ちょっとだけ捏造、改変も。
「なあ、なあ! シャンクス! 俺もシャンクスの船に乗せてくれよ!」
「ダメだ。お前はまだ子供だからな、ルフィ」
赤髪。その特徴的な髪の色がそのまま2つ名になっている大海賊と、まだ何者でもない黒髪の小柄な少年。
平和の海とも言われる東の海の、その中でも特に平和な酒場で。
普通なら出会いそうにすらない歳の離れた2人が、まるで友人のようにじゃれあっていた。
「俺も海賊になりてぇんだ!」
「やめとけよ、もう海賊なんてなってもツマんねぇぞ?」
「ええええぇえー! シャンクスがそれを言うのか!?」
いつものように、仲間にしてくれ、連れて行ってくれという少年を、大海賊があしらう。
まだ先のある少年に、俺のようにはなるなよ。という大人のよくあるアレ ……ではなかった。
「俺は海に出て! 冒険して! いずれ"
「あ、それなら もう壊した ぞ」
「「「「「………………え?」」」」
それとなく聞き流していた周囲の村人たちも、さすがに聞き捨てならなかったようでビックリして聞き返した。
なにしてんだアンタ。
「アレを見つけるには、ロード… まあ、特殊な岩が4つ。それに掘り込まれた文字を解読して、ラフテルって隠された島に行かなきゃ、なんだが……」
「「「「なんだが?」」」」
「場所だけは知ってたんでコッソリ行ってみたら、公表したら世界がひっくり返りそうだったんで、無かった事にした」
「「「「「「「オイィィィィィ!!!」」」」」」」
けっしてこんな世界の片隅でバラすようなネタではない。
その厄ネタの度合いに、村人のシンクロ率の上昇が止まらない。
なにぶっちゃけてんだアンタ。
「ついでに古代兵器ってのが3つほどあるんだが、ひとつは千年前の船で、ここ数百年ずっと水底に沈んでたんで壊れてて」
まだぶっちゃけるのかよアンタ。
村人の心はひとつのままだ。このまま溶けそう。
一方のシャンクスは、調子が出てきたらしい。今まで言えなかった事をブチまける楽しさと開放感に、酒が止まらない。
彼は明らかに、酔っていた。
「あとは世界中の海王類を従えるってヤツな。持ち主… 持ち主? が善良だから、ヒドい事にはならんだろ!
あと1個は政府の持ち物だから、どーにもならん。使われないのを祈るしかねーな! 使いまくったら世界が海に沈むけどな!
てか使いまくった結果が、この海だらけの世界なんだけどな! わはは!」
わはは、じゃないが。
楽しそうな大海賊に、おびえる民衆。
むしろ正しい図のような気もしてきた。
「海賊のトップに四皇ってのがいるんだが、1人以外はみーんなジジババだ。あと10年もしたら、勝手に代替わりするんじゃねーか?
若い1人ってのもオレだし。セーフセーフ」
なにがセーフなのかは言っている本人にもわからない。
順調に酔いが回ってきているようだ。
「革命軍ってのもいるけど、とりあえず非加盟国を何とか平和で食えるように改革、統治… は現地民にやらす方針だっけ?
まあ、統治する政府を作って軌道に乗せるのに忙しいってんで、世界政府に一時停戦を持ちかけてな
世界政府も、その間に海賊退治に専念するかって、それを飲んだ」
とーちゃん、そんな事してたのかー。
いっぺんに流し込まれた情報の濁流に、夢とか希望とかがボロボロに削られてしまって。
そういうキラキラしたものが絶賛崩壊中のルフィは、現実逃避気味にそう思った。
「世界政府って言えば、まあ天竜人だなー、問題は。そこもオレが中に入って、まあ何とかするわ! オレ天竜人の血筋っぽいし!」
「「「「ええー……」」」」
マジかコイツ。
いい加減驚き疲れてしまった村人たちには、威勢のいいツッコミを入れる元気はもはや無かった。
「というわけでな、ルフィ。オレもう海賊やめるし、海に出てもぶっちゃけもうやる事無いから、海賊なんてなってもつまんねーぞ?」
やめとけやめとけー。
あくまでも軽く、少年の夢を否定する大人に、少年は言った。
「なあ、シャンクス」
「なんだ、ルフィ」
「海賊王に俺はなる! って言ってたけど…… そんな事は無かった!」
「そっか。じゃあ、ルフィのその現実を直視した勇気が、世界を救うと信じて…」
乾杯だ!
ご愛読ありがとうございましたー。