「ねーさま、にーさまのお嫁さんになるの?」
「ん、そう……だよ?」
明日の明神君とシルベストリの仕合の応援のため、色々と準備しているしとりのお膝に頭を乗せていたひとえの言葉に、しとり自身はまだピンと来ていませんね。
しとりは早熟そうに見えますけれど。
まだ、十四歳(数え年の十三歳)なので、そういうところはまだ疎いのでしょうね。まあ、私はその年頃に左之助さんと祝言を挙げましたけど。
よくよく考えるとビックリしますよね。
あの頃の左之助さんは童女趣味と言われても否定できなかったのでは?と考えながら、しとりとひとえを見つめていると「母様はいつお嫁さんになったの?」とひとえに聞かれました。
「フフ、十五歳の時ですよぉ......あの頃は今より治安は悪かったので、いつも左之助さんに助けてもらっていました」
「おー!」
「ん、父様は怪しい。母様に悪いことしてたってつっくんが言ってた」
つっくん。
たぶん、月岡津南のことでしょうか?と首を傾げつつ、そんなに悪いことなんて......あれとかこれとか考えてみると少なからずありますね。
「(まあ、幸せなので良いです。エッチなのはいけないと思いますけど。エッチなのは、とてもいけないと思いますけど!)」
そんなことを思いながら、しとりは「けんちゃんのお嫁さん?」と可愛らしく小首を傾げています。剣路君を好きなのはしとりも自覚しているけれど。
「(子供の成長は早いですが、安心したら最後の線が切れてしまいそうなので、もうちょっとだけ頑張れるようにしておかないとです)」
「ただいま」
「ん!父様、怪我は大丈夫?」
「とーさま、痛いの治った?ひー治す?」
ぺカーッと以前の優しい蛍火色は変化し、もはや深緑のごとく光る両手を差し出すひとえ。もう完璧に使いこなしていますね。
流石はひとえです。
かわいいです、ソーキュートです。
「景に寄せてやれ」
「あい!」
「え?ま、んひぃあっ!?」
突然のハグにビックリした瞬間に私はひとえの放つ「癒やしの力」で身体が跳ねてしまう。お、驚きすぎて、変な声が出てしまいました。
元気になりますけど。
これで寿命が伸びるわけではありませんから……いえ、みんなが私のために色々としてくれるのは、本当に幸せで、とても嬉しいです。
「(でも『癒やしの力』を受ける度、身体の奥にナニカを感じるときがあります。コアや大魔王とは違う、もっと別のナニカが私の身体の奥にいる)」
良いものなのか、悪いものなのか。
それはまだ分かりません。