全てのプレイヤーが一ターン目を終えたが、状況は圧倒的に迷宮兄弟が有利だった。
観客席でデュエルを応援している三沢も、迷宮兄弟のプレイングを見て、「攻守において、全く隙がない」と絶賛している。
たまたま三沢の側に座っていた明日香も、スターヴ・ヴェノムの全体リセットを受けて尚、相手ターンで体勢を整える迷宮兄弟に驚きを隠せずにいた。
明らかに自分達との練習でしたタッグデュエルとは別物だと。
お互いのデッキが統一されていることで、サポートカードが共有できる上に、熟練者だからこそできる駆け引きに、双子だからこそできる巧みなコンビネーション――これに比べれば、明日香や亮のタッグはお遊びと言われても文句を言えなかった。
それは、観客席の立見席で、一人でデュエルを見ていた亮も感じている。シングルでは発揮できないタッグ故の強さが迷宮兄弟にはあった。それを超えない限り、遊矢と十代のコンビに勝ち目はない。
「私のターン!」
ターンが一周したことで、再び迷宮兄弟・迷のターンとなった。
しかし、いくら攻めきれなかったとはいえ、遊矢のスターヴ・ヴェノムによって、フィールドはかなり弱体化させられている。遊矢としては、このまま何とか十代のターンまで凌ぎたい所だ。
「私はフィールド魔法、《ラビリンス・ウォール・シャドウ》の効果を発動! デッキより、スーガを魔法・罠ゾーンに置く」
これで、除外されているモンスターも含み、迷のデッキからは各一体ずつ三魔神が出ていた。
「そして、フィールドのヒューガと魔法・罠ゾーンのスーガをゲームから除外し、EXデッキから《風水魔神ゲート・ガーディアン》を特殊召喚する!」
水魔神の上に風魔神が乗っかっていく。
《風水魔神ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆9 風属性 魔法使い族
ATK2450 DEF2300 攻撃表示
「兄者、私からの返礼だ」
「受け取ろう。私はリバース罠、《地雷蜘蛛の餌食》を発動!」
「なっ、そっちが!?」
兄の手札にあるから、弟がその罠を仕掛けていた可能性を見逃していた。
今、永続罠、《地雷蜘蛛の餌食》が伏せられているのは、オッドアイズの縦列であり、先程《螺旋のストライクバースト》でモンスターが消えた場所だ。
「《地雷蜘蛛の餌食》の効果! このカードは発動後、通常モンスターとなり、正面のモンスターゾーンに移動する」
《地雷蜘蛛の餌食》
通常モンスター 永続罠
☆5 地属性 昆虫族
ATK2100 DEF100 攻撃表示
「その後、このカードと同じ縦列の相手フィールドのモンスター一体を破壊できる! いけっ!」
地中から飛び出してきた両手に鎌を持つ真っ赤な蜘蛛が、オッドアイズに飛びかかっていく。
不意を突かれたことで、オッドアイズは体を切り裂かれて破壊されてしまった。
「オッドアイズ!」
「これでモンスターはすべて消えた! バトルだ! サンガでプレイヤーにダイレクトアタック! 雷衝弾!!」
サンガの雷が、壁モンスターのいなくなった遊矢へと襲い掛かっていく。
《雷魔神―サンガ》 ATK2600 VS遊矢 LP4500
「くっ、永続罠、《EMピンチヘルパー》発動! 一ターンに一度、相手モンスターの直接攻撃宣言時、その攻撃を無効にし、デッキから『EM』モンスター一体を特殊召喚する!」
「風水魔神の効果を発動! 相手がフィールドの魔法・罠カードの効果を発動した時、その効果を無効にできる!」
「なっ!? なら、罠カード、《迷い風》! 特殊召喚されたモンスター一体を対象に発動! そのモンスターの効果を無効にし、元々の攻撃力は半分になる! これで、風水魔神の効果を無効にし、攻撃力を半分にする!」
「ぐっ、風水魔神の効果は一ターンに二度まで使えるが、同一チェーン上では一度までしか使えん!」
《風水魔神ゲート・ガーディアン》 ATK2450→1250
不思議な風が、風水魔神の効果を跳ね返したことで、ピンチヘルパーの効果も有効となる。
サンガの雷を何とか凌ぎ、遊矢がデッキから新たな『EM』モンスターを特殊召喚していく。
「来い! 《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》! ただし、この効果で特殊召喚したモンスターのモンスター効果は無効化される!」
《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》
効果モンスター ペンデュラム
☆8 闇属性 魔法使い族
ATK2000 DEF2600 守備表示
効果こそ無効となったが、守備力2600というこうことで、相手のモンスターの攻撃力で超えられなくなった。
「ぐっ、バトルフェイズは終了する! まさか、あの不意打ちからの連続攻撃を凌がれるとは……!」
「兄者」
「わかっている。このまま済ませる気は無い。私は魔法カード、《強欲な壺》を発動! デッキからカードを二枚ドローする!」
新たに二枚の手札を加え、体勢を立て直そうとしていく。
「さらに墓地の《フォース・オブ・ガーディアン》の効果を発動! このカードを除外し、ゲームから除外されている三魔神一体を手札に加える! 私はスーガを手札に!」
ずっと温存しておいたサルベージ効果をようやく使い出したのを見て、遊矢も相手が本気になってきたことを察する。
実際、ライフ差はあるが、それは相手の魔法でLPを半分にされただけだ。まだ遊矢と十代はダイレクトアタックを一回も許していない。相手も何とも言えぬ気持ち悪さを感じているだろう。
「魔法カード、《生け贄人形》を発動! 自分フィールドのモンスター一体をリリースし、手札から通常召喚可能なレベル7モンスター一体を特殊召喚する! 私は、地雷蜘蛛をリリースし、スーガを特殊召喚!」
《水魔神―スーガ》
効果モンスター
☆7 水属性 水族
ATK2500 DEF2400 攻撃表示
用済みとなった地雷蜘蛛をリリースすることで、今度はスーガがフィールドに特殊召喚された。
「ただし、《生け贄人形》の効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン攻撃出来ない」
「バトルフェイズが終了している以上、意味のないデメリットだけどな」
遊矢の皮肉にも似た返答に、迷宮兄弟の迷はフッと笑みを浮かべる。
「さらに、墓地に送られた《地雷蜘蛛の餌食》の効果を発動! 墓地のこのカードを除外して、デッキ・除外状態の三魔神を手札に加える! 私はヒューガを手札に!」
サルベージ効果で除外されている三魔神を回収していく。
「これで三体の三魔神が揃った!」
「ってことは、今度こそ本気のゲート・ガーディアンか!?」
遊矢と十代のそんな台詞を聞いて、カードを操作しようとした腕がピタッと止まる。
遊矢のように警戒を露わにするのならまだしも、十代のようやく引き出してやったぜと言わんばかりの顔は、迷のプライドを酷く傷つけた。
「くっ、まだ貴様らに完全体のゲート・ガーディアンは早い! 魔法カード、《スター・ブラスト》を発動! ライフを500支払い、手札のヒューガのレベルを一つ下げる。そして、効果を無効にされた風水魔神をリリースして、ヒューガをアドバンス召喚!」
「兄者! あまり相手を舐め過ぎては!?」
迷宮兄弟・迷 LP8000→7500
《風魔神―ヒューガ》
効果モンスター
☆7 風属性 魔法使い族
ATK2400 DEF2200 攻撃表示
「さらに、私は手札から魔法カード、《無欲な壺》の効果を発動! 自分・相手の墓地のカードを二枚デッキに戻す。私は墓地の雷風魔神、風水魔神をEXデッキへ!」
自分達が格上だというプライドが、迷に最強モンスターを召喚するという最後の手段に出ることを踏み留ませる。
それは逆に遊矢達にとってのチャンスでもあった。
「私は、スーガ、ヒューガを除外して、再び風水魔神を特殊召喚!」
《風水魔神ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆9 風属性 魔法使い族
ATK2450 DEF2300 攻撃表示
これで再び、魔法・罠を封じられる。確かに、悪い選択肢ではなかった。
「ならば、この瞬間! 墓地の《迷い風》の効果発動! このカードが墓地に存在し、相手がEXデッキからモンスターを特殊召喚した時、このカードを自分フィールドにセットする!」
「ぐっ、カードを二枚伏せてターンエンドだ!!」
迷宮兄弟・迷 手札0枚 LP7500
フィールド サンガ、風水魔神
魔法・罠 《ラビリンス・ウォール・シャドウ》、《フィールドバリア》、リバース2枚
VS
遊矢 手札0枚 LP4500
フィールド オッドアイズ・ディゾルヴァー
魔法・罠 ピンチヘルパー、リバース1枚
ペンデュラム トランプ・ウィッチ、相生
辛抱強く凌いだことでようやく出来た迷宮兄弟の隙――出来れば、ここで一気に決めたい所だった。
「俺のターン、ドロー!」
十代も前のターンの《悪夢の蜃気楼》で手札が補充され、かなり手札が補強されている。このターンで勝負をかける――そう表情が物語っていた。
「俺は魔法カード、《融合回収》を発動! 墓地の《融合》とフェザーマンを手札に加える!」
「私は風水魔神の効果を発動! 相手が魔法カードの効果を発動した時、その効果を無効にする!」
「なら、遊矢がさっきセットした《迷い風》を発動! 風水魔神の攻撃力を半分にし、効果を無効にするぜ!」
「馬鹿め、同じ手が何度も通じるか! 速攻魔法、《禁じられた聖槍》を発動! フィールドの表側表示モンスター一体の攻撃力をターン終了時まで800下げることで、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けなくさせる!」
「げっ! マジか!?」
この短時間で即座に対応してくるとは――これで、十代の《融合回収》は無効にされ、《迷い風》も防がれる。
「まだだ! 速攻魔法、《融合解除》! 風水魔神の融合を解除してEXデッキに戻す!」
だが、十代は諦めなかった。本来ならば、攻撃に使う予定であったはずの《融合解除》がさらにチェーンされ、風水魔神がフィールドから消え去っていく。
チェーンの逆順処理により、《融合解除》によって風水魔神はフィールドから消え去り、《禁じられた聖槍》は対象を失って不発。同じく《迷い風》も対象を失って不発に終わった。だが、風水魔神がフィールドから離れても魔法を無効にする効果が発動し、最終的に《融合回収》の効果は無効となる。
「墓地からセットされた《迷い風》はフィールドから離れる時、ゲームから除外される。十代! カードくれ」
「おう! で、俺は魔法カード、《三戦の才》を発動! このターンのメインフェイズに相手がモンスター効果を発動している場合、カードを二枚ドローするぜ!」
ゲームから除外された《迷い風》が遊矢の除外ゾーンに入れられ、十代がデッキからカードを引いていく。
本来、《三戦の才》は、デッキから二枚ドロー、相手モンスター一体のコントロールをエンドフェイズまで得る、相手の手札を確認して一枚捨てる、の三つの効果から選ぶのだが、十代はノータイムでドローを選択した。
「遊矢、ペンデュラムだ!」
「ああ! セッティング済みのペンデュラムスケールで、ペンデュラム召喚!」
「来い、エッジマン!」
フィールドが共有されている以上、十代のターンでもペンデュラム召喚を行うことは可能だった。手札からエッジマンがペンデュラム召喚されていく。
《E・HEROエッジマン》
効果モンスター
☆7 地属性 戦士族
ATK2600 DEF1800 攻撃表示
「この瞬間、俺達のフィールドのカードの数が相手のカードを超えたため、《相生の魔術師》のスケールは4になる!」
《相生の魔術師》 ペンデュラムスケール8→4
「続けて魔法カード、《融合派兵》発動! EXデッキの《E・HEROプラズマヴァイスマン》を相手に見せ、デッキから融合素材のスパークマンを特殊召喚する!」
デッキから稲妻と共に、スパークマンがポーズを決めて現れた。
《E・HEROスパークマン》
通常モンスター
☆4 光属性 戦士族
ATK1600 DEF1200 攻撃表示
「俺は、《置換融合》を発動! フィールドのスパークマンとエッジマンを融合して、《E・HEROプラズマヴァイスマン》を融合召喚する!」
エッジマンとスパークマンが一つとなり、黄金の鎧に身を包んだ新たなヒーローが呼び出される。
《E・HEROプラズマヴァイスマン》
効果モンスター 融合
☆8 地属性 戦士族
ATK2600 DEF2300 攻撃表示
「さらに、墓地の《置換融合》の効果! このカードを除外し、墓地の融合モンスターをEXデッキに戻してカードを一枚ドローする! 俺は、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を戻して、カードを一枚ドロー!!」
これで全ての準備が整った。手は抜かないと、全ての力を使って十代は迷宮兄弟に挑んでいく。
「さらに手札から《ネクロ・ガードナー》を召喚!」
《ネクロ・ガードナー》
効果モンスター
☆3 闇属性 戦士族
ATK600 DEF1300 攻撃表示
新たに、全身が黒く禍々しく、大盾を持った戦士が呼び出される。
「遊矢、頼む!」
「ああ! トランプ・ウィッチのペンデュラム効果! 一ターンに一度、自分フィールドから融合によって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから特殊召喚する!」
十代がわざわざスターヴ・ヴェノムを戻し、闇属性モンスターを通常召喚した時点で、遊矢は何をしたいかを察した。
「俺は闇属性の《ネクロ・ガードナー》と《オッドアイズ・ディゾルヴァー》を融合し、EXデッキに戻した《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を融合召喚するぜ!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF2000 攻撃表示
再び、スターヴ・ヴェノムがフィールドに復活する。融合召喚なので、しっかりと効果も使用できた。
「スターヴ・ヴェノムの効果発動! このカードが融合召喚に成功した場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター一体を選び、その攻撃力分このカードの攻撃力をターン終了時までアップする! 俺はサンガを選択するぜ!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800→5400
「プラズマヴァイスマンの効果発動! 手札を一枚捨て、相手フィールド上の表側攻撃表示モンスター一体を破壊する! 俺はサンガを破壊!」
遊矢も内心で上手いと声を上げた――三魔神はそれぞれ、表側表示で存在する限り、一度だけ自身に攻撃してきた相手モンスターの攻撃力をゼロに出来る効果を持っているが、これならば効果を発動されることなく破壊できた。
プラズマヴァイスマンの稲妻によって、雷の神であるサンガが破壊されていく。これで迷宮兄弟のフィールドにモンスターはいなくなった。
「くっ、こんなことが……!」
「バトルフェイズ! プラズマヴァイスマンでダイレクトアタック!!」
《E・HEROプラズマヴァイスマン》 ATK2600 VS迷宮兄弟・迷 LP7500
全てのモンスターの攻撃力を合わせて8000――文句なくワンキルだった。
「ぐぅっ!!」
迷宮兄弟・迷 LP7500→4900
「まだだ、スターヴ・ヴェノムでプレイヤーにダイレクトアタックだ!」
続けて、スターヴ・ヴェノムによる、とどめの一撃が迷へと襲い掛かっていく。
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK5400 VS迷宮兄弟・迷 LP4900
「永続罠、《地雷蜘蛛の餌食》! モンスターとなり、私を守る壁となれ!」
流石に前に一度見ていることもあって、遊矢や十代も警戒しており、その縦列にモンスターはいない。だが、罠モンスターとなりフィールドに特殊召喚された。
《地雷蜘蛛の餌食》
通常モンスター 永続罠
☆5 地属性 昆虫族
ATK2100 DEF100 守備表示
「くっ! なら、スターヴ・ヴェノムで地雷蜘蛛を攻撃!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK5400 VS《地雷蜘蛛の餌食》 DEF100
あくまで壁として罠モンスターを使い、大ダメージを防いでいく。流石にベテランだけあってカードの使い方が上手い。
「ぬぅ、済まぬ弟よ」
「いや、兄者の気持ちもわかる。あの時を思い出す」
「そうだな。あの時も、一瞬の油断から付け込まれた」
「奴らは強い」
「ああ、認めよう」
流石に熟練のデュエリストだけあって、ここで気を締め直してきたようだ。
だが、前にスターヴ・ヴェノムのフィールドリセット効果を見ている以上、迷宮兄弟もこれでかなりやりにくくなったはず――と、十代は考える。
「俺は、カードを一枚伏せてエンドフェイズ。スターヴ・ヴェノムの攻撃力が元に戻る」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK5400→2800
「これでターンエンドだ」
十代 手札0枚 LP4500
フィールド プラズマヴァイスマン、スターヴ・ヴェノム
魔法・罠 ピンチヘルパー、リバース1枚
ペンデュラム トランプ・ウィッチ、相生
VS
迷宮兄弟・迷 手札0枚 LP4900
フィールド なし
魔法・罠 《ラビリンス・ウォール・シャドウ》、《フィールドバリア》
「私のターン! 墓地の《魔風衝撃波》を除外し、除外ゾーンのスーガを手札に加える!」
再びターンが入れ替わり、迷宮兄弟・宮のターンとなった。追い込まれたことで、今度こそ本気になった迷宮兄弟がその牙を向けてくる。
「さらに、私はフィールド魔法、《ラビリンス・ウォール・シャドウ》の効果で、デッキからヒューガを魔法・罠ゾーンに置く。そして、墓地のサンガ、手札のスーガ、フィールドのヒューガをゲームから除外!!」
「三体除外ってことは……!?」
「ようやく本命ってことか!?」
「雷水風の三魔神よ!」
「今こそ、その力を合体させ、復活の雄叫びを上げよ!」
「「出でよ、《合体魔神―ゲート・ガーディアン》!!」」
遊矢と十代が驚きの表情を浮かべる中、もう手加減はしないと言わんばかりに、迷宮兄弟が切り札を出してきた。
《合体魔神―ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆12 闇属性 戦士族
ATK3750 DEF3400 攻撃表示
「攻撃力3750……!」
「これが本当のゲート・ガーディアンか!」
デュエルモンスターズの最大レベルである、レベル12のモンスターだけあって、強大な攻撃力を持っていた。
サンガ、ヒューガ、スーガが上から合体した、その巨大な姿は、これまで邪魔だと思っていた迷宮が小さく見えるレベルだ。
「私は装備魔法、《最強の盾》をゲート・ガーディアンに装備。装備モンスターが攻撃表示の時、そのモンスターの元々の守備力分、攻撃力をアップさせる!」
最強のゲート・ガーディアンの守備力は3400。よって、攻撃力は合計で7150となる。
《合体魔神ゲート・ガーディアン》 ATK3750→7150
「さらに、装備魔法《デーモンの斧》を装備。攻撃力を1000ポイントアップさせる」
《合体魔神ゲート・ガーディアン》 ATK7150→8150
左手に大盾、右手に巨大斧を装備したゲート・ガーディアンが、その矛先を前のターンプレイヤーである十代へと向けていく。
「バトルフェイズ! 《合体魔神ゲート・ガーディアン》で《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を攻撃! 魔神衝撃波!!」
《合体魔神ゲート・ガーディアン》 ATK8150 VS《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800
二体の攻撃力の差は5350――まともに受ければ、文句なくワンキルだった。
「遊矢の残してくれた永続罠、《EMピンチヘルパー》の二つ目の効果! 自分のモンスターが相手と戦闘を行う攻撃宣言時、このカードを墓地へ送って発動! その戦闘で発生するダメージをゼロにする!」
辛うじて、何とか攻撃を受けきっていく。だが、スターヴ・ヴェノムは破壊された。
「攻撃順番を間違えたな! 《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果! 融合召喚されたこのカードが破壊された時、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する!」
「馬鹿め! それを待っていたのよ! 《合体魔神―ゲート・ガーディアン》の効果! 特殊召喚されたこのカードが相手によってフィールドから離れた場合、デッキ・EXデッキからレベル11以下のゲートガーディアンモンスター一体を、召喚条件を無視して特殊召喚する!! 我がEXデッキより出でよ、《雷風魔神―ゲート・ガーディアン》!!」
スターヴ・ヴェノムの誘爆によって、ゲート・ガーディアンを破壊することが出来たが、まるで脱皮したようにその中から水魔神を除いた雷風魔神が飛び出してくる。
《雷風魔神―ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆9 光属性 雷族
ATK2500 DEF2200 攻撃表示
「バトルフェイズ中の特殊召喚の為、当然この雷風魔神には攻撃権が残っている! いけっ、雷風魔神! プラズマヴァイスマンを攻撃! 魔風衝撃波!!」
「なっ、攻撃力の低い雷風魔神で攻撃してくるだって!?」
《雷風魔神―ゲート・ガーディアン》 ATK2500 VS《E・HEROプラズマヴァイスマン》 ATK2600
「ダメージステップに、速攻魔法、《鈍重》を発動させ、貴様のプラズマヴァイスマンの攻撃力を守備力分ダウンさせる! さらに、速攻魔法、《突進》を発動! バトルフェイズ終了時まで雷風魔神の攻撃力を700アップさせる!」
まるで自重に潰れるかのように動けなくなったプラズマヴァイスマンに向けて、雷風魔神の破壊の一撃が放たれていく。
《雷風魔神―ゲート・ガーディアン》 ATK2500→3200 VS《E・HEROプラズマヴァイスマン》 ATK2600→300
攻撃力の差は2900――こちらの残りライフの半分以上が消し飛んで行った。
「ぐっ、わあああああああああああぁぁぁぁっ!!」
十代 LP4500→1900
衝撃で十代が倒れそうになる。それだけ、威力のある一撃だった。
「まだだ! 私はメインフェイズ2で、雷風魔神の効果を発動し、デッキから《ダーク・エレメント》を手札に加え、そのまま発動! 自分の墓地に『ゲート・ガーディアン』モンスターが存在する場合、LPを半分払い、手札・デッキ・EXデッキからレベル11以上の『ゲート・ガーディアン』モンスターを特殊召喚する!」
迷宮兄弟の墓地には合体魔神が存在しており、条件はクリアしている。
迷宮兄弟・宮 LP4900→2450
「「出でよ、《闇の守護神―ダーク・ガーディアン》!!」」
このモンスターも『ゲートガーディアン』モンスターとして扱う効果を持っているようだが、見た目はとても『ゲート・ガーディアン』モンスターには見えなかった。
大きな斧を持ち、漆黒の鎧を身につけた大男が蜘蛛の下半身を持っている。それこそ、男版のアラクネーとでも言うべき見た目をしていた。
《闇の守護神―ダーク・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆12 闇属性 戦士族
ATK3800 DEF3800 攻撃表示
「ふふふ……流石は弟者、素晴らしい贈り物だ。次の私のターンで引導を渡してやる」
「では、こちらは保険をかけておくとしよう。私は、リバースカードを二枚伏せてターンエンド」
迷宮兄弟・宮 手札0枚 LP2450
フィールド 雷風魔神、ダーク・ガーディアン
魔法・罠 《ラビリンス・ウォール・シャドウ》、《フィールドバリア》、リバース2枚
VS
十代 手札0枚 LP1900
フィールド なし
魔法・罠 リバース1枚
ペンデュラム トランプ・ウィッチ、相生
「十代、大丈夫か!?」
「あ、ああ……ちょっとヤバかったけどな」
残りライフ1900――かなり追い詰められてきた、ギリギリの状況。おまけに、遊矢の手札は0枚であり、ドローに賭けるしかなかった。
「俺のターン、ドロー! 俺は、十代がセットした魔法カード、《HEROの遺産》を発動! 墓地のフレイム・ウイングマンとプラズマヴァイスマンをEXデッキに戻して、カードを三枚ドローする!」
プラズマヴァイスマンが破壊されたことで発動出来るようになったカード。この窮地を脱するには、これに賭けるしかなかった。
「俺は、魔法カード、《シャッフル・リボーン》を発動! 墓地のスターヴ・ヴェノムを復活させる!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF2000 攻撃表示
本日三回目の登場。しかし、《シャッフル・リボーン》のデメリットで効果は封じられている。
「さらに墓地の《シャッフル・リボーン》の効果! このカードを除外し、フィールドのスターヴ・ヴェノムをデッキに戻して、カードを一枚ドロー!」
これで再び、スターヴ・ヴェノムがEXデッキに戻った。
「再び、揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク! ペンデュラム召喚!! EXデッキより蘇れ! レベル7、《降竜の魔術師》! レベル7、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!」
《降竜の魔術師》
効果モンスター ペンデュラム
☆7 闇属性 魔法使い族
ATK2400 DEF1000 守備表示
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》
効果モンスター ペンデュラム
☆7 闇属性 ドラゴン族
ATK2500 DEF2000 攻撃表示
最初のターンに呼んだ二体のモンスターが蘇る。
「トランプ・ウィッチのペンデュラム効果発動! 一ターンに一度、自分のフィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材を墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する!」
「また、性懲りもなく……!」
「スターヴ・ヴェノムか!?」
他のモンスターも呼ぼうと思えば呼べるが、この状況ではスターヴ・ヴェノムに頼る以外になかった。そのために、わざわざEXデッキに戻したのだ。
一応、やろうと思えば、スターヴ・ヴェノムを経由して覇王紫竜を出すことも可能だったが、デュエルアカデミア在籍中は生徒とのデュエルで、強力過ぎる覇王関係のカードを使うつもりがなかったのでEXデッキからカード自体を抜いてしまっていた。
倒れてから直で来た問題がここに出ている。
せめて半日でも時間があれば、デッキ調整含めて完璧に仕上げられたのだが、こればかりは仕方ない。居ないものは居ないものとして、今回は別の手段で対応する必要があった。
「俺はフィールドのオッドアイズと、《降竜の魔術師》を融合! 竜の力を纏いし魔術師よ、二色の眼の龍と一つとなりて、新たな道を指し示せ!」
再び、融合を示すように遊矢の両手が合わさっていく。
「――融合召喚! 何度でも現れろ、飢えた牙持つ毒龍! レベル8、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF2000 攻撃表示
一回のデュエルで、こんなにスターヴ・ヴェノムを出したのは遊矢の記憶にもなかった。
四天の龍の中でも、割と強いにも関わらず出番があまり来ないからか、今回のデュエルで出番がたくさん回って来て、少し嬉しそうにしているようにも見える。
「スターヴ・ヴェノムの効果発動! 俺はダーク・ガーディアンの攻撃力分、スターヴ・ヴェノムの攻撃力を上げる!!」
「《ダーク・エレメント》の効果で特殊召喚されたダーク・ガーディアンは、他のモンスター及び相手が発動した魔法カードの効果を受けない!」
「これはお前に影響を与える効果じゃない! よって、スターヴ・ヴェノムの攻撃力はアップする!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800→6600
「続けて、スターヴ・ヴェノムの二つ目のモンスター効果発動! このターンのエンドフェイズまで、ダーク・ガーディアンの名前と効果を得る! こっちも、お前のダーク・ガーディアンに影響しない効果故に、効果は有効となる!」
「ぐぬっ!!」
続けて、スターヴ・ヴェノムがコピーした効果テキストを読んでいく。このモンスターは、戦闘破壊耐性まで持っていた。だが、相手のカード効果を無効にする効果はない。
「よし、手札から魔法カード、《ペンデュラム・ストーム》を発動! お互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、相手フィールドの魔法・罠カード一枚を破壊する! 俺は右のリバースカードを破壊する!」
「ぐぬっ、兄者に渡そうとした《閃光の双剣-トライス》が!」
手札一枚をコストに、攻撃力を500下げる代わりに二回攻撃が可能になる装備魔法だった。
おそらく、次のターン、ダーク・ガーディアンに二回攻撃をさせるつもりだったのだろう。
「さらに魔法カード、《アメイジング・ペンデュラム》を発動! 自分ペンデュラムゾーンにカードがない場合、EXデッキからカード名が異なる『魔術師』ペンデュラムモンスター二体を手札に加える! 降竜と相生を手札に加え、そのままセッティング!」
スケール2の降竜とスケール8の相生がセッティングされ、レベル3~7までのモンスターがペンデュラム召喚可能になるが、このターンは既にペンデュラム召喚を行っているため、もう使用することは出来なかった。
――だが、もしかしたら十代のターンでペンデュラムが出来る可能性もある。
「バトルだ! スターヴ・ヴェノムで雷風魔神を攻撃!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK6600 VS《雷風魔神―ゲート・ガーディアン》 ATK2500
スターヴ・ヴェノムの一撃が、雷風魔神に迫る。通れば、ダメージは4100となり、残りライフ2450の迷宮兄弟は敗北となる。
「速攻魔法、《神秘の中華なべ》! 雷風魔神をリリースして、その攻撃力分のライフを回復する!」
スターヴ・ヴェノムの攻撃が当たる直前に、雷風魔神がいなくなり、迷宮兄弟のライフが大きく回復していく。保険とは、こちらのことだったのだ。
迷宮兄弟・宮 LP2450→4950
「くっ、逃がしたか! なら、ダーク・ガーディアンに攻撃だ!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK6600 VS《闇の守護神―ダーク・ガーディアン》 ATK3800
ダメージステップ前にフィールドの状況に変化が発生しため、スターヴ・ヴェノムにはまだ攻撃の権利が残っていた。
「しかし、ダーク・ガーディアンは戦闘によって破壊されぬ!」
「だが、ダメージは受けて貰う!!」
「ぐぅぅぅっ!!」
迷宮兄弟・宮 LP4950→2150
「……俺は、カードを二枚伏せてターンエンド。この瞬間、スターヴ・ヴェノムの攻撃力も元に戻り、《シャッフル・リボーン》の効果で手札を一枚除外するが、俺の手札はゼロなので効果は適用されない」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK6600→2800
遊矢 手札0枚 LP1900
フィールド スターヴ・ヴェノム
魔法・罠 リバース2枚
ペンデュラム 降竜、相生
VS
迷宮兄弟・宮 手札0枚 LP2150
フィールド ダーク・ガーディアン
魔法・罠 《ラビリンス・ウォール・シャドウ》、《フィールドバリア》
「私のターン、ドロー!」
タッグデュエルが始まって二週目が終了し、三週目に入る。しかし、少しの隙を見せればとどめを刺されかねない状況だった。
「私は墓地の《ダーク・エレメント》をゲームから除外し、除外状態のスーガを手札に加える! 続けて、墓地から二枚目の《地雷蜘蛛の餌食》を除外し、除外状態のヒューガを手札に加える!」
貯めていた除外によるサルベージを駆使して、迷宮兄弟・迷がゲート・ガーディアンのパーツとなる三魔神を集めていく。
「そして、フィールド魔法、《ラビリンス・ウォール・シャドウ》の効果で、除外状態のサンガを魔法・罠ゾーンに置く」
「流石、兄者」
「いやいや、お前の協力があってこそよ」
前のターンで作れた精神的な隙は既に塞がってしまっている。遊矢も十代も手札がほぼないというこの状況で、相手の残りライフ1450を削り切らなくてはいけなかった。
「私はフィールドのサンガ、手札のスーガ、ヒューガをゲームから除外!」
「雷水風の三魔神よ!」
「再び、その力を合体させ、復活の雄叫びを上げよ!」
「「出でよ、《合体魔神―ゲート・ガーディアン》!!」」
再び、三魔神が一つになり、合体魔神が降臨する。
《合体魔神―ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆12 闇属性 戦士族
ATK3750 DEF3400 攻撃表示
「さて、フィニッシュと行こう! ゲート・ガーディアンでスターヴ・ヴェノムを攻撃! 魔神衝撃波!!」
《合体魔神―ゲート・ガーディアン》 ATK3750 VS《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800
ダーク・ガーディアンは自身以外のモンスター効果を受けない。この攻撃を通しても、スターヴ・ヴェノムの効果で破壊することは出来なかった。
「墓地の、《ネクロ・ガードナー》の効果発動! このカードを墓地から除外し、相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする!」
それは、最後の命の綱――これもまた十代が融合に使っていたのを遊矢は忘れていなかった。漆黒の鎧に身を包んだ盾持ちが、スターヴ・ヴェノムを守る。
「ぬぅ、まだそんなカードを隠しておったか! ならば、《闇の守護神―ダーク・ガーディアン》で、スターヴ・ヴェノムを攻撃!」
《闇の守護神―ダーク・ガーディアン》 ATK3800 VS《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》 ATK2800
リバースカードは二枚あるが、この攻撃を防ぐすべはないようでスターヴ・ヴェノムが破壊されていく。
「ぐぅっ!」
遊矢 LP1900→900
「さて、スターヴ・ヴェノムが破壊されたぞ?」
「モンスターを破壊しなくていいのか?」
「っ、俺はスターヴ・ヴェノムの効果を発動しない!!」
ここで、スターヴ・ヴェノムの効果を発動すれば、合体魔神の効果で別の『ゲート・ガーディアン』モンスターを呼ばれる。
逆に、このまま何もしないことこそが、自分達の命を繋ぐ唯一のすべと言って良かった。
「ぬぅ、ならばターンエンド!」
迷宮兄弟・迷 手札1枚 LP2150
フィールド 合体魔神、闇の守護神
魔法・罠 《ラビリンス・ウォール・シャドウ》、《フィールドバリア》
VS
遊矢 手札0枚 LP900
フィールド なし
魔法・罠 リバース2枚
ペンデュラム 降竜、相生
何とか凌いだものの、ここに来てまさかの合体魔神と闇の守護神――手札0枚の状況で相手をするにはきつすぎる相手だった。
しかし、最後の難敵である、あの合体魔神達をどうにかしなければ、遊矢と十代に勝ち目はない。十代は一縷の望みを賭けてデッキからカードを引いていく。
「俺のターン、ドロー!」
引いたカードは《死者蘇生》――自分か相手の墓地からモンスターを一体特殊召喚できるカードだ。
しかし、この状況でモンスターを一体蘇生した所で、あのゲート・ガーディアンとダーク・ガーディアンは倒せない。こちらの残りライフは900しかない以上、このターンで何とかしないと、次のターンでどうにかなってもおかしくななかった。
――と、十代が珍しく顔をしかめて頭を悩ませている。そんな十代を見て、らしくないなと笑みを浮かべる遊矢。
「十代」
「ん、なんだ遊矢?」
「デュエルは楽しいか?」
「は? あ、あぁ、楽しいぜ! こんなすげぇ奴ら、どうやって倒そうか考えるだけでワクワクしてくる!」
半分は虚勢だろうが、笑顔が出てきた。それでいいと、遊矢はリバースカードをオープンしていく。
「なら、そんな十代に俺から笑顔のプレゼントだ! リバース魔法、《スマイル・ワールド》発動!」
「スマイル、ワールド……?」
太陽や星、月に花など、クレヨンで書かれたような様々なマークが笑顔を浮かべてフィールドを照らし出す。
「《スマイル・ワールド》の効果! フィールドの全てのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、フィールドのモンスターの数×100ポイントアップする!」
今、十代のフィールドにモンスターはいないので、迷宮兄弟のモンスターのみが恩恵を受ける。とはいえ、ダーク・ガーディアンは相手の魔法の効果を受けないので、実質合体魔神のみが恩恵を受けていた。
《合体魔神―ゲート・ガーディアン》 ATK3750→3950
「フハハハハ、わざわざ敵の攻撃力を上げるとは!」
「フハハハハ、遂に、自滅の道を選んだか!」
確かに、このままでは自滅にしかならない。しかし、十代は気付いた。そうだ、ずっと手札しか見て居なかったが、自分達のフィールドにはまだ一枚――可能性が残っている。
「俺は、遊矢のセットした《スマイル・ポーション》を発動! 自分フィールドにモンスターが存在せず、元々の攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターが相手フィールドに存在する場合、デッキからカードを二枚ドローする!」
お互いに相棒を信じて、ドローカードを託していた。十代もそれに応えようと、カードをドローしていく。
――そんな十代の願いは天に届いた。
「魔法カード、《死者蘇生》発動! 墓地のスターヴ・ヴェノムを復活させる!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF2000 攻撃表示
本日通算五回目の登場。しかし、墓地からの特殊召喚では大半の効果が使用できなかった。
「魔法カード、《ヒーロー・マスク》! 自分フィールドの表側表示モンスター一体を対象に、デッキから『E・HERO』モンスター一体を墓地に送り、対象の自分の表側表示モンスターはエンドフェイズまで、この効果で墓地に送ったモンスターと同名カードとして扱う! スターヴ・ヴェノムをワイルドマンに!」
名称を変える効果――それを一体どうするんだと、誰もが十代に注目する。
「これが最後だ。魔法カード、《スカイスクレイパー・シュート》! 自分のフィールドの『E・HERO』融合モンスター一体を対象にして発動! そのモンスターより攻撃力が高い相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」
「なにっ!?」
「全てのモンスターを破壊するだと!?」
スターヴ・ヴェノムは融合モンスターであり、《ヒーロー・マスク》の効果で《E・HEROワイルドマン》となっていた。
そのため、発動条件が満たされ、攻撃力は2800――それ以上のモンスターは破壊となる。当然、ゲート・ガーディアンも破壊されていく。
合体魔神には自分のカードを対象に取る効果を三度まで無効にできるという強力な効果があるが、対象を指定しない効果には効果を発動できないという弱点もある。
先程の《EMピンチヘルパー》やスターヴ・ヴェノムの破壊効果、《ネクロ・ガードナー》も、そのせいで防げなかった。偶然だが、こうも自分達の切り札の隙をついてくるプレイングに、流石の迷宮兄弟も驚きの表情を浮かべている。
「だが、ダーク・ガーディアンは相手の魔法効果を受けない! そして、相手によってフィールドを離れたこの瞬間、《合体魔神―ゲート・ガーディアン》の効果発動! 私のデッキより出でよ、《ゲート・ガーディアン》!!」
再び、殻を破るかのように、合体魔神の中から《ゲート・ガーディアン》が飛び出してくる。
《ゲート・ガーディアン》
効果モンスター 融合
☆11 闇属性 戦士族
ATK3750 DEF3400 攻撃表示
「かたや、最強のゲート・ガーディアン!」
「かたや、最凶のダーク・ガーディアン!」
「「貴様のスターヴ・ヴェノムでは、この布陣は突破できまい!」」
再び攻撃力3750と3800が並んだ。確かに、もうスターヴ・ヴェノムではこの布陣を突破することは出来ない。
だが、十代に戦うつもりは毛頭無かった。
「へっ、突破なんかしねーよ! これで終わりだからな! 《スカイスクレイパー・シュート》の更なる効果! この効果で破壊され、墓地へ送られたモンスターの内、攻撃力が一番高いモンスターの数値分のダメージを相手に与えるぜ!」
「なにっ!?」
「攻撃力分のダメージを相手に与えるだとぉ!?」
この効果で決めきれなければ負け――そう、決意してこのカードを使ったのだ。
墓地へ送られたゲート・ガーディアンの攻撃力3750。つまり、3750が迷宮兄弟の残りライフから引かれていく。これでゲームエンドだった。
「「ば、馬鹿なあああああああああああぁぁぁっ!?」」
迷宮兄弟・迷 LP2150→0
遊矢と十代が無言でハイタッチをすると同時に、デュエルが終了してソリッドビジョンが解除される。
審判のクロノスがあり得ないと言わんばかりの表情をしていたが、ライフがゼロになった以上、このデュエルは遊矢と十代の勝利で終わった。
流石の迷宮兄弟も言葉を出せずにいる。
まさかあの圧倒的に有利な状況から、自分達のライフがゼロになるとは思わなかったのだろう。
正直、いつ負けてもおかしくない勝負だったのは事実だ。それだけ、ゲート・ガーディアンやダーク・ガーディアンは強力で、流石の遊矢も敗北を覚悟していた。十代の引きの強さがなければ、負けていたのはこちらだっただろう。
「校長、これで十代達の退学は取り消して貰えますね?」
「勿論です。素晴らしいデュエルを見せて頂きました」
校長からのお墨付きも頂き、これで晴れて十代達は学生として復帰できるようになった。
観客席にいる翔と隼人も大喜びしており、亮や明日香も一安心した様子を見せている。しかし、明日香の隣でデュエルを見ていた三沢は何故か険しい顔をしており、万丈目に至っては無言でその場を立ち去ってしまっていた。
また、十代が死体撃ちのように、迷宮兄弟にお得意のガッチャを披露すると、鮫島校長から今回の件の反省として、デュエルのレポート30枚の提出を命じられている。
確かに退学は取り消したが、立ち入り禁止区域に入ったことは確かなので、それの罰ということだろう。多少、理不尽な気もしなくはないが、十代も普段は授業をサボって寝てばっかりなので、たまには勉強した方がいいと遊矢も思っていた。
こちらに助けを求める十代を無視して、戦ってくれた迷宮兄弟に感謝の言葉を伝えていく。迷宮兄弟からも、「「ここまで苦戦したのはデュエルキング以来」」と言われ、十代が調子に乗りそうになっていたが、レポートのことを思い出して顔を真っ青にしていた。
原作との変化点。
・#11『十代&翔! タッグデュエル』より、ギリギリまで追いつめられた。
ぶっちゃけ、ゲート・ガーディアン関係の強化が強すぎて下手をすると負ける所だったので、心理フェイズ混ぜています。無効とか攻撃力0とか強すぎんよ。
・スカイスクレイパーシュートの発動から、効果ダメージの間にゲート・ガーディアンが出て来るのは本来ならタイミング的におかしいのですが、演出ということで勘弁してください。
本来なら、水雷とか風水とか出すべき場面ではありますが、どうしても格好良く見せたかったので素のゲート・ガーディアン出してます。
・ダークエレメントはギリギリで投入。
ユベルパックに入っていてビックリ。本来は異次元からの埋葬からの二連ガーディアンだったのを、急遽ダークガーディアンに変更しました。
デュエル内容変更点。
・風水魔神に融合解除してEXデッキに戻すと、フィールドから離れた場合の効果が使えないようなので修正しました。
風水魔神の効果でスーガが出なくなったので、十代に使わせていた闇の量産工場を止めて、手札を合わせています。
GX時代なら効果が使えてもおかしくないという意見もありましたが、アンケートを半日取った結果、出さないことにしました。答えて頂いた皆さん、ありがとうございます。
・融合解除しても、風水魔神の効果が無効にならないみたいなので内容変更しました。
変更後は、融合回収が使えない変わりに、三戦の才で手札を増やし、スパークマンとエッジマンをフィールドに出してから置換融合しています。
・《地雷蜘蛛の餌食》の発動タイミングがおかしかったので修正しました。
修正後は、スターヴの攻撃に合わせて防御し、ライフを大きく守っています。本来なら、貫通警戒で攻撃表示にしたかったのですが、今回は守秘表示に変更しています。
・合体魔神が倒された後、雷風魔神ならダーク・エレメントがサーチ出きるので、内容変更しました。
よって、ダーク・ガーディアンを一ターン早く出しています。代わりに地雷蜘蛛を削除し、リバースカードを二枚に増やしました。
・遊矢のターンでシャッフルリボーンを使わないのがおかしいので、使用することにしました。
その結果、ルーンアイズをスターヴに変更しています。また、遊矢のリバースカードもドタキャンとシャッフルリボーンではなく、スマイルワールドとスマイルポーションに変えています。