そんな間の抜けた掛け声が、妙な熱と力を持って響き渡る。
ソウリュウシティを中心として成り立っていた地方北部は、プラズマ団に占領され、市民たちはポケモンを『解放』した。
一方、ポケモンリーグ・ジムの残存勢力は、ヒウンシティ・ライモンシティに本拠を移し、巻き返しを図ろうと画策していた。
……そんな衝撃的なクーデターが解決せぬまま迎えた二年後、カノコタウンから1人の若者が旅に出る。
彼女の名は、トウコ☆
イッシュ地方を救いたい……(マッチポンプ)
※救う所まで書くとは言っていない
なお、今回は本当に旅立ち部分のみのため、サッと流れるようにお読みください。
夜明けの始まり
旅立ちの日。
シキジカたちははるのすがたへとフォルムを変え、空には春の訪れを喜ぶように生き生きと舞うマメパトたちの群れが見える。
最新技術により整備された結果、頑丈な鋼鉄の壁に囲まれ南の小ソウリュウとも言われるようになった、カノコタウン*1。
どことなく、閉塞感の漂うこの町から今発とうとしている2人の新米トレーナーを祝福しているかのような雰囲気が漂う中、そのトレーナー達はというと……。
「いよいよか~。
ポケモンリーグも二年ぶりにジムを再開するっていうし、
これから旅立つのが楽しみだね!チェレン!」
「ポケモンリーグとはいっても、
つい昨日まで本拠地も急ごしらえで機能不全を起こしていたんだろう?
そんな中、本当に僕たちが思い描いてたような冒険ができると思う?」
まったく正反対の心持ちでこの日を迎えていた。
「確かに、そうなのかもしれないけどさ!
ベルの分まで、旅の思い出たくさん作ってさ、
その話を教えてあげるんだ~って決めたところじゃん!
難しく考えるよりも、実際に体験してみるべきだよ!」
「……はぁ。ベルは危なっかしいところがあったし、
こんな状態で旅が出来るのか不安だったから正直なところ、
旅についてこられないことになって少し安心してたんだけど。
それよりも不安になる人が、今、目の前にいるんだよね」
後ろ向きな発言をしている、怜悧な印象を受ける青年の名はチェレン。
強さを求めポケモントレーナーとしての大成を目指す一人の青年である。
「えぇ~?それって、私のこと?
これでもウチじゃあ、しっかり者で通っているのよ?」
そして、先ほどから前向きな発言をする活発そうな少女。
名前は……トウコ☆
14歳を迎えて、チェレンと同じくポケモントレーナーとなり、サウスイッシュ図鑑*2完成を目指して旅をすることに決めた少女だ。
彼らは共に、本日ポケモンリーグから正式に承認を受け、トレーナーカードの交付を受けた新米トレーナー達である。
「さぁ、私たちの記念すべき、トレーナーとしての第一歩よ!
一番道路に二人で一緒に踏み出しましょう!」
背筋をビシッと伸ばして、チェレンに指を差すとトウコ☆は決定事項を告げるようにチェレンに言い放った。
「そういえばそんなこと、2年前にベルが言ってたんだっけ?
あの時は直ぐに例の騒ぎがあって、有耶無耶になっちゃったけれど。
彼女の分も冒険してポケモンと共に強くなる。
そう思えば、改めてやってみるのも悪くないかもしれないね」
トウコ☆はそれを聞くと目を丸くしながら大仰な仕草で驚いた素振りをする。
「意外!こういうの下らないっていうのがチェレンだと思ってたわ!」
「……きみは僕をなんだと思っているのさ。
とりあえずこのまま立ち話し続けるのは嫌だから、早く行くよっ!」
「あ、待ってよ~」
そうして、なし崩し的に道路の前までたどり着き、二人とも絶え絶えになりながら踏み出した。
その一歩は、ウォーグルが空にはばたく瞬間のように力強かったという。
「ぜぇぜぇ……足が重たいよぉ」
「……ひゅーひゅー」
……ただ体に力が入らず、踏み出した足に体重を預けすぎただけとも言う。
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本来、二年前に旅立つ予定だった彼らだったが、
その際に旅立ちの日に起きたあるある大事件によって、図鑑のデータ収集やポケモンの育成はおろかトレーナーになることすら危ぶまれていた。
その事件とは、
――伝説のポケモンを連れた王を名乗る人物によって
イッシュ地方北部で引き起こされてしまったクーデター
彼が連れている伝説の黒き龍の力、そして彼が率いる組織の力。
それらはあまりにも強大であり、シンパが紛れ込んでいた地方北部のリーグや都市はまともに抵抗できずに陥落。
それに反発した一部のエリートトレーナーやベテラントレーナー達は、圧倒的な伝説のポケモンの力を前に膝をつくこととなった。
イッシュ地方政府や、イッシュリーグは相次いで声明を発表し、王を名乗る人物に都市や主要施設を返還するよう呼びかけたが回答はNoだった。
彼らは言った。
「我々はプラズマ団。
身勝手にポケモンを利用してきた人々から、
ポケモンを『解放』するのを目的とする組織である。
心ある人々に告げる。
ポケモンを『解放』し、真にポケモンが自由となれる地方を作ろうではないか」
と。
イッシュリーグ、ソウリュウシティを掌握した彼らの言葉に、あり得ないだろうと考えていた非日常の到来を見た人々は動揺し、自らポケモンを手放していく者まで現れ始めた。
その影響は、かつてプラズマ団の七賢人と呼ばれる幹部たちや、それを束ねるゲーチスという男が演説をした街を中心として、急速に広まり始めたのだ。
「プラズーマ―」
北部イッシュの人々がそう叫び出す日は刻一刻と、近づいていた。
前半 メインパート(現在)
後半 北部イッシュ王国建国物語(過去編)
でお送りいたしました。
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プラズマ団被害者の会のコーナー
①ベルさん
プラズマ団のせいで父親だけでなく、母親の反対も受けてしまい、今回のジム再開に合わせての旅立ちを準備できなかった。かわいそう。
②アララギ博士
リーグ再編に伴うサウスイッシュ図鑑の編集に駆り出されたり、プラズマ団がよく使用するポケモンの対策会議に引っ張られたりしている。新人トレーナーに構っている暇は余りない。原作にて、でんきいしのほらあなでやっていたような、フィールドワークもかなり制限されている。どんまい。
③ヤーコン氏
港に明らかに怪しい船が来るように。
冷凍コンテナの治安悪化に悩まされる。
胃薬が欠かせない。つよくいきろ。
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あと、一話は続く。
4000字前後予定
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