暁に贈るアーカイブ【完結】   作:紛れもなく奴

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長い期間が空いてしまい大変申し訳ありませんでした。




 

 

「……私の兵が……な、なんだお前は!!」

現状が理解できず、混乱する傭兵及びPMCの指揮官。彼が嘆くその間もまた一人、彼の指揮下の兵士が地に伏した。

 

砂漠での戦場、ホシノ救出の後押しのために現れた、ぶっきらぼうな態度をとる少女。

 

彼女に向けて放たれる無数の銃弾は、彼女の元に到達することなく、溶けてなくなっていく。

「うるさい……目障りだ」

 

煩わしい頭痛に悩まされながら、彼女は、額を抑えながらも、右手に持って一刀で、相対する者たちを打ち倒していく。

 

銃弾が一人の少女に向けて放たれるが、向けられた少女は見向きもせず、自分が目標としている相手に向かって歩みを進める。

 

 

 

彼女の周辺は、誰でもない彼女自身の意思で、銃弾が溶けるほどの高温になっており、いくら銃弾を撃ち込んでもそのすべてが無駄に終わる。

 

格闘戦を仕掛けようにも、近づくことも物理上不可能であり、その戦場は、戦闘とよべるものでは既に無くなり一歩的な処刑場となっていた。

 

 

 

命乞いは無駄。高額な報酬での懐柔も「うるさい」の一言で決裂。

 

 

 

 

時間にして、10分もみたない間に、その少女は過半数の敵を駆逐し、のこりの兵を絶望させ撤退させた。

 

 

自分以外、誰もいなくなった砂漠の戦場で少女は刀を収め、自身が手助けした者たちが向かったであろう方向に視線を向ける。

自分と同年代ぐらいに見える少女達、それを補助していた一人の男。

 

少女は自分の名前も、生まれも分からない。記憶と呼べるものは何もなく記憶を探ろうとすれば、頭を鈍器で殴られるような痛みが走る状況であった。

 

……それでも、彼女は何かに突き動かされるように、目覚めてすぐにこの戦場だった場所に向かい、彼女らの助太刀を行った。

 

 

激痛に悩まされながら見た記憶の断片で先ほどの男、先生と呼ばれていた大人がいた気がしなくもないが、彼女はそれを気に留めることはせず、目覚めた当初から違和感がある右手の動きを確認しながら自分が目覚めた場所。名も知らぬ校舎の一室に歩みをすすめるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ねぇ、ホシノちゃん、私ね、ホシノちゃんと初めて会ったとき、これは夢なんじゃないかなって思って、何度も頬をつねったの。ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて頼れる後輩がそばにいてくれるなんて夢みたいなことが、本当にうれしくて……」

 

そんな当たり前なことで何を大げさなこと…そんなふうに思っていたのを思い出す。

 

「ねぇホシノ……私はね、楽がしたいの。一度きりの人生を全力で楽しみたいの。 だからこんな地獄のような出納帳を見て、悩み続ける生活なんて嫌なのよ!!!」

 

 

「……きっと、これからは人生楽しくなることばっかだよホシノ」

 

 

毎日、泣き言しかいわない同僚の話を聞き流し、会計事務をやらせていたこともあった。ホシノから見て彼女は、何だかんだ言っていつも陰から支えてくれていた。辞めようとおもえば、去ろうと思えばいつでも出来たのに、彼女は口では言うものの実践したことは一度もなかった。

 

 

そう、話しかけてくれた人はもういなし。一人はこの世界を去り、もう一人は世界から存在を消されてしまった。

 

自分は失敗した。また失敗してしまった。大切なものを守れなかったと落ち込みホシノ。

 

思考にふけ、自身の身体の感覚もままならない最中……ふと、大切な後輩たちの声が聞こえ、身体の拘束が解かれた気がした。

 

 

長時間の拘束と衰弱の影響で。おぼつかない足どりではあるが、聞こえた気がした後輩たちの声の方向へ一歩一歩、歩みを進め、頑丈な扉を最後の力を振り絞って開ける。

 

 

 

 

 

扉の先、そこには、ホシノが守ろうとした大切な後輩。大人を嫌う中で、信じてもいいと思えた先生の姿があった。彼女らの傷だらけの姿で、どれほど無理をしたのかが見て取れる。

 

投げかけれられる後輩たち、先生からの声を受け、泣きそうな顔をやめ、嬉しそうにホシノは感謝の念と自身の帰還を告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感動の再会もほどほどに、ヘリコプターに乗り込みアビドス分校に帰還する一同。

 

ホシノはそこで、自身が救出作戦に先生が頭を下げて協力してもらった他校の存在を先生から聞かされる。

 

「うへぇ~いろんな学校に借りをつくっちゃたのか~これは後が大変だ~」

 

今後の不安に頭を抱えるホシノ。そんな彼女を他所に、ヘリをホバリングさせ何かを探す素振りを見せるアビドス一同

 

 

「ホシノ……ひとつ話しておくべきことがある」

「まだなんかあるの先生?」

 

「便利屋の子たち、いろんな学校の生徒が助けてくれたんだけど、それでも君の元にたどり着くのが難しくて追い込まれた時があったんだ。そんなとき彼女が助けてくれたんだ

「彼女…誰のこと言ってるの先生?」

 

 

「あれ?このへんよね確か……いないわねあの子」

「ほんとですね~☆ でも戦闘の後?砂漠なのに焦げた跡がちらほらありますね~☆」

「ん……ここで間違いない。武器の残骸があちらこちらにある」

 

「なによ、何処の誰だがしらないけれど手伝ってくれたから、砂漠は大変だから乗っけてあげようとわざわざ遠回りしたのに」

 

「あ、その特徴の方でしたら、私が皆さんの元に向かう途中にすれ違ったの覚えていますよ。方向はアビドス高校のほうに向かってたと思います」

 

「ちょっと!それ早く言いなさいよ!」

 

 

 

「……嘘」

 ホシノは、後輩たちの声から、聞きなれない言葉を聞いていた。砂漠で焦げた跡ができる状況など一度しかみたことがないのだ。

 

「嘘じゃないよ。ー困っていた私達を時助けてくれたのは、ホシノが教えてくれたあの子だった」

 

 

 

 

 

 

アビドス対策委員会が設置されている分校に到着したと同時に、ホシノはみんなに断りを入れた後に、全速力で駆け出した。

 

 

夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻。黄昏どき…学園の校舎の最上階、衰弱した体に鞭打ってホシノが全力で走りたどり着いた、校舎4階突き当りの部屋に彼女はいた。

 

この部屋にいたとき着ていた病院着でなく、赤と黒の服装に身を包んだ少女。何処からか持って来たその服はホシノから見ても抜群に似合っていた。

燃えるような赤髪で、彼女はいつも寝ていたベットの上ではなく、窓際に腰掛け、誰かを待つそぶりをしていた。

身体の違和感を確かめるように彼女は右手を動かす。それもそのはず、彼女は長い間寝ておりその身体は、衰弱していたといってもいいし、ホシノの知る限り彼女には右手がなかった。

 

ホシノが扉を開けた音に反応して赤髪の少女の視線が向けられる。

 

「っ!!!」

 

 

「……」

 

 目を見開くホシノとは対象に、少し眉を動かした程度の反応しか見せない少女。

 彼女の瞳は、何も告げずただ、ホシノに視線が注がれていた。

 

 再会の言葉を告げようとしてホシノは口を開けたが、言葉が続くことはなかった。

 

 

ホシノは、赤髪の少女の反応を見て理解する。理解してしまった。ホシノが知る彼女ならば、このような静寂はなく、そして、申し訳なさそうな顔をするはずがないのだ。

 

 

 二人に会話はなく、無言の時間が流れる。

 

 

 

 

 

「い、いやぁ~起きてくれて本当によかったよ~」

 

「……悪いけど「いいよ言わなくて、分からないんだよね」……」

 

 

 赤髪の少女は記憶を探ろうとして、発生した頭痛に頭を抱える。

 彼女がホシノを見た最初の感想は「 誰 」だったのだが、その考えは声に出すことはなく、彼女の内心に留まった。

 

 目の前のピンク髪の子は知っている人物という感覚、心臓の、魂の躍動があったのだ。 第一声を発してしまえば彼女を悲しませるその確信が彼女にはあったのだ。

 

 

ふたたびの静寂ののち、少女はホシノに向き直る

 

 

「……私は、自分が誰なのか分からない。気が付いたらココで目を覚まして。これを持っていた。アンタが誰かは分からないけれど…知っている気がする」

 

 そういって少女はホシノもよく知っている、一時期は掃除用具扱いされていた、一振りの刀を見せる。

 

 

「起きたばっかだし、仕方ないよ。記憶喪失は一時的なものかもしれないし……体調はどう?問題ない?」

 

「問題ない。悪いけどここが何処なのか教えてもらえる?とりあえず目覚めた場所に戻って来ただけだから」

 

「いいよ。 ここは、アビドス高等学校…君はここの生徒で私と同級生。それで……」

 

 ホシノは少女に学校の説明、ホシノが知っている少女のことについて、ゆっくりとと説明を始めた。

 

 話を進めれば進めるほど、会話のやり取りを進めれば進めるほど、ホシノは目の前の仲間で同僚だった目の前の少女が何も覚えていないことを理解する。

 

 

あらかたの説明を受け、自分の現状を理解した彼女はしばし考え込んだのち口を開く

 

「最初に結論を言うよ。今の私は、あなたが知る人物とは大きく違うようだ。全くの別人といってもいい」

「そうみたいだね~それで?君はこれからどうしたいと考えてるの?」

 

 

「分からない」

 

「なら、それが決まるまでここの生徒として生活するのはどう?私は……おじさんは大歓迎だよ」

 

「………悪いがそうさせてもらう」

 

 

 長い沈黙の後少女はホシノの提案を受ける回答をする。彼女にとっては、渡りに船の提案であった。即答しなかった理由は一つ。知り合いだった人物が目覚めたら別人になっていた。その姿を見せつけれらるホシノの身を案じてのものだった。

 

 

 

 

 

「うへぇ~それじゃあこれからよろしくね! あっ!忘れてた自己紹介がまだだったね おじさんは小鳥遊ホシノこの学校の3年生だよ君のことはなんて呼んだらいい?」

 

ホシノが差し出した手を握り返しながら少女は答える。自身の名前など、憶えているはずもなく、少し悩んだ末、彼女は記憶の欠片、僅かに頭に浮かんだ単語を自分の名前とすることにした。

 

「私の名前は……そうだな……スルト、……スルトって呼んでくれればいい」

 

「…私の中には、体感したと思える記憶、全く知らない記憶、明らかに遥か遠い昔の記憶。無数の記憶の断片が私の中にある。だから、私は、オマエが知る私じゃない」

 

「そっかぁ〜でもね、困った私を助けてくれた。君は全部を無くしたわけじゃないはずだよ。それにおじさんはぶっきらぼうな君も嫌いじゃないよ。それとオマエじゃなくて、ホシノって呼んでほしいなぁ〜」

 

 

「そう…変なやつ………」

 

 

 

「…ありがとね」

 

 

 

「しつこい。  じゃあ、今回のお礼にアイス買ってきて…味は「「ストロベリー」でしょ?」……」

 

 してやったりのドヤ顔をするホシノ。 それに対して気に入らないスルトはムスッとした表情を見せるている。

 

 

「うへぇ〜いきなりパシリですかぁ〜おじさんのお小遣いで足りるかなぁ?おっとさっきまで捕まっててせいか、足がもつれて動けないや〜誰か一緒に来てくれないかなぁ」

 

「ちっ、時間の無駄。自分で行く」

 

「あぁ、嘘、嘘、待ってよ〜おじさんを置いてかないで〜、一緒に行こうよぉ〜」

 

 

 教室を去ろうとするスルトを追うように走るホシノ。

 彼女たちの関係は変わってしまったが、変わらなかったものもあるらしい。 

 

 

 彼女がホシノに諭され、めんどくさそうに後輩のシロコたちの前で行ったつっけんどんな自己紹介。

 アイスを起因としたゲヘナ学園との大事件。巡航ミサイルの一刀両断案件、暴走したホシノを止めるための全力での大喧嘩などなど

 うるさくも騒がしい、日常がこれから始まろうとしていた。 

 

 




もともとは1話の本編と、エピローグで完結予定でしたが、蛇足でアビドス編を追加する流れとなりました。
完結まで期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。全て私の不徳の致すところです。

もともと、この小説の構想は私が好きなものを詰め込んだものとなります。

BLEACHに登場する流刃若火、然りアークナイツのスルト等 これらを取り入れた二次小説を作りたいと思い、本作品の構想が出来ました。新章解放に伴い大変なことになりましたが(汗)

 本作品の主人公は、最後まで名前を出さないよう意識していました。
 キヴォトスでの主人公は、最終的には刀使用の弊害を克服したので、今後は好き勝手に刀を振り回せます。特にデメリットはありません。

 本編はこれにて完結となります。 
 エデン条約編や最終章でひと暴れさせるのも、構想にはありましたが、プロットは作りましたが完結までもっていけるか自信がないため投稿するかは保留です。
 掲示板式なるものの話を1話作るのも面白かったかもしれません。

 アビドス3章は……いつか書けたらいいなぁ
 
 本作品は、話を端折った部分が多々あるので、少しずつ差し込みをしていくかもしれません。
 誤字脱字の訂正等ありがとうございました。
 感想も大変嬉しかったです。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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