このお話は「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」にて現在進行中の時間軸に合わせて、お届けする内容です(その為当作者のメイン作品のその後を示唆する物が多分に含まれる場合がありますので、何卒ご了承下さい)。


 本作品は、同時連載の「私と貴方の現在(いま)、そして未来(これから)を。」と地続きになっています。此方を閲覧する前に、先に其方の方を読んで貰えると分かりやすいかもしれません(何方を先に読んでも大丈夫なように作ってます)。


《center》「私と貴方の現在(いま)、そして未来(これから)を。」《/center》
《center》https://syosetu.org/novel/324870/《/center》

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 皆様、おはこんばんにちは。

 今日も今日とて元気に小説を執筆している咲野です(仕事の疲れが夕方等はあるので、書けてもそこそこだったりしますが)。


 今回は、僕のメイン作品やその他の作品で活躍しているオリジナルキャラである……颯樹くんのお誕生日記念、と言う意味合いで作成致しました。

 内容に関しては粗筋の方でも説明しております通り、今後メイン作品にて取扱う恐れのある内容が多分に含まれてますので、その点に気をつけて頂けたらと思います。


 それでは、本編スタートです。

 最後までごゆっくりとお楽しみ下さい。


可憐なる花の音は揺蕩う波の様に

「はい、今日の講義はここまで。復習を忘れない様に」

 

 

 そんな担当教諭の指示を聞いた生徒たちは、張り詰めた緊張状態から解ける様に退出して行った。かく言う僕も鞄から出していたノート等の筆記具を直し込み、先程まで居た講義室を足早に出る事となった。

 

 

「さて、ここからは自由だけど……どうしようか」

 

 

 僕はスマホの電源を着けて、現在時刻を確認した。

 

 時間は13時を少し過ぎた頃合いで、午後の講義に当たっている物が無い生徒は、その足でサークル活動に向かうか、帰宅の途に着くかの二択を取る事が出来る。この洸星大学はサークル加入派と未加入派が半々の為、強制加入等の規則は無いのだ(ただ一度加わったら、最低でも一年は活動に参加しないとならなかったりする)。

 

 

 まあ、僕自身は参加しているサークルが無い為、自然と学内から速やかに出ないといけないのだが……ここである一つの問題に直面した。その問題と言うのが。

 

 

「……お腹空いたな。そう言えばお昼だったか。講義に集中してたら気付かなかった」

 

 

 講義の内容自体は難しくは無いが、日菜の様に余裕綽々と簡単に熟せる様な物でも無いので、それなりの理解と習得が求められていた。その所為もあるのか……講義に集中し過ぎて、昼食の時まで考え事をしてしまう事もザラだった。

 

 今日はお昼までと事前に判明していたので、自宅に帰ってから昼食を摂ろうかと考えてた次第だ。だからこそ、こう言う時に軽くパンを食べられる様に鞄の中に一つだけ入れてたのだが……。

 

 

「……あっ、確か彩にあげたんだっけか」

 

 

 後悔先に立たず、とはまさにこの事。

 

 パスパレの朝のレッスンが終わった時に、彩がふとした時にお腹を空かせてしまわない様……小さな袋に入った塩パン2つを手渡していたのだ。毎朝パンを買い足す事はあまりしたくなかった為、事前に大袋入りの物を幾つか買って保存する様にしていた。

 

 

 それが、今回は自分の首を絞める結果となった。

 

 いつものお節介焼きを出した結果が、この様な事態を招く事も少なくなかったりする。

 

 

「仕方ない……帰り着くまでは少し距離があるから、途中のコンビニで何か」

 

 

\トゥルルルルル…/

 

 

「? 誰だろう、こんな時に……って、花音?」

 

 

 自分の車が止まっている駐車場に向かおうとした時……僕のポケットに入っているスマホが、音を立てて鳴り始めた。周りの人に軽く頭を下げながら、駐車場に続く階段の途中で電源を着けて操作をした。

 

 そして、それを耳に当てて応答する。

 

 

「ん、花音? 何かあった?」

『え、えっと……今講義が終わって帰りなんだけど、颯樹くんも今日は終わり?』

「うん、僕もそんな感じ。今から帰ろうかと思ってた」

『良かったぁ…♪ じゃあ、迎えに来て欲しいなっ♪ いつもの校門前で待ってるね♡』

「わかった。紗夜が近くに居たら、少し居て貰って。それか見える所に居てね」

 

 

 花音にそう連絡を終え、僕は自分の乗って来た白い車がある場所まで向かい、鍵を開けて車に乗り込んだ。そして荷物を後部座席の方に置いて、シートベルトを確り締めてから、スイッチを押してエンジンをかけた。

 

 

 最近は一人でも行ける様になったとの話だったが……僕としてはまだ心配な気持ちが抜けず、4月の時から変わらずに、花音とちーちゃんの送り迎えをしている。

 

 ちーちゃんの方はまだ良いにしても……花音が一番の心配の種だ。最初期の頃の様な、ルームシェアをしている場所では無く、何処とも知れない場所へと迷いかけていたのは、今でも肝が冷えてしまうくらいだ。

 

 

 そんな事を考えつつも、僕は車を走らせて……花音の通っている慶鵬女子大学に向かった。学校に近づくに連れて、周りを行く人たちから好奇の視線に晒されるのは、もういつもの事だと割り切って素知らぬ顔でやり過ごす事にした。

 

 ……そうして行くと、見慣れた水色の髪をした少女が目に入った。あそこだ。

 

 

「お待たせ、花音」

「あっ、颯樹くん♪」

「来ましたか。待っていたわよ、颯樹」

 

 

 辿り着いた先で待っていたのは、先程電話をしていた相手である花音と、彼女に付き添っていた紗夜だった。大学の中に居る時は紗夜が基本的に花音のサポートに入っていて、講義の合間の休み時間や昼食時などを共にしているのだとか。

 

 

 校門の前に車を停め続けるのも流石に気が引けたので、二人を駐車場の方に移動させてから、僕も彼女たちの方へと向かう事にした。その間に好奇な視線に晒されたけれど、それは高校時代からの名残と言う事で素知らぬ顔をしてやり過ごした。

 

 そして向かった先では……花音と紗夜が僕を待ちかねたかの様に、車止めの少し後ろ側で待っていた。

 

 

 

「颯樹くん、今日の講義もお疲れ様っ♡」

「お疲れ様、花音。さ、乗って。移動するよ」

「うんっ♪」

 

 

 僕は花音を助手席側のドアを開けてから車内に乗せて、シートベルト等の安全装備を着用させた。それを見た紗夜からこんな言葉が。

 

 

「今日はもう帰りなのね?」

「うん、紗夜はまだあるんだっけ」

「ええ。法学部の講義は過密に組まれているの……少しくらい心を落ち着ける時間が欲しいくらいだわ」

 

 

 そう言いながら、紗夜は軽く溜め息を吐いた。

 

 彼女の学力は僕が知っている限りでも高い方なので、そんな紗夜が溜め息を零すとなると、相当大変なのだろうとこの時に察する事が出来た。

 

 

 花音の方から、紗夜を始めとした慶鵬に進んだメンバーの話はちょくちょく聞いているが、中でも紗夜はかなり厳しい学部を専攻したとの事で。彼女の性格を考えたら妥当なのだが……程々に休んで欲しいと思っていたりする。

 

 

「……そうだ。はい、これ」

「ありがとう。これは……へぇ、麦茶ね?」

「うん。今日の講義の合間に飲もうと思ってたんだけど、思ったより忙しくてね……良かったらどうぞ」

「……ありがとう、とても嬉しいわ」

 

 

 そんな話をした後、僕たちは次の講義に向かって行く紗夜を見送り、慶鵬女子大学から車を移動させた。今は10月の始め頃だと言う事もあり、まだチラホラとではあるが、紅葉が色づき始めていた。

 

 街中に入るとその景色は更に色濃く深い物になり、わかる範囲だけでも少しずつ秋の装いへと変わって来ていた。

 

 

「うわぁ……綺麗だねぇ……」

「そうだね。あ、このまま買い物をしてから帰ろうかと思うんだけど、何処か寄りたい場所はある? もしかしたらそこで必要な物が全部揃うかもしれないし」

「え? えーっと……。どうしようかな……」

 

 

 まあ、無理も無いかな。

 

 今の時間はお昼時を少し過ぎた時間の為、どの飲食店やお店等に入っても人混みが出来ている頃だろう。そんな中に迷子になりやすい花音を連れて行けば、立ち所に買い物どころでは無くなってしまうので、できる事ならそれを避けて行きたかったりする。

 

 

 それを考えたら、本当に何処かコンビニ等に立ち寄ってから中華まんの様な軽食を買って、食べながら帰ると言うのもひとつの選択肢に入りそうな物だ。

 

 僕がそんな事を考えていると、隣に座っている花音から呼び掛けが入った。

 

 

「……ねぇ、颯樹くん?」

「ん?」

「今日は……千聖ちゃんと彩ちゃんが一日大学に居るし、天気も良い絶好の日だから……」

 

 

 そう言って花音は、僕の方へと身体を少し捻ってから向いて来た。今の彼女の服装はと言うと、水色を基調としたレースの肩を出すタイプの長袖シャツを着ていて、下は黒の少しゆったりとした膝上2cm迄しか無いスカートを履いていた。

 

 更に言うなら、足元は今の時期にピッタリな焦げ茶色のロングブーツだった為……花音から感じられる色気が、これでもかと伝わって来たのだ。

 

 

 ……くっ、人は恋愛をすると変わると言うけど……まさか花音もその質だったとは……。人間生きてると何があるか分からないね本当に。

 

 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、花音は僕の方に視線を合わせてこう言って来た。

 

 

「外で……お昼食べよっ♡」

 


 

「う、うぅ〜ん……っ! すごく涼しいねぇ……♪」

「ははっ、そう言って貰えると連れてきた甲斐が有るよ」

 

 

 僕たちが今現在訪れているのは、市街地から少し離れた山間に存在している展望台だった。今の時間は訪れている人たちも少ないのか、平日休みのこの時に羽を伸ばすには、これ以上無い程のうってつけの場所となっている。

 

 

 車を駐車場に停めた僕は、助手席の方に回って花音を車から降ろして、ここに来る途中に立ち寄った……コンビニで購入した商品の入った袋を持って、ベンチに腰かける事にした。

 

 その際、花音が僕とほぼ間隔が空かないくらいに詰めて来たので、ほんの少しだけ隙間を空ける様に伝えてから、各々の昼食を袋から取り出した。

 

 

「じゃあ……私が、これだねっ♪」

「うん。それなら……僕はこれかな。ちょっとちーちゃんに黙ってコンビニで買い物なんて、少し気が引けるけど」

「ふふっ♪ 千聖ちゃんは颯樹くんに対して、絶対に怒らないと思うよ? 彩ちゃんが何かしたら、その限りじゃないかもだけど……」

「……それもそうだね。それじゃあ、食べようか」

 

 

 僕はそんな言葉をかけながら、先程買ったばかりのおにぎりの包みを開けて、食べ始める事にした。基本的にはパンやご飯に麺を交互にバランス良く食べるのが普通だが、どうしても朝が早い都合上……下手をしたら一食分抜いてしまいがちになってしまうのだ。

 

 それがわかった日には、寝る前に必ず花音から厳しく怒られてしまうのだが、説教をする立場の彼女も、休日の時は長時間寝すぎてしまう事もあるので、何とか穏便に済んでいた。

 

 

「……はむっ。うぅーん、美味しい…♪」

「それは良かった。……確かにこれは美味しいな」

 

 

 二人とも食べ始めると止まらないのか、少し味の感想を言っただけでその他はただ黙々と食べていた。

 

 

 僕が食べているおにぎりは、スパムと卵にツナマヨをごはんと合わせて海苔で巻いたもので……俗に言う『スパムおにぎり』と言われる物だ。九州南部……それよりももっと南西部に位置している、奄美群島の方では、コンビニの惣菜商品棚にセットのお弁当として陳列されていたりする。

 

 対して花音の方は、レタスやチーズにハムを両側からパンで挟んだオーソドックスなサンドイッチだった。……だが。

 

 

「おいひぃ……」

「……」

 

 

 彼女の食べている姿を見ていると、まるで小動物がほっぺを膨らませながら食べている様とほぼ同じだった。僕の場合はそれに加えて、花音の一つ一つの動きから目が離せなかった。

 

 関わり始めてからそれなりに経つとは言っても、この手の仕草に心を奪われてしまうのは、今も昔も変わらない様で。つくづく男って女性のこういう何気無い行動に、心を動かされやすいのかな……と心の底では思ったりするが。

 

 

 暫くしてお互いに昼食を食べ終えると、花音の方から声をかけられた。

 

 

「颯樹くん」

「ん?」

「私や千聖ちゃんと付き合ってる事……後悔してない?」

「……後悔、か」

 

 

 ……そう。僕は高校を卒業する際、花音とちーちゃんからの告白を承諾したのだ。世間体なんて気にしない……三人で幸せになろう、そう言ったのがもう半年以上前なのは驚く所だ。

 

 それを事務所の社長や、各々の親御さんに懇切丁寧に説明はしたのだが、むしろ何で付き合っていなかったのか、と逆に此方が質問をされてしまった。

 

 

 これはこれでひとつの形だとは思うけれど、今も変わらずに想い続けている彩や他のみんなに、かなり気の毒な答えを出してしまったと、その日はあまり眠れなかったのだ。

 

 

「……後悔してない、と言えば嘘になる。でも、悔やんでたって何も変わらない……前を向くさ。一番大事なのはこれからどうするかなんだから」

「……私ね。本当は、千聖ちゃんと颯樹くんが二人で結ばれるべきだと、受け入れてくれるまで思ってたんだ。でも、颯樹くんは私の事も受け入れてくれた……そして、抱いてくれた。嬉しかったんだよ。貴方にとっての初めてが、私であってくれて」

 

 

 花音の言う言葉には、思い当たる節があった。

 

 

 彼女と関わり始めてまだ間も無い頃、花音から唐突にカミングアウトされた……僕の過去を知っている、と言う言葉。昼食を中庭で食べている時にそれを聞いた為、忘れたくてもその光景が頭の中で未だにこびり付いているのだ。

 

 

 そして、花音と口付けも交わし……身体も重ねた。

 

 でも、後悔はしてない。誰が何と言おうと、それは僕と花音の間で合意の元に行なった事……絶対に傷つけさせない。その言葉が誰から発せられた物であっても。

 

 

「僕も。初めてそう言う事をしたのが、花音で良かった。花音だったから、それが出来たんだと今ならわかるよ」

「そっか……ふふっ、そうだねっ♪」

 

 

 そんな言葉と一緒に、花音は軽く微笑んでみせた。

 

 それはまるで……悩める誰かに寄り添い、暖かく慈悲深い心を持って包み込んで行く、聖母の様だった。傍から見れば男が女に甘えている様子など……見ていて気持ちの良い物では無い筈だ。

 

 

 だけど、僕は……この瞬間が堪らなく好きだ。

 

 自分を理解してくれて、それでも共に居ようと誓った存在とならば……僕は、恥じらいなど捨てても構わない。

 

 

「……それと、颯樹くん」

「ん? ……ちょっ、んっ!?」

 

 

 僕が何か言い終わるより先に、花音は僕に向かってキスをして来た。彼女のキスは優しい時もあれば、激しく……それこそ、何かをほしがる子供の様に、舌を入れて来る事だってある。

 

 

「んんっ…、んぅっ♡んっ、んんっ♡」

 

 

 ……今回の場合で言えば、後者に当たるのだが。

 

 そして一頻り堪能した頃合で、花音はゆっくりと唇を離してくれた。

 

 

「……ふふっ、驚いてくれた? 私からの誕生日プレゼント♡」

「……えっ、それって……」

 

 

 花音から齎された言葉に、僕はハッとする。

 

 そう思った次の瞬間……花音の口から、こんな言葉が告げられたのだった。

 

 

「お誕生日おめでとう、颯樹くんっ♪ 今年の誕生日プレゼントは……わ・た・し♡」

 

 

 お祝いの言葉を言われるのと同時に、花音は少し服をはだけさせて此方へ近寄って来た。……もうこれは、我慢しなくていいのかな。

 

 そこまで考えが働いた後、僕は花音の頬に手を添えて此方に向けさせた。驚く花音を他所にやったうえ、あまりにも突然の事だったので……彼女の顔は熟れたトマトの様に紅くなっていて、下手したら湯気が出そうな程だ。

 

 

 女性からされっぱなしってのは、僕の中にあるプライドが許さない……なら、これくらいあっても怒られないよね?

 

 

「花音」

「……ひゃいっ!?」

「言ったからには、責任を取って貰うよ。今日は絶対に寝かさないから」

「……はいっ♡ 私の事……颯樹くんで染め上げて♡」

 

 

 その言葉を皮切りに、僕たちは車に乗ってルームシェアをしている部屋へと帰宅し、終わらぬ行為に更ける事となった。更にその途中で大学から帰って来たちーちゃんも混ざり、三人でする羽目になったのだが……これもまたアリなのかな、と思う事にしたのだった。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回更新は、いつもの様にパス病み本編か……少し趣向を変えまして、彩りか前島亜美さんの芸能活動再開をお祝いする内容になるかもしれませんので、更新予告をお待ち下さいませ。


 それでは、また次回の更新にてお会いしましょう。

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