しとりの剣は千変万化です。
使えると思った流儀は直ぐに吸収して、自分の強さに作り替えてしまえる。神谷活心流は齢十三歳にして中伝を修め、奥伝や秘伝に相当する技術をしとりは、すでに得ています。
「(飛天御剣流は比古先生に学んでいるとはいえ練習を見て貰えるのは東京にやって来た数日ほど。教える技の数々もランダムです……)」
「ん!母様、巻き藁出来た!」
「えぇ、見えていますよ」
青竹の束を縛って藁を巻いた柱に向かってしとりは電光丸や竹刀ではなく無銘の名前や能力も教えていない妖刀を振るい、瞬時に鞘に刀身を納めた。
居合。
いえ、抜刀術ですね。
抜いて、斬る。
その工程は見えていました。
「ん?……ん!母様、何回斬ってた?」
「二十一回ですね。流石はしとりです」
瞬時に斬ったというより、瞬間的に飛び散る青竹の束を止めるために斬って斬って斬って斬ってその衝撃その物を抑え込んでいるように私は認識した。
「ん!」
私の言葉に満足そうに笑ったしとりは無銘の妖刀の柄を優しくポンポンと叩いて、フンスと私に並んで……いえ、追い抜かしているように感じる胸を張り、自信満々に鼻高々に笑顔を見せてくれます。
とても可愛いです、ソーキュートです。
ただ、お胸は羨ましいです。
「しとり、今の技は?」
「ん、居合だよ?」
「技名はないんですか?」
「えとね、うんとね、んー、いっぱい斬る!」
「フフ、技名ではありませんね」
「?」
二段抜刀術「双龍閃」
九つの同時斬撃「九頭龍閃」
どちらも最速の技に相応しいでしょう。
しかし、しとりは九頭龍閃を越える二十一回の同時斬撃を放ってしまった。しとりの才能は知っていましたが、やはり姿お兄様を超えている。
私の目を受け継いでいる以上、銃弾を見る事もでき、しとりは益々強くて素敵な女の子になってしまうわけですが、このまま強くなったら、剣路君の精神を病ませてしまうのでは?
ほんのちょっとだけ心配になります。
二人の才能に優劣はありませんが、しとりの場合は学べるものが多く存在しているのが一番の原因とも言えるわけですけれど。
つまり、私が強くなるために必要な糧となってしまっているわけです。大して強くも偉くもありませんが、娘のために頑張ります。
───とは言えです。
私は戦いに関しては素人以下のため役立っているのかも微妙なところですね。そもそも戦えない私が、しとりの糧になってちる状況も中々におかしく思えます。
いえ、嬉しくはありますけど。
私で良いのかしら。