「トレーナーさん、この合宿所の近くでお祭りが開かれるんだって」
それは、アーヤに自分の過去を打ち明けて数日後のことだった。
いつものように、トレーニングを終えた後、アーヤがそんなことを口にする。
「ああ、そうだな。この後は予定もないし、練習のことは忘れて友達と遊んで来たらいい」
「…………」
この地域では盆の時期になると、お祭りが開かれる。
そこには、こうして合宿に来たトレセン学園の生徒がよく参加しているらしい。
地域の人も昔からのことなので、よそ者と見ずに温かく迎え入れてくれるある種の伝統行事となっているのだ。
「じゃあ、俺は明日のメニューを組んでおくから、楽しんで来い」
あんなことがあったのだ。
アーヤには思いっきり遊んでもらって、気分を切り替えてもらおう。
その間に俺は仕事だ。
そう考え、トレーナー室に戻ろうとするが服に引っかかりを感じて、後ろを振り向く。
「アーヤ?」
「ねえ、トレーナーさん。私が今言って欲しいことって分かる?」
振り返った先に居るのは当然アーヤ。
ただし、俺の服の裾を掴んだ状態でだ。
いじらしい行動だが、その実ウマ娘のパワーで掴まれているので、ビクともしない。
「ん? ああ、そうだな。悪いな、アーヤ。俺としたことが気が付かなかったよ」
「もう……意地悪なんだから」
「ごめんな、アーヤ。だが、大丈夫だぞ。アーヤ、今日のお祭り――」
不満気な表情を見せるアーヤに謝罪しつつ、言葉を続ける。
そりゃあ、気になるよなぁ。年に一度のお祭りなんだ。
今日だけはレースのことは忘れて。
「―――いくら食べても大丈夫だ! 太り気味になっても後でちゃんと調整するからな!」
「そうじゃない!」
ベシッと尻尾ではたかれてしまう。
さて、俺は何を間違えてしまったのだろうか。
「もー、一緒に行こって言ってるの!」
「……別に、祭りでまで栄養管理はしないぞ?」
どうやら、アーヤは俺と祭りに行きたいらしい。
そのことに疑問符を浮かべる俺にアーヤが溜息を吐く。
「ねえ、トレーナーさん。さっき、トレーナーさんは練習のことは忘れて楽しんで来いって言ったよね?」
「ああ、言ったな」
「その言葉をそっくりそのまま返すね。トレーナーさんも今日は練習のことを忘れて遊ぼう」
「いや、俺は――」
遊んでいる暇があったら、君のためになることをしたい。
そう、口にしようとしたが、背伸びをしたアーヤの指を唇の前に突きつけられてしまう。
「トレーナーさんが私のために毎日頑張ってるのは知ってるよ。でもね、頑張り続けるだけじゃ、いつかは壊れちゃうよ?」
オーバーワークは危険だっていつも言ってるでしょ?
そう、いたずらっぽく言われると何も言い返せず、顔を顰めることしか出来ない。
そんな俺の表情がおかしかったのか、クスクスと笑うアーヤ。
年相応の幼さと、どこか妖艶さを秘めた笑み。
そんな彼女の表情に思わず釘付けになってしまう。
「じゃあ、18時に着替えて神社の前に集合しよ!」
「あ、ああ……」
「いっぱい、おめかししてくるから期待しててね?」
こうして、アーヤとの夏祭りが始まるのだった。
「……お姉ちゃんは許さないわ」
18時、神社前。
着替えて集合と言われたものの、仕事用のスーツとジャージしか合宿に持ってきていなかったため、ズボンに適当にカッターシャツを合わせた格好で待つ。祭りなので、動きやすい服装にするべきかと思ったが、流石にこの年でジャージで人前に出るのは気が引ける。
まあ、アーヤも合宿なので、おしゃれと言っても普通の私服で来るだろう。
そう、思っていた所で。
「トレーナーさん! 待った?」
「いや、今来たところ……だ」
アーヤの声がしたので、振り返るとそこには、浴衣姿のアーヤが立っていた。
もう一度言おう。浴衣姿だ。
涼し気な白色の生地に、アジサイの花をあしらった青や紫の模様。
普段の活発さを抑えて、どこか大人の女性を思わせる雰囲気を纏った姿。
そんなアーヤに俺は思わず見惚れてしまう。
「ふふん! どお、ビックリした?」
「あ、ああ……でも、浴衣なんてどうやって用意したんだ? まさか、合宿に持ってきたのか?」
「違うよ。これはレンタルで借りたものだよ。合宿所の近くにトレセン学園生徒なら安く借りられるところがあるんだよ」
「なるほど……」
アーヤの言葉に思わず唸る。
トレセン学園の生徒は合宿に来ているため、当然浴衣など持ってこない。
そこに安くレンタルで貸す出すサービスを行うことで、多くの客を確保するのだ。
何とも商魂たくましいことだ。
「それで?」
「それで?」
「次は私が言って欲しいことは分かるよね?」
ひらひらと袖を振り、クルリとその場で回って見せるアーヤ。
まあ、流石に何を言って欲しいのかは分かるので、素直に口にする。
「似合ってるよ」
「うーん……もっと!」
「……凄く似合ってる」
「もっと表現力豊かに!」
「世界で一番似合ってる」
「うん、表現力を上げて欲しいのは後半の方だけど、まあいいや!」
ちょっと不満そうな顔を見せるアーヤだったが、概ね満足してもらえたようで何よりだ。
「それじゃあ、行こっか! もちろん、今日の分はトレーナーさんのおごりで!」
「ああ、
これでも中央トレーナーの給料は高い。
そもそも、資料集めや移動費以外で使うことがあまりないので、お金が貯まりやすいのだ。
そう、自信満々に財布を叩いて見せるが、アーヤはやはり不満そうな顔をする。
「………やっぱり、自分で払う」
「? いや、お金のことなら心配するな。大人の財布はこういう時こそ解放されるものだ」
「もう! そういうことじゃないよ! ……トレーナーさんのニブチン」
頬を膨らませてプイとそっぽを向くアーヤ。
ご機嫌斜めなのは間違いない。
俺は一体、何を間違えているのだろうか。
トレーナーとしての知識をフル稼働してみるが、どうにも間違いが分からない。
さて、どうしたものか。
「フーンだ。こうなったら、トレーナーさんの財布をぺしゃんこにするまで遊んでやるんだから」
俺が悩んでいる間にアーヤはプリプリと怒りながら、屋台の方に向かっていく。
が、着なれない浴衣と草履のせいか、少しその足がぎこちない。
転んで怪我をする可能性があるのはトレーナーとして見過ごせない。
「アーヤ」
「んー? 何ー?」
「手を繋ごう」
手を繋いで、アーヤを支えればきっと大丈夫だ。
そう思って、手を差し出す。
「……そういう所、ズルいなぁ」
「アーヤ?」
俺の表情と手を交互に見ながら、アーヤはどこか複雑そうな顔で呟く。
まるで、望んだものが手に入ったのに、その方法が気に入らないといった感じで。
「何でもないよ。それより、ほら。
「ああ、もちろんだ」
アーヤの震える小さな手をしっかりと握り返す。
俺よりも何倍も力があるはずの手の平。
なのに、今俺が感じる体温は俺よりも弱々しく感じて。
また、どこかに行ってしまいそうで。
「トレーナーさん…?」
「あ……悪い。強く握り過ぎたか?」
知らず知らずのうちに力を込めてしまっていた、手を慌てて解こうとする。
だが、その手をアーヤが指を絡めて阻止する。
「ううん……大丈夫だよ……ねえ、トレーナーさん」
何も言わずに、アーヤを見つめる。
せわしなく動く耳はどこか恥ずかし気で。
頬は淡く儚く朱に染まり、祭りの明かりに照らされた瞳は輝く星のようで。
「手を離さないでね…?」
「ああ、君が望む限りずっと」
まるで、天女のようだと思った。
「手を握るなんて……あなた達にはまだ早いわ」
「べ、別にいいんじゃないでしょうか? こう、良い感じで良い感じですし」
「し! 2人が動いたわ。追うわよ、トップロードさん」
「あ、はい。分かりました、アヤベさん」
物陰からトップロードさんと一緒にアーヤ達の様子を覗く。
お姉ちゃんは不純異性交遊なんて認めません。
「あのー、アヤベさん?」
「なに…?」
「突然連れてこられたんですけど、私って必要でした?」
トップロードさんに声をかけられて、少し2人から目を離す。
「……私だけだと公平に評価できそうにないから。他の人が言うには……私って結構過保護らしいし」
「あー……はい、そうですね」
「私も……出来ることならアーヤを応援したいわ。でも、何かあってからじゃ遅いのよ。だから、私があの人を見極めるのを手伝ってちょうだい」
「なるほど、そういうことでしたら私に任せてください!」
私の判断だけで決めるのは良くないので、他の人の目も借りたい。
トップロードさん以外だと、一応、オペラオーとドトウも候補に挙がったけど。
『ああ! 愛し合っているのに別たれようとしている2人はまさに、ロミオとジュリエット! こんな悲劇を認めていいのか? いや、ならない! さあ、ここにテイエムオペラオー劇場開演だ!』
『わあ! オペラオーさんのオペラが聞けるなんて、ついて来て良かったですぅ』
恐らく、トレセン学園で最も尾行に適していない人選だから却下した。
ドトウはともかく、オペラオーが静かについてくる姿が想像できないもの。
だから、トップロードさんに手伝ってもらうことにした。
「アヤベさん、お2人が動き始めましたよ! まずはタコ焼き屋に寄りましたよ。私達も後で食べましょう!」
「ええ、後でね」
私達2人でコソコソ動く姿は不審者そのものだけど、気にしない。
私はあの子のためなら悪にでもなる。
「1つしか買いませんね。あ、見てください! 手を繋いだままだと、食べづらいから食べさせ合いっこしてます! アツアツですね! たこ焼きだけに!」
「トップロードさん、私を抑えておいて。でないと、今すぐにでも2人を引き裂きに行きそうだわ」
「アヤベさん!?」
あーんと、楽しそうにたこ焼きを食べさせ合う2人に、衝動的に飛び出しそうになるのをトップロードさんに抑えてもらう。私的には既にアウト判定だけど、アーヤの嬉しそうな顔は崩したくない。複雑な姉心ね。
「お次は射的ゲームですね。……あ、手を離さないといけないからでしょうか。アーヤさんがちょっと悲しそうな顔をしてます」
「少し待ってて、トップロードさん。あの男にアーヤの手を無理矢理にでも握らせてくるわ」
「ダメです! バレちゃいますって、アヤベさん! というか、アヤベさん的には手を繋ぐのはOKなんですか!?」
「もちろん、アウトよ。でも、アーヤを悲しませるのはもっとアウトよ」
トップロードさんに肩を抑えられたことで、何とか心落ち着ける。
あの子を悲しませるなんて、何を考えているのかしら。
早く、手を繋ぎなおしない。
「あ、アーヤさんのトレーナーさんが景品を落としましたね。あれは……アヤベさんのパカプチですね! 凄いですね、アヤベさん。やっぱり、日本ダービーに勝つと有名になりますよね……」
「所詮、一過性のものよ……すぐに、飽きられるわ」
日本ダービーのことを思い出したのか、少し硬い表情になるトップロードさん。
私としても勝った身なので下手に慰めることも出来ないので、曖昧な言葉を返すしかない。
「アヤベさんのパカプチをアーヤさんにあげてますね。見てください、アーヤさんの嬉しそうな顔! きっとお姉さんのことが大好きなんですよ!」
「プレゼントをもらったからでしょ……まあ、喜んでくれてるならいいけど」
私のぬいぐるみをアーヤにあげるなんて、どういう神経をしているのかと言いたかったが。
どうも、様子を見るにあの子が欲しかったらしい。
……本当に私のことが嫌いじゃないのね。
「次は金魚すくいに……あ、合宿所に持って帰れないって、トレーナーさんに注意されてますね」
「大人なんだから、どうにかしてあの子の願いを叶えてあげるべきだと思わない? 減点ね」
「私はちゃんとそういうことを言ってくれるのは、良いと思いますけど……生き物なんですし、ちゃんと責任を取らないとですし」
「…………」
トップロードさんの言葉に無言を返す。
本当は私もあの人が正しいことを言っているのは分かっている。
実際、私もアーヤに同じことを言うと思う。
でも、心が認めたくないと叫んでいるのだ。
「気を取り直して、次はかき氷ですね。アヤベさんはどの味が好きですか? 私はやっぱりイチゴ味ですね」
「……ブルーハワイ」
「ああ、ブルーハワイもいいですね。夏っぽくて、こう……夏! って感じがしますし」
カキ氷のシロップは匂いが違うだけで、味は同じだというのは黙っておく。
以前、アーヤにそのことを教えたら風情がないって言われたもの。
「アーヤさんは……メロン派ですか。トレーナーさんはイチゴ派ですか、私と同じですね」
「浮気かしら……アーヤというものがありながら」
「アヤベさん。その理屈だと私が全国の数千万人ぐらいの人と浮気してることになっちゃいます。というか、アヤベさん実は2人の関係を認めてませんか…?」
別に認めてなんかいない。
ただ、責任を取ると言った以上は、必ず取らせるというだけの話。
いえ……そうね。きっと、なんだかんだ言ってアーヤが選ぶなら間違いないと思ってるのね。
「……トップロードさん、私達も普通にお祭りを回りましょうか」
「いいんですか?」
「ええ、もう十分よ。迷惑をかけたわね、お詫びに今日は私が奢るわ」
「え、別にいいですよ。そんなことより、一緒にお祭りを楽しみましょう!」
2人から背を背け、トップロードさんと一緒に祭りの喧騒の中に消えていく。
私は恋愛とか良く分からないけど……後は頑張ってね、アーヤ。
「わ! 見てください、また食べさせ合いっこして……か、間接キスですよね、あれ?」
「そう……警察って110番で間違いなかったわよね?」
「わー! 待ってくださいアヤベさん!? ほら、あそこに綿菓子がありますよ! すごくふわふわで、その……ふわふわですよ!」
でも、アーヤが成人するまでに手を出すようなら容赦はしないわ。
「トレーナーさん! ここからだと花火がよく見えるんだって!」
「へえ、よく知ってるな、アーヤは」
遊んだり食べたりと祭りを十分に楽しんだ後、アーヤに連れられて開けた高台に来る。
確かに、見渡しのいい場所で良く調べたものだと感心する。
「うん、合宿前から先輩とかに色々聞いてきたんだ」
「なるほど、祭りを楽しみにしてたんだな。好きなのか、お祭り?」
浴衣といい、花火といい、アーヤはお祭りが好きなのかもしれない。
そう思っていたのだが。
「……違うよ」
どこか改まった風に姿勢を正すアーヤに否定される。
「もちろん、お祭り自体は好きだよ? でも、色々と準備したのは……トレーナーさんと一緒に来たかったから」
「俺と…?」
誘われたのは当日だったので、アーヤの言葉に驚く。
それが分かったのか、アーヤが苦笑しながら説明してくれる。
「本当はもっと早く誘うつもりだったんだよ? でも、トレーナーさんは忙しそうだったし。私もそんな状況じゃないって……思ってて。でもでも、やっぱり一緒に行きたくて、準備だけはしてたんだ」
確かに、あの件があるまで俺は余裕はなかった。
そもそも、祭りなんて欠片も気にしていなかったのだから、アーヤの言は正しい。
「どうして、そんなに俺と一緒に来たかったんだ?」
「……トレーナーさんって鈍感なの? それとも大人だからワザととぼけてるの?」
ジトっと擬音が聞こえてきそうな目で、アーヤに睨まれる。
まずい、謝らなければ、と思って口を開こうとするが、アーヤは今度は何故か笑う。
「良いよ別に。そういう所が、私のトレーナーさんだと思うから」
許されたのか、呆れられたのか判断に困るが、機嫌は直っているので良しとしよう。
「ねえ、トレーナーさん……責任を取ってくれるって嘘じゃないよね?」
「ああ、三女神に誓って。俺は金輪際、君には嘘をつかない」
「うん、ありがと……ねえ、トレーナーさん」
スウッと息を吸い、アーヤが何かを決意した強い瞳で俺を見つめる。
それに対して、俺も強い意志を持って見つめ返す。
1秒、1分、もしかしたらそれ以上かもしれない沈黙の後、アーヤがゆっくりと口を開く。
「私ね、ずっと 自分だけのものが欲しかったんだ」
黙ってアーヤの話を聞く。
「お母さんとも、お姉ちゃんとも違う、私だけのもの。でも、トレーナーさんに会うまではそんなものないって思って、お姉ちゃんの真似ばかりしてた」
恥ずかしそうにアーヤが頬をかく。
「でも、トレーナーさんに出会ってから変わった。トレーナーさんは私だけの走りを教えてくれたし、私だけのトレーナーさんになってくれた。本当に感謝してるんだ」
まさか、そこまで思っていたとは思わずに驚いてしまうが、それでも口は開かない。
とにかく、静かに彼女の言葉に頷くだけにとどめる。
「感謝してもしきれない。でも……それだけじゃ物足りなくなっちゃったの。私って結構欲張りだったみたい。自分でも気づかなかったけど」
一歩、アーヤが俺との距離を縮めるように近づいてくる。
「トレーナーさんはトレーナーだから、私が引退したりしたら他の子のトレーナーになるんだよね? ……私から離れて」
今はアーヤの専属だが、当然彼女が引退すれば別の子の担当になるだろう。
それはトレーナーとして、当然のことだ。
「分かってるよ。それが普通のことだって、今から言うことは私の我儘だって、分かってるの。でも……我慢できないの」
アーヤが俺の手を、戸惑うように握ってくる。
それは、一種の罠のようで、餌を誘う食虫植物のように思えた。
だとしても、俺はしっかりとその手を握り返す。
「私ね……トレーナーさんのことが大好きだよ」
それはどういった意味でとは聞き返さない。
聞き返したら、きっと今この場で答えないといけなくなるから。
「だからね、トレーナーさん。これからもずっと…ずっと――」
不意に、視界にまばゆい光が映る。
それは花火が上がった証拠で、次の瞬間に。
「私だけを見ていてくれますか?」
声をかき消す音が聞こえてくる証拠だった。
「アーヤ、今……」
「いいよ、別に。答えなくて」
くるっと方向を変え、花火がよく見えるように俺の隣に立つアーヤ。
「聞こえてても、聞こえてなくても答えなくていいよ。トレーナーさんは嘘が付けないから、きっと今は何も答えられないと思うから」
それは2人の立場に違いがある以上、今は答えることが出来ないこと。
逆に言えば、年齢が上がれば、立場が変われば言えるようになること。
「……でも、もし聞こえていたら」
花火が再び上がる。
今度は、花火の音にかき消されないように、アーヤがしっかりと俺の耳元でささやく。
「私が最後まで走りきった時に、答えを聞かせて欲しいかな」
いたずらっぽく笑い、アーヤが俺から離れる。
そして、それ以上は話さずに黙って次々と打ちあがる花火を見つめるのだった。
「なあ、アーヤ……」
「なーに?」
そんな姿に何かを言おうと思うものの、何を言えばいいか分からずに俺も空を見上げる。
夜空には色とりどりの光の花々が無数に咲き誇っている。
そんな中俺は、花火よりもさらに上を、夜空で最も美しく輝く。
「星がきれいだな」
「そこは花火じゃないの?」
次回は2000年有馬記念でも書こうかなと思ってます。
いや、アーヤは出ないんですけど、こういう機会でもないと世紀末覇王伝説は書けないんで。
まあ、他にネタがあればそっちにするかもしれませんが。
感想・評価お願いします。
因みに、白文字でアーヤの言葉は書いているのでドラッグしたら分かります。
それから新作
『静寂なる日曜日へ』を投稿しました。
タイトルとタグを見たら分かりますが、あのウマ娘達の話です。
短編なので、小説情報に飛ぶようにしています。良ければどうぞ。
https://syosetu.org/?mode=ss_detail&nid=320625