ぶつかって偶然触ったランサーのクラスカードを通して人格とかがインストールされたメリュジーヌが、クロエを恋人と認識したので頑張る話。
ルーラーのメリュジーヌとアヴェンジャーのクロエの触媒です。書いたら出ると聞いたので。一作で二度お得!
例えば、起源が"同調"だったから。例えば、アルビオンの細胞と遺伝子が奇跡的に近かったから。予測といえど、未来視の魔眼を持っていたから。理由はいくつか挙げられるだろう。ただ、結果のみを語るのであれば。
「君は……まだ僕との縁はそうないようだね。まあ、おいおい知っていけばいいさ」
身長147cmの顔のいいクラスメイトが、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンを恋人だと呼び始めた。ちなみに、昨日までそれほど関わりはない。
深夜の散歩というあまりよろしくない趣味ではあるが、その少女は自分が強いということを認識していた。アニメのような魔法パワーなんて使えないし、空手とかを習っているわけでもないけれど。そんな技なんてなくとも、強いものは強いのだから。
足は人より速いくらいに止まるが、どれだけ走ってもスタートした時と同じペースを維持できたりと、生まれ持ったフィジカルが他者とは違う。そして、ランサーのカード回収を終えたバゼット・フラガ・マクレミッツとすれ違った瞬間に"同調"の起源が偶然にも覚醒。
骨が軋んでとんでもない音を立てていたり、全身が一度ズタボロになっていたりしたが。クラスカードにはなにも変化はないが、目の前にいた女の子が急に膨大な魔力を放ったことに驚くバゼット。
対して少女が得ていたのは、あるべき姿に戻ったという感覚だった。竜種ならざるも、竜と同じ生体機能。人間として生まれたが故に全力を発揮できていなかったそれらが、"妖精騎士ランスロット"という正しい形と同期して、正常に稼働しだしたのだ。
その後は、紆余曲折を経る。これは神秘の秘匿に引っかかるのではとか、そういった必要な情報をバゼットが教えたり。
とはいえ、少女──
……イリヤが魔法少女になるまでは、だが。
美遊・エーデルフェルトという転校生が来るのと同じ日に、彼女はイリヤの中にいる、
僕も力を貸そう。屋上でマジカルルビーと話していたイリヤに、そう声がかかる。そこにいたのは、
「えっと、力を貸すって?」
咄嗟にマジカルルビーを背後に隠すイリヤ。どう見ても誤魔化しきれていないのだが……
「イリヤさん、隠さなくても大丈夫ですよ~。はぁ、なんでこんな無茶苦茶な……」
「? 恋人の力になりたいと思うのは、当然の事だろう?」
こともなげに言ってのけるランスロット。その視線はイリヤの方を向いていたわけで。彼女がそのシンプルな言葉の意味を理解するのに、少しの時間を要しただけだった。
「こ、こ、恋人~~~!?」
そうして、おいおいねと言っていた冒頭につながる。
「……僕は見守っているよ。本当は手を貸したいのだけれど、義妹の家族が不仲というのはあまりよくないんだろう?」
美遊が屋上に来たり、クラスカード回収は自分一人でやると言ったりした後のこと。事情を本人から説明された凛も、"彼女"が未来視の魔眼を持っていたことは理解した。よって、なんかそういう未来の話なんだろうと聞き流した。深く考えると頭が痛くなってくる。未だに
だから、見守っているという言葉に納得していたし、実際にカード回収に行けば、凛やルヴィアを狙った攻撃から防いでいる。空を飛ぶ必要のあるキャスター戦についても、自分は飛べるけど直接は戦わないというスタンスで一貫していた。なお、「飛べるから飛べるんでしょう?」と言っていたことから、どうやったら飛べるかというアドバイスについてランスロットから出てくることはない。
それはともかく、いてくれれば助かる存在として認知されていた彼女が、その実力の一端を示したのは、少しした頃だった。
キャスターのクラスカードを回収した後に出てきた、セイバーのサーヴァント。その宝具によって黒い極光が放たれた後のこと。
イリヤがアーチャーのカードを
そう考え、
「恋人同士なら、お揃いのものを使いたいだろう?」
その夫婦剣より僕のアロンダイトの方が強いんだけど。どうせなら性能のいい武器を選ぶべきだよね。そんなことを言いながら、イリヤと即興で連携して戦うランスロット。
セイバーが再び魔力を聖剣に集め、宝具の二撃目を撃とうとする。
「さあ、初めての共同作業だ」
「
対して、宝具の投影で迎え撃とうとするイリヤ。その横に並ぶランスロット。
「真名──偽装展開、清廉たる湖面、月光を返す! ──沈め!」
そして、三者の宝具が開帳された。
「
「
「
高速機動で対象に接近し、外皮から精製した妖精剣アロンダイトをたたきつける。槍の如くセイバーを貫き、通り過ぎた後。イリヤの放った黄金の一撃がセイバーを飲み込んだ。
ランスロットは射程範囲外にまで到達したので巻き添えを喰らうことはなかったが、その精神的なショックは大きい。それこそ、この後のアサシン戦に来れなかったくらいには。
ちなみにバーサーカー戦では、高い回転率を誇る
そうして、二週間後。地脈の正常化のためにイリヤと美遊が凛たちに連れていかれるついでに、ランスロットも連れていかれた。ステッキと同じく大量の魔力を保有しているからという理由もあり、協力するように言われたのだ。
一緒にいるイリヤからの印象は、よくわからない同級生というものだが。特に関わりもない仲なのに、いきなり恋人だとか言われればそうなるだろう。そのエピソードを聞いた美遊からの印象も、イリヤと似たようなものだった。
「沼か……複雑な気分だね」
そんなことを意に介さない当の彼女は、凛とルヴィアが底なし沼に落ちたのを見て、昔のことを思い出す。
「オーロラ……ああ、そうだ。
本来の世界へと思いを馳せる。視線は沼へと向いたままだ。……凛とルヴィアが騒いでいるが、そんなことは知らない。なにか助けを求められている気もするが、それより大切な人たちの今後を考える方が重要だと判断した。
イリヤと美遊が転身を終えたあたりでちょうど終わった思考。その息抜きのついでに凛とルヴィアを沼からひっぱりあげる。オーロラがしたみたいに美しくはなかったけど。
そんなこんなあって大空洞に辿り着き、魔力の注入を始める。必要な工程を終わらせた、その直後。
「ノックバック!?」
何が起きたのかを即座に理解する凛とルヴィアのふたり。逆流した魔力が噴き出し、彼女らが地面ごと浮き上がった。そして、二人を担いで助ける美遊だったが、その頭上から巨大な岩が落下してくる。さきほどのノックバックで崩壊した地面の残骸だろう。そして、イリヤはそれを防ぐために飛行する。使うのはクラスカード。アーチャーのそれで投影した光の盾は、花弁のように広がり落石を防ぐ。
魔力の暴走やその影響も収まると、周囲にはまだうっすらと粉塵が漂っていた。ルヴィアの頭上に落ちた岩がまだ乗っていたりということもあったが、ランスロットにとっては些事だ。
「頭痛ーい。打ったかも……」
イリヤを探す凛に、ここだよと言葉を返した本人だが、自身の身に起きた異変にはまだ気づいていないようだった。
駆け寄ったことで真っ先にそれに気づいた美遊が目を見開き、続いて凛やルヴィアもそれを目にする。
そして、こうなるとなんとなく分かっていたランスロットは、その
「やっと話せるね、私の恋人!」
アーチャーのカードを夢幻召喚した姿のイリヤ──もうひとりのイリヤを、飛びつくように抱きしめた。
たぶん続きません。