左之助さんと最後の勝負に向けて、稽古をするしとりは楽しそうにしています。何処までも自由に、しとりは悪意の暗闇さえも照らしてしまいます。
生まれ持った天性の太陽です。
私の事を月に例える人もいますが、あの子は人の姿をした太陽のごとく私の不安も恐れも消し飛ばして、いつも笑顔を向けてくれます。
ひとえも一緒ですけど。
しとりは明るく照らす太陽。
ひとえは呑み込み、照らす大空。
二人で一緒にいれば怖いものなんてありません。なによりも誰よりも信頼し合える関係であり、私と左之助さんを抜けば最も気持ちを分かり合える姉妹です。
「ん!ん!ん!ん!ん!」
「掛け声で動きがわかるぞー」
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!」
「おお、膨れっ面だなあ?」
「父様っ、ひーちゃん盾にしないで!」
竹刀を止めて、地団駄を踏んで怒るしとり。
可愛いですね、ソーキュートです。
まあ、そうですよね。左之助さんはひとえの両脇に手を差し込み、持ち上げて、しとりの打つ場所に近付けてバリアーにしているわけですし。
止めたい。
私だって、止めたいんですっ。
「かーさま、びゅんしてた!!!」
「そ、そうですか。良かったですね」
ひとえは実姉に絶対的な信頼を向け、絶対に当てないと分かっているので、とても楽しそうに竹刀を振るうしとりのことを見つめています。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」
「がなるながなるな」
「父様、ひーちゃん抱っこしちゃダメ!」
とっても不満そうにしとりは叫び、左之助さんはニヤニヤと笑っています。アレは私の事を褥で虐めているときにする顔ですね。
悪い顔です、バッドフェイス。
ひとえは楽しそうに、しとりは不満そうに、姉妹の反応をものすごく楽しんでいる左之助さんが一番悪いのでは?と思ったりもします。
「母様!!父様がいじわるする!!」
「左之助さん、ダメですよ?」
「剣路に負ける前に負かす、父は偉大なのだ」
「現状、父は偉大でも父の威厳は消えましたね」
そう言ってひとえに手を伸ばすと嬉しそうに笑ったひとえは私が怪我をしないように手加減した速さで抱きついてきて、即座にしとりは九頭龍閃を放つ。
「九十頭龍閃ですね」
九つの同時斬り。
それを四方八方から合計十回しました。
「いてぇ…」
「むう、倒れない」
「剣心のほうがまだ重いからなあ」
「……太っちゃうのは、やだ」
今は成長期ですから、太りませんよ。
しかし、しとりももう年頃です。
「母ちゃん見てみろ。食べても太らないだろ?」
「ん、わたしも大丈夫?」
「ねーさまよりおむねもちっちゃい!」
………ぐすんっ