榊遊矢のGX次元漂流記   作:おこむね

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#010 『新たな英雄』

「俺のターン、ドロー!」

 

 十代がデッキからカードをドローする。少しでも状況が良くなるように、今できる全力を十代は行うことにした。

 

「バーストレディを召喚! さらにカードを3枚伏せてターンエンドだ」

 

 《E・HEROバーストレディ》

 通常モンスター

 ☆3 火属性 戦士族

 ATK1200 DEF800 攻撃表示

 

 攻撃力の低いバーストレディをわざわざ攻撃表示――あからさまに何かを狙っていると教えているようなものだった。

 

 

 十代 手札1枚 LP3600

 フィールド バーストレディ

 魔法・罠 リバース3枚

 

 VS

 

 万丈目 手札1枚 LP4000

 フィールド ショック・ルーラー VW

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》

 

 

 まさかの手札大量消費だが――十代の直感はこれくらいしないと、次のターンを生き残れない。そう感じていた。

 

「俺のターンだ! カードドロー!」

 

 そんな十代の直感を認めるかのように、万丈目は順調にキーカードを引き当てていく。

 

「魔法カード、《死者蘇生》を発動! 貴様の墓地からスパークマンを攻撃表示で特殊召喚する!」

「なっ、スパークマン!?」

 

 《E・HEROスパークマン》

 通常モンスター

 ☆4 光属性 戦士族

 ATK1600 DEF1400 攻撃表示

 

 自身のヒーローが相手のフィールドでポーズを決めている。そんな姿を見て、十代が少し嫌そうな表情を浮かべた。

 

「さらに魔法カード、《融合識別》! 自分フィールドのモンスター一体を選択して発動! EXデッキの《XYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》を相手に見せ、このターン、対象のモンスターを融合素材とする場合、見せたカードの同名カードとして使用できる! これにより、スパークマンを《XYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》として扱う!」

 

 これにより、万丈目のフィールドにVWとXYZの二体が揃った。

 

「俺はXYZとして扱うスパークマンと、《VW―タイガー・カタパルト》をゲームから除外して変形合体! 現れろ! 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》!!」

 

 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》

 効果モンスター 融合

 ☆8 光属性 機械族

 ATK3000 DEF2800 攻撃表示

 

 今度こそ、乗っただけではない超大型モンスターを呼び出していく。

 本来であれば、XYZの三体を追加で揃えなければ出せないモンスターを容易く召喚していく万丈目。

 おまけに、スパークマンを除外したことで、前回自分を倒したシャイニング・フレア・ウイングマンの融合召喚も封じている。相手の妨害をしつつ、自身の最強モンスターを呼び出すプレイングは、流石のオベリスクブルートップと言えた。

 

「VWXYZの効果発動! 一ターンに一度、相手フィールドのカード一枚を除外できる! 俺が除外するのは、貴様の一番右のリバースカードだ!」

 

 十代も直感的にVWXYZが来ると思ってリバースカードを大量に伏せたのだろう。

 VWXYZの効果によって、十代のリバースカードが裏側のまま除外される。十代のみが知る除外されたカードは《融合》だった。こういう時の運は、まだ十代の方が上らしい。

 

「バトルだ! VWXYZでバーストレディに攻撃! VWXYZ-アルティメット・ディストラクション!!」

 

 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》 ATK3000 VS《E・HEROバーストレディ》 ATK1200

 

 VWXYZの全砲門がバーストレディに向けられていく。攻撃力の差は明らかであり、これを受ければ十代も大ダメージを受けることになる。

 

「罠カード、《異次元トンネル―ミラーゲート―》を発動! 自分フィールドの『E・HERO』と名のついたモンスターが攻撃対象にされた時、自分と相手のモンスターのコントロールを入れ替えてダメージ計算を行う!」

 

 しかし、前回のデュエルでも使ったミラーゲートの効果により、互いのフィールドのモンスターが入れ替わっていく。

 

「ちっ! またそのカードか!」

「行けっ! アルティメット・ディストラクション!!」

 

《E・HERO バーストレディ》 ATK1200 VS《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》 ATK3000

 

 自慢のVWXYZは十代のフィールドに移り、その砲撃によって万丈目のフィールドに移ったバーストレディが破壊されライフが大きく削られる。

 

「ちぃっ!!」

 

 万丈目 LP4000→2200

 

「さらに! 互いのプレイヤーは、このターンのエンドフェイズまで入れ替えたモンスターのコントロールを得る。これでショック・ルーラーも追撃できないだろ?」

「メインフェイズ2に移行し、ショック・ルーラーの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、魔法カードの使用を禁止にする!」

 

 最後のオーバーレイユニットを使用し、また魔法カードを封じていく。

 実際、十代の手札はなく、仮にモンスターを出せたとしても逆転は難しい。罠はVWXYZの効果で対処していくとしても、即効性のある魔法は第一警戒対象だった。

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

「このエンドフェイズに、ミラーゲートの効果が切れ、VWXYZはお前のフィールドに戻る」

 

 再び万丈目のフィールドにVWXYZが戻った。VWXYZ、ショック・ルーラーという大型モンスターが二体並び、今度こそ十代を倒すとばかりに威圧していく。

 

 

 万丈目 手札0枚 LP2200

 フィールド ショック・ルーラー VWXYZ

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》

 

 VS

 

 十代 手札1枚 LP3600

 フィールド なし

 魔法・罠 リバース1枚

 

 

「俺のターン! カードをセットして、ターンエンドだ」

 

 

 十代 手札1枚 LP3600

 フィールド なし

 魔法・罠 リバース2枚

 

 VS

 

 万丈目 手札0枚 LP2200

 フィールド ショック・ルーラー、VWXYZ

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》

 

 

 流石の十代ももうスタミナ切れか――と、見ていた誰もが思った。

 実際、魔法カードという大きな封印をくらって十代はよく耐えている。それでも、三ターンはあまりに大きい。

 

 良く戦った。

 

 十分やった。

 

 周りから、そんな空気が流れる中、遊矢だけは変わらず真剣な目で十代を見つめている。十代の目は、死んでいない。まだ、勝負を諦めていない――

 

「俺のターン! 魔法カード、《強欲な壺》を発動! デッキからカードを二枚ドロー! さらにVWXYZの効果発動! 貴様の左のリバースカードを除外する!」

 

 万丈目も早くとどめを刺してやるとばかりに、追加でカードを引いて即座にVWXYZの効果を発動させる。

 

「なら、俺は選択されたカードをそのまま発動するぜ! 速攻魔法、《クリボーを呼ぶ笛》! デッキから《ハネクリボー》を守備表示で特殊召喚する!」

 

 《ハネクリボー》

 効果モンスター

 ☆1 光属性 天使族

 ATK300 DEF200 守備表示

 

 前のターンのミラーゲートと言い、まるで前回のデュエルの焼き直しと言わんばかりのカードだった。

 笛の音と共に《ハネクリボー》が現れ、十代を守るように前に出ていく。

 

「ちっ、またその雑魚モンスターか!」

 

 透かされた――と、万丈目は苛立ちを見せる。

 裏側表示のままなら除外できるが、チェーンして効果を発動されると、そのカードを除外しても効果までは無効に出来ない。初心者に良くある、発動した魔法・罠カードを《サイクロン》で破壊しても、効果は無効にならないのと一緒だ。

 また、十代はショック・ルーラーの効果が自分のエンドフェイズで終わることをしっかり理解していた。だからこそ、こちらのターンで発動させるために速攻魔法を伏せていたのだ。

 

「ならば、《サイクロン》を発動! 最後のセットカードを破壊する!」

 

 それならと、最後のリバースカードも破壊していく。これでもう十代にはこちらの攻撃は防げなくなった。

 

「くっ、《ヒーロー見参》が!?」

 

 セットしていたのは《ヒーロー見参》。相手の攻撃宣言時に、自分の手札一枚をランダムに選び、それがモンスターだった場合、自分フィールドに特殊召喚できるカードだった。

 十代の手札は一枚であり、リバースカードとしてセットしなかったことから考えても、確定でモンスターと言っていい。

 十代の狙いは、VWXYZの攻撃に合わせてモンスターを追加召喚することで、このターンに受けるダメージを減らすことにあったが、それも透かされてしまった。

 

「これでもう何も出来まい! そして、まだVWXYZには第二の効果がある! バトルだ! VWXYZでその雑魚モンスターに攻撃! アルティメット・ディストラクション!!」

 

 VWXYZの全ての砲門が《ハネクリボー》へと向けられ、効果で攻撃表示に変更させられていく。

 

 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》 ATK3000 VS《ハネクリボー》 ATK300

 

「ハネクリボー! ッ!!」

 

 当然、真正面からぶつかって勝てるはずもなく、《ハネクリボー》が砲撃に飲まれて爆散させられていった。

 

 十代 LP3600→900

 

 また、デュエルモンスターズの精霊が見える十代だけが、アルティメット・ディストラクションに飲まれ、破壊された《ハネクリボー》の『くりくり~!』という悲しい悲鳴を耳にしていた。

 だが、おかげでこれ以降の戦闘ダメージは0となる。十分な仕事をしたと、心の中で十代は《ハネクリボー》に感謝した。

 

「俺はリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 万丈目 手札0枚 LP2200

 フィールド ショック・ルーラー VWXYZ

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》、リバース1枚

 

 VS

 

 十代 手札1枚 LP900

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

 オーバーレイユニットが全てなくなったことで、遂にショック・ルーラーの効果も終わる。

 途中、VWXYZによる除外効果や、高攻撃力の嵐に晒されながらも、何とか十代はここまで耐え抜いた。

 

「……万丈目、凌ぎきったぜ」

「フン、凌いだからどうした。手札一枚で何ができる! 次のターンでVWXYZの攻撃を受けて貴様は終わりだ!」

「かも、しれないな」

 

 けど、それでも何とかショック・ルーラーだけは破壊してみせる。そう、十代は心に決めていた。

 ショック・ルーラーを破壊すれば万丈目は正気に戻るはずだ。仮にそれで負けるとしても、万丈目だけは取り戻して見せる――そう、十代は覚悟を決めていた。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 しかし、それでも負けたい訳ではない。

 デッキからカードをドローする。まるで、これまでの十代の苦境を労わるように、カードは十代の覚悟に応えた。

 

「魔法カード、《強欲な壺》! デッキからカードを二枚ドローする!」

 

 引いたカードは負けるな――と言っていた。まだ十代に戦えと訴えている。

 

「さらに《天使の施し》! カードを三枚ドローし、二枚捨てる!」

 

 続く手札入れ替えにより、手札の最強モンスターを墓地へ送っていく。本来であれば、相手の攻撃宣言と共に、《ヒーロー見参》で呼び出そうとしていたモンスターだ。

 

「魔法カード、《死者蘇生》発動! 自分か相手の墓地からモンスター一体を特殊召喚する! 来い、《E・HERO エッジマン》!!」

 

 《E・HERO エッジマン》

 効果モンスター

 ☆7 地属性 戦士族

 ATK2600 DEF1800 攻撃表示

 

 腕に刃を付けた全身金色のヒーローが十代のフィールドに新たに現れる。これが、十代のデッキで最強の攻撃力を持つモンスターだった。

 

「《E・HEROエッジマン》だと!?」

「バトルだ! これで正気に戻れ、万丈目! エッジマンでショック・ルーラーを攻撃! パワー・エッジ・アターック!!」

 

 《E・HEROエッジマン》 ATK2600 VS《№16色の支配者ショック・ルーラー》 ATK2300

 

 エッジマンが腕の刃を構えて、真っすぐショック・ルーラーに向かって走っていく。同時に爆発が起こり、万丈目のライフを削った。

 

 万丈目 LP2200→1900

 

 だが――

 

「バカな! 何でショック・ルーラーが破壊されてないんだ!?」

 

 煙が晴れた後、万丈目のフィールドにはショック・ルーラーが健在していた。

 

「無知な貴様に教えてやる。ナンバーズは、ナンバーズでなければ戦闘破壊できない」

「そんな!?」

「で、それで終わりか?」

 

 万丈目を正気に戻そうにも、戦闘破壊できないのであればもうこのターンで十代に出来ることはない。

 

「くっ、リバースカードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 十代 手札0枚 LP900

 フィールド エッジマン

 魔法・罠 リバース2枚

 

 VS

 

 万丈目 手札0枚 LP1900

 フィールド ショック・ルーラー、VWXYZ

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》、リバース1枚

 

 

「俺のターン、ドロー! だから言ったのだ! 凌いだからどうしたと!」

 

 万丈目がデッキからカードをドローする。続けて、流れるように効果のボタンを押していく。

 

「VWXYZの効果発動! エッジマンを除外する!」

「この瞬間、罠カード、《エッジ・ハンマー》を発動! 自分フィールドのエッジマンをリリースし、相手モンスター一体を破壊する! 俺はショック・ルーラーを選択、そしてショック・ルーラーの攻撃力分のダメージをお前に与える!」

 

 これが最後の足掻きだった。十代の《エッジ・ハンマー》によって、エッジマンが自爆特攻するかのようにショック・ルーラーに突っ込んでいく。

 戦闘では破壊できないナンバーズもカードの効果なら破壊できる。だからこそ、万丈目はあれほど魔法カードの発動を警戒していた。この一撃に全てを賭ける――十代が祈るようにそう念じる。

 

「させるか! 速攻魔法、《防御輪》を発動! 罠カードによる効果ダメージを0にする!」

「なにっ!?」

「さらに永続罠カード、《リビングデッドの呼び声》発動! 墓地のショック・ルーラーを特殊召喚する!」

 

 《№16色の支配者ショック・ルーラー》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 天使族

 ATK2300 DEF1600 攻撃表示

 

 破壊は出来た――だが、それでは万丈目は正気に戻らなかった。

 永続罠、《リビングデッドの呼び声》によって、再びショック・ルーラーがフィールドに舞い戻っていく。墓地からの特殊召喚なので、オーバーレイユニットはないままだが、今の十代に攻撃力2300のモンスターはどうにもできなかった。

 

「いろいろ頑張ったが全て無駄に終わったな! バトル! VWXYZで十代にダイレクトアタック! アルティメット・ディストラクション!!」

 

 デュエルを終わらせる一撃が、壁モンスターのいない十代へと迫っていく。

 

 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》 ATK3000 VS十代 LP900

 

「カウンター罠、《攻撃の無力化》! 相手モンスター一体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

 

 VWXYZから発射される攻撃を吸収し、そのままバトルフェイズを終了させる。

 これで、ショック・ルーラーの追撃も回避し、何とかこのターンの敗北は凌ぐことが出来た。

 

「ちっ、まだ足掻くか!」

「例えコンマ数%でも、俺は勝つ可能性を諦めない!」

 

 こうなれば、ショック・ルーラーを破壊しつつ、万丈目のライフをゼロにするしか手はない。

 万丈目が正気に戻れば負けてもいいと思ったが、正気に戻らないのであれば負けてやる理由もなかった。開き直ったかのように、諦めないと叫ぶ十代。

 

「……諦めないだと? 無駄なことを。俺はこれでターンエンドだ」

 

 

 万丈目 手札0枚 LP1900

 フィールド ショック・ルーラー VWXYZ

 魔法・罠 《ユニオン格納庫》、《X・Y・Zコンバイン》、《前線基地》、《リビングデッドの呼び声》

 

 VS

 

 十代 手札0枚 LP900

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

「俺のターン、ドロー!」

「諦めないと言ったな! ならば、その一枚の手札だけで何が出来るか見せて見ろ!!」

「ああ、見せてやるぜ! 俺は手札から、《E・HERO バブルマン》を守備表示で特殊召喚する!」

 

 《E・HERO バブルマン》

 効果モンスター

 ☆4 水属性 戦士族

 ATK800 DEF1200 守備表示

 

 水を表す青色のニューヒーローが登場する。しかし、いくらニューヒーローとはいえ、攻撃力800では万丈目は倒せない。

 だが、このカードにはまだ隠された可能性があった。

 

「バブルマンの効果! 手札がこのカードだけの時、特殊召喚が出来る! そして、召喚・特殊召喚に成功した時、フィールドと手札に他のカードがない場合、デッキからカードを二枚ドローする!」

「なにっ!?」

「俺のフィールドはバブルマンのみ! よって、二枚ドロー!!」

 

 このドローに賭ける――そうして引いたカードの一枚は、《E・HERO ワイルドマン》、そしてもう一枚は今日新しく買ったパックに入っていたカードだった。

 面白い効果だったので試しに入れてみたが、この状況で発動できるカードではない。ここまでか――と、十代の心に一瞬諦めの気持ちがよぎる。

 

 ――その瞬間。

 

「な、なんだ!?」

 

 十代のEXデッキが、まるで――諦めるな、とでも言うように光輝いた。

 ふと、EXデッキに目を向ける十代。輝く光に導かれるかのように、脳内に一瞬の閃きと、新たな戦士の姿が思い浮かんだ。

 これが何なのか十代自身にもわからない。しかし、この閃きを信じろと、デュエリストの本能が十代に訴えかけていた。

 

「――俺は、《E・HERO ワイルドマン》を攻撃表示で召喚!」

 

 《E・HERO ワイルドマン》

 効果モンスター

 ☆4 地属性 戦士族

 ATK1500 DEF1600 攻撃表示

 

 野生を体現した石の剣を持った新たなヒーロー。罠カードの効果を受けないという強力な効果を持っていた。

 だが、このモンスターでも万丈目は倒せない。

 しかし、十代は迷わなかった。直感を信じてカードをプレイしていく。十代はわからないだろうが、それはかつてのバトルシティで千年ロッドが海馬に掲示を与えたかのような感覚だった。十代はその感覚を迷わず信じ、自身のやるべきことを行っていく。

 

「雑魚モンスターを並べた所で無駄だ! VWXYZの効果で全て消し去ってくれる!」

「……それはどうかな?」

「なにっ!?」

「――俺は、レベル4のバブルマンとワイルドマンで、オーバーレイ!!」

「なっ、オーバーレイだと!?」

「十代のアニキが!?」

「エクシーズ!?」

 

 バブルマンとワイルドマンがオーバーレイユニットへと変質し、真っ黒な光と共に新たなモンスターを構築していく。

 だが、遊矢の記憶が正しければ、十代の買ったエクシーズのパックにはランク4所かエクシーズモンスターすら入っていなかったはず――一体、何をするつもりなんだと、どうなるか全くわからない十代のデュエルを見つめる遊矢。

 

「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 新たな英雄よ、逆境を跳ね返す力をその手に、平和への礎となれ! エクシーズ召喚!!」

 

 十代がEXデッキから引き出したのは間違いなくエクシーズモンスターだった。

 それも、ショック・ルーラーと同じく、遊矢が見たこともないカードであり、今回のパックに入っていないカード。間違いなく十代が持っているはずのないカードだった。

 

「――現れろ、《№39希望皇ホープ》!!」

 

 《№39希望皇ホープ》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 肩に39という数字を刻んだ二刀の光の戦士が降臨する。

 ここで初めて万丈目が動揺を見せた。まるで有り得ないものを見るかのようにホープを見ている。

 

「バカな、何故、貴様がナンバーズを持っている!? そんなはずは――」

「バトルフェイズ、希望皇ホープでショック・ルーラーに攻撃!」

「くっ、ホープの攻撃力は2500、ショック・ルーラーを上回っている!」

「そして、ナンバーズはナンバーズで戦闘破壊できる!」

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500 VS《№16色の支配者ショック・ルーラー》 ATK2300

 

「だが、ここでショック・ルーラーを破壊できたとしても次のターンで――」

「次のターンはない! この瞬間、希望皇ホープの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、自身の攻撃を無効にする! ムーンバリア!!」

「なにっ、自分の攻撃を無効にするだと!?」

「この瞬間、速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》! モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター一体を対象にして発動! このバトルフェイズにそのモンスターはもう一度攻撃が出来る!」

「無効にした攻撃をもう一度するだと!? 何を狙っている!?」

「この効果でモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力は二倍になる!!」

「なんだと!?」

 

 本来は良く使われる《ドレインシールド》や《魔法の筒》などの対策で入れたカードだった。

 しかし、このカードの効果は、まるでホープとセットで使ってくれと言わんばかりの性能をしている。

 

「これで、ショック・ルーラーとの攻撃力の差は2700! お前の残りライフでは受けきれない!」

「くっ!!」

「行けっ、希望皇ホープ! 色の支配者ショック・ルーラーに攻撃! ホープ剣・スラッシュ!!」

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500→5000 VS《№16色の支配者ショック・ルーラー》 ATK2300

 

 ホープが腰の二本の剣を引き抜き、ショック・ルーラーを真っ二つにしていく。

 

「ぐっ、っ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 万丈目 LP1900→0

 

 ナンバーズはナンバーズでしか破壊できない。だが、ホープもまたナンバーズだった。

 戦闘破壊され、攻撃力の差だけ万丈目のライフが削られていく。その数値が0になった瞬間、まるで憑き物が取れたかのように万丈目の体から負の力が抜けていった。

 同時に、万丈目が前のめりに倒れる。

 倒れた万丈目に駆け寄るが、意識を失っているようでピクリとも動かなかった。そんな中、遊矢は万丈目のデュエルディスクから《№16色の支配者ショック・ルーラー》のカードを抜き出す。

 本来であれば、本人に確認を取るべきだが、意識を失っている以上、カードの回収を優先した。これからKCとI2社に連絡を取り、このカードを調べて貰うつもりだ。

 

「……カードの効果が変わっている?」

 

 テキストを読んでいると、デュエル中に万丈目が言っていた、ナンバーズはナンバーズでなければ戦闘破壊できないという効果がなくなっている。

 念のために、十代にも頼んでホープのカードを見せて貰うと、こちらにもナンバーズはナンバーズでなければ戦闘破壊できないというテキストが書かれていなかった。

 

 何がなんだかサッパリわからない。

 

「十代、悪いんだけどさ、このカードしばらく預からせてくれないか? 海馬社長やペガサス会長に連絡して調べて貰いたいんだ」

「えー……ちゃんと返してくれるんだろうな?」

「すぐにとは行かないけど、必ず返すよ。このカードは十代のなんだし、こっちのカードも何であれ万丈目のカードだしな」

 

 あくまで異変を調べたいだけ。

 そう言われてしまえば、十代も拒否は出来ず、遊矢にカードを渡した。二枚のナンバーズを手に遊矢が上司達に連絡を取っていく。

 

 後にナンバーズ事変と呼ばれる事件の始まりは、こうして静かに幕を開けた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・万丈目がナンバーズに操られた。
 おかげで、VWXYZとショックルーラーが並ぶ地獄絵図と化した。
 ちなみに、アストラルの記憶などではないのでゼアルは関係ない。遊馬やアストラルが出てきたりはしない。

・十代が何故かホープを持っていた。
 いつの間にかEXデッキに入っていた不思議! でも、カードが新しくデッキに入るなんてそんなに珍しいことじゃないよ(ARC‐V感)!
 ちなみに、この小説書き始めたのも、十代にホープ使わせるためと言っても過言ではない。使わせておいてなんだけど、違和感が無さ過ぎて思わず笑った。

・ナンバーズがナンバーズでしか倒せない効果を持っている。
 相手のみ。十代のホープにはついていない。また、一度倒したら消去される。演出みたいなもの。
 一応、小説情報に一部アニメ効果ありとは書いてあります。流石にネタバレになるから、ナンバーズ共通効果のアニメ効果使いますとは書かなかったけど。



 デュエル変更点。

・VWXYZの効果で表示形式を変更した後、ミラーゲートを発動出来なかったので内容を変更しました。
 開幕のターンの行動を、モンスターセットから、バーストレディを攻撃表示で召喚に変更しました。

・エッジマンが手札にいないと前話で引いた融合が無意味になりかねないので内容変更しました。
 開幕の全伏せを三枚伏せに変更しました。

・ショックルーラーの攻撃力が間違っていたので修正しました。

・ヒーロー見参についてのプレイングで作者の勘違いがあったので修正しました。


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