仕合後。
制極界の事を聞きに向かう石動雷十太に苦笑を浮かべつつ、勝つために準備を繰り返す彼の探求心は本当に凄くて素晴らしいものです。
しとりでもまだ制極界の発動には届いておらず、少し困ったように小首を傾げて、自分の身体を動かして考えているばかりで、ひとえは左之助さんに抱っこされ、スヤスヤと眠っています。
寝る子は育つ、です。
それにしても、最近のひとえは本当によく眠ることが増えましたけど。何かあるのでしょうか?とまた首をかしげ、銀色の体液の飛び散った闘技場を見ます。
「景、どうかしたのか?」
「なぜ自爆したのかを考えていました。自動人形ならば四肢の骨折程度、動きにくくなるだけで逃げることも出来るはずです」
「才賀の二人を狙ったか、だな」
成る程、その考えもありますね。
付け加えて思考を深めると「才賀正二の強化に繋がる技術の排除を目的に自爆した」という考えも浮かび、その他にも「自爆の衝撃で才賀アンジェリーナに怪我を負わせる」というものも浮かびました。
フェイスレスは「からくりサーカス」を読んでしまっていますし。ゾナハ虫で記憶を司る海馬を弄って記憶をすげ替えたりと色々としています。
あの様な事はやめるべきです。
そういうのはよろしくないです。
「ん、母様はよわよわだからわたしが守ってあげる」
「……フフ、ありがとうございます」
いつの間にか私の150cm程度のちっちゃい背丈を抜かしてしまった、しとりの言葉に笑って差し出される手を握り返して、一緒に歩いていると視線を感じました。
左之助さんはしとりが私を抱き上げても怒ったりしませんが、緋村剣心が「代わるでござるよ」と言ったら、本気の蹴りを繰り出していました。
親友でも蹴り殺すという殺意を感じました。
左之助さんの愛情はとても重くて支えきるということは無理なので、しとりとひとえも私の代わりなんて考えず、好きなことを頑張ってほしいです。
「ん、ん、ん、ん」
「しとり?」
ブンブンと手を動かすしとりに釣られて、私の腕は激しく動き、袖が捲れて腕が出るたびに左之助さんの眉間にシワが寄っていく。
これは、手を動かすからですよ。
悪いのは私ですから、しとりのことを怒るのはダメですからね?という視線を左之助さんに送るも、左之助さんの眉間にシワが寄っていきます。
いったい、なにがダメなんでしょうか。
やっぱり、左之助さんのかんがえを読み取るのは難しくて大変です。いえ、それはべつに悪いことではありませんね。