自分の名前以外何もわからない。帰る場所も。自分が何者なのかも。


これはあの男のその後の物語。

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先日メガテン5の全ルートを回収した勢いで書きました。記憶を失った明智君。なぜか妖精の集落で暮らすことに。


明智吾郎には何もない。

品川ダアト 妖精の集落

 

 

 

 

明智吾郎には、何もない。自分の名前と蛇のように波打った形の赤黒く光る剣と「ペルソナ」という不思議な力以外何も。もちろん以前の記憶だって。

彼は数か月前この妖精の集落周辺でボロボロで意識不明の状態で発見された。そして妖精王オベロンをはじめとしたこの地に住まう悪魔たちの手厚い保護により一命を取り留め意識を取り戻した。

だが目覚めたのはいいものの、前述の通り以前の記憶がないため帰る場所もわからずましてや自分が何者なのかも名前以外思い出せないのでそのままここに住み着きここで何でも屋のようなことをして暮らしている。最初は格好の異様さと人間であることで気味悪がられたものだが今ではすっかりここに馴染んでいる。そんな彼のもとに一つの依頼が。

 

明智「人間の学生たちが大量にこっちに送り込まれてきた?」

 

??「ああ。邪神ラフムが人間界にいった影響でな。」

 

明智「ラフム...?ああ、この間言ってた強くなる方法を見つけたって大はしゃぎしてたっていう?」

 

??「その通り。どうやらあいつ自分の知恵を見つけたらしくってな。人間界に大量の悪魔引き連れて人間界に侵入して人間たちを知恵共々こっちに攫ってきやがったんだ。」

 

 そう話すのはケルト神話にて語られる鮮やかな金髪と玉のような白い肌を持つフィアナ騎士団の団長フィン・マックール。明智吾郎第一発見者である。彼がボロボロの明智を発見していなければ今頃明智は生きていない。

 

フィン「このままだと生徒たちが殺されちまう。あんたには俺様と手分けして生徒たちを救助してほしい。」

 

明智「...それ僕必要?君の実力なら君一人で十分だろ?」

 

フィン「いいや無理だ。人間たちの反応が想像よりもずっと多い。俺様一人じゃ間に合わないんだ。頼むよ。」

 

 あまり前向きな態度を見せない明智。その理由はこの男を見ていると頭に何者かの声が聞こえるからだ。自分が心の底から嫌いだと叫びたくなる何者かの声が。

 

フィン「これで生徒たちが死んじまったらお前のせいだぞ。」

 

明智「は?」

 

フィン「助けられたかもしれない命をお前は見捨てた。そんな話が広まれば集落の奴らはどう思うかな?」

 

明智「...はあ。今回だけだよ。」

 

フィン「決まりだな。」

 

 

 

 

 

品川ダアト コウナン2丁目

 

 まんまとフィンの口車に乗せられ仕方なくやってきた吾郎。フィンはもうすでに到着し救助に取り掛かっている。

 

明智「さて、不本意だけど始めるか。不本意だけどね。」

 

 そう独り言ちながら明智は近くのビルに上りあたりを見渡し人間がどこにいるか大体の位置を把握する。さっそく一人発見した。

 

男子生徒A「うわあああ!!助けてええ!!」

 

悪魔「サッサトソノミヲクワセロオオオオ!!!イヒィィィ「うるせえんだよ雑魚が!」ギャアアアアア!!」

 

 生徒を食おうとしていた悪魔を素早く明智は背後から素早く切り裂いた。

 

男子生徒A「ま、また悪魔ぁあ!?く、食わないでえええ!!」

 

明智「違ぇよ!助けに来てやったんだ!あと俺は人間だ!」

 

男子生徒A「え?人間?」

 

明智「そう。君と同じ人間だよ。...このケガだったら大丈夫そうだね。いいかい?あの坂を上がっていって右に曲がったところにランタンを持ったカボチャの妖精がいる。そいつに安全な場所へ連れて行ってもらうんだ。」

 

男子生徒A「は、はい。」

 

 慌てる生徒を何とか落ち着け、救助役として連れてきたジャックランタンのもとへ行かせた。そしてまた明智の視界に先ほどと同じような光景が見えた。女生徒が一人上半身が鶏、下半身が爬虫類の悪魔3、4体に壁際まで  追い詰められている。

 

明智「邪魔だっ!おい、大丈夫か!?」

 

女子生徒A「あ、ありがとうございます...。」

 

明智「怪我はないようだな。なら...。チッ...。しぶといな...。」

 

 まだ悪魔たちはあきらめるつもりはないようで、こちらを殺そうと襲い掛かってきた。

 

明智「邪魔なんだよ雑魚どもがっ!!来い、ヘリワード!!」

 

 明智は仮面に手をかけペルソナ「ヘリワード」をその場に顕現させる。

 

明智「エイガオン!!

 

 地面から黒い影のようなものが悪魔の体を四散させ、仲間がやられたことで怖気づいた悪魔たちは一目散に逃げて行った。女子生徒は一瞬の出来事で頭が追い付いていないのか

呆然とした顔でその場に立ち尽くしている。

 

女子生徒A「何、今の...?」

 

明智「悪いが説明してる暇はない。」

 

 とまあ、こんな感じで襲い掛かってきたり邪魔をする悪魔をヘリワードで蹴散らしながら生徒を吾郎はできる限り救助していった。そして今いるコウナン2丁目であらかた生徒

を救ったのでフィンのいる御楯橋の方へ移動しようと思ったその時一体の悪魔が明智の視界に入った。仮面のような大きな顔と大量の漆黒の触手。ラフムだ。さらによく見るとラフ

ムの触手に赤髪の女子生徒が捕まっている。あれがフィンの言っていたラフムの知恵だろう。

 

ラフム「おお、サホリよ。なぜ余を拒む?余と融合すれば素晴らしい力が手に入るというのに...。」

 

サホリ「いやっ...!!離して、離してよ!」

 

 女子生徒は必死に逃れようと足掻いているが一向に開放されない。あのままではラフムに食われるのも時間の問題だろう。

 

ラフム「もう我慢ならん!!こうなったら強引に一体化して「レーヴァテイン!

ぬぅおっ!?」

 

ヘリワードの放った鋭い斬撃がラフムに襲い掛かりラフムは体制を崩し、拘束が緩み解放されたサホリは一目散に逃げていった。

 

明智「気持ち悪いんだよカスが!失せろ!」

 

ラフム「なんだ貴様は?あと少しで余は完全体になれたというのに!邪魔しおって!貴様から始末してやる!!」

 

 ラフムは触手を伸ばして攻撃してきたが明智はそれをすべて切り裂く。さらに畳みかけるように呪殺属性の魔法を放ってくるが明智はヘリワードの力のおかげで呪殺属性が効か

ないのでお構いなしに吾郎はラフムの体を切り裂く。

 

明智「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!

 

ラフム 「ぐわぁぁうぉおおおお!?」

 

 明智の猛攻に悶えるラフム。これで終わったかと思われたがその時ラフムの目と思われる部分から白い巨大な寄生虫のようなものが飛び出してきた。あれがおそらくラフムの本体だろう。

 

ラフム「ワハハハハハハ!!!余の真の力、その身をもって思い知るがいい!!」

 

 ラフムは雷や氷、強力な光線に放ってくる。だがラフムはこの後思い知ることになる。圧倒的な格の違いを...。

 

明智「それだけかァ!?甘いんだよカスが!ランダマイザァ!」

 

ラフム「ぐぅっ...!?力がっ...!?」

 

 明智が相手を大幅に弱体化させる技ランダマイザを放ちラフムは体から力が抜けその場にへたり込む。

 

明智「殺せヘリワード!!反逆の刃ァ!!」

 

 ヘリワードが放った万物を切り裂く斬撃がトドメになりラフムは倒れた。

 

ラフム「嫌だ...。余が...余こそが創生を...。」

 

 

 

 

 

 

 

品川ダアト 妖精の集落

 

 ラフムを倒した後明智はフィンと合流し残りの生徒を救出し、その途中でサホリも見つけたので妖精の集落まで連れてきて他の生徒と一緒に治療を受けさせた。そして数時間後治療の邪魔にならないよう端にいた明智に近づく人影が。

 

??「あの、すみません。サホリを助けてくださった人ってあなたですか?」

 

明智「サホリ...?ああ、あのラフムの知恵?君あの子の知り合い?」

 

タオ「はい。私、磯野上タオと申します。べテルで聖女として協力していて、サホリは私の親友なんです。この度は、親友を救っていただき本当にありがとうございました!」

 

明智「(べテルってオベロン王が言ってた神のしもべとかいうやつらか。人間も協力しているのか?)別にいいよ。僕はただ暴れたかっただけだから。お礼なんていらない。それより僕の事をよく見つけられたね?」

 

タオ「サホリから聞いたんです。黒い仮面のカラスみたいな恰好の人が助けてくれたって。」

 

明智「カラス...?ウっ!?」

 

 カラスという単語を聞いた瞬間、明智の脳内に映像が流れる。

 

??『カラス...一人だけ和風だな。』

 

??『なら英語でクロウだね。』

 

??『よし、今からお前はクロウだ。』

 

??『了解した。』

 

 

 

 

明智「これ...は...?何...だ?」

 

 その映像はやけに鮮明だった。まるで自分自身が体験してきたことのように。しかも映像の最後に喋っていた人物の声は、自分の声そっくりだった。

 

タオ「あ、あの!?大丈夫ですか!?」

 

明智「あ、ああ。気にしないで。話を遮って悪かった。」

 

タオ「いえ、こちらこそすみません。疲れていらっしゃるはずなのに押しかけてしまって......。」

 

 両者の間に静寂が訪れる。このままでは埒が明かないと思ったのかタオが再び口を開く。

 

タオ「あの、あなたは「明智だ」え?」

 

明智「明智吾郎。それが僕の名前。あなたって呼ばれるの好きじゃないんだ。」

 

タオ「そ、そうなんですか...。明智さんは、ナホビノなんですか?」

 

明智「ナホビノ?ああ、知恵を得た悪魔ってこと?あいにく僕はそんなんじゃないよ。僕は正真正銘の人間だ。」

 

タオ「え、ナホビノじゃないんですか?悪魔のような服装だからてっきり...」

 

明智「悪かったね。これは自前だよ。」

 

タオ「自前...そうなんですか...。すいません。変なことを聞いてしまって。それじゃあ、私はこの辺で。」

 

タオはサホリたちのもとへ帰っていった。だが、まだ彼女は何か言いたそうな顔をしていた。あの続きが聞けるときが来るのだろうか。そのように思考を巡らせていた明智は何者かの気配を感じ取った。

 

明智「はあ。出てこい、イズン。」

 

イズン「むぅ。見つかっちゃった。」

 

 現れたのは北欧神話にて語られる女神で食べれば不老不死になれる黄金のリンゴの管理者で北欧の神々の生命線、イズン。実は明智はひょんなことから彼女に気に入られ時々こうして話の相手になっているのだ。

 

イズン「吾郎!何今の女!まさか浮気!?久しぶりに吾郎に会えると思って楽しみにしてたのに!他の女とたのしそ~に話しちゃってさ!絶対許さないんだから!」

 

明智「ちげーよ!浮気じゃねえ!ていうか俺とお前は恋人じゃない!」

 

イズン「うるさい!問答無用―――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後方腕組みピクシー「見て!明智君とイズン様の痴話喧嘩だよ!」

 

後方腕組みケルピー「本当だ!...ってあれ?イズン様って別に旦那さんいなかったっけ?」

 




シリーズ化希望あればやります。

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