最終戦。
第一仕合は、緋村剣心対四乃森蒼紫です。
十年以上の研鑽を重ねた四乃森蒼紫の剣舞に対し、緋村剣心は愛刀・逆刃刀を明神君に譲り、今も尚、腰に佩く得物は倭杖のまま変わっていません。
武田観柳の件を最後に交わることの無かった二人は遂に決着をつけます。明神君はどちらが勝っても正々堂々と仕合うと言っています。
「いざ、尋常に───」
四乃森蒼紫は大太刀を模した鞘を抜き、小太刀の二刀流を無形に構え、静かに激情を燃やして緋村剣心の事を見据えています。
対し、緋村剣心は涼やかに倭杖を抜刀し、四乃森蒼紫と同様に無形に構え、緩やかに視線の鋭さが増し、重圧的な剣気を叩きつける。
「────始めェ!!」
操さんの合図を聴くとふたりは同時に踏み出し、四乃森蒼紫は右手の小太刀を振り下ろし、緋村剣心は倭杖を右手で切り上げ、空気が炸裂し、切り裂く。
四乃森蒼紫の唐竹に対し、緋村剣心は左薙ぎで受け、倭杖のしのぎを削り、倭杖の柄で四乃森蒼紫の鳩尾を殴り付け、横隔膜を圧迫し、呼吸を塞き止める。
苦痛に顔を歪めることなく、四乃森蒼紫は左の正拳を緋村剣心の顔面に打って、更に連打を打つ。私の「前世の記憶」に残っている光景に酷似します。
「……チッ、楽しそうにしやがって」
不満そうに左之助さんは文句を言いながら、左之助さんは笑みを浮かべています。すでに緋村剣心と決着をつけている左之助さんは、満足していました。
ただ、四乃森蒼紫だけは交えていなかった。
今回の大会で得たものは人各々ですが、少なくとも満足してもらえるものだったようです。
緋村剣心は飛天御剣流「龍巻閃」を放つ。
本来はカウンターとして、遠心力を加えて放つ剣劇を緋村剣心は防御として利用し、四乃森蒼紫の背後に回り込み、倭杖で背中を殴り付ける。
────ですが、四乃森蒼紫は消える。
空蝉の法。
空気と同化したように相手の攻撃を受け流して、捌く。未来では無差別格闘流として登場する技ですが、元祖は四乃森蒼紫だったわけですね。
「景、あれは?」
「空蝉の法、忍術の奥伝です」
そう言って私はしとりを見ます。
目の色は青のまま───いえ、蒼く染まる。
「ごふっ…!?」
「景!?」
「だ、大丈夫で、す」
血涙が出て、吐血する。
しかし、この仕合は見なければいけません。
荒々しく巻き起こる剣舞と龍巻き────。
目を見開いて、しっかりと見つめる。
おそらく、これが緋村剣心にとって最後の全身全霊の戦いになります。