榊遊矢のGX次元漂流記   作:おこむね

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#013 『ドロー力は、デュエリストの基礎だ』

「私のターン、ドロー!」

 

 様子見をした十代と違って、亮と遊矢は手札を全て使いきってまで全力をぶつけてきた。

 しかし、フィールド的状況は自分達が圧倒的に不利――明日香はどう立ち回るのが正解か、自分の手札をじっくり確認していく。

 

「明日香、手間をかける」

「まさか、私が亮の尻拭いをする日が来るなんてね……」

 

 思わず笑みが浮かぶが、笑っている場合ではなかった。

 改めて状況を確認していく。まず、自分達のフィールドには亮の《サイバー・バリア・ドラゴン》が守備表示でいる。守備力は2800あり、向こうのモンスターでこれが倒せるのは攻撃力が上昇した《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のみ。

 本来であれば、《サイバー・バリア・ドラゴン》は攻撃表示の時に相手の攻撃を一度無効に出来る効果があるが、攻撃力2500を超えるモンスターが4体並んでいる状況で、一度しか攻撃を無効にできない《サイバー・バリア・ドラゴン》を攻撃表示にするのは自殺行為だろう。

 それに、明日香は《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》の効果を忘れていなかった。

 レベル5以上のモンスターが効果を発動した瞬間、その効果を無効にして破壊、その後破壊したモンスターの攻撃力を自身に加えるという強力な効果だ。

 これがある以上、下手に強いモンスターの効果を使おうものなら、こちらのターンでもモンスターを破壊されかねない。

 明日香の知る限り、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》は、もう効果を使えないはずなので、その攻撃力にだけ注意しておけばいいだろう。

 問題は《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》と《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》だ。

 明日香はこの二体の効果を知らない。スターヴ・ヴェノムは先程効果を使ったが、あれだけで終わるようなモンスターにはとても見えないし、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》もまた何かしらの秘密を隠しているように見えた。

 

 ――いろいろと思考するが、とりあえず相手のモンスターを倒していかないことには勝負にならない。

 

 遊矢のモンスターやリバースカードも気になるが、この状況で防御に回っても押し切られるだけなのは目に見えている。

 ならば、せめて互角くらいの状況には持って行かないと、とてもではないがタッグデュエルの練習とは言えないだろう。

 とはいえ、この状況から五分に持って行くのはかなり厳しい。今の明日香の手札では、何とか亮のターンに繋ぐのが精一杯だった。

 

「私は、魔法カード、《融合》を発動! 手札の《エトワール・サイバー》と《ブレード・スケーター》を融合して、《サイバー・ブレイダー》を融合召喚するわ!」

 

 《サイバー・ブレイダー》

 効果モンスター 融合

 ☆7 地属性 戦士族

 ATK2100 DEF800 攻撃表示

 

 十代とのデュエルでも出てきた融合モンスターだけあって記憶に新しかった。

 フィールドの状況に応じて効果を変える珍しい効果を持っているモンスターだ。

 

「《サイバー・ブレイダー》の効果は覚えているかしら?」

「確か、こっちのモンスターが一体の時、戦闘で破壊されない効果と、二体の時、攻撃力が倍になる効果だったっけ」

「正解、流石は遊矢ね。付け加えると、相手モンスターが三体の時、相手のカードの発動を無効にするというものもあるわ」

「けど、こっちのモンスターは四体だ。三体以上いれば、《サイバー・ブレイダー》の効果は発動しないぜ?」

「そうね、けど一体削れば話は別でしょう?」

 

 十代の余裕そうなセリフに強気な言葉を返す明日香。

 

「私は、装備カード《巨大化》を《サイバー・ブレイダー》に装備! 私達のライフがあなた達より低いことで、《サイバー・ブレイダー》の攻撃力は元々の攻撃力の二倍になる!」

 

 ライフ差は50しかないが、確かに明日香達の方が低かった。《巨大化》が装備されたことで、《サイバー・ブレイダー》の体が二倍くらい大きくなっていく。それに比例して、攻撃力も上昇していた。

 

 《サイバー・ブレイダー》 ATK2100→4200

 

「バトルよ、《サイバー・ブレイダー》で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に攻撃! グリッザード・スラッシュ!!」

 

 《サイバー・ブレイダー》 ATK4200 VS《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》 ATK3550

 

 大きくなった《サイバー・ブレイダー》だが、その動きは華麗さを残したままだった。

 滑るようにフィールドを回って、上手くダーク・リベリオンとの距離を詰めていく。

 

「罠カード、《分断の壁》! 相手モンスターの攻撃宣言時に発動! 相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの攻撃力は、相手フィールドのモンスターの数×800ポイントダウンする!」

 

 今、明日香のフィールドには《サイバー・ブレイダー》と《サイバー・バリア・ドラゴン》の二体がいる。よって、1600ポイント攻撃力がダウンだった。

 

 《サイバー・ブレイダー》 ATK4200→2600

 

 攻撃力が逆転したことで、ダーク・リベリオンが反撃の準備を始める。しかし、明日香もされるがままではいなかった。

 

「速攻魔法、《収縮》! フィールド上の表側攻撃表示モンスター一体の元々の攻撃力をエンドフェイズまで半分にする! 私は、ダーク・リベリオンを対象に発動!」

 

 ダーク・リベリオンの体がどんどん縮んでいく。

 前のターン、トリーズン・ディスチャージを決めたダーク・リベリオンは、効果により1050攻撃力が上がっている。元々の攻撃力が2500なので半分にすると1250、合わせても《サイバー・ブレイダー》の攻撃力に及ばなかった。

 

 《サイバー・ブレイダー》 ATK2600 VS《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》 ATK2300

 

 巨大化した《サイバー・ブレイダー》に蹴られ、小さくなったダーク・リベリオンが吹き飛ばされ破壊されていく。

 本来であれば、《収縮》はリバースカードとして温存しておき、向こうのモンスターの反撃として使用するつもりだった明日香だが、流石に遊矢相手にそこまでは許してくれないかと苦笑いを浮かべる。

 

「ダーク・リベリオン……っ!!」

 

 遊矢 LP3800→3500

 

 しかし、これでライフポイントが明日香達の方が多くなったため、《巨大化》の効果で《サイバー・ブレイダー》の攻撃力が元々の攻撃力の半分になった。

 同時に体のサイズも元に戻り、元のサイズから半分くらいの大きさになっていく。

 

 《サイバー・ブレイダー》 ATK1600→1050

 

 そんな《サイバー・ブレイダー》の攻撃力変動を見て、十代が「ん?」と不思議そうな声を上げた。攻撃力が半分になるのであれば、800にならないとおかしいと考えているのだろう。

 十代の疑問がわかった遊矢が「《巨大化》は元々の攻撃力を倍、もしくは半分にする効果だ。だから効果が上書きされて、《サイバー・ブレイダー》の元々の攻撃力2100の半分になったんだよ」と補足する。

 詳しく説明すると、明日香が《巨大化》を使い《サイバー・ブレイダー》の攻撃力を倍にした上から、遊矢は《分断の壁》で攻撃力を1600下げたが、その下げた数値はあくまでも現在の攻撃力であって、元々の攻撃力ではない。

 攻撃後にライフ変動が起きたことで、《巨大化》の効果が再発動し、それまでの攻撃力の変動を上書きする形で、元々の攻撃力を半分にするという効果が発動したのだ。

 しかし、少し難しい変動なので、万年赤点組であるオシリスレッド生には難しいのか、十代を始め、翔や隼人も良くわからなそうな顔をしている。

 

「とりあえず、《サイバー・ブレイダー》の攻撃力が1050なのは正しい数値ってこと!」

「お、おう! よくわからないけど、わかったぜ」

 

 そんなやり取りを苦笑いで見ながら、明日香は最後に残った手札を使う。

 

「魔法カード、《強欲な壺》。デッキからカードを二枚ドローするわ。リバースカードを二枚伏せて、ターンエンドよ」

 

 

 明日香 手札0枚 LP3750

 フィールド上 サイバー・バリア、《サイバー・ブレイダー》

 魔法・罠 《巨大化》、リバース2枚

 

 VS

 

 遊矢 手札0枚 LP3500

 フィールド オッドアイズ、クリアウィング、スターヴ・ヴェノム

 魔法・罠 なし

 ペンデュラム なし

 

 

「俺のターンだ! カードをドローするぜ!」

「十代、わかっているとは思うけど、今あなたのフィールドのモンスターは三体。よって、《サイバー・ブレイダー》の効果で、発動したカードの効果は全て無効化するわよ」

「へへっ、ならモンスターを召喚して増やせばいいんだろ? 俺はバーストレディを攻撃表示で召喚!」

 

 《E・HERO バーストレディ》

 通常モンスター

 ☆4 炎属性 戦士族

 ATK1200 DEF800 攻撃表示

 

 炎を纏った女性ヒーローがフィールドに現れる。他が全部ドラゴンだけに、バーストレディだけ少し浮いて見えた。

 

「これでモンスターが四体だ。カードの効果が使えるぜ! 魔法カード、《融合》! 場のバーストレディと、手札のフェザーマンを融合し、《E・HERO フレイム・ウイングマン》を融合召喚!!」

 

 フィールドからバーストレディが、手札からフェザーマンが飛び出して一つになっていく。

 

 《E・HEROフレイム・ウイングマン》

 効果モンスター 融合

 ☆6 風属性 戦士族

 ATK2100 DEF1200 攻撃表示

 

 十代のフェイバリットモンスターがバーストレディの代わりに、新たにフィールドに降り立った。

 また、モンスターの数は四体から変化はしていないので、《サイバー・ブレイダー》の効果をスルーしてカードを使うことが出来る。

 

「遊矢のドラゴン、使わせてもらうぜ?」

「ああ、やれ。十代!」

「俺は、魔法カード、《H-ヒートハート》を発動! 自分フィールドのモンスターの攻撃力を500アップする! 俺はオッドアイズの攻撃力をアップして貫通効果を与えるぜ!」

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》 ATK2500→3000

 

「さらにスターヴ・ヴェノムの効果発動! 一ターンに一度、相手フィールドのレベル5以上のモンスターの元々の名前と効果をエンドフェイズまで得る! 俺は《サイバー・ブレイダー》を対象に発動!」

 

 これにより、《サイバー・ブレイダー》の永続効果である、相手フィールドのモンスターの数によって効果を得られる効果を、スターヴ・ヴェノムは得ることとなった。

 

「お前のフィールドのモンスターの数は二体、よってスターヴ・ヴェノムの攻撃力は倍になる!」

 

 《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800→5600

 

「攻撃力5600……!」

 

 まさか、相手のモンスター効果をコピーするとは思わず、明日香も自分のモンスター効果を逆利用されて動揺を見せた。

 

「いくぜ! スターヴ・ヴェノムで《サイバー・ブレイダー》に攻撃だ! いってくれ、スターヴ・ヴェノム!」

 

 《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK5600 VS《サイバー・ブレイダー》 ATK1050

 

 残りライフが3750しかない以上、この攻撃を通してしまうと、明日香と亮の負けとなる。

 

「永続罠、《スピリットバリア》発動! 自分フィールドにモンスターが存在する限り、自分へのダメージをゼロにする!」

 

 この罠によって、十代は明日香のフィールドのモンスターを全て倒さなければダメージを与えることが出来なくなった。

 

「……相手のモンスターの数が変化したことで、スターヴ・ヴェノムの攻撃力が元に戻る」

 

 《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK5600→2800

 

 とはいえ、既に攻撃が終わっている以上、スターヴ・ヴェノムの攻撃力変化はあくまでもおまけだ。

 戦闘ダメージを通すためにも、倒さなければいけないモンスターは、まだフィールドに残っている。

 

「続いて、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》で《サイバー・バリア・ドラゴン》を攻撃! 螺旋のストライク・バースト!!」

 

 最後のモンスターを倒してやると、十代がオッドアイズで攻撃を仕掛けていく。

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》 ATK3000 VS《サイバー・バリア・ドラゴン》 DEF2800

 

 ヒートハートで攻撃力が上がっているオッドアイズの赤い螺旋に耐え切れず、《サイバー・バリア・ドラゴン》が爆散していった。

 これで、明日香のフィールドにモンスターがいなくなり、永続罠、《スピリットバリア》の効果も無意味となる。

 

「よし! これで、ダメージが通るぜ! クリアウィングで明日香にダイレクトアタック! 旋風のヘルダイブスラッシャー!!」

 

 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》 ATK2500 VS明日香 LP3750

 

「永続罠、《リビングデッドの呼び声》を発動! 墓地の《サイバー・ブレイダー》を攻撃表示で特殊召喚するわ!」

 

 しかし、ここで明日香は再び《サイバー・ブレイダー》を復活させていく。

 

 《サイバー・ブレイダー》

 効果モンスター 融合

 ☆7 地属性 戦士族

 ATK2100 DEF800 攻撃表示

 

 おそらく、墓地にいるモンスターで一番攻撃力の高いモンスターを呼び出したのだろう。

 だが、それでも、モンスターがフィールドに特殊召喚されたことで、クリアウィングの攻撃を受けきることが出来るようになった。

 

「なら、《サイバー・ブレイダー》に攻撃だ! いけっ、クリアウィング! 旋風のヘルダイブスラッシャー!!」

 

 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》 ATK2500 VS《サイバー・ブレイダー》 ATK2100

 

 クリアウィングの突撃が、復活した《サイバー・ブレイダー》を消し去っていく。

 

「けど、《スピリットバリア》の効果でダメージはゼロよ!」

「まだ俺にはフレイム・ウイングマンがいる! いけっ、明日香にダイレクトアタックだ! フレイム・シュート!!」

 

 《E・HERO フレイム・ウイングマン》 ATK2100 VS明日香 LP3750

 

 自らに迫る炎を、明日香も歯を食いしばって耐えた。これが十代の最後の一撃な以上、もうライフがゼロになることはない。

 

「――ッ!!」

 

 明日香 LP3750→1650

 

 耐えきったと、拳を握りしめる。

 スターヴ・ヴェノム、クリアウィング、オッドアイズ、フレイム・ウイングマンという、強力モンスター達の総攻撃を、明日香は何とか凌いだのだ。

 まさに脱帽と言わざるを得ない。十代もこれ以上は何もすることが出来なかった。

 

「くっ、俺はリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ。悪い、遊矢……決め切れなかった」

「仕方ないさ。相手が一歩上だった」

 

 まさに驚異的と言っていい粘りだった。また、十代のターンが終わったことで、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果も終わり、元に戻る。

 遊矢も正直、この猛攻を凌がれるとは思っておらず、これには素直に脱帽しかなかった。

 

 

 十代 手札0枚 LP3500

 フィールド オッドアイズ、クリアウィング、スターヴ・ヴェノム、フレイム・ウイングマン

 魔法・罠 リバース1枚

 ペンデュラム なし

 

 VS

 

 明日香 手札0枚 LP1650

 フィールド なし

 魔法・罠 《スピリットバリア》

 

 

 ギリギリだったが、何とか明日香は十代の猛攻を凌ぎきり、亮までターンを回した。

 あの厳しい状況から自分にまで回してくれた明日香に感謝しながら、亮はカードを引いていく。

 

「俺のターン、ドロー! 《強欲な壺》を発動! デッキから、カードを二枚ドロー!」

 

 当然のように《強欲な壺》を引いてくる。そのドロー力こそ、まさしくカイザーと呼ばれる男に相応しい底力だった。

 遊矢の直感が、この男にターンを渡すべきではなかったと告げる。

 それを証明するかのように、亮もまた、このターンで全てにケリをつけるつもりでカードをドローしていた。

 

「速攻魔法、《サイバネティック・フュージョン・サポート》! ライフを半分払って発動。このターン、機械族によって決められた融合モンスターを融合召喚する場合、一度だけその融合素材モンスターを手札・フィールド・墓地から除外することで融合素材に出来る!」

 

 亮 LP1650→825

 

「さらに魔法カード、《パワー・ボンド》発動! このカードの効果で、機械族の融合召喚を行う! 《サイバネティック・フュージョン・サポート》の効果で、墓地の《サイバー・ドラゴン》三体を除外し、融合召喚! 現れよ、《サイバー・エンド・ドラゴン》!!」

 

 《サイバー・エンド・ドラゴン》

 効果モンスター 融合

 ☆10 光属性 機械族

 ATK4000 DEF2800 攻撃表示

 

 まるで海馬の《真青眼の究極龍》のように、三つの首を持った銀色の機械の龍が咆哮を上げる。

 おそらく、これがカイザー亮の切り札。三体の《サイバー・ドラゴン》を融合した最強のモンスターだった。

 

「《パワー・ボンド》の効果! このカードの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、元々の攻撃力分アップする!」

 

 《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK4000→8000

 

「こ、攻撃力8000……!」

「これが亮の本気……!」

「十代!」

「バトルだ! 《サイバー・エンド・ドラゴン》で《E・HERO フレイム・ウイングマン》を攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

 《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK8000 VS《E・HERO フレイム・ウイングマン》 ATK2100

 

 三つの首から放たれるビームが、全てフレイム・ウイングマンへ向かって放たれていく。当然ながら、この攻撃が通れば十代のライフはゼロになる。

 思わず十代の方へ顔を向ける遊矢。

 対する十代は、不敵な笑みを浮かべたままデュエルディスクに指を添えていた。

 

「信じてたぜ! 一番攻撃力が低いモンスターを狙ってくれることを! 罠カード、《決戦融合-ファイナル・フュージョン》!」

「なにっ、そのカードは!」

「自分フィールドの融合モンスターが、相手フィールドの融合モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その融合モンスター二体を対象にして発動! その攻撃を無効にし、お互いのプレイヤーはその融合モンスター二体の攻撃力の合計分のダメージを受ける!」

「つまり……!」

「互いに10100のダメージを受けるってこと!?」

 

 驚きの声を上げる遊矢と明日香。

 今、十代達のフィールドにモンスターは四体、融合モンスターは二体居る。確率で言えば、二分の一で引き分け、二分の一で敗北だった。

 しかし、優れたデュエリストほど、理詰めで動く。十代は亮が一番攻撃力の低いモンスターであるフレイム・ウイングマンに攻撃してくることに賭け、勝ったことでリバースカードが発動した。

 サイバー・エンドとフレイム・ウイングマンのバトルが強制中断され、大爆発が起きる――同時に、亮と十代、二人のライフに10100ポイントのダメージが与えられていく。

 

「うぉっ!」

「くっ!」

 

 十代 LP3500→0

 亮 LP825→0

 

 お互いのライフが同時にゼロになると、デュエルが終了し、ソリッドビジョンが解除される。

 戦っていた者もそうだが、応援していた方も、終わったことをまだ認識できていないくらいの戦いだった。

 

「ひ、引き分け……!?」

「でも、凄いデュエルだったんだな!」

 

 デュエルモンスターズで引き分けという結果はなかなかない。今回の結果は珍しい事例と言っていいだろう。

 観戦者である翔と隼人が凄いものを見たとばかりに興奮した声を出す。

 実際に戦っていた亮は、十代の実力を計り損ねていたことに苦笑いを浮かべた。

 

「負けるくらいなら引き分けか、負けず嫌いめ」

「そっちこそ、ピンポイントで《パワー・ボンド》を引いてくるなんてズルだろ」

「ドロー力は、デュエリストの基礎だ」

「なら、今度は一対一でやろうぜ! 俺の真の実力を見せてやる!」

「望むところだ」

 

 互いの健闘を称え合っているかと思えば、いつの間にか一触即発の空気になっている。

 放置すると、決着が着くまでデュエルをしそうなので、ここらで一度遊矢が二人を止めに入った。

 

「今はデュエルよりも、制裁デュエルへの備えだろ? 今のデュエルで何か問題がなかったかとかそういうのを議論した方が――」

「別に問題ないだろ?」

「ああ、俺もそう思う。互いにそのターンで出来ることを限界までやった。後からこうすればああすればというのは結果論に過ぎない」

 

 何でこういう時は息が合うんだよ――と、思わずツッコミを入れそうになるのを必死に耐える。

 ちなみに、一歩後ろに居た明日香は何とも言えないような表情で苦笑いしていた。

 

「……わかった。けど、今回が偶然上手くできただけかもしれない。もっとタッグデュエルをやって、本番に備えよう」

「そうね。タッグデュエルの練習で亮を呼んだのに、普通のデュエルをするのでは呼んだ意味もないしね」

「……そうだな。十代、デュエルは後だ」

「ちえっ。まぁ、タッグデュエルも楽しいからいいけどさ」

 

 再び四人がデュエルディスクを構える。

 明日香も亮も、十代達や遊矢と違って授業があるので、ずっとデュエルしていられる訳ではない。それでも、使える時間を使って、こちらの相手をしてくれていた。

 

 

 




 原作との変化点。

・タッグデュエルをして、引き分けに終わった。
 もっと長引かせても良かったのだが、あまり長引かせても読みにくくなりそうだったので、サイバーエンド出して終わらせた。

・実は遊矢が勝っていた。
 実は作者も昨日言われるまで気付かなかったのですが、スターヴヴェノムの効果をクリアウィングで無効にして破壊すると、スターヴヴェノムの効果である、破壊された場合、相手の特殊召喚モンスターを全て破壊するという効果が発動し、亮のフィールドががら空き。四天のダイレクトでゲームエンドになっていました。


 デュエル内容変更点。

・十代のターンで、明日香が《融合解除》を使って《サイバー・ブレイダー》を融合解除したのですが、スターヴ・ヴェノムに使えよって話になったので内容変更しました。
 変更後は《スピリットバリア》でダメージを少なくしています。また内容変更に合わせて、ヒートハートの対象をオッドアイズに変更しました。


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