緋村剣心の一撃は確実に四乃森蒼紫を打ち、意識を刈り取った。土龍閃による足場破壊、そこから倭杖が砕けるほどに強烈な打撃が四乃森蒼紫の意識を絶った。
一瞬の攻防でしたが、最後は緋村剣心の勝利だったことに左之助さん達は安心しているように見えます。実際、あそこから逆転するのは難しかったです。
経験による物ではなく、ある種の賭け。
男の人はいつもギリギリの瀬戸際で賭けに出ているように思えますが、しとりは「ん、覚えた」と笑って竹刀袋を抱き締めます。
しかし、時間はもう過ぎているので、次の仕合はまた後日になりました。ここ半月以上(十九日と十五時一分三十一秒)、東京はこの大会で大にぎわいです。
当然ですけど。
政府もこの大会の事は知っています。斎藤一が主催者席に近いのも暗殺を警戒してのことで、外国の人達も見に来ているということもあります。
「景、大丈夫か?」
「…ちょっとだけ辛いです」
血を吐いて、血涙した顔を拭き、顔をそらす。左之助さんが心配してくれるのは嬉しいですが、私は申し訳なくなってしまう。
仕合に集中したいのに、ごめんなさい。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!虫!」
ビックリして立つしとりは眠るひとえを抱き上げ、走り出してしまった。虫?と私はしとり達の居たところを見ると、背中に傷のある蜘蛛がいました。
鬼蜘蛛。
「でけえ蜘蛛だな」
「わ、私も怖いので離れましょう?」
ぎゅうっと左之助さんの服を握り、そうお願いする。貧血気味で上手く立てない身体を抱かれ、薫さん達に先にお暇する事を伝えます。
「……あの蜘蛛、奈落か?」
その問いかけに思わず、左之助さんを見る。
気付いていたことに驚きながらも私はうなずき、「多分、私の死期を覚って、しとりかひとえに標的を変えようとしています」と伝えながら、私は俯く。
正直に言えば、怖いです。
死んでしまったら閻魔大王様に仕える獄卒として地獄に行くことは決まっています。地獄の鍵を受け止める器になると決めたときにそれは理解していました。
────ですが、この身体に入った剣士です。
彼女は地獄の鍵を使えることを意味します。
死んでしまったら、彼女は使うでしょう。
剣士と名乗るには私の身体はクソザコですし、その力を使うしか強敵には勝てないでしょうし。地獄の鋼は、最も強力な接近戦用の能力です。
「ひぃんっ!?な、なんですか!?」
「いや、血を舐めたら移るかと」
「……移りませんよ、血じゃないです」
私の身体が「特典」の強さに耐えられないんです。