最近勉強や合宿や大会で忙しく、執筆する暇がなかったのですが、何とか暇を見つけては書いてました。
エタッテナイヨホントダヨ?
個性把握テストの翌日、午後の授業。今の時間割はNo.1ヒーロー、オールマイトが担当する『ヒーロー基礎学』だ。
今日の授業は戦闘訓練ということで、生徒達は初めて袖を通す自分たちのコスチュームにテンションマックスであった。
己の個性が使い易いコスチューム、個性の効果を伸ばすコスチューム、果ては本人の趣味満載のコスチューム。多種多様なコスチュームが訓練の待機場所にはごった返していた。
そんな中、入試、個性把握テストともに凄まじい成績を叩き出した禪院直哉のコスチュームに注目が集まるのは、至極当然と言えるだろう。
「おぉ〜、禪院のコスチューム渋いな!」
そんな切島の声に、直哉へと更に注目が集まる。
「なんか…ヒーローっぽくないような…?」
「地味だね」
「禪院っぽくない」
「もっと派手かと思ってた」
「めっちゃ前時代的な思想持ってそう」
「和服…ですわね。それも超常黎明期より更に前、明治時代の学生に着られていた、書生スタイル、という服装ですわ。
禪院さん、いったいどのような意図で書生スタイルにしたんですの?」
直哉のコスチュームは書生スタイル。明治時代の学生達が着ていたもので、袴の下に洋服を着たものである。
直哉のコスチュームがこうなった理由としては、服装に余裕がある為、自身の動きが相手からは見にくく、自分の手や足の動きから先読みがされ辛いといった、カウンターに弱いという投射呪法の弱点を補う意図がある。また、決定打に欠ける際の暗器を隠すにも、スペースに余裕のある服が適しているのだ。
そんな要望を出したら何の因果かこうなった。
ちなみに直哉は書生スタイルに対し、「便利ならそれでええわ」という感情しか持ち合わせていない。
朧気な記憶の中の禪院直哉もこんな服装であったが、気にはしていないようだ。
「ん?あぁ、百ちゃんか。
…………制服でも分かっとった事やけど、やっぱええケツしとるな。でも出し過ぎは逆に希少価値を削ぐんよなぁ…」
「禪院さん、それは紛うことなき『セクハラ』ですわ。女子に面と向かって言うには不適切かと」
女子たちから絶対零度の視線が刺さる。
紫色の髪の小さな少年は「良い。だがそれで良い」のような事を言っていたとか。
「ハッ、まぁええわ。ちなみにこの服にしたわけやけど…
答える訳ないやろw何でわざわざ手の内晒すねん頭あんのかいなw」
笑っちゃうよね。
オールマイトの授業内容についての説明は彼が新米教師故、拙いながらも無事終了した。
戦闘訓練は敵の立てこもりを想定したもの。オマケに核弾頭所持というハリウッド監督も仰天のアメリカン設定。
チーム分けは将来、他のヒーロー事務所との急なチームアップに慣れるためか、ただ適当であったのかはオールマイトのみ知るところであるが、くじ引きで決まることとなった。
そして禪院の組み合わせは。
2回戦 葉隠&禪院VS轟&障子
屋内対人戦闘訓練、一回戦は爆豪&飯田vs緑谷&麗日。
それは油断し、緑谷を気の赴くままに甚振っていた爆豪の不意をついた緑谷の奇策で幕を閉じる。
そして怪我によって保健室に送られた緑谷以外の全員で、先程の訓練の講評を行っていた。
「まぁ戦犯は爆豪君一択やな。出久君の爆発力を個性把握テストで分かっとったんに、それを忘れてまぁ甚振る。
その点飯田くんは立派やね。
爆破して癇癪を起こすだけのカスに見切りつけて、自分にできる最大限をやったんやから」
オールマイトのMVPは誰か?という質問に、真っ先に直哉が答える。
MVPを問われているのに戦犯まで晒し上げるのはさすが禪院直哉といったところだろうか。
そんな直哉に対し、爆豪は緑谷に敗北を喫したのが余程堪えたのか、俯き、黙ったままだった。
「あれ?禪院ちゃん、緑谷ちゃんがMVPじゃないの?」
直哉の発言に蛙吹が疑問を口にする。
ヒーローチームを勝利に導いたのはどう考えても緑谷の最後の一撃であったからだ。
「いえ、禪院さんの言う通りですわ。
アレがもし、本当に核爆弾なら、建物を大幅に破壊して核を回収、なんて選択は採れませんもの。
緑谷さん達の行動は、訓練という甘さを利用した、言わばズルのようなものですわ」
「ハッ、意見があって嬉しいわ、百ちゃん」
「ウム!二人の言うとおりだ!まぁ飯田君にも少し固かった点もあったがね。HAHAHA!」
(思ったより言われたあ〜〜〜……)
オールマイトは話題を変えるため、軽く咳ばらいをする。
「さて!今ので皆もどのように動くか、簡単なイメージがついただろう!
2回戦目のチームは、訓練ビルBに向かってくれ!」
オールマイトの指示に従い、直哉達は移動を始める。
そして直哉は爆豪とすれ違いざまに口を開き――
「強さを知らんのやね、君は」
「――!」
爆豪が何か言い返そうと振り向いた時、既に直哉は部屋にいなかった。
戦闘訓練に使われるビルの最上階、2人のヒーローの――今だけは
「よろしくね!禪院君!」
「ああ、よろしゅうな透ちゃん」
「いきなり名前呼びとかさては君陽キャだな!」
「一応陰のはずなんやけどね」
呪力を使う俺が陽キャとか笑えるなぁ、みたいな余分な思考はドブに放り込み、2人は敵側として核を守る策について話し合う。
「まぁ警戒すべきは轟くん一択やな。障子君は見た感じ雑魚や、俺なら一瞬でのせる。
てなわけで俺が前に出て2人を無力化。これでええやろ」
「……それだけ?」
脳筋なの?頭筋肉で構成されてるの?フィジカルがギフテッドしてるの?主に脳に、と二の句を継ぎたい葉隠だったが、発言者は入試1位。流石に作戦がこれだけじゃないでしょ、と思い、動揺しながらも続きを求める。
「そんだけや。言っとくけど今回お前は役にたたれへんで。やからここで待っとれ」
「ちょぉっとまって!」
「なんやねん」
直哉は面倒くささを欠片も隠さない顔をする。若干の苛立ちも混じっているようだ。
「いやいや、轟君は推薦入学者だよ?障子君だって高校生とは思えないマッチョだし…いくら禪院君でも無理だよ!
あと私も役に立てるもん!」
一通りの抗議を済ませると、葉隠は身につけていた靴や手袋まで脱いでいく。
完成したのは全裸美少女でした。
「どうよ!これで私も役に立てるでしょ!全然見えないよ!」
「変態やね(ジー)」
「そこは考えないでぇ!」
『訓練開始1分前だぞ!各チーム、作戦は練り終わったかな?』
そうこうしている内に時間は過ぎ去り、スピーカー越しにオールマイトからアナウンスが入る。
オールマイトの訓練開始の大声が響き渡ってからすぐ。
「……最上階に1人。そして3階に1人…素足だな。
恐らく、禪院は俺達を待っている。透明な奴は伏兵か。
どうする?轟」
障子は幾つも生えた腕に耳を作り、ビル全体を探る。
「外出てろ…向こうは防衛戦のつもりだろうが…」
轟の個性は『半冷半燃』。炎を出し、氷までも出す複合型個性。
熱の個性は、使うと体内に熱が籠もり、身体機能が低下する。
それを解決するのが氷の個性。己で己を冷やし、熱の個性の弱点をあってないようなものにしている。
そして、そのどちらも高い出力を誇る、最強に近い個性。
だが。
障子が外に出たのを確認し、轟はビルの壁へと歩み寄り、手で壁に触れる。
「どれだけ加速できる個性だろうと、動くより前に凍らせられる俺には関係n「轟!1人飛び降りた!恐らく禪――」なッ………!!!!!!」
障子が言い終わるよりも速く―――
「う゛ルぇ」
禪院直哉の拳が、障子の背中を撃ち抜いた。
「トロい」
ミシミシと嫌な音が聞こえるような一撃だった。
障子の体はピンボールのように宙を舞い、次の瞬間には途轍も無いスピードで壁に激突し、体の半分が壁にめり込んでいた。
「障子!」
轟には見えなかった。気が付いた時には既に障子は吹き飛んでいた。
だがここで幼少期からの過酷なトレーニングが活きる。
轟は障子がやられ、自分は後手に回っていると瞬時に理解。
最適解を叩き出す。
「くっ…お゛ぉ!」
下手人は目の前。
それを無力化するため、先程まで障子がいた場所にほぼ反射としか言えない速度で氷を出す。
だが、それでも『遅すぎる』。
「シッ」
――轟が個性で大きな氷を出すには、今はまだ腕で出力先の方向のイメージを定めなくてはならない。
だがそれは、氷の個性の発動時には左半身に
轟の視界には、既に自分の横腹に喰い込む直哉の腕が映し出されていた。
「カッ……!!!!」
意識外からの一撃。踏ん張れるはずもない。
加えて事前に纏っていた氷の鎧も薄氷の如く砕かれた。
慣性で重くなった直哉の拳を食らったことで轟はなす術なく吹き飛ばされ、すぐ横の壁にめり込んだ。
「ウッッ!」
防御を全く意識できないまま攻撃を受けてしまった痛みで体が動かず、そのまま床へ倒れ伏してしまう。
それを確認した直哉はザザザッと地面を滑り、轟から少し離れた場所で静止した。
「……は?なんや轟君。君ホンマにエンデヴァーの息子かいな。
ジャブ一発で沈むとか。まだ氷しか使わへんし」
しかし意識だけは手放さなかった轟は、ここから起死回生の一手を打てないか、痛みを訴える己の腹を無視し、頭を必死に回す。
「あぁ、もしかして炎、使えへんの?だとしたら失敗作もええとこやなぁ。
エンデヴァーが可哀想やわ」
実際、障子が直哉の行動開始を音で感知し、轟に忠告してから3秒も経っていない。
それは、直哉は動き出してからたったの3秒で轟たちが居る場所まで降りてきたということを意味する。
(本当はオールマイトみたいな身体強化系……!?
ってか、コイツ、親父の事を…!?)
「ハァ、緊張感足らんとちゃう?
想像出来たやろ、俺が速攻してくることくらい」
直哉は金色の髪を少しかき上げ、心底失望した表情で轟を見下ろす。まるで、好物だと思って口に入れた物が特段好きなものではなかったような。ハンバーグを食べたと思ったら肉巻きピーマンだったかのような。
(…見下ろすんじゃねぇ…っ!)
「ぐぅっ……」
轟の口の中に唾液が多くは分泌され、酸っぱい匂いが鼻腔をくすぐる。
「オ゛ロッ…」
「出久君みたいに良いライバルになると思てたんやけどね。
がっかりやで、ホンマ。
こんな失敗作やとエンデヴァーも報われへんなぁ」
胃の中のものを吐き出した轟に直哉は肩を竦め、また大きなため息を吐く。
「ハァッ、失…敗作…だと…!?」
「お、まだ喋れたんやね」
「それに…なんで…親父の事を知ってんだ…!?個性の…事も!」
「何でって……自分の苗字分からへんの?
まぁ個性に関しちゃ当てずっぽうだったんやけどね。
どうせエンデヴァーは氷の個性持ちと結婚したんやろ?まぁそれが最適解やしな。
それを考えれば、キミがエンデヴァーの息子って嫌でもわかるわ」
(コイツ…!クソ親父と同類か!)
個性社会においての最大の禁忌、個性婚。
自分と相手の個性だけを見て結婚し、より優れた個性を持った子を産もうとするもの。
倫理的にも到底一般的に認められることはないであろう行為。
父が行ったそれを、まるで肯定するかのように語る直哉。
「でもその口振りからするに炎も持っとるんやろ。
でも正直驚いたわ」
そないな舐めプで俺に勝てると思たダチョウばりの脳みそにやけどね、と言葉を締めくくる。
「……!」
轟はまだ蹲っている。
「轟君が何考えとるかは別に興味ないんやけど、才能あるんやろ?
なんで最大限利用せえへんのや。
豚に真珠猫に小判……慣用句からもわかる事やけど、いつの時代もバカはおるんやね」
(今は……待つ!)
「……テメェには関係ねぇだろ」
会話が途切れ、直哉はフン、と軽く息を吐く。
「ここまで煽っても冷静さは失わへんか…
良かったわ、ホンマ。君までガキやったらどうしよかt」
「今だ!障子!」
「ウオオオオオオオオオ!!!!」
障子は10秒ほど前に意識を取り戻し、直哉の隙を伺っていた。
そこに来て轟の合図。
障子は確実に直哉を戦闘不能にするため、渾身の力で3つの拳を振り抜く。
だが、嫌な音が聞こえた直後、直哉は一瞬で障子の視界から消え去り―――
次に障子の瞳に映ったのは顔面を蹴られたのか顔から血を流し、気絶している轟だった。
「とッ……!?」
「バカやね。
轟君が気付いた事に俺が気付かへんわけないやろ」
瞬間、首の痛みとともに、障子の視界は暗転した。
ヒーローチーム突入より36秒後 ヒーロー両名戦闘継続不能
敵チーム勝利
「ホントに出番なかったよ私ぃ!?」
少女の声がビルに木霊した。
その頃モニタールームでは
轟の個性を知ってる瀬呂「ああ、轟の勝ちだ」
直哉の個性を知ってる麗日「いやいや!相手はあの禪院君だよ!?」
何も知らない切島「どちらもありうる…そんだけじゃねぇのか?」
訓練後
全員「人の心とかないんか?」
「オーバーキルだろ」「顔面凄い痛そう」「大丈夫か轟」「オイライケメンは滅びろって思ってたけど轟に同情しちまったぜ」「障子に轟…漢だった…!」
リカバリーガール「新学期から怪我人が多いねぇ。鼻の骨が折れたり肋骨が折れたり……」
Q,憧れているヒーローは?
キレイなドブカス「おらへん」
バキバキオタク「オール…マイト…」
韋駄天「インゲニウム」
敗北を知った子供「オールマイトだ……ッ!」
翌日顔面包帯の奴「オールマイト」
実はここまで遅れた原因に、拙作のラストをどうするか、二択で悩んでいた、というのがありまして。
是非アンケートにご協力お願いします。
感想評価、とてもモチベーションに繋がります。
???「ここからは加速していくぞ」
拙作のラスト
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ヒロアカエンド
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呪術なエンド ※人の心あり