ぎっくり腰、五日目のお昼時。
私の身体は回復して来ました。寿命が伸びたという意味ではなく、ぎっくり腰が治ってきたという意味なので勘違いしてはいけません。
「杖をつくのは、初めてです」
「……」
「? どうかしましたか?」
「車椅子のほうが良くねえか?」
「車椅子だと左之助さんに負担を掛けてしまいますし、家の中を移動するときも大変になってしまいますから。それに歩くのは楽しいです」
そう左之助さんと一緒に町の中を歩いていると、チラホラと私の事を見つめる人がいます。また、新聞や瓦版に私の訃報を書き綴って喧伝していたんでしょう。
まだ、死ぬのは我慢です。
一年、あと一年ほど生きてしまえば私の勝ちです。しとりの花嫁姿を見ることが出来れば、私はもう思い残すことはありません。
ひとえの花嫁姿もみたかったのですけど。
もう無理だと理解しています。
だからこそ、しとりの花嫁姿を見たい。
「景、お前はきっと天国なんだろうがよ。オレと一緒に地獄に堕ちてくれるよな?」
「…釜茹ではイヤですねえ……」
「五右衛門風呂みてえなもんだ」
それはそれで違うのでは?と思いながら、左之助さんを見上げた瞬間、太陽の逆光によって眼鏡は光り、妖しさが増してしまった気がします。
違います、私は死神探偵じゃないです。
「左之助さん?」
手を握ってきた左之助さんに首を傾げ、彼の方を向くとヘンテコな物を頭に被っていました。いえ、よく見ると左之助さんじゃないですね。
「誰ですか?」
「だれだ、てめぇ?」
同時に声がして、後ろを向く。
鏡がありました。
「……あなた、鏡の妖怪ですね」
その言葉に左之助さんを真似ていた妖怪は変化を解いて、私に姿を見せてくれた。「ゲゲゲの鬼太郎」の劇場版「日本爆裂」に登場する妖怪・鏡爺が私の目の前に立ち、私を見下ろしている。
「アヤカシを鏡の中に引き込む術を教えたのはお前だ?なぜ、鏡の妖怪でもないお前に鏡を通り抜ける術が使える?教えよ」
「お、教えよ、と言われましても。私は科学に基づいて門を開いているだけですし。壊したものは直していますけど、勝手に貴方の世界に入ってしまったのは申し訳ありません」
考えてみれば、そうですよね。
鏡の妖怪も存在しているのに、外道衆とシンケンジャーを送り込んで戦わせるのは悪いことです。あとで志葉様にお手紙を渡して教えないとです。
「よい。あやつらの戦いを肴に楽しんでいる。しかして、ワシが気になっているのは、
それは、地獄臭いということでしょうか?