「むう」
ひとえはまだダメだという左之助さんの言葉でお話は終わったものの、ひとえは不満そうにみんなのことを見つめています。
左之助さんはそんなひとえを抱っこして、歩いていると柏崎さんは徐に私の方を見ました。ようやくくじ引きを決めたようです。
「これじゃな」
そう言って柏崎さんが引いたくじに、みんなの視線が集まると引かれたのは空白でした。誰かが文字を書かずに箱に入れていたんですね。
「ワシの勝ちでええかの」
「まあ、良いんじゃねえか。他のヤツが納得するのかは知らねえけど」
左之助さんがそう言うと敗者復活戦を期待していた人たちはものすごく不満そうに柏崎さんを見ていますし、やっぱり大変なことになりましたね。
柏崎さんも困ったように笑っていますが、空白の名前を入れたのは彼らの内の誰かですし、こうなってしまうのは仕方ないのではないでしょうか。
いえ、そういうのは難しいですね。
しかし、空白のくじを入れるなんて何を考えているのでしょうか?と私も首を傾げていると、柏崎さんの隣に現れた人が空白のくじに名前を書いた。
「僕が参加しよう」
「姿お兄様?」
「久しいね。景、また会いに来たよ」
「私もいるわよー」
鎌足お義姉様も一緒にやって来た事に困惑しつつ、私は左之助さんを見るも左之助さんも気付いていなかったらしく、ビックリしています。
強気に笑う鎌足お義姉様。
姿お兄様を知らない人は話って入ってきたことに怒ろうとしていましたが、左之助さんや緋村剣心、明神君が一様に警戒していることに気付き、下がる。
「姿お兄様、いきなり参加するのはダメです」
「ムッ、確かにそうだね」
「公平に姿お兄様に不満のある方々と仕合し、ちゃんと勝ってください。殺すのはダメです。手足を斬るのもダメです。竹刀か木刀で」
「そうだな。あ、これでいいわ」
そう言うと姿お兄様は私の帯につけていた櫛入れの留め金を取り、思いっきり鎌足お義姉様に頭を叩かれていました。
「乙女の道具でしょうが」
「いや、うん、そうだね。ごめん」
鎌足お義姉様、かっこいい……。
「ん、すーくん、よわよわ」
「すーくん」
「? 叔父上?」
「やめてくれ。その言葉は僕に効く……」
辛そうに顔をしかめる姿お兄様に、この人は何を言っているんだろう?と私は首を傾げつつ、返してもらった櫛入れを帯に差します。
左之助さんからの贈り物です。
かんざしはこの短い髪ではさせませんから、将来的にはしとりかひとえのどちらかに譲るのもいいですね。きっと喜んでくれます。