鬼滅の刃 とある一剣士の物語 作:鬼滅ニワカ侍Part2
高評価をしてくださった、涙袋さん!ありがとうございます!
ということで投稿です。
あ、ランキング入りありがとうございます!
オリジナル主人公最強ものなので地雷な人が多いと思いますが、お付き合いいただけると嬉しいです。
「──────つまらない。痣を出させても25になる前に死ぬようでは時間が足りない。私の元まで来れる奴を育てられない。それでは常に私は消化不良を起こす。つまらない……つまらない……つまらない……何故私は生まれてきた。何故こんな体なんだ。何故これほどの才能を持ってしまったんだ……。普通でいい。普通だったなら、もっと苦労できたのに……」
満月が夜の空に浮かぶ日だった。痣を出して門下生が全員死に、やることがなくなってしまった柳は途方に暮れた。若い。死ぬまでがあまりに若い。導き、痣を出させても長生きできず技の研磨ができないようでは本末転倒なのだ。
痣がダメならもうどうしようもない。自身の技はより研ぎ澄まされていくのに、これでは他を置いて行く一方。人生に楽しみを見出せない。教えてくれるなら教えて欲しい。自身は一体どうすればいいのかを。
「──────もういい。適当に婿を取り、子を孕んで跡継ぎを作り、さっさと死ぬか」
最低限そのくらいはしておいてやるか。そんな気持ちで呟いた。それ以上にできることなんてないからだ。世継ぎくらい産んでおけば柳家はまた続いていくだろう。別に自身が生きているからどうだということもない。ただ珍しく、強く生まれただけ。それだけのことだ。
瞳が無機質になっていく。今までが何だったのかと問いたくなる。だが考えれば考えるほど現状とこれからに絶望するので考えることを放棄し、絡繰り人形のようになろうとした瞬間……柳の広範囲な気配察知に何かは入り込んだ。1つは言わずもがな人間。だがもう1つは感じたことがない気配だ。
激しく動いている。気配の揺らぎからして戦闘していると思っていい。鋭すぎる気配察知は片方が焦り、片方が苛ついているのが判る。最後の最後なのだから少し見てみるかという軽い気持ちで、柳は気配のする山の中へ足を踏み入れた。
「──────ンだぁ?おっ、人間じゃねぇか!ひひっ。へへへっ。ちょうど腹が減ってたんだ!コイツ殺したらお前から先に食ってやるよ!今日はご馳走が山ほどだぜぇ!」
「……っ!?そこのアンタ!早く逃げるんだ!コイツは鬼!人間を食らう化け物だ!一般人じゃ勝てない!だから早く!」
少し走って2つの気配の元へ辿り着くと、背中に滅の文字を入れ、このご時世に刀を持つ洋服の男と上半身裸で涎を垂らし、血走った目をしている男が居た。異質な気配がするのは上裸の男の方で、体に切り傷があるものの見たことがない速度で傷は癒えた。あまりに現実とかけ離れた自然治癒に柳は目を少し瞠目させた。そして、口端を持ち上げる。
「どうやら──────私の人生はまだ捨てたものではないらしい」
持っていないと落ち着かないという理由で木刀を持っていた柳は、左腰からそれを抜き取ると言葉を掛ける前に一歩踏み出そうとし……隊服を着た男にも上裸の男の目にも捉えられない速度で駆け抜け、上裸の男の胴体を横に斬り裂いて両断した。
あまりの神速に、隊服を着た男は呆然としていたが、上裸の男が斬られたのは胴体であること。そして居合わせてしまった一般人が手に持つのが木刀ということでハッとし、急ぎ叫んだ。それでは鬼は殺せない。早く逃げてくれと。
背中にそう声を掛けられた柳は暫し止まっていた。動きが止まり、隙だらけなのを好機と見て、胴体を斬り離された鬼は驚きを引っ込めて、すぐさま腕を不自然なほど伸ばして柳に向けた。鋭い爪が伸びた指先が無防備な柳に到達しようとする刹那、柳は振り返る。悍ましいほどニヤついた笑みで嗤って。
「これが斬る感覚ッ!ふ、ふふふ……ハッハハッ!!あぁ……これを待っていたッ!このために生きてきたのだ、私はッ!ハハハハハッ!!柳流剣術──────
「……ッ!?クソッ!このクソ人間がッ!何度も何度もオレ様を斬りやがって……ッ!!」
腕は細切れにされ、地面に落ちた胴体は3つに縦から裂けた。両肩から脇腹に掛けて斜めに入れられた斬撃で腕が落ちた。しかし柳が使ったのは木刀。鬼を殺すには特殊な鋼を使った刀が必要だ。しかもそれで頸を斬らなくてはならない。でないといくら斬っても鬼は殺せない。
それを知っている隊服の男は、圧倒的に強すぎる柳へ自身の刀……日輪刀を投げて渡した。軽く受け止めて手にした柳は、赤い刀身をしたその刀に目を落とし、彼女に隊服を着た男がそれで頸を斬ってくれと叫んだ。本当は自分がやらなくてはならないのだが、鬼との戦闘で左腕を折ってしまい力が入らず鬼の頸が斬れない。
仕方なく、柳に任せるしかないと思って日輪刀を渡したのだ。初めての真剣。手にする刀の重み。刃の腹に映る、自身の恍惚としたニヤけた笑みを見た柳は、人を斬る時に手に伝わる快感に酔い痴れ、倒れるように一歩踏み出すと鬼の頸を斬り終えていた。刀身は何故か赫くなり、灼熱を纏って空気を歪ませる。
初めて見た日輪刀の状態に、またもや驚かされている隊服を着た男は左腕を押さえながらヨロヨロと動き、柳の傍へ近寄った。
「一般人に任せるべきことじゃないが、本当に助かった!ありがとう!」
「灰のように崩れたあれは何だ」
「鬼……と呼ばれる、世に蔓延る化け物だ。鬼舞辻無惨という鬼に血を与えられ変化させられた元人間……人間だった頃の記憶はほぼ保持されず、人間の血肉しか食えなくなる。日光を浴びると朽ち果てて死ぬから夜にしか現れない」
「この刀は」
「日輪刀といって、特殊な玉鋼を使用して作られた、唯一鬼を殺せる武器だ。これで頸を斬らないと死なないんだ。奴等鬼は」
「お前は何者だ」
「俺は鬼を狩ることを生業とした政府非公認の組織、鬼殺隊の人間だ。今回はこの鬼を狩るように指令を受けて来たんだが、この通りだよ。はは……いや、本当に助かった。それに日輪刀がそんな風になるなんて初めて見た。良かったらどうやったか教え──────」
「そうか──────では死んでいいぞ」
「──────あぇ?」
鬼殺隊の男は柳に目の高さから横凪に頭を両断された。絶命する瞬間に何が起きているのかわからず、困惑した声を出すが続け様に不可視の斬撃が入る。頭を細切れにされ、腕を、脚を、胴を粉々に斬り刻む。見ていた鎹鴉が急いで報告するため飛び立とうとすると、10メートルは離れているにも拘わらず細切れになって死んだ。
ばしゃりと水分を多く含む人間の細切れになった肉が地面に落ち、辺り一面を赤黒く染め上げた。血の臭いに包まれ、柳は真っ白な胴着を血に染め、大量の血が滴る日輪刀を見下ろしながらゲラゲラと嗤った。
「──────気持ちいい。何故こんなにも気持ちのいいことを知らなかったのだ私はッ!鬼……鬼か……ふふふ。殺しても灰のように崩れて跡形も残らず死ぬ。それに人間よりも頑丈で頸はより硬く、世に蔓延るという。ハッハハハハハハッ!斬るのが気持ちいい!愉しい!清々しい!もっとだ……もっと斬りたい!果てしなく、ずっと、これからも斬り続けたいッ!!そのためにも──────」
「──────邪魔な奴等を斬ってしまおう」
鬼殺隊の死体に沈む日輪刀の鞘を手にした柳はその場から掻き消えるようにして移動した。向かうは己の生家、柳家である。
「──────一心……お前……」
「まさか、人を斬ってしまったの……?手に持ってるそれは……っ!?」
「知っているか?この世の中には鬼という素晴らしく斬り甲斐のある生物が居て、それを狩る鬼殺隊という鬼狩りが居るのだそうだ。私はこれから鬼を、そして人を斬る。こんなにも斬ることが素晴らしいこととは知らなんだ。今まで生きている実感がなかった。しかし今ならわかる。私は今、生きている。どうやら私の誕生日は今日らしい……ふふふ」
父と母が眠る寝室に、血塗れで抜刀したままの日輪刀を持った柳が入った。眠っているところを起こされた2人は血塗れの柳に驚いたが、彼女の出血ではなく返り血だと気がついて顔を強張らせた。そして悍ましい笑みを浮かべて恍惚とした声色で斬ることの愉しさを語る柳に、目を伏せる。
他者を思いやれない柳に、もし万が一こういった斬ることへの愉しさを教えてしまった場合取り返しがつかないと思って使うのは木刀。包丁は握らせることをしなかった両親。だがその反動なのか、柳は斬ることへの愉しさを知ってしまった。それもより最悪なことに、斬ることが彼女に合いすぎた。
もう誰も彼女を止められないと確信し、両親は柳が行おうとしていることを悟ると佇まいを2人して正し、正面から目を合わせた。最期の言葉を柳に送ろうとする2人を見ても、柳の脳裏には今までの生活の一片すらも、楽しかった記憶として流れなかった。
「──────すまない。お前がそうなったのは私達の責任だ……すまない。本当にすまない」
「愛してるわ一心。本当に愛してる……元気でね。風邪引いちゃダメよ」
「私からお前に与えてやれるのは
「せめて……せめてあなたには──────幸せを感じて欲しかった」
「お前達と過ごした21年は──────つまらんの一言だった。私がただの
灼熱を纏った日輪刀は、柳の両親の頸を刎ね飛ばした。転がる頭が2つ。天井まで噴水のように飛び出る赤黒く鉄臭い血。それを浴びながら柳は笑みを消し、もの言わなくなった死体を冷たく見下ろしていた。やがて血が止まると柳は適当に死体を8つほどに斬り刻み、その場を後にした。
血に塗れた胴着を脱いで風呂に入る。肌についた大量の血をお湯で洗い流し、身を綺麗にする。風呂から上がると用意しておいた黒い着流しを身につけ、三度笠を被り、ちょうど良い大きさをした箱の中に日輪刀を隠して背中に背負った。
両親が斬殺された部屋には立ち寄ることもなく、何の感慨もなく生家を出て行った。これで柳は柳家の柳からただの日本中を旅しながら鬼や人を斬る柳へと変わった。
「日本中に居る鬼を殺そう。ひたすら私は斬ってしまおう。そして最後は鬼舞辻無惨だ。はぁ……どんな斬り心地なのだろうか。考えるだけで心が踊る。誕生日おめでとう──────
『──────がッ……あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!?き、傷が……ッ!傷が灼けるッ!?痛ぇッ!痛ぇよぉッ!』
『聞こえるか、または見ているか鬼舞辻無惨。お前はどれだけ使えない鬼なんだ。こんな雑魚ばかりを懸命に作ってどうするつもりだ?クソの役にも立たんだろう?私も斬っていて物足りない。少しはその頭を働かせたらどうだ?何故上弦のような鬼を作ろうとしない。まさか……長生きし過ぎて考えることを放棄しているのか?ははッ。お前は耄碌した年寄りというわけだ、死ぬのは近いかもなァ?』
「──────ッ!!黒い着流しの鬼狩りィ……ッ!!」
他の鬼の視界や聴覚を共有して記憶を読んでいる鬼舞辻無惨は、憎たらしく語り掛けてくる柳の言葉に青筋を浮かべた。鬼を向かわせても殺される。上弦の弐を単独で殺してみせた稀有な存在。まるで戦国時代に居た、あの耳に花札の飾りをつけた剣士のようで、怒りで腸が煮えくりかえると同時に刻まれた恐怖が痛みを発する。
もうわかっている。柳に雑魚ばかりを向かわせたところで一切なんの意味もないことくらい。何せ直属の配下であり最強の6人の上弦の内、上から2番目の鬼を殺されているのだ。それも無傷で。雑魚で殺せるならば苦労しない。
無惨はギリギリと歯軋りをし、無限に続く血鬼術の世界の中で怒りから現れる覇気だけで周囲を粉々に粉砕した。ここまで虚仮にされたのは久方ぶりだ。煽っているのはわかっているが、もうすぐ死にそうだという言葉には反応せざるを得なかった。
自分は限りなく完璧に近い生物であると確信しており、追いかけてくる鬼殺隊をしつこいネズミと思っている。太陽の光を浴びれば死ぬ無惨は、この太陽を克服することを第一に鬼を増やし、克服する者が現れたら吸収して完璧になるつもりだった。しかしそれは千年以上叶っていない。
ならばと、自身を鬼にしたヤブ医者の手記に残された青い彼岸花を見つけて完璧な薬を作り、今度こそ完璧な生物になって不老不死になろうとしている。が、青い彼岸花もまた千年以上掛けても見つかる様子がない。何もかもが上手くいかない。
「──────良いだろう、鬼狩り。お前を優先的に狙い殺してやる。精々後悔して死ぬといい」
鬼舞辻無惨は残る鬼の中で柳に対抗できそうな鬼を頭の中で思い浮かべながら怒りを露わにし続けた。柳は煽ったこともあり鬼に狙われるようになったが、本人としては斬る相手が困らないという状況に楽しそうにしており、またそれに苛つく鬼舞辻無惨。
終わらない鬼殺隊と鬼舞辻無惨率いる鬼の戦い。だがここから2年後のこと、ある転機が訪れた。ある兄妹がきっかけで、戦いの状況が更に変わろうとしているのだ。
柳一心
生まれてくるなら普通の体で良かった。恵まれた体躯も才能も何も要らなかった。苦戦できないことが1番苦痛。だから命を賭けたギリギリの殺し合いではなく、他者を斬ることが1番愉しいと感じるように思想がワンランクダウンしている。
門下生に痣を出させても若くして死んでしまうため鍛え上げようにも時間が足りず、これでは一生消化不良を起こすと察して絶望し、適当に結婚して子を産んだら死ぬつもりだった。鬼と鬼殺隊に会わなければ本当に死んでいた人物。
両親を殺したのは、これまでのつまらない色の無い自分と決別するためであり、自分を知る1番身近な人物が居ると何か不都合があるかも知れないから。それと、どうせ人を斬ったということを知れば腹を切るとわかっていたので、それなら殺してしまおうと思った。斬り心地はまあまあ。
産屋敷に死んだ隊員から刀を貰って鬼を殺したと言ったが嘘。鬼殺してある程度の情報聞いたら隊員も殺した。嘘をついたら見破ってくるか?と思って態と嘘をついたが、なんのアクションもしてこなかったのでつまんねぇなって思ってた。
柳の両親
柳一心を心から愛していた、本当に良くできた両親。どんな子であろうと自分達の大切な子供なのだからいくらでも愛すという人達。父は柳が大事すぎて結婚を全然許せなかった。なんだったら結婚しないでずっと一緒に居てくれてもいいと思っていた。跡継ぎどうすんだ。
柳が斬ることに対して積極的にならないよう、真剣や包丁には触らせなかった。木刀で木刀を斬ったり、木刀で大木両断するような柳に真剣持たせたら鬼に金棒になってしまうため。
柳に幸せを感じて欲しかったが、本人は幸せを感じていなかった。悪魔に創られた人間を産み落としてしまっただけで、この人達は何も悪くない。悪いのは普通に柳。
鬼舞辻無惨
自分が1番強い鬼のクセにビビって表に出てこないチキン。柳にめっちゃ煽られて青筋ビキビキだけど、おまっ……殺してやるからお前ェ……ッ!……俺の部下が!!って感じ。
まあ顔合わせたら灼刀で斬られるので正しい判断と言ったら正しい。けど行動としてはチキン。鬼舞辻無惨は鶏肉だった……?
ここで大正コソコソ噂話!
「柳さん。柳さん。鬼を斬るために日本中を旅していたんですよね?お金とかはどうしていたんですか?」
「用心棒をしたり、指名手配されている奴の四肢を斬り落として捕まえて報酬を得ていた。用心棒を行うとき、自分を売り込むためにそいつの用心棒を半殺しにする。最初は渋って雇うが最後はいつも続けてくれと言われるな」
「そりゃ柱の人でも勝てない柳さんに勝てる一般人居ませんよ……。ちなみに、柳さんは隊員の日輪刀を使っていましたけど、本気で振ったら一振りで日輪刀が砕けてしまうらしいですよ。じゃあ今使ってる日輪刀は……?ということで、次回もまた読んでくださいね?ではまた」