荒々しくカジキを振るう石動雷十太の攻撃を素早く身体をねじって、飛天御剣流「龍巻閃」に転じる緋村剣心の動きをしとりは指を動かし、イメージしています。
あの刹那の攻防を視て、また強くなるしとりに本当に剣路君は勝てるのでしょうかと悩みつつ、左之助さんは楽しそうに仕合を見ています。
実際に楽しんでいるのは分かります。
しとりも同じように笑っていますし、なにより楽しんでいるのです。楽しそうに、面白そうに、二人とも笑顔を浮かべている。
ひとえは眠そうです。
この子はお姉ちゃんっ子なので、しとりの真似を良くしています。ですが、そろそろ本格的に、真面目に悩んでしまうときもある。
ひとえの怪力です。凡そ人間の出せる腕力を越えたその力は凄まじく、左之助さんよりもパワーを感じ、彼女の怪力にも制御・抑圧を掛けるつもりです。
「飛天御剣流、龍巻閃・嵐」
縦回転の変則斬撃を受け止め、石動雷十太は更に猛る。しかし、強さの均衡は崩れ始める。石動雷十太が緋村剣心の動きを追えなくなってきたのだ。
数年は戦いを退いて、縁側で囲碁や将棋、夜には博奕に行ったりもしていて鈍っていた身体は、この戦いで筋肉はほぐれ、柔軟さを取り戻していく。
───すると、必然的に緋村剣心の足は加速する。
「ようやく本調子だな」
「ん、わたしも出来る」
「それは、知ってる」
しとりは左之助さんに、ずいずいと詰め寄って自分もあれだけ動けると伝えます。
「飛天御剣流、龍巣閃」
「飛天御剣流、龍翔閃」
「飛天御剣流、双龍閃・雷」
次々と技を繰り出す緋村剣心。双龍閃・雷は手刀で喉を殴り、素早く脳天に倭杖を叩き込み、素早く殴り倒すという荒業になっていました。
荒々しく倭杖が石動雷十太を打って、ようやく倒したかと思ったその瞬間、緋村剣心の身体が横薙ぎに吹き飛ばされ、地面を転がる。
必殺の一撃が見舞われた。
「自分から飛びましたね」
「ん、木刀でちゃんと防いでた」
ニコニコとしとりは笑いながら、立ち上がってきた緋村剣心に期待しています。
「うむ、参った!吾輩の敗けである!!」
クワッと顔付きを変えて石動雷十太が叫ぶ。飯綱を打とうにも両腕は打撲で変色し、次の攻撃に移ろうにも身体は軋み、戦えない。
無理に押し進めず、潔く敗北を認めた石動雷十太に緋村剣心も倭杖を腰に佩いて、第三仕合は剣客としての強さが分かる。
とても大事な仕合でした。
「ん、わたしのほうが強い」
「しとり、今のタイミングじゃないですよ?」
「ん」
「ひーもやりたいなあ」