ありふれた異世界剣豪は世界最強 作:NOUMINのライバルTUBAME
第十三話
「──早く撤退を!皆のところに!君がいないと!早く!」
ハジメが橋を己のスキル、錬成により地面を不安定にさせベヒモスを動けなくさせる。
「な、んでお前が……」口をあんぐりと開けて驚く光輝。
一心もまた一瞬、呆気に取られた。だが──
「(いやそうか。トラウムソルジャーが……ということはあっちに一撃を持った奴が行く必要がある)」
ただ一度の視線の交錯。しかし、意図を伝えるには充分過ぎるほどで──
「天之河!坂上!後ろを見ろ!」
「後ろ……?っ!?あれは……!」
「オイオイヤバいんじゃねぇのかありゃぁ……」
流石の二人にも状況は理解出来た。いま、ここでベヒモスと対峙し続けることがどれだけ事態を悪化させるのかを。
「今ここでするべきことは俺たちが"全員無事"に地上へ戻ることだ。ここでいま戦力を集中させるのは悪手だ」
一心は語りながらも、ベヒモスの動きを睨み一つで抑えながら刀を再度構える。
「俺とハジメならこの場を凌げる。天之河と坂上はそのまま後ろを助けてやるんだ」
「だがっ!」
「口答えは許さない。こうしてる間にも後ろは消耗してる。今考えうる限り最良の判断はこれしか無い」
有無を言わせない一心の強い口調に黙る光輝。それでも尚食い下がろうとするも───
「ガアアアアアアアアアア!!!!!」
痺れを切らしたベヒモスにより、光輝の決断を否が応でも早めさせられた。
「………………行くぞ龍太郎」
「お、おぅ!一心!ハジメ!頼んだぜ!」
「──あぁ」
かけ出す光輝と龍太郎。龍太郎は「しゃあっ!とりあえずあの骸骨共をぶっ飛ばして早く援護に戻ってやらねぇとな!」と気合いを入れ直すが、光輝は違った。
「───畜生……俺は俺は………勇者で……一心は………一心はっ……!!!」
「おい光輝!?突っ走りすぎだぞ!」
光輝の中で渦巻く嫉妬、怒り。それら全てを振り払うように──乱暴に剣を引き抜きながら大振りでトラウムソルジャーに飛びかかった。
◇
飛びかかるベヒモス、その剛腕と爪を一心は冷静に受け流しながら、吸い込むかのように一振でその腕ごと首を落とした。
──これでラスト一体。
しかしその表情は険しい。何故ならば、ベヒモスが暴れた影響か、橋全体がビシリと音を立て始め倒壊が近いことを察知してるのである。このダンジョンに入ってから一心は
阿吽の呼吸、と言えば良いか──一心もまた、ハジメの動きを背後に感じていた──
「──ッ、そろそろ危なくなってくるが……?」
「まだ、まだ行けるっ!」
「ったく………足場は任せるぞ──!」
ハジメの威勢のいい返事に逞しさと一抹の不安を覚えながらも、確かな信頼と友情を受け、一心は神経を研ぎ澄ます──!!
◇
──なんなんだ、こいつは。
地下迷宮最強。その二つ名を欲しいままにしていた怪物はただ一人の人間に本能的な恐怖を覚えていた。
仲間と共に、ただ人間の若者を喰らうだけだったはずがいつの間にか立場が逆転し──初めて弱者側へと回っていた。
恐ろしい。逃げたい。そんな感情に支配されるも、己の地面の不安定さからして後ろへ道は無いことを悟っていた。
「いい加減お前の顔も見飽きてきた」
言葉は分からない。しかし、雰囲気で悟る。これが最後の一撃であると。ならば、ならば──!
先に散った仲間の分まで!!地下迷宮最強という意地を見せつけるまで──
そう、最後の力を振り絞ったベヒモスが見た景色は白銀の軌跡が同時に三度、舞っていた。
◇
「……ふう、倒せたか」
「お疲れ様!いやあ流石だよ」
「ハジメのアシストのおかげでもあるな」
刃こぼれも、血がこびり付くこともなかった長刀をゆっくり鞘に収めながらトラウムソルジャーの戦況を見つめる。
「……天之河もいるとはいえ、数が厳しいか。早いところ戻るとしよう」
「だね。……なんか変に疲れたや」
「そりゃあんだけ長い間魔法を維持してりゃ疲れるわな。とりあえず道は切り開くからゆっくりしてからでも問題は無いんじゃないか」
「そうするよ。一心君、頑張って」
「──あぁ、任せろ」
一心はクラスメイト達の救援の為に走り出した。
そう、走り出してしまったのだ。
「(──ッ!?危機感知だと?どこから!?アイツらから……?)」
刀の柄に手を起き左右の警戒をしていたその時だった。
一心の隣を高速で魔法が突き抜けていった。
一心に魔法の才はほぼ無いに等しい。しかし、危険に大して即座に反応することは出来る。すぐさま超速の居合を飛び去っていった方向目掛けて振り放った。
あぁ、だが。時は既に遅し、既のところで刀は届かなかった。
そして
就活して死ぬほど忙しかったんだ。許してクレメンス
※投稿期間について。
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5000文字くらいだ更新が遅い
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2000〜3000文字程度だが更新が早い