鬼滅の刃  とある一剣士の物語   作:鬼滅ニワカ侍Part2

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久しぶりの投稿です。すみません!


無限列車編入ります。


無限城編楽しみだなぁ……。





第20話  乗車

 

 

 

 蝶屋敷でのしのぶと柳の無刀での訓練、鬼ごっこから数ヶ月が過ぎた。あのやりとりからしのぶは、このままではダメだと、柱ともあろうものがこの程度でいいはずがないと思い、より鍛錬を積むようになった。

 

 鬼は強く、それを狩る柳は更に強い。遥か高みに位置し、自分達を嘲笑するでもなく見下ろす。ただ、見下ろすだけ。そこに興味などはなく、自分の下にこれだけ雑魚が居るのだと見ているだけに過ぎず、しのぶもその中の1人でしかないことを自覚している。

 

 多少は、それこそ姉のカナエの命を助けてもらうために命以外の全てを差し出している以上、他の人達よりは柳の頭の中に印象的に残っているだろうが、それだけだ。きっと、というより絶対命の危機がしのぶに迫ったとしても助けてくれることはない。所詮その程度にしか思われていない。

 

 それが悔しい。見ているようで全く見ていない。何とも思われていない。そんなのは嫌だ。だから無理矢理にでもこちらを向かせてやる。目を向けざるをえないようにしてやる。そのためにはまず強さを得ることからだ。柱か柱でないかは関係なく、死ぬほど努力する。それに限る。

 

 

 

「──────またついてくるつもりか」

 

「えぇ。是非。ダメですか?」

 

「子守なんぞしないからな」

 

「……(怒)。ふふふ。してもらう必要ありませんよ。私の身は私が守りますから。ただ、消えるような速度で移動するのはやめてくださいね。誰も追いつけませんから」

 

「あの速度にもついてこれないだけで、たかが知れてるがな」

 

「なんでそう意地の悪い言い方しかできないんですか、柳さんは……」

 

「事実を言ったまでのことだ」

 

 

 

 強くなるには、より強いものから盗むべき。しのぶは強くなるため、彼女の中で最強の存在である柳の後をついていくようになった。前からその動きは見られていたが、今は徹底している。姿を掻き消す超速度を出されるともう追いつけないが、柳がその速度で移動することは殆どない。

 

 常日頃からそんな速度で移動はしていないからだ。斬ることは好きだ。最も心躍る。だがそのために鬼を斬りまくって数を変に減らしては意味がない。なので、道中は歩いて意気込みなどを行って、目撃証言や噂話があればその場へ夜に向かい鬼なら殺す。違ったら無視である。もちろん、人間が襲っていたら斬り殺していた。しのぶが止める間もなく。

 

 そうした聞き込みなどは一般人に紛れている。刀は箱に隠して背負っているのでバレない。いきなり話を聞いたりするのではなく、客であったり酒を奢って質問したりと、割と普通の聞き込みに驚いたのは記憶に新しい。力ずくで聞き出すのかと思っていただけに、驚いたものだ。

 

 鬼殺隊『蟲柱』としてのやることは多い。後進を育てるのもそうだが、現場での隠の統率などもあり、特に医療については頭1つ抜けているため、鬼との戦いで負傷した剣士の手当てなども一任されている。だからあまり蝶屋敷を留守にはできないのだが、鍛錬を積むためともなれば話は違う。

 

 しのぶだけならばまだしも、蝶屋敷にはしのぶ程ではないが医療について勉強しているカナエが居る。常に居る必要はなく、柳と一緒に行動する許可は産屋敷から貰っていた。

 

 

 

「今日はどうしますか?どこへ向かわれます?」

 

「お前にも通達があったんじゃないのか」

 

「あぁ……無限列車、ですね」

 

「斬り裂き魔とやらは炎柱が殺したらしいではないか。だがそれでも無限列車の運行中に神隠しに遭ったように数十名の人間が消息を絶った」

 

「加えて何人かの隊士を送り込んだけれど、誰も帰ってこなかったそうですね」

 

「食われた人数に対して目撃証言がなさ過ぎる。もしかしたら十二鬼月かもしれん。ならば私は行く」

 

「確か、炎柱の煉獄さんも斬り裂き魔を倒した後、そのまま無限列車の鬼を追うと言っていましたね」

 

「その炎柱は強いのか」

 

「はい。とても強く、真っすぐな人ですよ。たまに人の話が通じないときがありますけど、常識的な人です。面倒見が良いとも評判です。名前は煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)といって、昔から炎柱を務めてきた由緒ある煉獄家の長男なんです」

 

「ふぅん……?まあ興味ないがな」

 

 

 

 強くて柱を務めているのだろうが、柳からしてみれば別に興味を引かれる存在ではない。そうですよね、柳さんは。というしのぶの声に答えることなく、歩みを進める。

 

 彼女の目的は無限列車という汽車。そこには鬼が出るという噂がある。噂とは言いつつ、ほぼ確定しているようなもの。乗り込んだら数十名の一般人が居なくなり、送り込んだ隊士も姿を消してしまった。十中八九食われたのだろう。まあそこはどうでもいいが、食った人数的にも、十二鬼月なのではとされているため、柳は向かっていた。

 

 ちなみにだが、これまで柳は徒歩で移動していたため、汽車に乗ったことがない。初めての体験である。割と新しいものに興味を抱く性質がある柳としては、少し楽しみにしていた。しのぶは任務で何度か乗った事があるため初めてというわけではない。

 

 

 

「ここで切符を買うんですよ」

 

「これか。これをどうするんだ」

 

「列車に乗っていると車掌さんが切符を切り込みを入れてくれるんです。切符に切り込みを入れることを入鋏(にゅうきょう)。切り込みのことを鋏痕(きょうこん)と言うんですよ」

 

「ほう……それが乗ったときの印となるわけか」

 

「はい。列車は速く移動できますし、ちょっと面白いですよ。あ、速いと言っても柳さんが走ったらそっちの方が速いですけれどね」

 

「ふむ……ん?あれはなんだ?」

 

 

 

「──────お弁当〜!駅弁はどうですか〜!手作りでおいしいですよ〜!」

 

 

 

「お弁当売りの女の子ですね。駅によって色々なお弁当が売られているんですよ。ここのはお肉のお弁当みたいですね」

 

「……昼に食べてから何も食べていなかったな。夕餉はあれにするか。お前も食うか?」

 

「せっかくですし、私もいただきますね。お金は……上で36銭(1200円)ですね」

 

「お前は出さなくていい。私が買ってくる」

 

「え、あっ、柳さん!」

 

 

 

 懐から財布を出そうとするしのぶに待ったをかけてそのまま弁当売りのところまで歩いて行ってしまった柳に、もしかして奢ってくれるってこと?としのぶは驚いた。別に奢ってもらうようなことしていないんだけれどと思ったが、そういえば切符の買い方や使い方を教えたなと思い、もしかしたらそのお礼的なものなのかもと考えたのだった。

 

 弁当売りの女の子ではなく、小さい駅弁のお店をやっているお婆さんのところへ向かった柳は、三度笠を被って黒い着流しを身に着け、背中に箱を背負っている少し怪しい見た目のため弁当売りのお婆さんに驚かれたが笑顔で対応された。まあその笑顔は弁当を11個頼んだことでまた驚きに変わったが。

 

 

 

「買ってくれるのは嬉しいけれど、大丈夫かい?お兄さん食べきれる?」

 

「問題ない。1つは連れのだ」

 

「いやでも10個は……」

 

「筋肉量が多いせいで、定期的に大量の飯を食って蓄えなければならん。だからこの程度問題ない」

 

「そ、そうなのね。食べ切れるなら大丈夫よ。毎度ありね」

 

「あぁ」

 

 

 

 お婆さんは風呂敷に包んだ弁当を渡して、食べ切れるか聞いてきたが大丈夫と答えた。女の身でありながら常人の成人男性の数十倍の筋肉量を内包する柳は、数日に一度大量の食べ物を食べてエネルギーをストックしないといけない。そうしないと筋肉がなにもしなくてもエネルギーを消費してしまうからだ。

 

 金の面では鬼殺隊と協力関係を結ぶ前は用心棒などをして稼いだり、襲ってきた盗賊を殺して金品を逆に奪い取ったりしていたので困ることはなかった。今では鬼を殺す度に給金が支払われており、そこに加えて柱と同じく必要になったらその額を言えば貰えるようになっている。なので金にはもう全く困っていなかった。

 

 戻ってきた柳の姿を見たしのぶは、彼女が持つ多くの弁当が入った風呂敷に苦笑いした。蝶屋敷でもたまにこれでもかという量の飯を食べる柳を見ているので、驚きはしないが本当に相撲取りでも食べないような飯を姿勢よく次々と食べて腹に入れていくため見ていて気持ちがいいと思っている。

 

 

 

「この数だからな、お前の分の弁当など大して変わらん。乗って早速食うとしよう」

 

「ありがとうございます。そうですね、私もお肉のいい匂いを嗅いだらお腹減っちゃいました。けれど、乗ったら私は少し席を外しますね。煉獄さんが先に乗っているので挨拶だけしてきます。柳さんは先に食べててもいいですよ」

 

「そうか。ならば先に食っている」

 

 

 

 しのぶは本来、この無限列車の任務には来ない手筈だった。というのも、既に同じ柱である炎柱の煉獄が任務に当たっているからだ。1箇所に柱を2人送るのは効率が悪い。特に、上弦の鬼でもない限りは。しかし今回しのぶは柳について回っており、その柳が無限列車に来たので必然的に合流することとなった。

 

 列車の中に乗り込み、後ろから2番目の車両にした。比較的人が少ないのが決め手だった。柳は乗ってから車両の中を少し眺めた後、座席を決めて座った。背中の刀が入った箱は下ろして足元に置き、弁当が入った包みを向かい合わせになっている座席に置いて一旦ゆっくりとした。

 

 しのぶは柳が席を決めたのを見届けると、挨拶してきますねとだけ言って別の車両へ向かった。気配で煉獄が居るのはもっと前の方だということはわかっている。まあもっとも、移動する度に明朗快活なハキハキとした大きな声でうまい!という言葉が聞こえてくるのだが。

 

 

 

「うまい!……うまい!……うまい!……うまい!」

 

「こんにちは、煉獄さん」

 

「む、胡蝶か!……うまい!」

 

「美味しそうでよかったですね。会うのはお館様のお屋敷以来ですが、私もこの列車に乗ることになりましたので挨拶しておこうと思って来ました。よろしくお願いしますね」

 

「うまい!……うまい!うむ!了解した!胡蝶は1人か!」

 

「いえ、柳さんと一緒です。なので無限列車に乗ることになりまして」

 

「うまい!……そうか!柳一心と一緒か!頼もしいが俺は気が進まないな!奴は一般人の方々も躊躇なく傷つける!現に俺は彼女と鬼殺隊の協力関係は今でも反対だ!しかし!協力関係はお館様がお決めになったこと!俺の考えはどうであれ今はこれ以上何も言うまい!よろしく伝えておいてくれ!」

 

「はい。わかりました。伝えておきますね。ご飯の途中でお邪魔しました。何かあれば合流しますので」

 

「うむ!うまい!……うまい!……うまい!」

 

 

 

 しのぶは煉獄への挨拶を終えるとその場を後にした。相変わらず明朗快活でハキハキとした物言いをする人だと思った。そしてそんな彼は、鬼殺隊が守るべき一般人を躊躇いなく殺す柳のことを認めていない。責任感が強く、正義感も強い煉獄は柳のことを認めることはこれから先、一生ないことだろう。

 

 柳が更生し、人を殺めることをやめるようになればもしかしたら認めるかも知れないが、あの柳が考えを改めることなどまずあり得ない。ならばもう分かり合える日は来ないだろう。

 

 誰からも理解してもらえない柳一心。一般人を、更に言うなら善良な実の両親までその手に掛けた彼女のことを、しのぶすらも理解する日はこないだろう。家族を愛しているしのぶだからこそ、分からない。しかしそれはそれで寂しいではないか。誰も味方が居ないなんて。ならば自分くらい傍に居てもいいはず。

 

 

 

「挨拶は終わったのか」

 

「えぇ、終わりました。煉獄さんも同じお弁当を食べていました。もう5個くらい食べてましたね」

 

「食う奴なのか。まあいい。先に食っているが、美味い。食ってみろ」

 

「はい。じゃあお言葉に甘えて、いただきます」

 

 

 

 柳の向かい側の席にはまだ食べていない弁当箱と空の弁当箱がいくつか置いてあったので、空いている隣の席に腰を下ろした。それについては何も言ってこないので、自分の分の弁当を手にとって膝の上に置き、包装を解いて中身を見ると美味しそうな肉弁当が入っていた。

 

 箸を持って一口食べてみると、少し濃い目の味付けになっている肉と白米がいい塩梅になっていて美味い。できたばかりのやつだったようでほんのりと温かいので美味しいと口にした。

 

 

 

「これから鬼が出るはずだ。その前に腹ごなしだ。食えるときに食っておくに限る」

 

「ふふ。そうですね。……ねぇ、柳さん」

 

「なんだ」

 

「お弁当、美味しいですね」

 

「あぁ」

 

「鬼を倒したら、また乗りましょうね」

 

「気が向いたらな」

 

「えぇ。気が向いたら、また一緒に乗りましょう」

 

 

 

 隣に座り、背筋を伸ばして綺麗な所作で次々と弁当を口に運ぶ柳に微笑みながら、自分の分の弁当を食べ進めるしのぶ。鬼が出る無限列車の中ではあるが、2人のこうした雰囲気は悪くないと感じ、笑みを浮かべながら美味しいと口にしたのだった。

 

 

 

 

 

 






柳一心

新しいものや経験したことがないものに割と興味ある。
なので無限列車は少し楽しみだった。

しのぶが最近ずっとくっついて来ているが、邪魔しないならば別にいいと放っておいている。最近鍛錬をしっかりと積んでるらしく、前より速くなっていることに気がついている。




胡蝶しのぶ

訓練場の一件から、このままではダメだと本気で考え、鍛錬を積むようにしている。産屋敷から許可を取り、蝶屋敷のことはカナエ達に任せ、柳の後をついて行って強さを盗もうとしている。

多少は鍛錬の成果が出てると思っているが、自分で思っているよりも鍛錬の成果は出ており、速さに磨きが掛かっている。柳と一緒にいるせいで気づきづらいだけ。




煉獄杏寿郎

現炎柱。任務により無限列車に乗車している。明朗快活で正義感が強く、責任感もある。たまに話が噛み合わない時があるが、誰であろうと分け隔てなく話しかけるため他の柱や隊士からは良い印象しか持たれていない。

正義感が強いため、一般人を躊躇いなく殺す柳のことを一切認めていない。産屋敷が協力関係のことを認めているので何も言わないが、心の中では反対している。



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