服装をし、首から銀の鎖をぶら下げている。なぜか腕にも鎖を撒いていて、なんだか銀々としていた。
そして、何よりも目に付くのはその髪型である。
一言でいえば……ヒトデの様な髪型であった。
そのヒトデ髪は、左腕に奇妙な鉄の塊を着けていた。
その塊は丸い形で、側面に長方形の鉄板がくっ付いていた。
もう一つの影は、人間ではなかった。
角の生えた獅子のような獣が男のそばに待機し、その獣は先ほどまで自分が戦っていたボロボロの男を背負っていた。
「………なんだ。お前は!?」
七花は唐突な新キャラに動揺しながらも男に問いかけた。
「フッ、名乗ってやるぜ!――――――
「俺は真庭忍軍十
そう、気の上の男――――真庭海星は叫んだ。
「……いやそのまんまかよ!?」
髪型の第一印象がヒトデであったため、本当にヒトデという名前に突っ込む七花。
……まぁ、気持ちはわからんでもない。
「蝙蝠之内くんをこんなに痛めつけて……許さないぜ!ペガサスッ!!」
突っ込む七花を無視して海星が言葉を続ける。
誰だよペガサスって………
「蝙蝠之内の仇は俺が取るぜ!………と、言いたいところだが、蝙蝠之内くんの傷の手当が最優先だ。ここは一旦引くぜ!」
海星はそう叫ぶと、左腕に着けた鉄の塊から何かを引いた。
あれは…札?
「俺のターン!ドローッ!!『幻獣王ガゼル』を生贄に捧げ『カース・オブ・ドラゴン』を召喚ッ!!」
「なっ!?」
目の前の出来事に、七原は驚愕した。
それもその筈である。海星が引いた札を左腕の鉄塊に叩きつけたかと思ったら、先程まで蝙蝠を背負っていた獅子が消え、代わりに目の前に黄金に輝く翼をはためかせた龍が現れたのだから。
海星は黄金の龍に蝙蝠と自らを乗せ、そのまま飛び立とうとしている。
飛び立つ前に、海星は七原をもう一度視界に収める。
「お前にはっきり言ってやるぜ――――――
「お前がどんなに強くても、俺達の結束の力には勝てないぜッ!!」ドンッ☆
「いや、意味わかんねぇよ!?!?」
七花の突っ込みが届く前に、海星は飛び立っていってしまったのであった。
何とも言えない表情になる七花。
「………あっ、変体刀」
とりあえず、七花は気持ちを切り替え、蝙蝠が落としていった鉋を回収するのであった。
「うぅ……」
カース・オブ・ドラゴンの上で、蝙蝠は苦しむような声を上げる。
七花の攻撃は途中で止まったものの、初撃はまともに食らったのだ。身体には相当なダメージが溜まっていた。
「大丈夫だ蝙蝠之内くん。すぐに里に着くからな」
そんな蝙蝠に、海星は優しく言葉を掛けた。
「ひ、海星…なぜ………」
蝙蝠は海星に問いかけた。
それは、何故自分を助けたのかという疑問だったのか。それとも、何故自分の居場所が分かったのかという疑問だったのか。はたまた、両方か。
そんな蝙蝠の問いかけに、海星は微笑みながら答えた。
「見えるけど、見えないもの」
――――意味、わかんねぇ…
気を失う前に、蝙蝠はそう思ったが、不思議と悪い気はしなかった。
その刀が求めている者は、決闘する者の魂
決闘者の魂を持たざる者にとって、それはただの鉄の板
しかし、決闘者の魂を持つ者にはその力を発揮し、使用者の刀となり、盾となるであろう
四季崎記紀は、その刀にこの名を与えた
その刀は、札を用いて相手と戦う姿がまるで遊んでいる様に見えたため、使用者は後にこう呼ばれた
――――――遊戯王…と
※呼びません
〇真庭海星
真庭忍軍頭領の一人。
元々はオドオドした性格であったが、ひょんなことから決闘刀・盤を手にしたら刀の毒で殺人者ではなく某冥界のファラオっぽいのがダウンロードされた可哀そうな忍者。
〇決闘刀・盤
デュエルディスク。
四季崎がどこからか電波を受信して作っちゃった変体刀……というか変態刀
決闘者の魂を持つ者が使用すると40〜60枚の札がランダムに装填され、その札の能力を使って戦う
続きはない……刀語が完成されすぎててオリ主を挟む余裕がない………
また遊戯王のMAD見たいなぁ……結構消されちゃったんだよなぁ…………
ここまでご拝読ありがとうございました