個性【ママ】   作:ゴッドマザー

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世界平和

JAPANにはオールマイトというJAPAN版のスターアンドストライプのようなNo.1ヒーローがいる。

 

正確には逆であるらしいが、ゴッドマザーの幼い頃からトップヒーローとは誰かと聞かれたら必ず名が上がるのがスターであったし、規格外のパワーを持った個性と規格外の汎用性を持った個性のどちらかに軍配が上がるのかは、聞かれるまでもなく後者であると答えるだろう。

 

いくら強かろうと個性ママは触れたらおしまい、初見殺しにして即死系の個性だ。

彼女の感性からして赤ん坊を傷つけるという選択を取ることは決してありえないとはいえ、基本的に発動したら終わりのそれの『契り』を解除してみせたのは後にも先にもスター一人である。

 

故に自分の赤ん坊以外は無関心なマザーであるが、彼女だけは自分から赤ん坊を奪う存在として、それなりに敵視しているところがある。勿論赤ん坊にしてしまえば話も変わるのだろうが、それも正面からでは難しく、出来ればもう顔を合わせたくないと思っていた。

 

「そういう訳だから、ね。スターを誘き出そうとするのはやめましょう?オールマイトだったかしら?その子を赤ん坊にするのお母さん頑張るから!」

「そうか?超パワーより超能力染みたスターを手駒にしちまったほうが手っ取り早いと思ったんだが……まぁ母さんが言うならプランBでいくよ」

 

血色の良い笑顔を浮かべた死柄木弔がマザーの提案に頷く。

どうやら個性の入れ替えが功を奏したようで、痒みとストレスから解放された彼の顔は晴れ晴れとしていた。

 

今日(こんにち)、AFOから課された試練を突破し、いざ魔王としての道を歩み始めることになった弔はスターとオールマイト、世界に名の轟くヒーローとして二極にある双方のどちらかをママの個性で味方に出来ないかと提案してきた。

そしてパワーと実績、カリスマ性のあるオールマイトよりも、同じぐらいの実績とカリスマ性を有し、圧倒的に理不尽とも言われる個性のスターを味方にした方が世論も傾きやすいだろうと候補に上げたが、マザーがやりたくないと言うので諦める。

 

「ならまずは日本のヒーロー社会から切り崩すか……だとするとやっぱ、雄英を落とした方が早いな」

「確かオールマイトが今年から先生になるのよね?」

「あぁ。トップヒーローの登竜門。オールマイトを始めとした有名どころはだいたいここの卒業生だ」

「ってことは人気があるってことよね?生徒もいっぱいいるの?」

「……ま、母さんならそれが気になるよな。ヒーロー科、普通科、サポート科、経営学。特にヒーロー科は毎年倍率300%を越えるマンモス校だ。その生徒を全員ってのは少し待ってほしいが、将来有望なヒーロー科には今のうちに唾をつけたいってのは俺もある」

「まぁまぁ!」

 

AFOは出来れば兄弟は増やしたくないというスタンスだが、弔は兄弟は出来れば出来るだけ欲しいというスタンスだった。流石に無計画に増やすのは躊躇われるが、家族が増えるのは嬉しいと思えるような人間だった。

 

打算的な意味でも、彼が積極的にママの個性を使うのには理由があって、ママの子供には自分より先にママの子供となった『兄』や『姉』を敬うような傾向があるのだ。そこまで強制力があるわけではないが、自分より上はAFOしかいないし、あの男はこれを利用するつもりは更々ない。

 

シンプルに家族が増えるのは嬉しいし、そこにプラス効果で信頼を築く難易度がぐっと下がると思えば、まさに一石二鳥というやつだろう。

 

「いっぱい子供達が増えるのね!」

「あぁ。そうさ...……家族が増えるのは嬉しい。それで戦争も貧富の差もなくなるかもしれない。こんな夢物語を、個々の利権や、倫理、自由なんだかんだと屁理屈をつけて否定するこの腐った社会をぶっ壊そう」

 

両手を広げ、盤面を支配する黒幕のように弔は語った。

 

 

AFOはママの子供になって愛の素晴らしさを知ったせいで堕落したが、死柄木弔という作られたヴィランは気に入らない社会を壊すという空虚で壮大な目的の中に、その後にある理想の世界を作る為という大義名分を得て、大きな成長へと繋がることになった。

 

果たして、この星全ての人間が兄弟になれば争いがなくなるのか。それは分からないし、血が濃くなりすぎたせいで急速な滅びへと向かうかもしれない。

 

「なぁ、お前もそう思うだろ?ステイン(兄弟)

「………………」

 

それでも古今東西誰もが成し遂げることが出来なかった世界平和。それを掲げる彼に追従するヴィランの数は着実に増えていた。

 

「楽しみ。凄い楽しみだわ!」

「期日は、三日後。目標はヒーロー科の一年生とオールマイト。母さんを出すなら、()()()()もついてくるだろう。大所帯だが、記念日だ。派手にいこう。みんなで新しい兄弟達を迎えに行くぜ」

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