ドクトル・バタフライの研究所まで迎えに来てくれた左之助さんに「また眠らされた」と言われました。やっぱり、チャフは最強の武装錬金の一つですね。
ただ、左之助さんは幻術や催眠に対する耐性は低く掛かりやすいのもあります。私は『前世の記憶の保持』によって催眠になろうと覚えています。
故に、掛かっても問題ないんです。
意識の無い睡眠時や昏倒時は流石に抵抗は出来ませんけど。そういう違和感を知ることは出来て、簡単に対処する事は可能です。
「景を連れていった理由を聞かせろ。特に、その変な薬やら何やらが並んでいる理由もだ」
「糸色君を改造するためだが?」
「よし、ブッ殺す」
「だ、ダメですよ!?」
慌てて左之助さんを止めようと立ち上がった瞬間、目眩が起きて、地面に倒れそうになるも左之助さんが受け止めてくれた。
「鼻血出てるじゃねえかッ」
「え、あ、ほんと……」
ポタポタと垂れる鼻血を手で隠しながら、ちり紙を受け取って鼻を押さえつつ、口呼吸を繰り返し、血の滲むちり紙を折り畳み、また鼻に宛がう。
「あぁ゛ーっ、鼻がツンとします」
「左之助君、押さえていて貰えるかね」
「わかった」
「んッ……なにを?」
おでこに手を当て、体温を測り、眼鏡を外して、瞳孔を確認し、口の中を覗くドクトル・バタフライに戸惑いつつ、聴診器を取り出した彼の行動を受け入れ、左之助さんに着物をはだけさせもらう。
ひんやりとした聴診器が胸に当たり、私の心音がドクトル・バタフライに聞かれる。少し恥ずかしさを感じますが、触診を受けます。
「後ろを向いて貰えるかね」
「は、はい」
「景、此方に身体預けろ」
そう言って私の身体を抱き上げ、着物の上衣を全てはだけ、背中を晒す私を支えてくれる左之助さんにお礼を伝えながら、私の小さな胸が左之助さんの身体に密着してしまう。
「糸色君、心臓に負担を掛けているね。私の見ていないときに何かしら身体に負荷を与える行為か行動をした覚えはあるかい?」
ドクトル・バタフライに幾つか浮かぶ。
しかし、ここまで身体に深刻なダメージを与える行為に及んだ事はありません。強いて挙げると、烏天狗の妖気を浴びてしまったことでしょうか。
あれだけは仕方なかったと思います。
「幾つか思い付いてるな。景」
「そ、……いえ、思い付いています」
「ふむ、左之助君と行為に及んでいた事を吟味すると疲労による負担も捨てきれないか」
ナチュラルに、破廉恥な事を言わないで下さい。
いくらなんでも許しませんよっ、もう!