ゴロー先生ちょっと寿命延長ルート   作:望先或

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誤字脱字報告、感想ありがとうございます。


暑さで溶けてました。

今回も幕間話挟もうかとも思ったんですが、進行優先で次の話です。

予想より意外と早いと思います。


第2話

 エイジが芸能界という世界に入って一年以上が経過した。

 

 仕事はそこそこ忙しくなってきており、内容も役者の他、知育玩具のCMから服のモデルまでやっている。役者の方も以前出させてもらった映画の後、ドラマにも端役だが出演できたりといい立ち上がりではないかとエイジは思っている。エイジ自身の現場での評判を集めると、無駄に騒がない、わがままを言わない、同年代へのフォローがうまいとの評価らしい。同年代でそういった部分で負けるわけがないので当たり前ではある。 

 演技についての評価は五反田監督曰くもう少し感情表現をうまくやれる方法を見つけろとのことだった。精神が早熟すぎるせいで子どもとしての激情感が足りないらしい。この辺りは共演者の人にも感想をもらいながら試行錯誤している最中である。知名度もまだほとんど無いに等しいので流石に足りないことが多いとエイジとしては実感している。

 ちなみに事務所の看板売れっ子先輩は更に多くの場所に引っ張りダコになり始めたようで顔を合わせる回数もエイジは今のところそう多くない。ただ仕事場が被るとどうしてもあの傍若無人ぶりは将来のかな本人の首を絞めているようにエイジは思え、注意できるときはそれとなく誘導して止めさせている。(例でいうとADに荷物持たせようとする場合は、自分の荷物も管理できないなんて子供っぽいな、とか言っておくと反骨してやらなくなったりする)。これに関しては流石にかなの親がいないときだけにしているが。

 

 最近会ったときは丁度かなの誕生日が近かったので少しオシャレな感じの赤いハンカチをエイジは渡した。エイジとしては事務所のまあまあ親しい先輩であるし、頑張っている小さい子へのご褒美的感覚でのプレゼントだ。あまりに予想外だったのか受け取って目を白黒させていたのがエイジとしては面白かった。

 

 

 本題であるアイ達のことについて、ゴローが死んでからの状況を調べたことも含めてエイジは少し整理をしておくことにした。

あのストーカー事件の後すぐアイは活動休止していたが、しばらくして復帰。B小町としての活動も今では順調と言えるだろう。しかし復帰直後にはアイの笑顔が昔のきれいな笑い方の笑顔しかできていなかったので、やはり命を狙われ、人一人が死ぬような事件の影響は抜け切らないのは当たり前だろうとエイジは考えている。

 

 昔アイがゴローとの深夜雑談の時にこぼしていた笑顔の話。アイはどうも評判として作り物のような笑顔というワードが気になっていたらしく、それは当たり前ではないかと思っていたらしい。その話を聞いてゴローはアイドルらしい感覚だと思った。ただファンとして言うならば親しめる素に近い笑顔が見たいという意見も理解できたのでその辺りを少し説明してやるとアイが悩みだした。「そういう笑顔ってどういう笑顔?」とアイは呟いた。ゴローとしてはそれについては簡単に答えることができた。一度ビデオでも撮って子どもと一緒にいる時の自分の顔を見てみればわかる、と。アイは頭にハテナマークを浮かべていたが、その後取りあえずやってみたら理解できたらしい。そこからライブの映像での笑顔の質が変わったのを見て、やっぱりトップアイドルは恐ろしいと思ったものだ。

 

 

 テレビに映るアイはかなり親しみが籠った方の笑顔も出せているようなので調子は戻っていると感じている。またアイはラジオやドラマと顔を出し始めており、仕事の幅も増えているようだ。ただエイジとしては子どものことも知っているので一ファンとして体調に気を付けてほしい旨をファンレターで書いて送っている。

 苺プロはあの事件の後、アイドルに対する防犯関係を洗い直し、防犯意識の向上に努めていたという話をエイジは現場スタッフの雑談から拾い上げている。今度はそうそう自宅で襲われるようなことは無いだろう。

 

 現状の年齢がネックとなっているためアイの双子の父親については正直調査が進んでいない。エイジのような年齢の子どもがそんなゴシップ的な情報を集めるのは目立つし、外聞も良くない。今は現場ではたまり場のような所で聞こえてくる嘘か本当かも分からない情報を心に留めておくくらいである。

 

 

 

 今わかっている情報はこんなものかと頭の中で整理していると後ろから事務所のマネージャーに声をかけられた。

 

「エイジ君そろそろ出発するけど、準備は大丈夫かい?」

「はい、問題ないです」

 

 本日の仕事は子ども向けの服のモデルである。少しゴテゴテした感じの服を着ることになるだろう。最近は写真だけでなく動画関連の撮影も多くなっている。年齢が上がり実際に元気に動いている姿というのを問題なく撮影できるからだ。それでもやはりエイジの年齢で目的通りスムーズに動いてくれる子どもはありがたいらしく、結構仕事が来るようになった。エイジは他の同じ現場に向かう子たちと共に車に乗り込みシートベルトを締め、本日の撮影場所へ向かった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「…苺プロのルビーです。よろしくお願いします」

 

一目見て大きくなったなあ、というおっさん臭い考えがエイジの頭を巡った。

 

 エイジが今日の撮影で一緒になったのは、なんとアイの子ども(隠し子)である。ルビーは苺プロの女性スタッフに連れられて、同じ動画に出るエイジの方に挨拶に来た。

前世で取り上げた子どもが現在同年代ということにエイジは何とも言えない凄まじく複雑な気持ちであるのだ。ただゴローが死んだ後の状況は今までよくわかっていなかったが、こうして無事な姿を見ると安堵感がこみあげてくる。

 

 星野ルビー。金色のサラサラとした髪の一部を頭の左側でまとめて流しており、アイに似た見る人間を引き付けるような瞳。そして年齢としては落ち着いた感じの雰囲気をエイジは感じた。

 

「月石エイジです。本日はよろしくお願いします。このスタジオで撮影経験ってあるのかな?」

 

 エイジとしては、それはもう全力で何かあればフォローを厭わない所存だ。躊躇いがちで視線を合わせてくるルビーの代わりに女性スタッフが質問に応える。

 

「いえ、ルビーは撮影自体が今日初めてです。私はこの子の…付き添いの【斎藤ミヤコ】と言います。」

 

 ミヤコが挨拶と共に名刺をエイジに渡す。斎藤ミヤコという名前とアイの子どもを任されているということから苺プロ社長の壱護の妻であろうとエイジは判断した。

ちなみにエイジの事務所のマネージャーは他の担当する子の所へ行っているので現状エイジ一人でこの撮影には参加しているような形になっている。大体のことはエイジがそつなくこなすので、信頼されているのか放任気味である。また何度か仕事したようなスタジオの現場スタッフもそのことについて慣れてしまったため、打ち合わせ含めてマネージャーが居なくても普通に始めたりする。

 

「それならこちらは何度かここで撮ったこともあるので。分からないことがあれば遠慮なく聞いて下さい」

 

「助かります」

 

 エイジとしては前世から所縁ある子の初撮影。成功して帰ってもらわなくてはならないと気合を入れた。

 

 

 

 撮影を担当するカメラマンと話をしていると、ルビーは別の撮影現場で今回の製品担当者が見かけ、製品イメージにピッタリということで出演依頼を出したということをエイジは聞くことができた。最初は当人が難色を示していたらしいが最終的には承諾を得られたようだ。

確かに今回服は少し高めのブランド系の服で、ルビーの綺麗な金髪で整った顔の子が着ていると非常に様になっており。高貴な少女というように見えるだろうとエイジにも思えた。

 撮影の流れについて、最初は各自の個別撮影を行い、撮り終えたところで組み合わせの撮影となる。現在はルビーの撮影に入っているが、

 

 

「うーん、ちょっと表情、特に笑顔が固いかな」

 

「えーと、すいません。ちょっと話をしてきます」

 

 そう言ってミヤコがルビーのもとに行く。カメラマンがあの手この手でいい笑顔を取ろうとするがあまりうまくいっていない。確かにエイジから見ても笑顔がぎこちない。固い、というよりは笑顔自体に何か違和感があった。かなり無理やり顔の表情を作っているそんな……昔病院でよく見たような笑顔に近い。

 

「エイジ君。先に君だけの部分を撮っちゃおうか。ルビーちゃんは他の子も終えてからにしよう」

 

「分かりました。あの子とは後で少し話してみます。同じ年代の方が話してくれるかもしれないので」

 

「あー、うん、そうだね。初めての撮影っていうのもあるし相談のってあげてよ。……他の子にはこんなこと言わないけど、君ならできるだろうし」

 

 なおエイジのみの場面について撮影自体はかなり早く終わった。動画の場合はカメラの位置の他、周辺物との自分の位置など細かく把握する必要がある。

カメラレンズに映る全ての人、物を頭に入れながら動く。ずっとエイジが訓練を続けている部分だ。先ほどの撮影は自分しか動くモノがなく、撮影も室内で安定しているためある程度うまくできていたとはエイジも感じている。しかしこれに他者や屋外の周辺条件などが加わると途端に難易度が跳ね上がる。エイジの目標としてはその難易度でもうまくこなせるようにしたいと思っているが、まだその域には遠い。

 

 

 

 撮影が終わったので休憩時間にエイジはルビーの様子を見に来ていた。スタジオの隅の方でルビーは椅子に膝を抱えて小さく座っていた。今はミヤコも少し席を外しているようだった。身近な人がいると逆に話にくいこともあるので、そっちの方が都合いいかもしれないと思いながら近づいて声をかける。

 

「初めての撮影は大変?」

 

ルビーの目がエイジの方を向く。何処か感情が沈んだ目をしているようにも見える。ただ特に人と話すことが怖いというような性格ではないようだ。

 

「別に……」

 

「笑えないなら、それは仕方ないと思うよ」

 

 エイジのいきなりの言葉にルビーが困惑したような表情になる。

 

「注意しに来たんじゃないの?カメラマンの人と仲良さそうだったし」

 

「どっちかっていうと、あんまり無理しないようにって言いに来た」

 

 ルビーの目が瞬く。エイジの意見は流石に予想外だったのだろう。エイジとしてはルビーのコンディションが何よりも重要だ。しかしルビーが自身の状態が分かっていないとも思っていない。

 

「笑顔つくるのが苦手っていうより、したいのにできない、って感じにも見えたから」

 

 ルビーが何故笑顔を苦手なのかエイジは知らない。単純に性格なのか、別に何か原因があるのかは分からないが、ただ苦痛を得るだけのことはエイジとしてはしてほしくなかった。

 

「!?………」

 

 ルビーは少し驚いた表情の後黙り込んでしまった。エイジとしては言うべきことを言ったので横で反応を待つ。

 

「…本当は…」

 

 ルビーがポツポツと言葉をこぼし始める。

 

「本当は撮影なんて最初受ける気なかった。でも、ママが嬉しそうにしてくれるから…」

 

 なるほど、とエイジは腑に落ちた。おそらくはルビーの母親、アイを喜ばせようと思ったのだろう。

 

「ルビーちゃんはお母さんが本当に好きなんだね」

 

「…悪い?」

 

「いいや、全く。むしろ安心した」

 

 基本的な振舞いからルビーの精神年齢は年齢に対してかなり高いとエイジは感じている。それこそ、かなと同等以上ではないかとも。しかしそれとは別で笑顔が苦手なのは仕方ないと思う。

エイジとしてはアイの隠し子という特殊な事情から母親との確執があるのではないかとも心配したがそういうことでもないようだ。

 

「親に言われたから仕方なくって子もいないわけじゃないから。ルビーちゃんはそういう訳じゃないみたいだし」

 

 

 ルビーが考え込むように顔を伏せる。少し時間をおいてルビーからエイジに問いが投げられる。

 

「ねえ、笑うときって何考えてるの?」

 

「んー、まあ昔の面白かったこととか、楽しかったこととかかな」

 

 この辺りは恐らくみんな同じ感覚だろうと思う。たまに表情の調節だけで笑顔を違和感なく完璧につくってしまう例外もいるにはいるが。

 

「じゃあ、その楽しかったことに悲しいことが上書きされちゃったらどうするの?」

 

 少し抽象的な質問。ある意味子どもっぽいが内容は難しい。だがこれはルビーがうまく笑えない理由に関連している可能性もあるので下手な答えは言えない。

 

「そうだなあ、他の楽しいことを考える、って言うのがまあ一般的だけど。聞きたいのはそうじゃないよね」

 

 ルビーは沈んだ顔で回答を求めている。ルビーが納得できるかどうかは分からないがエイジなりに誠実に質問には答える判断をした。

 

「自分の経験だからあてにはならないかもしれないけど…」

 

エイジは一つ前置きをし、目を瞑り前世での記憶を思い返す。

 

 病室での穏やかな雑談、キラキラ輝いた瞳で憧れを追う少女。彼女が未来について話すときや好きなアイドルについて語るのを見ているのはとても楽しく、嬉しかった。だが、彼女は死というどうにもならないもので、思い出すと悲しみが溢れてきた。けれど、

 

 

「俺の忘れられないくらい楽しかったことは、今はもういなくなってしまった人との思い出で、思い出すと悲しみも確かに一緒にある。だけど、その悲しみに負けないくらい、やっぱり楽しかった思い出は凄く大切だから、悲しさで上書きされたとしても、それは消えないでずっと残り続けてる」

 

 

 エイジの言葉にルビーが大きく目を見開く。そしてその眦には涙が溜まっていく。

感情があふれ出るようなそんな表情。

 

「悲しくても、楽しかったことは……忘れなくてもいいの?」

 

「君はその思い出を忘れたいの?」

 

 ルビーが全力で頭を振る。涙が頬を伝って落ちていく。

 

「なら、その想いは忘れなくていいんだよ。悲しいことがあってもそれは無かったことにできないくらい大切な思い出も一緒にあるってことだから」

 

 ルビーがどんな思いをしてきたのかはエイジには推察することもできない。ただ悩んでいる子どもの一助になれればとは思う。

 

 何か大切なものをかみしめるように嗚咽し始めたルビーにハンカチを差し出して、エイジは暫くその背中をさすり続けた。

 

 

 

 結構な時間泣いていたルビーだが、泣き止んだ後すぐに顔を洗いに化粧室へ向かっていった。

 

「ルビーのことありがとうございます」

 

 ルビーが進んでいった方と逆側からエイジに声がかけられる。

 席を外していたミヤコだがどうもエイジがルビーに話しかけている途中で戻ってきて様子を伺っていたようだ。

 

「いえ、何か彼女の助けになったならいいんですけど」

 

「あの子がああいう風に感情を出すのは見たことなくて。心から笑えていないのは私たちの力不足ですし、フォローしていただいて感謝します」

 

 そう言ってミヤコはエイジに頭を下げる。ただエイジとしてはアドバイスとかではなくて少し話をしただけなのでそこまでされると居心地がよくない。

 

「頭なんて下げないでください。こちらとしても今後の同世代の仲間に元気になってほしいだけですから」

 

「そう、ですか。それにしても……同、世代」

 

 凄く何か言いたそうな顔でエイジの顔をミヤコが見る。エイジとしても流石に何を言いたいのかは察するがそれに関してはスルーを決め込む。

 

「ルビーちゃんは泣いた影響でこの後もう一度化粧とかしないといけないでしょうし、ちょっとメイク担当の人に声かけてきますね」

 

 そうミヤコに言い残し、女の子泣かしたぞアイツ、みたいなスタッフの視線を背に足早にエイジはその場を去るのであった。

 

 

 

 ルビーが化粧を直したりしてから撮影を再開していた。少し時間がかかってしまったが子どもの撮影が遅れてしまうのは恒例行事みたいなものなのでスタッフサイドもそこまで気にはしていないようだった。

 

「んんっ、さっきよりは自然な感じだね。これならいいね」

 

 カメラマンがルビーの表情を見て改めて言う。ルビーの表情はまだ満開の笑顔というわけではない。ただ最初のように無理やり顔の筋肉だけで作ったような笑顔ではなく、ささやかではあるが確かに感情がのった笑顔のようにエイジには思えた。エイジとの会話で少しは見えることがあったのなら何よりである。

 

「よし、じゃあ次は集合して取ろうか」

 

その後はペアだったり全体だったりで撮影を行い、概ねそこからは問題もなく、少し予定はオーバーしたが無事に撮影は終了した。

 

 

 

 

「…ありがとうございました」

 

 撮影終了後、着替えて帰る準備しているとルビーがエイジのもとに来てお礼を言いにきた。まだ少し暗い雰囲気もあるがルビーはスタジオで最初に会ったときよりは少しいい顔をしている。お礼については休憩時間の話のことだろうとエイジは判断し、お礼を言われることでもないと思ったが、ここは素直に受け取ることにした。

 

「どういたしまして。なんか参考になったならよかった」

 

「それと…もう一つ聞きたいことあるんだけど、いい?」

 

「いいけど」

 

 少し悩む素振りはあったがルビーが再び質問を投げかけてくる。

 

「アイドルってどう思う?」

 

 中々に唐突な質問が飛んで来たなとエイジは思った。ただ別に隠すことでもないので普通に答えておく。

 

「アイドルは好きだよ。苺プロのB小町のファン」

 

 特に君のお母さんの、という言葉は後ろにしまっておく。ルビーの反応は劇的だった。

 

「えっ、B小町の?」

 

「うん、ライブの映像とかも大体見たよ」

 

 ルビーが何か凄く語りたそうにしている。アイの話をしたいのかもしれないが流石に帰る時間も迫っているので、そっちは本題ではないだろう。

 

「私アイドルになりたいってずっと思ってて。でもアイドルを目指す意味が分からなくなっちゃって、それで…今もまだよく分からなくて」

 

 ルビーは自分でも何を話したいのか少し混乱しているようにエイジには思えた。だからシンプルに言葉は返すことにした。

 

「アイドルか、ルビーちゃんはきっと似合うと思うけど、でもまずはアイドルのことについてお母さんとよく話すといいと思う」

 

「……ママと?」

 

 きっと今のルビーは何か迷いが心の中にあるのだろう。何故とか、どうしてとか原因はエイジが詰めるべきところではないと考えているし、もしそれを完全に晴らすことができるとしたら、それは彼女の心の中で大きく比重を占める人だけだとエイジは思うのだ。アイはルビーとアクアのことを本当に大切に想っていた。だからこそルビーの悩みを晴らすのはアイの、母親の役目ではないかと。

 

「どうしてなりたいのかとか、何が不安とか、まず話し合ってみるといいよ。きっと君の好きなお母さんは真剣に聞いてくれると思うから」

 

「うん…、一度話してみる」

 

 それと、エイジは自分の電話番号などを書いた紙をルビーに手渡す。

 

「これは?」

 

「俺の携帯番号とトークアプリのID。この業界の経験少しだけど長いし何か相談事あれば聞くよ」

 

 エイジとしては自分で相談にのれることであれば何でものるつもりはある。またせっかくまた会えたので繋がりは持っておきたいし、正直に言って星野一家の状況を知る手段が欲しいというそんな思いもあった。

 

「じゃあ、何か聞きたいこととかあれば連絡する」

 

「その時は遠慮なくどうぞ」

 

 そんな会話しているとマネージャーから事務所に帰るという連絡が入ったため、エイジはルビーに別れの挨拶をして撮影現場から帰路についた。

今後またルビーと会えるかもしれないということをエイジは嬉しく感じている。そして彼女たちが安心して暮らしていくために、お節介かもしれないが改めて自身の目的をエイジは思い返すのだった。

 

 

 

 その日の夜、早速ルビーからスマホに連絡が入った。内容は、

 

「うーん。見事にアイドルオタのような怒涛のコメント…。少し早まったかもしれない」

 

 携帯に表示される激長B小町推し文面を見てエイジは戦慄するとともに、そんな熱量をどこか懐かしくも思いつつ、苦笑しながら返信の文面を考えるのだった。

 






エイジ(ゴロー) :マッチポンプ?何のことでしょうね。

ルビー     :若干元気を取り戻した。
         何故かエイジには相談しやすい雰囲気を感じている。

ミヤコ     :今回はルビーの付き添い。実は面倒見は凄くいい。



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