女性に舐められたらキレる。そんな素敵な人格を持った『パコさん』をワンピース世界に入れたらどうなるか気になっただけ
俺、転生しました。
横断歩道渡ってたらクラクションの音聞こえてさ。右見たらトラックが目の前まで迫ってやんの。衝突の瞬間とかその後どうなったかは覚えてないけど絶対死んでるよな。
「三途の川にしちゃ広すぎるよな。つーことは海だ海」
転生だって気付いた理由。決定的だったのは目の前の光景。海と沖に見えるでっかい魚。アレ、絶対海王類じゃん。ワンピースじゃん。異世界転生じゃん!!
「そして目の前にはわざとらしいほど重要そうな宝箱! これが転生特典ってやつ? 神様と話もしてないけど……ま、いっか」
どうせ死んだんだ。二度目の人生なんてあって無いようなものだし、ワンピース世界なんて弱者は常に虐げられちゃうようなスリリング世界だ。リスクはあるしどんな能力かもわからんが、それでも悪魔の実くらい食ってないとやっていけないだろう。
「ゴムゴムじゃないよなぁ。俺、結構漫画読み込んでたけどこんな柄の実は見たことない。でも食わない手は無いね」
"あのロブ・ルッチ"も言ってたしな。悪魔の実を食って弱くなることは無いって。毒々しいピンク色と禍々しい模様の実。ワンピース世界じゃなかったら絶対食ってないね。
「信じるぜその言葉。あーん……うおぇ!? マジで不味い!!!」
ひとかじりで全身の異常が治りそうなくらいには不味い。青汁もう一杯! とは言えないなコレ。
「あー。何の能力なんだろう。つーか能力者って自分の能力どうやって知るんだろうな? ルフィはシャンクスから実の名前教えてもらってたし。わからんな。とりあえず歩くか」
そもそも周辺に人気が無い。下手すりゃ餓死だ。とりあえず人を探しつつ食糧ゲットを目標にするかな。なーんて思って海岸をぶらぶら歩いていたら早速人の気配。ガヤガヤしてるねぇ。
「おーい。遭難しちまったんだ。助けてくれぇ」
我ながら情けない声。海どころか世界単位で遭難してるんで嘘は言っていない。無害アピールをしながら歩いていくと何かが飛んできて横に刺さった。
「ギャハハハ! 下手すぎだろお前。ナイフ投げの才能ねぇよ!」
「うるせぇなぁ。アイツがひょろ過ぎるのが悪い。もっと的をデカくしてくれねぇとよ!」
「それが下手だって言ってんだバカ!!」
やっぱり治安最悪では? 良い子の諸君、ワンピース世界に転生なんてやめた方が良いぞ。お兄さんとの約束だ。
俺の第二の人生はここで終わった。
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とはならず。あの後、興が乗った男たちに拉致された俺は、ロープでぐるぐる巻きにされてぞんざいに船の一室に叩き込まれていた。
「生き残ってラッキー。なんて言えるかボケ。これあれだろ、良くてヒューマンショップ行き。悪くて嬲り殺し&魚の餌ルートだろ。治安はどうなってんだよ治安は! 失望しました。海軍アンチになります」
ピースメインどこ? 正義コートの集団は? いません(絶望)。俺は絶望的な状況を誤魔化すためにジャンプのキャラクターを心の中に召喚した。
『オラ強いやつと戦いてぇ! この海にはすげぇやつがいっぱいいるんだろ? 羨ましいなぁ〜』
黙れカカロット。人選ミスったわ。お前のことは大好きだが、その太陽みたいな明るさは弱者男性の俺には眩し過ぎる。
「なーにブツブツ言ってんだ? お頭がお呼びだ。立てオラ!」
やだやだ。ザ・ムービー冒頭の敵海賊のお頭の悪魔の実の能力披露パートとかじゃんこれ。引き立て役のさらに引き立て役が俺の第二の人生の意味だってことか? そんなの絶対……嫌だ! 読者が10年くらい引きずるような大事な役目与えられたい!!
「連れてきたぜ。通してくれ」
「……入れ」
見張りによって無情にも扉が開かれる。せめてお頭とやらの顔だけは焼き付けておこうと思って必死こいて前を向いた。
「そいつが拾った男かい。確かに妙に身綺麗だね。遭難したにしては髪もサラサラじゃないか。もっと近くに寄越しな」
背後の男に無理矢理に押し出されながらも観察する。お頭とやらは女だった。それもかなりの美人。だが俺よりもかなり背が高い。3メートルはあるだろうか。ワンピース世界特有のバグった頭身を実際に目の前にすると滅茶苦茶違和感あるな。
「おい。お前さん、どっかの偉い方のガキか何かかい? そうしたらラッキーだったね。アタシは必要のない殺しはしない。もしお前さんにその価値があるなら家に送り届けてやっても良い」
「ほ、本当ですか!?」
「本当だよ。二度言わせるような無駄なことはさせないでおくれ。んで、何処だい?」
予想外の展開に思わず叫んでしまった。マジ? ピースメインはここに居た(チョロい)。でもなぁ、俺なぁ。実家が太いどころか実家無いんだよねこの世界に。でもそれ言ったら『生かす必要、無いね』ってなるよな。どうしよう。とりあえず考える時間稼ぐか。
「あの、もし僕を送ってくださった場合どのくらいのお返しをしたら良いでしょうか……?」
「10億」
「え?」
「10億ベリーだ。それ以上はビタ一文もまけられないねぇ。まあお前さんの家がそれ以下の金しか持ってないなら仕方ない。資産の一切合切、それと売れそうな人間全部貰っていくさ」
これは茶化せねーわ。海賊怖い。人を殺すとか攫うとか売るとか、そんなことを本当に日常茶飯事的に行っていることがわかる。こんなもんに関わっちまったのが間違いだった。チクショウ、泣きそうだ。
「どうした? 足が震えてるじゃないか。びびっちまってるのかい? 情けないねぇ。まあ、そんななまっちょろい体じゃしょうがないか!」
そのまま肩を軽くどつかれる。完全に舐められている。情けないことに、非力な俺の体は抵抗もできずに倒れてしまうだろう。そうして俺は無価値な人間として殺され、船から捨てられる。そう思っていた。
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あーあ。お頭の悪い癖が出ちまった。あんな情けないツラしたやつに10億ベリーの価値なんかあるわけ無いのにな。ほら、お頭の脅しにすっかりビビっちまって。かわいそーに震えてやがるぜ。
この後はお決まりのコース。調子の良い嘘を付いた奴は適当なところで嘘を暴いて、罰だとか言ってボコボコにしてから海に捨てる。本当に良いとこの坊ちゃんだったらお頭の言った通り家ごと略奪した後、やっぱり殺す。
さて、今回はどっちかな? 俺としちゃあ女が手に入る方が良いなぁ。
「は? お前、何突き飛ばしてくれてんの?」
聞き間違いか? 辺りを見渡せば船員は全員固まっている。お頭のポカンとした顔なんて初めて見たぜ。さっきまでなよなよしてた男の姿が変わってやがる。肩を露出したダボダボの服。乱れた髪。そして焦点の合わない目。どれを取っても危ない気配だ。
「あー……お前、イイ女だな。パコりてえな。パコるか」
豹変した男が物騒な言葉を吐いた瞬間、お頭の服が引き千切られた。誰も反応できないほどの速さで移動した男によってお頭の柔肌が顕にされる。
「なっ! お前たち!! コイツを殺せ!!!」
「お、おお!! 野郎ども、かかれ!!」
海賊船ローズ号の船内に怒号が響き渡る。激しい戦闘音が10分ほど続いた後、1人の船員が甲板に転がり出てきた。
「こ、ころさないで!! この船も食料も全部渡す!! 海賊なんてもう辞める! だから俺だけは見逃してくれぇ!!」
「うるせぇ。死ね」
そうして海賊船は静かになった。生き残りはいない。総勢50名の海賊がこの世を去ることになった。
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「いや、パコさんやん。俺が食ったのってヒトヒトの実 モデル『パコさん』だったのかよ!!」
※キレた時のパコさん:性欲<暴力欲 なのでパコってません
気が向いたら更新します