マリー、ママになる   作:新任曇らせ隊

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間に合った。

何だかんだ言って、突貫で仕上げたレベル。

マリーちゃん、誕生日おめでとう。(9月12日)

なお中身に誕生日一切出てこない模様。








第十一話

 

 

 

 

 

「いや~……随分久しぶりのような気がしますね~」

 

「そうですね……軽く1ヶ月は音信不通であった気がしますが…?」

 

『ミィーン』

 

 

 ミーの検査以来、定期的にミレニアムを訪れていますが、今日は珍しい方と行動を共にしていました。

 

 前回会った時より少しくたびれた様子のコユキさんですが、彼女の言によればお仕置き部屋とやらから釈放されたということであり、今まで音信不通であったのはやらされていた業務が多すぎたからとのこと。

 

 他校の状況などに疎い私ですが、一つの部屋に閉じ込められて仕事だけをさせられるということは、軽く拷問のように感じますが……。

 

 人間、誰であっても適度な休息があるからこそメリハリができるのです。

 私もシエスタは必要なものであると思っていますし、それ以外の休息であってもよいと思っています。

 

 

「マリーちゃんがミレニアムに用があって、定期的に訪れているのはびっくりでした」

 

「私はまだ会ったことがないですけど、先生って"色々"頼りになるんですかね?」

 

「はい、先生は頼りになる方ですし、ヒマリさんも同じく頼りになる方です」

 

「お二人には感謝してもしきれないほどです」

 

 

 ヒマリさんは定期的に会うごとに肩書が変わる方ですが、仕事に大きな変化はなく、ミーの調査はゆっくりではありますが、着実に進んでいます。

 ミーの注射嫌いは直る気配こそありませんが、我慢はできるようになってきています。偉いですよね。

 

 ヒマリさんもミーのことを思ってくれているため、あれ以来注射はなるべくしないようにしているとは言っています。

 別なアプローチも必要であるから、注射に拘る理由はないとも言っていますが、ミーを見る目は優しさに満ちているため、事実でありながら配慮も共にしてくださっていると確信しています。

 

 

「ヒマリ先輩………そういえばあんまりよく知りませんね」

 

「えっ、そうなのですか?」

 

『ミュー?』

 

 

 意外な発言にミーと一緒に声を出してしまいます。

 

 ヒマリさんはミレニアムどころか世間でも話題になっている「謎のヴェールに包まれた病弱天才美少女ハッカー」と言っていましたが、コユキさんは徹底的に得られる情報も制限されているのでしょうか。

 

 コユキさんにこの話をしてみると………。

 

 

「にはははっ!何ですかそれ?!」

 

「そんなことを自称しているなんて、想像より随分と面白そうな人ですね!!」

 

 

 というように笑われてしまいました。

 

 ですがコユキさんはヒマリさんにとても興味を抱いたようで、次の機会に行けたら同行してもよいかと聞かれました。

 その点に関してはヒマリさんに確認を取らなければなりませんが、交友の幅が広がることは決して悪いことではないので、出来れば嬉しいですね。

 

 

「話を聞く限りですけど、セミナーなんかよりもヴェリタスの方が愉快そうですねぇ」

 

『ミュー……』

 

「およっ……ミーちゃん、どうかしましたか?」

 

 

 コユキさんが話を続ける中、ミーは私の肩からコユキさんの肩に自然と移っていました。

 気がつきませんでしたが、どことなく憐れみを感じる目付きでコユキさんを撫でていますね……。

 

 やはりミーから見てもコユキさんの現状は思うところがあるのでしょうか。

 

 今一度セミナーの方とコユキさんは話し合ってみるべきではないかと思いますが、私は外部の人間です。

 下手な干渉を控える必要があることは理解しています。

 しかしコユキさんの現状をこのままにしておくわけにもいきません。

 シスターとして困っている人がいる以上、見てみぬふりはできませんから。

 

 

「んー、ミーちゃんは何を考えてるんですか~」

 

『ミューン』

 

「未だによく分かりませんねぇ……うりうりっ」

 

『ミー……』

 

 

 ……とはいえ一体どうすればよいのでしょうか。

 

 経験したこともなければ、他の方から聞いたことすらない事態。

 学園も違うため、問題を複雑化してしまう危険性もありますし、前途多難です………。

 誰か相談できる方がいればよいのですが……。

 

 

「しかし今日は何しましょうか」

 

「せっかくミレニアムで会えましたし、私の知ってる面白スポットを巡るというのもいいですね」

 

 

 現状は何か名案が浮かぶ気配はなさそうです……。

 先生に助けていただくことも考えることはできます。 

 

 ですが、私が勝手に思い至ったことである以上、可能であれば私のできる範囲で収めたい気持ちもあります。

 

 これは誰かを頼ることを恥じている訳ではありません。

 何事も一人でできることには限りがありますから。

 

 私はミーと共に過ごす中で、自分自身の限界やいたらなさを実感してきました。

 故に他者の助けを借りることは大事なことである、と気づくことができ、同時に助けを必要とする人の元に参ることも重要であると理解することができました。

 

 しかし最初から最後まで、他者に頼りきるということは決して良いことではありません。

 何事も適度・適量・適切に、バランスよくあるべきです。

 

 

「私的には~、こことか良いと思いますけど……ってマリーちゃん、どうかしましたか?」

 

「……!っあ、すみません。少し考え事をしていました……」

 

「うーん、マリーちゃんにしては珍しい気もしますけど……」

 

『ミーミ?』

 

 

 いけませんね……。

 

 コユキさんとミーが一緒になって同じ角度に頭を傾げています。

 今はまだコユキさんと一緒にいるから、考え込むことはまた後にしないと……。

 

 

「まぁ何かあったわけでなければオーケーですから」

 

「私は気にしてませんし、早速行ってみませんか?」

 

 

 特に気にする様子を見せないコユキさんは、いつも私を誘う時と同じように私の手を掴みます。

 そして、あそこにっ!と一つの建物を指さします。

 

 勿論外観だけではどんなタイプの場所なのか分かり難いため、軽く見るにとどめます。

 …が、その建物を眺める最中、突如その見ていた建物から一本の大きな光の柱が空へと向けて輝きました。

 

 

 

 

 

 ………………。

 

 

 

 

 

 「えぇっ!!??」

 

 

 

 み、見間違えでなければ、いっ今、向かう予定の建物でとんでもないことが起こった気がするのですが!?

 

 あまりの事態に驚嘆してしまいましたが、隣で同じ光景を目撃したはずのコユキさんとミーは、私と異なり目を輝かせていました。

 そして「今の見ました?!」とコユキさんが興奮しながら空に人差し指を向け、ミーはそれに同調するように触手を空に向け『ミュー!!』と鳴いていました。

 

 コユキさんは以前、ミレニアムだと突然意味のわからないことが起こりうる、と言っていましたが、今回の件を考えると間違っていなかったのだと思えます。

 心構えをしてこなかった訳ではありませんが、実際に遭遇すると心構えが音を立てて崩れ去っていきました。

 ちょうど中から光が昇っていった建物のように………。

 

 

「こうしちゃいられませんねっ!!」

 

「あんな面白そうな場面を見せられて行かないなんて選択肢、私にはありませんよ!」

 

『ミーミー!!』

 

「おぉ!なんだか今ならミーちゃんの気持ちがよく分かる気がしますっ!!」

 

 

 感情が高まったコユキさんはミーと言葉を交わしながら、徐に掴んでいた私の手をぐいっと引っ張り始めます。

 若干驚きから放心していた私の体は突如として前へと動き出すと、コユキさんの後頭部にしがみ付くミーの声を聞いて完全に再起動し始めました。

 

 私を引っ張りながら走り出したコユキさんに合わせ、転倒しないよう自身の歩様を揃えていきます。

 ミーは『ミャー!!』とコユキさんにくっ付きながら楽しそうに鳴き、コユキさんも走りながら「にはははっ!!!」と楽しそうに笑っています。

 

 一体全体何が起きたのか、どうしてこうして向かう予定の場所に走っているのか、私の頭はあまり正常に働いていませんでしたが、楽しく笑っている二人について行っていると自然と微笑みが零れてきます。

 トリニティではおよそ考えられない状況ではありますが、こんな時間も良いものであると今は思っています。

 

 

 

 

 

 

★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

「さぁ乗り込みますよ!」

 

 

 共に走って到着した建物の入り口を前に、早く入ろうとするコユキさん。

 とはいえさすがに息が乱れない距離でもなかったため、バッグから蓋付きタンブラーを取り出してミー経由でコユキさんに渡します。

 ミーが最近欲しがっていた物ですが、保温・保冷に優れていて外出する際には最適なため、私も一緒に使用しています。

 何があっても問題ないように二本常備しているので、今回のような状況でも手軽に他の方に渡せるのは便利ですね。

 

 

「どうもありがとうございます!」

 

『ンミンミ……』

 

 

 感謝の言葉と共にタンブラーを返されたので、受け取って仕舞います。

 受け渡しの際に、ミーは飲むというより自分の触手にチョロチョロと水を掛け、気持ちよさそうにしていました。

 終われば濡れないようにハンカチで拭いてあげる必要がありますが、ミーは自力でいつもしているため今回も問題はなさそうです。

 

 

「それで……コユキさん、ここは一体どんな場所なのですか?」

 

『ミューミュ』

 

 

 入ることも問題なさそうなので、改めてコユキさんに目的地の詳細を尋ねます。

 私の私服のポケットからハンカチを取り出そうとするミーを尻目に、コユキさんを見ると元気な声でこう答えました。

 

 

「ここはですねぇ、ミレニアムの“例”のエンジニア部の作業室ですっ!」

 

 

 作業室。

 

 “例”のという言葉が付いていることは気になりますが、ミレニアムのエンジニア部といえばその名の知れた技術者集団です。

 少なくとも世間に疎い私でもその名を聞いたことがあるため、大変素晴らしい方々であると思います。

 

 ……が、先ほどの事態を見ると一抹の不安を感じずにはいられません。

 

 勿論、不慮の事後が起こってしまっている可能性もあるので、気にする必要はあります。

 

 しかしコユキさんは意気揚々とアポイントメント無しでズンズンと奥へ進んでいきますが、大丈夫なのでしょうか……?

 

 コユキさんは態度が軽薄と思われがちですが、決められたルールに関しては律儀に守る方です。

 ただ自分の関心や好奇心が勝るとそれらを無視しがちですので……。

 今回の件はどちらかというと後者の面が出ているように感じます。

 

 とはいえコユキさんはもう先に行ってしまっていますし、置いて行かれると予期せぬ事態に発展する可能性もありますので、遅れないようについて行かねばなりませんね。

 ミーがしっかりとバッグに収まっていることを確認してから、少し早足でコユキさんの後をついて行きます。

 

 

「ん~、一体何が起こったんでしょうねー」

 

「キヴォトスで爆発となれば日常的なものですけど、エンジニア部での爆発というのが重要ですねぇ」

 

 

 追いついた際にコユキさんは何やら呟いていましたが、エンジニア部での事故というものはよくあることなのでしょうか。

 新たな技術や制作物となれば、確かに問題が起こっても不思議ではありませんが、あのような光の柱というものは早々起こるものではないと思います。

 

 今も中から射撃音のようなものが聞こえてきますし……。

 

 

「多分ここからなら入れますね」

 

「あの、コユキさん……もう少し様子を見ませんか」

 

 

 意気揚々と作業室のドアノブに手を伸ばすコユキさんに射撃音のことを伝え、せめて音が鳴り止むまでは待つべきではと提案します。

 しかしコユキさんはそれでは面白くないと言いながら、「女は度胸ですっ!」と扉を勢いよく開きます。

 

 

「さぁさぁ一体何が起こってますかね……って、あぶなっ!?」

 

『ミュー!?』

 

 

 扉を開いたコユキさんを歓迎したのは、無数の銃弾でした。

 コユキさんは転ぶように開いた扉から離れると、射撃音と爆発音がする部屋をそっと覗き込みます。

 

 私も一緒に注意しながら覗き込むと、部屋の中では多数のドローンとロボットを相手に三人の生徒が戦っていることが分かりました。

 何故戦闘しているのかは分かりませんが、先ほどの光の原因はここにあると思えます。

 

 しかし事情を聴くにも戦闘中ではどうしようもないとコユキさんに聞こうとすると………。

 

 

「よく分かりませんが、これは飛び入り参加にピッタリな状況ですねっ!」

 

 

 と言いながらマリ・ガンを手に部屋に突っ込んでいきました。

 

 

「………えっ、コ、コユキさん!危険ですよっ」

 

 

 慌てて声を掛けますが、コユキさんはもう私の声が聞こえていない様子で、トリガーを引き始めていました。

 こうなってしまっては事が収まるまで話どころではありません。

 

 ホルスターからパイエティ―を手に取り、動作チェックをします。

 そしてバッグから準備はできていると言いたげなミーを確認し、持ち歩いてはいるものの使うことのないパイエティ―を手に部屋に入ります。

 

 

「忌むべきことではありますが、事態を収めるためです……!」

 

「行きますっ!」

 

『ミーッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんか突然乱入してきた人がいたけど、勝ったぞーー!!」

 

「えぇ…?こんなのでいいのかな………」

 

「パンパカパーン!新たな仲間が加わりました!」

 

 

 コユキさんに半ば引きずられる形で参加した戦闘は、それほど時間がかかることなく終わりました。

 元々戦っていた息の合った姉妹の方と、あまりにも大きく、もはや大砲と言わんばかりの銃を抱えた方は順調に敵を倒していました。

 

 コユキさんはそこに援護となるよう銃を撃ちながら、お手製の電磁グレネードを投げ込み、大量のドローンを無力化。

 ミーは周りに気を配りながら注意すべき敵を教えてくれましたし、隙があればコユキさんから渡されたグレネードを投げてもいました。

 

 それに比べ私は他の方が撃ち漏らした、或いは死角に回り込んだ敵に対処するだけで精一杯。

 出来るだけ戦いは避けるべきですが、次に避けられない戦いが訪れた時のため、私はもう少し精進が必要かもしれません。

 

 

「にはははっ、即席のチームでしたけど思いのほか上手くいきましたね!」

 

『ミューミュー!』

 

「ミーちゃんの状況判断は見事でしたよ!見逃したりしたドローンとかよく気づけましたね」

 

 

 コユキさんとミーは、ここに来る前にしていたやり取りのようなことをまた話しています。

 

 しかしミーは私以外の人にも何かしらの情報を伝えていたのでしょうか。

 あの戦闘の中、伝えることは至難の業であると思いますが、ミーは何かテレパシーのようなものを持っているのですかね?

 

 最近はミーの未知なる部分は、何があっても不思議でないように思えて仕方がありません。 

 

 

「見事だね。途中で予想外のことが起こったけど、それを含めて乗り越えた」

 

「私はばっちりやられましたけどね……」

 

「あのグレネードの構造は何とも不思議なものだったね。少しだけでいいから解体させてくれないかな?」

 

 

 あっ、そうでした。

 コユキさんの飛び入り参加で忘れていましたが、ここはエンジニア部の作業室でした。

 

 壊れて動かなくなったドローンなどを確認していた方々が、恐らくエンジニア部の方でしょう。

 

 今更ですが挨拶を済ませなくては……。

 

 

「えっと、ご挨拶が遅れました。私はシスターフッドに所属している伊落マリーと申します」

 

『ミーミー!』

 

「こちらはミーと言います、どうぞよろしくお願いします」

 

 

 挨拶と同時に頭を下げ、互いに紹介をし合います。

 

 どうやら今回、この場にいたのはエンジニア部の部長と一年生の方々のようで、先ほどの戦闘はテストのようなものであったと説明されました。

 光の柱が建物を貫いた事態は、ほとんど事故のようなものであるから気にしなくていいと言われましたが……。

 

 正直点と点が上手くつながるようで、そうでないようにも感じます。

 新入生への銃の譲渡を始まりに、持ち手に相応しいかの試験。

 キヴォトスの事情を鑑みても、あまり普通のこととは思えませんでした。

 

 しかし私もこの件に関しても、コユキさんの一件と同じく私は何も分からない立場です。

 私が考えても詮無きことですね。

 

 

「しかしコユキ……だったかな、君は本当にセミナーの新入生なのかい?」

 

「んっ?あぁ、えぇ、まあそうですね」

 

「いや、セミナーの所属にしては随分と元気がいいと思ってね」

 

「にはは……よく言われますねぇ」

 

 

 何やらコユキさんと部長のウタハさんが話をしていますが、コユキさんはセミナーに所属している生徒としては、異質に見えるようですね。

 

 挨拶も済ませたので、お二人が話をしている間、パイエティ―の残弾とセーフティーの確認を行います。

 すると今度は先ほど共闘した、自己紹介でゲーム開発部と名乗っていた方々から声を掛けられます。

 

 

「ねぇねぇ、マリーちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな」

 

「?はい、大丈夫ですよ」

 

「じゃあ聞くけど、ミーちゃんってタコ、タコなのかな……タコ?」

 

「えっ、いえ、ミーは少なくともタコではないですが……」

 

 

 ピンクを基調とした装いのモモイさんから、ミーの種族に関して質問を受けました。

 しかしながらどう答えたらいいものなのか……。

 

 ヒマリさんは便宜上宇宙生物と括るしか今はできないと言っていましたので、そう答えるしかないのですが、信じてもらえるかはまた別の問題です。

 とはいえこの世界において、ミーのような存在は見たことがありませんし、下手な誤魔化しは新たな問題を呼び込みかねません。

 ここは一周回って普通に打ち明けることが上策であると思えます。

 

 

「その、信じてもらえるか分かりませんが、ミーは宇宙からやってきた種族なのです」 

 

「またまた~、確かに今まで見たことのない子だけど、さすがに宇宙の生物はないでしょ~」

 

「……あんまりお姉ちゃんに同意したくはないけど、私も正直信じがたいなぁ」

 

 

 案の定信じてもらえる気配はありませんでした。

 ミーも必死にタコではないとお二方に伝えようと身振り手振りをしていますが、微笑ましいものを見るような目でミーは終始見られていました。

 

 完全に犬猫を眺める人の目で見られながら、お二方と交互に持ち上げられるミーは喜んでいいのかどうか曖昧な表情をしているように感じられます。

 そうして思い当たる生物の名を挙げるお二方の手からミーが三人目の方に渡ると、その方、アリスさんはミーをじっと見つめながら笑顔で話し始めました。

 

 

「わぁ……!すごいです!!ミュータントラビッツに出てくるタコンゲみたいです!!!」

 

『ミッ!?』

 

「あぁ~、タコンゲねえ。確かにそう見えなくもないけど、タコンゲって目二つじゃなかったっけ」

 

「いや、タコンゲって結構邪悪な見た目してた気がするけど、ミーちゃんは可愛い見た目してるよ?」

 

『ミューミャー!』

 

 

 タコンゲ、というものが何者なのか分かりませんが、ミドリさんの指摘通り、ミーは決して邪悪な姿ではありません。

 いずれにせよ皆様には認識を改めていただきたいと思いますが、今はミーのことを信じてもらわねばなりません。

 

 

「なるほどですねぇ、ミーちゃんのことは未知の存在だと思ってましたけど、宇宙の存在でしたかぁ」

 

「……ふむ、宇宙の存在ということであると、あの空間で生きていけるような構造になっているのかな……」

 

「宇宙ですか……はっ、宇宙と言えば!まず宇宙というものはですね………」

 

「でも宇宙で暮らしていた生物なら、どうして今地上にいるんだろう。そう考えると一体どんな物質で構成されているのか……」

 

 

 いつの間にかこちらの会話に混じっていた、エンジニア部の方々とコユキさんは信じてくれている……信じてくれていると思っていいのでしょうか。

 何だか雲行きがヒマリさんに調査してもらう前と同じような感じに……。

 

 あぁ……あまりミーのことを皆で突っつかないでください………。

 幸いミーはくすぐったいというように声を上げながら、なすがままにされています。

 ミーが嫌がっていなければ良いのですが、これでは話が進まないですね…………。

 

 

 ーーーー結局、ここにおけるミーの認識は「宇宙の存在……のようなもの」というふんわりとした認識に落ち着きました。

 基本的にはモモイさんの「タコみたいな何だかよく分からないもの」という発言に集約されるものではありましたが、皆さんには概ね好意的に受け入れてもらえました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……思えば今日はコユキさんに久々に出会ってから、いつもより楽しい一日を過ごせました。

 中でも面識のない方々と新たに知り合い、今後も親交を深めていけたらいいと思えたことが一番嬉しい。

 

 

 そうして頭の片隅で考え事をしながら、戦闘の後片付けを手伝い、エンジニア部とゲーム開発部の皆さんと別れの挨拶を済ませた今。

 コユキさんとも別れ、トリニティへと帰ってきました。

 

 

「今日は何だか落ち着かない日になりましたね」

 

『ミー?ミューン』

 

 

 いつもより疲れた感じはしますが、それはいつもよりも集中していたことでもあります。

 ミーも少し前に大きな音を聞いて倒れた時と違い、今日は平気な様子でしたし、悪いことはなかったと言っていいでしょう。

 さすがに色々あったことの疲れはありそうですけど。

 

 

『……ミューミュー』

 

「眠くなりましたか?ふふっ、ゆっくり休んでくださいね」

 

 

 ミレニアムでの日常と言われたエンジニア部での件は、始めこそ驚きましたが、今となると私の知らなかった世界の一面であると思えます。

 世界を知ることはシスターとして、より多くの人々の助けとなれるよう、励む上での知見を与えてくれます。

 そして世界を知る機会を作り出してくれた縁は、今の所ミーから繋がっています。

 

 

 

 

 その意味ではミーを迎えたことは、私にとって一つの天啓なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





予定ではパヴァーヌの一章はタッチするところを減らし、二章にとりあえず全力したいと思ってます。

ただ予定でしかないので、結構変わる可能性があります。

それと幕間系のなんか本編に関係ない奴、書くか分からないけどアンケートだけ取っときます。



幕間の小話に何がいいか(未定の予定)

  • ゲマトリア系
  • トリニティ系
  • カイザーグループ系
  • 無名の司祭系
  • ミーの種族系
  • デカグラマトン系
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