ウルトラマンゼットとの戦いに敗北し、解剖されそうになったところを命辛々脱出した。
逃げて逃げて辿り着いたその世界は、ISと呼ばれるパワードスーツが中心の世界だった。
活動を再開する為、セレブロは不思議な魅力を感じた出来損ないと呼ばれた少年に寄生する事に……
「キエテ カレカレータ……」
宇宙を渡って来た寄生生物による、腐りきったIS文明の滅亡ゲーム。
これは、ほんの序章である。
注意
①ISとウルトラマンZのセレブロのクロスオバーです。
苦手な方はブラウザバックを。
②本編後、セレブロがトリガーのエピソードZの行動を起こさなかった世界線です。
③セレブロが本編時より成長しています。
具体的には、ある程度の計画性を獲得しました。
④この作品は読み切りです。
これにて作者はISと日本三大特撮とのクロスオーバーを全て書いた事になります。
凄い!……のかぁ?
セレブロが怪獣名で呼ばないのが大好きなんです。
格好いい…
どうぞ、お楽しみいただけると幸いです。
どこかの世界にある地球のドイツのとある廃倉庫近く。
ただでさえ人が寄り付かない廃倉庫だというのに、その近くの森となったら、この森自体に用がある場合を除き絶対に人が近付かないであろう。
そんな場所の、更に物陰という絶対に見つかりたくないという意思がヒシヒシ伝わって来る場所に、ある一匹の生物が居た。
アノマロカリスとエイを掛け合わせたような姿をしており、黄色と紫が入り混じった毒々しい体色に赤い目が特徴的であり、一目見ただけで現代の地球には存在しない生物だと分かる。
この生物の名は『セレブロ』。
遠い遠い平行異世界からやって来た寄生生物である。
セレブロは非常に高い知能を持つが、身体は非常に脆弱であり、常に他生物に寄生しなければならない。
そんなセレブロが何故こんな場所で寄生もせずに隠れているのか。
そもそも平行異世界とは何か。
セレブロは今まで何度もとあるゲームをしてきた。
そのゲームの名は『文明自滅ゲーム』。
文明をもつ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を造らせる。
そして最後は自ら造った最終兵器で文明そのものを滅亡させる。
この狂気のにまみれた悪質な遊びこそが、文明滅亡ゲーム。
文明自滅ゲームを楽しみ、何度も何度も文明を滅亡させてきた。
だがしかし、1個の宇宙にそう何個も文明を持つ星がある訳では無く。
その為幾多もの宇宙を渡り歩き、ゲームを行ってきたのだ。
だがしかし、ある時セレブロはミスを犯した。
とある宇宙でのゲームを失敗したのだ。
M78星雲に存在する、光の国。
『ウルトラマン』と呼ばれる光の巨人が存在している国にして星である。
そんなウルトラマンの1人にして、ウルトラ警備隊の新人『ウルトラマンゼット』とゲームのターゲットにした地球の地球防衛軍対怪獣ロボット部隊『ストレイジ』と戦闘になり、敗北。
ストレイジに捕まった。
だが、そんな所で終わるセレブロでは無かった。
解剖されそうな所を、なんと命辛々脱出に成功。
研究所内で解析されていた自身が使っていたとあるアイテムを奪い直してから*1、『ウルトラマンZ』の世界から脱出した。
途中で別の世界で『ライラ―』という集団と手を組みウルトラマンゼットに復讐をしようとしたのだが、踏みとどまった。
先の戦いでは、完全にウルトラマンゼットを舐めていた。
その結果として敗北をしたのだから、此処で怒りに任せて復讐をしようとしても、結局返り討ちにあう。
セレブロは学習したのだ。
追跡してくるウルトラマンを振り切るため、様々な生物への寄生を繰り返しながら平行異世界を回り、遂にはこの世界の地球へと辿り着いた訳だ。
この星に降り立ってから、ずっとこうして体力回復をするために物陰に隠れていたのだが、これも限界だ。
そろそろまた他の生物に寄生しないといけない。
だが、ずっと隠れていた為ここが辺境の地と言っても過言ではない事以外のこの星の情報が無い。
この星の科学レベルはどのくらいなのか。
怪獣やウルトラマンの伝説はあるのか。
早く情報を得るためにも一刻も早く寄生したかったのだが、他の生物の気配のけの字も無い。
こんな場所で待ってても恐らく他の生物は来ない為、自ら探しに行かないといけない。
身一つで行くのはかなりリスクがあるが、そのリスクを取らないと状況は一向に変わらない。
廃倉庫に何か周囲の地図でも転がって入ればと思い、その廃倉庫へと近づく。
「……!……!?」
「……!……!!」
すると、なんと運のいい事だろうか。
廃倉庫の中から数人の話し声…というより、怒鳴る声が聞こえてきた。
壁に開いてある穴から中の様子を確認する。
すると、拘束された1人の若い男の事を、武装した集団が囲っていた。
誘拐だ。
セレブロでもそのくらいは理解できた。
更に運がいいと、セレブロは思った。
武装をしている男たちはそこそこ鍛えているようだ。
あの中の1人にでも憑りつければ、身体も武装も入手できるうえに、誘拐団の中に侵入でき情報も入手できる。
至れり尽くせりだ。
誰かトイレか何かで離脱しないかと、引き続き中の様子を伺う。
なにやら武装している側の男たちがタブレット端末を見ながら憤っていて、囲まれている少年はただただ俯いていた。
「おい!何故織斑千冬が試合に出ている!?メッセージは送ったんだろうな!?」
「はい!間違いなく!!」
「どうなってるんだ……!!」
「ざん、ねん、だった、な…」
すると、唐突に少年がたどたどしく言葉を発した。
「貴様!どういう事だ!」
「うぐっ……!?」
男の1人が少年に掴みかかる。
その時初めてセレブロは気が付いた。
少年は結構な暴行を受けたらしく、全身がボロボロで額からは血が流れていた。
「お、れ、じゃなく、て…兄の、方、を、ゆうか、い、すべき、だったな…織斑、千冬、は…俺のこ、となん、か…都合の、い、い、小間使、いてい、どにし、か、見てない……」
「なっ!?お前、出来損ないの織斑一夏の方か!!このっ!!」
ドゴォ!!
「がっ!?」
男は怒りの表情を浮かべた、手に持つ銃のグリップエンドで少年を殴る。
少年は短い悲鳴を上げ、拘束されているが故受身も取れず地面に倒れ込む。
男たちはそんな少年の事など見向きもせず、集まって作戦会議をする。
「どうするよ!?失敗だ!!」
「こうなったら仕方ねぇ、あのガキを殺してトンズラするぞ」
「い、いいのかよ、勝手に」
「織斑千冬が優勝した時点でボスは無茶苦茶怒ってる筈だ…後始末ぐらい素早くやっておかないと、どれだけ怒りが突き抜けるか分からない」
方針を固めた男たちはすぐさま行動に移す。
如何やらその『ボス』という人物に今までこっぴどくしばかれてきたようだ。
さっきまで慌ただしく話し合っていたとは思えないくらい、動きが的確だ。
そんな中、寝っ転がっている一夏の事を無理矢理起こし、その眼前に銃口を突き付ける。
「そういう訳だ。お前は此処で死ぬ。最後に、何か言い残したことはあるか?」
銃口を突き付けられているというのに、少年は恐怖の表情を浮かべない。
浮かべている表情は、怒りに近いものだった。
「許さない…絶対に許さない!!俺を小間使いにしか感じてない姉も!ゴミ扱いしてくる兄も!兄に肩入れする馬鹿共も!ISなんて作って世界を混乱に陥れたあの人も!!絶対に!!こんな世界なんて、文明なんて!!滅んでしまえばいいんだ!!」
少年は吠えた。
その圧に、目の前に立つ男どころか周囲で作業していた男たちまで怖気づいてしまった。
そして、その叫びは倉庫の外で様子を伺っていたセレブロにも届いていた。
何故なのだろうか、その叫びにセレブロは一種の感動を覚えていた。
「滅んでしまえ」
その部分に共感でもしたのだろうか。
セレブロが珍しくそんな事を考えていると、現実に復帰した目の前の男が引きつったような笑みを浮かべる。
「は、はん!大層なこって。じゃあな、出来損ない君」
そうして、男は引き金に指を掛ける。
これでいい。
男たちが少年を殺せば、きっと目的の第一段階は達成される。
そうすれば男たちの集中も少しは切れるだろうから、一番寄生しやすい隙を見せた奴に寄生をすればいい。
だけれども、なんでだろうか。
放っておけない。
あの少年に、謎の魅力を感じる。
思考は一瞬。
行動に移すまでは約0秒。
ガシャアン!!
『!?』
セレブロは倉庫内に侵入。
側に置いてあった金属缶を倒し音を発生させる。
倉庫内の全ての人間が此方の方向を向いたタイミングで飛び出すと、驚きで開いていた少年の口に飛び込み体内に寄生する。
「もごぉ!?んぅ!?うがぁ!?」
「ヒィ!?」
「な、なんだコイツ!?」
急に現れた、この世のものとは思えない生物が、少年の口に入っていくという気色悪い光景に、誘拐犯たちは思わず後ずさってしまう。
そのさいに少年の拘束が外れてしまうも、それを回収して再拘束する気は微塵も起こらなかった。
ただただ目の前の光景に、恐怖を覚えるしか無かった。
少年は口元と頭を押さえながら地面をのたうちまわっていたが、やがて動きを止めると俯き気味に立ち上がる。
「
少年は狂気的な笑みを浮かべながら、そう呟く。
その左眼は、赤く輝いていた。
無事に少年の身体に憑りつく事に成功したセレブロ。
その瞬間に少年の記憶を覗き見する*2。
少年の名は織斑一夏。
家族構成は姉、兄、自分のみ。
両親は幼い頃に蒸発したと、姉から聞かされた。
姉と兄が優秀な反面、自らは凡人。
その為周囲からは2人と比べられ、蔑まれ、虐められ、暴力を振るわれていた。
ただ、家族である2人もクズだった。
姉は兄だけを溺愛し、自分の事は家事をする小間使い程度にしか考えておらず。
兄は虐めの主犯格で、周囲の大人たちをも巻き込んで徹底的に虐め抜いてきた。
唯一の味方だと思っていた兄を妄信的に崇拝している幼馴染の姉にして初恋の人は、ISを作り行方をくらました。
ISというのは、インフィニット・ストラトスが正式名称のパワードスーツ。
宇宙開発用に作られたが、既存の兵器を上回る戦闘力を有していた為、世間からは兵器としてしか見られていない。
唯一の欠陥として、何故か女性にしか動かせないというものを持つ。
姉はIS同士で戦うISバトルの世界最強であり、優勝してからというもののますます虐めは激しくなった。
今日は世界大会の第2回目。
姉の2連覇妨害目的で兄が誘拐の標的にされたが、兄は自分を身代わりにした。
そうして今。
小間使い程度誘拐されても痛くも痒くも無かったらしい姉はそのまま大会に出場。
対戦相手を瞬殺して2連覇を達成したらしい。
ここら辺は、周囲の誘拐犯たちの会話を聞いて推察したものにすぎないが。
そして妨害という目的を達成できなかった為、自分を始末してずらかろうとしていたようだ。
なるほど、とセレブロは納得した。
こんな人生を歩んでいたら、文明が滅びてしまえと願うのかもしれない。
人間の感情など微塵も理解できなかったセレブロが、初めて人間に共感した瞬間だった。
「なるほど…これは、よく馴染む……」
セレブロは自らの身体となった織斑一夏の手を握ったり開いたりして感度の確認をする。
暴行を受けていたし、そもそもあまり食事を食べさせてもらえる環境で無かったからか、随分と弱ってしまっているが、今までに宿主にしてきた身体の何よりも馴染んでいる。
織斑一夏が文明を滅亡を願っていたからなのか……それとも、セレブロが感じた魅力がこれなのか。
理由は良く分からないが、兎にも角にもよく馴染む。
それは確かだ。
「お前!何をしている!?」
ここで漸く周囲の男たちが復帰し、セレブロに一斉に銃口を構える。
だが、セレブロは動じず笑みを浮かべたまま懐を探る。
そこからこの宇宙に辿り着くまでに寄生した連中から拝借した光線銃を取り出すと、
「……」
ドキュウン!!
「がはっ……!?」
無言のまま流れる動作で目の前の男の額を撃ち抜いた。
光線銃で頭を撃ち抜かれて無事な訳がなく。
男はそのまま仰向けに倒れ、血を流しながら絶命した。
「うわぁあああ!?」
「な、え、なっ!?」
今の今まで抵抗らしい抵抗を見せなかった織斑一夏からの、急な反撃。
しかも光線銃を使って、殺しをしての。
その事実に、周囲の男たちは思わず固まってしまう。
ドキュウン!!ドキュウン!!ドキュウン!!
そんな決定的な隙を見逃すほど、セレブロは甘くない。
以前までだったら面白いからと少し泳がせたかもしれないが、成長したのだ。
次々と体勢が整っていない男たちの頭を的確に撃ち抜いていく。
「う、うぉおおおおお!?!?」
「撃てぇ!!撃てぇ!!」
バァン!バァン!バァン!
残った男たちは慌てて銃を構え、発砲する。
結構な至近距離だが、へっぴり腰で構えられた銃から撃たれた弾丸など、経験豊富なセレブロには完璧に見切れる。
幸いにもここは廃倉庫だ。
楯になるものなど山のようにある。
そこらへんに落ちている廃材が纏まったもので弾丸を防ぐと、それをそのまま男たちに向かって投げ飛ばす。
「うぉ!?」
「ぐぁ!?」
ドキュウン!!ドキュウン!!ドキュウン!!
それに驚いている隙に、残りのメンバーを撃ち抜く。
こうして、周囲には死体が6つ。
「当初の予定とは違うが…結果オーライというものか…本当に、よく馴染む…良い判断だ……」
セレブロはそう呟きながら、男たちから使えそうな武装とタブレットを奪い取ると、男たちのものであろうリュックに仕舞う。
リュックの中には水分と食料が入っていた。
重たくはなってしまうが、人間の肉体を使う上で食料と水分は必須なのでこれはありがたい。
「如何やら、この世界には、怪獣も、ウルトラマンも存在しないらしい…ならば、都合がいい……」
流石に怪獣やウルトラマンのような巨大な存在が居たら、流石に記憶を有しているだろう。
それが無いという事は、この世界にはどちらも存在しないという事だろう。
という事は、流石の光の国でもこの世界は管轄外な可能性が高い。
再出発点としてはこの上ない程に好都合だ。
すると唐突に、外からザッザッと足音が聞こえてきた。
「アンタ達!!なんで織斑千冬が……!?な、どうなってんの!?」
すると、廃倉庫の入り口の方からやたらと身体のラインが出ているモノを来た女が姿を現した。
「アンタ達」というのは多分男たちの事なので、この女が先ほど話題に出ていたトップだろう。
廃倉庫内で、頭を撃ち抜かれ血を流し倒れている自分の手下の男たち。
そして、その中央に立っている誘拐し拘束した筈の織斑一夏。
混乱しない筈がない。
「あ、アンタがやったの!?」
「……」
セレブロは無言で光線銃を女に突き付ける。
その行動が答えだった。
女は一瞬だけ驚いた表情を浮かべたものの、直ぐに笑みを浮かべる。
「ハン!アンタの姉も、アンタ自身も、随分と生意気な真似してくれる…覚悟なさい!!」
そう宣言した直後、女の全身が一瞬光に包まれる。
その光が晴れると、セレブロにとっては見たことが無いパワードスーツを身に纏っていた。
「それが…IS……」
「そうよ!これが、あんたみたいな汚らわしい男には使えない、女性だけが使える最強の兵器!ISよ!!」
女は直ぐに行動に移さず、自慢するように胸を張る。
まるでイキっていた昔の自分を見ているようで、セレブロは内心でため息をつく。
だが、それと同時に内心でISに感心していた。
様々な宇宙を渡り歩いてきたセレブロには分かる。
目の前のパワードスーツは、かなりの完成度を誇る兵器であると。
織斑一夏の記憶から推察するに、少なくとも数十個以上はありそうだ。
それならば、出来る。
この世界でも、文明自滅ゲームを。
「あぁ…ますますこの世界は、リスタートに都合が良い…」
「なに…?」
「織斑一夏…お前の野望、代わりに叶えてやろう……IS文明自滅ゲーム、スタートだぁ!!」
セレブロは光線銃を仕舞い、懐から水色のアイテム…ストレイジから脱出するときに奪い直した『ウルトラゼットライザー』を取り出し、トリガーを押す。
「なっ!?」
女が驚きの声を発する中、セレブロは背後に出現した『フェイクヒーローゲート』に身体を向けると、ゲートを潜り『インナースペース』へと入っていった。
~~~
インナースペース内。
セレブロはゼットライザー中央のスロットに、『ウルトラアクセスカード*3』を装填する*4。
《Kaburagi Access Granted》
(何故音声が…まぁ、良い)
本来アクセスカードの人物名を読み上げるはずなのだが、取り敢えず起動しているのでセレブロはスルー。
懐からゼットライザーと共に奪還した3枚の『怪獣メダル』を取り出す。
「超古代怪獣」
「超古代竜」
「宇宙戦闘獣」
メダルをゼットライザーのブレードにセットし、それをスライドさせメダルをスキャンする。
《Golza》
《Melba》
《Super C.O.V》
最後に、トリガーを押す。
「キエテ カレカレータ」
《Tri-King》
~~~
ドガァアアアアアアアアン!!
「な、な、な…!?」
女は混乱していた。
織斑一夏が姿を消したかと思ったら、その場所から倉庫を突き破り、巨大な怪獣が姿を現したのだから。
合体怪獣 トライキング
織斑一夏の身体を使い、セレブロが変身した怪獣である。
『ガァアアアアア!!』
「ヒィ!?」
トライキングが咆哮をあげると同時、女は悲鳴を上げ涙目になる。
そりゃあそうだろう。
この世界には、怪獣もウルトラマンも存在しないのだから。
初めて見る怪獣に恐怖を覚えない人間など存在しない。
トライキングは視線を下げ、女の事を見下ろす。
「ヒィ!?いやぁあああああああああ!!」
先程までの自信満々の態度からは考えられないくらいに情けない悲鳴を上げ、その場から逃走しようとする。
だがしかし、混乱とパニックに陥った状態で上手く操作出来るはずが無く。
フラフラと全く上手く操縦できていない。
『ギャアアアア!!』
ドガァアアアアアアン!!
トライキングは再び咆哮をあげると、足を振り上げ女の事を踏みつぶした。
地震かと錯覚する様な振動と共に、土煙が発生する。
トライキングがその場から足を引くと、そこには原型が分からない程ぐちゃぐちゃになり真っ赤に染まったISがあった。
「最強の兵器ならば…ある程度耐えて欲しかったのだが…」
インナースペース内で、セレブロはため息をついた。
トライキングの体重は4万5千t。
いくらISでもそれに上から潰されたら、耐えられる事もパイロットの保護も出来る訳が無く。
呆気なく潰されてしまった。
セレブロにしてみれば、想像以上にあっけなく終わってしまった。
わざわざトライキングへの変身だなんて目立つ行動を取らなくて良かったと少し反省していると、
「ん……?」
遠くの方から何やらこちらに近付いて来るものを発見した。
「全部隊攻撃準備!!」
『了解!!』
如何やらISの戦闘部隊の様だ。
たった今壊したISとはまた違った黒いISを身に纏った数十人がフォーメーションを組んで近づいて来ている。
まぁ、突如としてこんなに大きい怪獣が出現したのだ。
この世界で最強の兵器の部隊が出て来てもおかしくはない。
ここで文明自滅ゲームがどういったものか、もう1度確認しよう。
文明をもつ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を造らせる。
そして最後は自ら造った最終兵器で文明そのものを滅亡させる。
セレブロはインナースペースで狂気的な笑みを浮かべる。
自分がこの世界で出現した最初の怪獣だ。
自分が暴れれば暴れるほど。
人間どもは恐怖し、ISを土台に更に発展させた恐ろしい兵器を作り上げるだろう。
ならば、やる事は1つ。
「こい、人間ども。そして恐怖しろ」
セレブロがそう呟くと同時、IS部隊からの攻撃が開始される。
対IS用に威力が高いアサルトライフルやレーザーライフルによる集中砲火だ。
相手が普通の生物だったら一溜りも無いだろう。
だが、そんな攻撃トライキングには意味がない。
威力が高いとはいえ、所詮パワードスーツで手に持てる程度のライフルだ。
掠り傷一つ付きはしない。
『ギャアアアアアア!!』
ドドドドドドドドド!!
咆哮と同時、トライキングの腹部にある、身体を構成する怪獣の1体『超コッヴ』の顔部分から黄色の光弾をIS部隊に向かって乱射する。
「なっ!?全隊回避!!」
『了解!!』
こちらの攻撃が効かなかったばかりか、予想外の攻撃を受けリーダーが慌てて回避指示を出すも、遅い。
「ぎゃああ!?!?」
「く、ああああああ!?!?」
「いやぁああああ!?!?」
「お前達!!」
回避が間に合わなかった数人に直撃。
大きく吹き飛んでいく。
その最中、ISが強制的に解除されてしまう。
そうなってしまえばもうどうする事も出来ず、重力に従い地面に落下していった。
トライキングに攻撃を仕掛ける為、そこそこ高度に居た。
落下地点には赤い花が咲いている事だろう。
「た、隊長!!どうしますか!?」
「く!?退避!退避を」
その言葉を中断するように、『ゴルザ』の額部分から超音波光線を、『メルバ』の眼部分から破壊光線が放たれる。
『ぎゃああああ!?!?』
残っていた隊員達もそれに巻き込まれ、ISが強制解除。
地面へと落下していく。
トライキングは手を伸ばし、その中の1人を捕まえ口の中へと放り込む。
別に食事をしたかった訳では無いので、咀嚼も丸のみもせずに口の中に残したまま、背中のメルバの翼を広げ、空高く飛翔。
雲を突き抜け、姿を消した。
これが後に
『怪獣初出現事件』
と呼ばれる事件であった。
~~~~~
「こんなものか…」
廃倉庫から遠く離れたとある島。
そこではトライキングからの変身を解除したセレブロが居た。
その近くには、トライキングの口に放り込んだ隊員が横たわっていた。
何故セレブロがわざわざこんな事をしたのかというと、ISを手元に持っておきたかったからだ。
今回の文明自滅ゲームにISを利用するのに、ISに関して無知ではマズイ。
なので、いろいろと研究をするために奪ったという事だ。
念には念を入れ、セレブロは隊員の額を光線銃で撃ち抜く。
そして、この先どうしていくかを考える。
「先ずは、ISの研究施設でいろいろと情報を得るか…それと並行しつつ、この身体を維持する為の食料などの確保…」
ブツブツと呟きながらリストアップしていく。
「ああ…織斑一夏をずっと名乗る訳にはいかないな…」
恐らく「織斑」という苗字はこの世界でかなり有名なはず。
そして織斑一夏が誘拐されていた倉庫からトライキングが出現したのだから、世間的には死亡扱いされているだろう。
流石にこの名前を使い続ける訳にはいかない。
だが、異様に馴染むこの身体を手放すのは非常に惜しい。
となると、名前の改変と出来る限りの外見を変える事になる。
「そうだ…」
ここでセレブロは1つ案を思い付いた。
先程のゼットライザーの音声。
不具合か何かで、前の宿主の苗字が流れた。
それを貰う事にした。
「今日から…
新たな名前を呟いたセレブロ……イチカはニヤリと笑みを浮かべる。
宇宙を渡って来た寄生生物による、腐りきったIS文明の滅亡ゲームは。
たった今、幕を開けたのだ。
「キエテ カレカレータ……」
簡単な設定
〇カブラギ・イチカ/セレブロ
本作主人公。
ウルトラマンZのメインヴィランと同一個体。
トリガー世界で事件を起こさずに逃げ回った為、危機感などを手に入れ成長した。
明晰な頭脳は変わらず有しており、ある程度ISについて研究を行えば複製も可能。
今現在はしっかりとどのようなシナリオで滅亡まで導くか、どういった組織を利用できるかなどの情報収集とシュミレーションを行っている。
この身体がISを動かせるという事は、まだ知らない。
『まだ』知らない。
〇織斑一夏
原作主人公。
セレブロに寄生され身体の主導権を渡す。
優秀な姉と兄がいるせいで比較をされ、周囲の人間、そして兄自身に虐められていた。
姉は自分を小間使い程度にしか思っておらず、唯一の味方だと思ってたのは幼馴染(兄に溺愛、虐めて来る)の姉にして初恋の人だったが、ISの開発と同時に行方をくらませたので、もう誰も信じられない。
寄生される直前、文明の滅亡を願っていた。
その為、セレブロに身体を使って貰えて嬉しいと感じているかもしれない。
いかがでしたでしょうか?
いやはや、一夏君がただただ可哀想な子。
こうなったらセレブロを応援したくなるかもしれない。
……なるか?
間違いなどありましたら、優しく指摘して頂けますと幸いです。
また、よろしければ、評価や感想、アドバイスなどよろしくお願いします!