毎年恒例の行事だという、デュエルアカデミア本校とノース校の、学園対抗デュエルが近づいて来ていた。
そんな中、代表選手について相談したいことがあると声をかけられ、遊矢は亮と一緒に職員会議に出席している。とはいえ、今回出席しているのはオベリスクブルー監督のクロノス、ラーイエロー監督の樺山、オシリスレッド監督の大徳寺に、保健の鮎川、校長の鮫島だけだった。
聞けば、去年に引き続き、本校からはカイザー亮を代表に選出しようとしていたようなのが、相手のノース校の代表が一年になりそうと言うことで、こちらも一年を採用しようという話になっているらしい。
カイザー自身も異論はないということで、なら代役はカイザーすら倒せる実力がある遊矢しかいないと白羽の矢が立ったようなのだが、遊矢としては生徒として学園対抗デュエルに出るのにあまり乗り気ではなかった。
遊矢は、元の世界ではプロである。
学生達のイベントにプロが入り込んで荒らすという行為は、お世辞にも褒められたものではない。また、遊矢は生徒でもあるが、新システムのテスター兼臨時講師でもある。半分は教員側の人間が、生徒として対抗デュエルに出るのはまずいだろう。せっかくのイベントなのだ。変に水を差したくない。
と、いうことで、遊矢は出場を辞退した。
では、誰を代表にするかという話に再び戻ったのだが、亮が十代を推薦したことで状況は一変。オシリスレッド嫌いのクロノスが、ラーイエローの三沢を推薦して、二人を戦わせて勝った方を代表にすると言うことになった。
代表決定戦は明日行うということで、十代と三沢にも会議の内容が伝えられる。前の万丈目対三沢のデュエルから、ずっと三沢と戦いたがっていた十代は、決着をつけるいい機会だと笑っていた。三沢も、ようやく十代相手に納得のいくデッキが出来たようで、望むところだと言わんばかりの笑みを浮かべている。
◇◆
そんなこんなで夜が明けて、次の日の朝。
十代は特に緊張した様子もなく普通に朝飯を食べていた。逆に応援するだけの翔の方が緊張して飯が喉を通らないと言っている。
聞けば、昨日、万年落第生の国崎という生徒と仲良くなったようなのだが、昨日の夜から姿が見えないらしい。遊矢とはタイミングが合わずすれ違っていたようで、その国崎という人物には会っていないが、遊矢もこの約半年でレッド寮の大体のメンバーは把握していた。
そんな遊矢の記憶に、国崎などという人物は存在しない。もしかしたら、外部から来た人間かも――と、遊矢が警戒心を浮かべると同時に、十代は気にした様子もなく大盛りご飯をおかわりしていた。
まぁ、十代が警戒していないなら悪い人物ではないだろうということで、遊矢も国崎のことを忘れて朝食を頂くことにする。
朝飯を食べ終わると、十代はいつでも戦えると言わんばかりに、三沢が待つデュエルリングへと向かっていく。既にかなりの生徒が観客席に座っているようで、遊矢達も十代を見送って上の観客席へと移動していった。
「シニョール&シニョーラ、お待たせしたノーネ! 只今から、学園代表決定デュエルを始めるノーネ!」
十代がフィールドに現れるとすぐに、クロノスがデュエルの説明に移っていく。
どうやら、今回の審判も兼ねているようだが、選手紹介の段階から三沢贔屓が透けて見えていた。
しかし、当の本人達は気にした様子もなく、互いに火花を散らしている。
「デッキの調整は終わったのか?」
「ああ、今回のデッキはお前用に改めてチューンしてある。楽しみにしていろ」
「長いお預けで、もう腹ペコだぜ」
「ふっ、朝食はしっかり食べた方がいい」
十代の腹ペコというのは当然デュエルのことを指しているが、三沢もわかっていてわざと話をずらした。これ以上はデュエルで語るということだろう。
「では、両者準備はよろしいノーネ? 始めるノーネ!」
「行くぞ三沢」
「来い、一番君!」
「「デュエル!!」」
デュエルが始まると同時に、クロノスが邪魔にならないようにリングから降りていく。
同時に、先攻が三沢に決まり、デッキからカードをドローしていた。
「俺のターン!」
先程聞こえてきた話が本当ならば、三沢の今回のデッキは万丈目の時とはまた少し変わっているということだが、それでもメインのモンスターカードはそこまで大きく変わっていないと遊矢は見ている。
おそらく、三沢が十代対策をしたというのは魔法・罠カード関連だろう。モンスターまで大きく変えてしまえば、それはもう別のデッキをもう一つ用意した方が早い。
「俺は《マスマティシャン》を召喚!」
《マスマティシャン》
効果モンスター
☆3 地属性 魔法使い族
ATK1500 DEF500 攻撃表示
遊矢の考えを肯定するように、万丈目とのデュエルでも使っていた老魔導師が召喚されていく。
「《マスマティシャン》の効果! このカードが召喚に成功した時、デッキからレベル4以下のモンスターを墓地に送ることが出来る! 俺は、レベル1の《チューニング・サポーター》を墓地へ!」
墓地を肥やしつつ、戦闘破壊された時にドローも出来るモンスター。まさに万能と言っていいだろう。
「さらに、リバースカードを三枚セットしてターンエンドだ」
三沢 手札2枚 LP4000
フィールド 《マスマティシャン》
魔法・罠 リバース3枚
VS
十代 手札5枚 LP4000
フィールド なし
魔法・罠 なし
あからさまな罠に、十代も笑みを浮かべる。
それくらいしてくれないと面白くない――十代の表情はそう物語っていた。
「俺のターン、ドロー! スパークマンを召喚!」
ドローしたスパークマンをそのまま召喚していく。
《E・HEROスパークマン》
通常モンスター
☆4 光属性 戦士族
ATK1600 DEF1400 攻撃表示
「バトルだ! スパークマンで《マスマティシャン》を攻撃! スパーク・フラッシュ!!」
《E・HEROスパークマン》 ATK1600 VS《マスマティシャン》 ATK1500
三枚のセットカードなど気にした様子もなく、十代はバトルフェイズへと移っていった。
スパークマンの放つ必殺の雷が、《マスマティシャン》へ迫っていく。三沢は一瞬、リバースカードに視線を移したが、すぐにそのまま攻撃を受けることを選択した。
「っ!」
三沢 LP4000→3900
「この瞬間、《マスマティシャン》の効果発動! 戦闘で破壊され墓地へ送られたことで、カードを一枚ドローする!」
「何だ? リバースカードはこけおどしか?」
「ふっ、ダメージ100でカードをドローさせて貰えるなら迎撃しない方が得だろう?」
「へっ、俺はリバースカードを二枚セットしてターンエンド」
十代 手札3枚 LP4000
フィールド スパークマン
魔法・罠 リバース2枚
VS
三沢 手札3枚 LP3900
フィールド なし
魔法・罠 リバース3枚
「俺のターンだ!」
遊矢も長いこと十代のデュエルを見ているが、初手で《融合》が来ていないパターンを見るのは久しぶりな気がした。
いつもなら、まるで引き寄せられるかのように持っている。これは、カードが融合することを警戒しているのかもしれない――と、遊矢は考えていた。
逆に三沢は、自分程度相手には《融合》を使うまでもないということか――と、見当違いなことを考えており、もっと十代を追い詰めようと気合を入れている。
「俺は魔法カード、《予想GUY》を発動! 自分のフィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する! 来い、《磁石の戦士β》!」
《磁石の戦士β》
通常モンスター
☆4 地属性 岩石族
ATK1700 DEF1600 攻撃表示
前のデュエルでも使われていた磁石の戦士がフィールドに呼び出されていく。
「さらに手札から《ハイドロゲドン》を攻撃表示で召喚!」
《ハイドロゲドン》
効果モンスター
☆4 水属性 恐竜族
ATK1600 DEF1000 攻撃表示
前の万丈目戦では出てこなかったが、こいつも前に見た《デューテリオン》のように全身が泥水で構成されていた。
しかし、《デューテリオン》が二足歩行のレックスなのに対し、この《ハイドロゲドン》は四足歩行のトカゲのように見える。
「このままバトルフェイズだ。いくぞ、《磁石の戦士β》で、スパークマンを攻撃!」
《磁石の戦士β》 ATK1700 VS《E・HEROスパークマン》 ATK1600
三沢の《磁石の戦士β》が自慢の頭で、スパークマンに頭突きをかましていく。
攻撃力の差は100。まるで、先程の《マスマティシャン》とスパークマンのバトルの焼き直しだった。
「罠カード、《ヒーローバリア》! E・HEROがいる時、攻撃を一度だけ無効にする!」
しかし、後ろに《ハイドロゲドン》が控えている以上、攻撃は止めざるを得ない。
「防がれるのは想定済だ! いけっ、《ハイドロゲドン》! スパークマンを攻撃! ハイドロブレス!!」
「なっ、相打ちのつもりか!?」
「そんな訳がないだろう。ダメージステップ時にリバースカードオープン! 速攻魔法、《収縮》! スパークマンの元々の攻撃力を半分にする!」
《ハイドロゲドン》 ATK1600 VS《E・HEROスパークマン》 ATK1600→800
段々と体が小さくなっていくスパークマンに、《ハイドロゲドン》が口から出した水のブレスを直撃させて破壊していく。
これで先程のスパークマンと《マスマティシャン》との戦闘でも、三沢はわざと《マスマティシャン》を戦闘破壊させたことがこれで証明された。
「くっ、スパークマン!」
十代 LP4000→3200
「っ、罠発動! 《ヒーロー・シグナル》! モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、手札・デッキからレベル4以下の『E・HERO』を特殊召喚する!」
「ならば、こちらも《ハイドロゲドン》のモンスター効果を発動! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキから《ハイドロゲドン》一体を特殊召喚する!」
「来い、クレイマン!」
「出でよ、二体目の《ハイドロゲドン》!」
《E・HEROクレイマン》
通常モンスター
☆4 地属性 戦士族
ATK800 DEF2000 守備表示
《ハイドロゲドン》
効果モンスター
☆4 水属性 恐竜族
ATK1600 DEF1000 攻撃表示
お互いに一歩も引かない攻防だが、クレイマンの守備力は2000。三沢も矛を収めざるをえなかった。
「俺はメインフェイズ2で、魔法カード、《馬の骨の対価》を発動! フィールドの通常モンスター、《磁石の戦士β》を墓地へ送り、カードを二枚ドローする!」
万丈目戦でも見せた豊富なドローソースは健在のようで、減った手札を増やしていく。
「カードを一枚伏せてターンエンド」
三沢 手札2枚 LP3900
フィールド ハイドロゲドン×2
魔法・罠 リバース3枚
VS
十代 手札3枚 LP3200
フィールド クレイマン
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー!」
ライフを削られた十代がカードをドローする。どうやら、キーカードを引いたようで、すぐに表情が笑顔に変わった。
「いくぜ、三沢! 俺は、魔法カード、《融合》を発動――」
「この瞬間を待っていたんだ! カウンター罠、《封魔の呪印》を発動! 手札の魔法カード、《ボンディング―D2O》を捨て、相手の魔法カードの発動と効果を無効にし破壊する! そして、相手はこのデュエル中、この効果で破壊されたカード及び同名カードは使用できない!」
「なにっ!?」
「これでお前のデッキは封じたぞ!」
十代が使った《融合》が無効化されていく。これで、このデュエルで十代は《融合》の魔法カードを使うことが出来なくなった。
「《融合》封じか、やるな三沢。十代のデッキは、E・HEROの融合モンスターによる多種多様な攻撃が大部分になっている。その起点を封じられたんだ。十代も辛いだろうな」
「そんな、それじゃあアニキは融合なしで勝たないといけないってこと?」
「でも、《融合》がなくても融合召喚は可能なんだな! 十代のデッキにも別の融合カードが入っているはずなんだな!」
遊矢の率直な感想に、翔が暗い顔をする中、隼人がすぐに打開策を見つけ出す。
そして、その打開策は十代も既に思いついているものだった。
「確かに、《融合》を封じられたのは痛いけど、それだけで俺のデッキを封じたっていうのは少し甘いんじゃないか?」
「そう思うならデュエルを続けると良い」
だが、三沢は問題ないとばかりに余裕の笑みを浮かべている。
まだ何か隠された罠があるのか――と、十代も頭を働かせるが、今はそれよりも現状をどうにかする方が先だった。しかし、十代の手札に打開策はない。
「俺はモンスターをセットしてターンエンドだ」
十代 手札2枚 LP3200
フィールド クレイマン、セット1体
魔法・罠 なし
VS
三沢 手札1枚 LP3900
フィールド ハイドロゲドン×2
魔法・罠 リバース2枚
「俺のターン! 魔法カード、《強欲な壺》! デッキからカードを二枚ドローする!」
流石は三沢というべきか。お得意のドローソースで、先程使った《封魔の呪印》のコストで減った手札を簡単に回復していく。
「俺は、《オキシゲドン》を召喚!」
《オキシゲドン》
効果モンスター
☆4 風属性 恐竜族
ATK1800 DEF800 攻撃表示
前に万丈目戦でも使った風の飛行型恐竜が現れる。しかし、《ハイドロゲドン》二体を含めても、攻撃力はクレイマンの守備力以下だった。
「へへっ、お前も攻めあぐねてるみたいだな?」
「そうでもないさ。俺はさらに魔法カード、《ボンディング―H2O》を発動! フィールドの《ハイドロゲドン》二体と、《オキシゲドン》一体をリリースし、デッキ・手札・墓地より、《ウォーター・ドラゴン》を特殊召喚する!」
《ウォーター・ドラゴン》
効果モンスター
☆8 水属性 海竜族
ATK2800 DEF2600 攻撃表示
全身が水で出来たドラゴン。攻撃力は2800もあり、《融合》を封じられた十代には少しばかり辛い相手だった。
「バトルだ! 《ウォーター・ドラゴン》でクレイマンを攻撃! アクア・バニッシャー!」
《ウォーター・ドラゴン》 ATK2800 VS《E・HEROクレイマン》 DEF2000
口から放たれる鋭い水の一撃が、クレイマンを瞬殺していく。
「クレイマン……っ!」
「俺は、これでターンエンドだ」
三沢 手札1枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》
魔法・罠 リバース2枚
VS
十代 手札2枚 LP3200
フィールド セット1体
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー!」
一縷の望みを賭けて、十代がカードをドローしていく。
「よし! 魔法カード、《ミラクル・フュージョン》! 墓地のスパークマンとクレイマンを除外して、サンダー・ジャイアントを融合召喚するぜ!」
「残念だったな! 永続罠カード、《王宮の鉄壁》! このカードが存在する限り、お互いのプレイヤーはカードを除外することが出来ない!」
「なにっ!?」
「《融合》を封じられたお前が次に頼るのは、当然墓地融合の出来る《ミラクル・フュージョン》や、除外して融合が出来る《フュージョン・ゲート》だろう。だが、そのどちらも除外が条件となる以上、これで発動は出来ないぜ」
「くっ!」
前のターンの《融合》に続き、《ミラクル・フュージョン》まで封じられた。しかも、この《王宮の鉄壁》も《封魔の呪印》と同様に、最初のターンに伏せられたカードだ。
三沢は本気で十代の融合召喚を封じてきている。除外を利用する融合まで封じられ、後十代に残された融合手段は――
「お前に残された融合手段は、前に遊矢も使った速攻魔法《瞬間融合》によるフィールド融合か、時間のかかる《未来融合―フューチャー・フュージョン》くらいだろう。だが、俺のフィールドには《ウォーター・ドラゴン》がいる。フィールドにモンスターを残す余裕を与えるつもりはないし、仮に出たとしてもエンドフェイズに破壊されるなら問題ない。未来融合の場合は、未来融合自体を破壊すれば融合モンスターも消える」
他にもフィールドのモンスターだけで融合する《置換融合》があるが、あれはルール上《融合》として扱うので使用できない。
モンスター三体以上で使える《大融合》は使用状況が制限されるし、コストが馬鹿にならないので採用しているとは到底思えなかった。
後は三沢の言う通り、《瞬間融合》か《未来融合―フューチャー・フュージョン》が現実的だが、どちらも対策が取られている以上、どうしようもない。
「……けど、俺にはまだ」
「エクシーズがある、か?」
十代が言葉に詰まる。
そう、まだホープが残っていた。だが、三沢はホープすらも対策を考えていたのだ。
「ふっ、早くデュエルを続けると良い」
「くっ、俺はモンスターをセットしてターンエンドだ」
十代 手札1枚 LP3200
フィールド セット2体
魔法・罠 なし
VS
三沢 手札1枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》
魔法・罠 《王宮の鉄壁》、リバース1枚
「本格的に十代の動きを封じてる。このままじゃ勝負にならないな」
「で、でもアニキにはまだホープが……!」
「いや、あの三沢君がホープの対策を考えていないとは思えないんだな」
観客席の遊矢達も三沢の見事な十代封じに感心していた。
全てのアドバンテージは三沢に取られている。このままズルズルいけば十代の敗北は必至だろう。
「俺のターン、ドロー! このままバトルフェイズ! 《ウォーター・ドラゴン》でセットモンスターを攻撃!」
《ウォーター・ドラゴン》 ATK2800 VS《E・HEROバーストレディ》 DEF800
表になったバーストレディが、《ウォーター・ドラゴン》の水に流されて破壊されていく。
「ターンエンドだ」
三沢 手札2枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》
魔法・罠 《王宮の鉄壁》、リバース1枚
VS
十代 手札1枚 LP3200
フィールド セット1体
魔法・罠 なし
「俺のターン!魔法カード、《天使の施し》! デッキからカードを三枚引き、二枚を捨てる!」
「手札入れ替えか!」
しかし、追い詰められた状況でも十代は諦めない。自分のデッキを信じて最後まで戦うと言わんばかりに、手札を変えていく。
「リバースカードをセットし、永続魔法、《悪夢の蜃気楼》を発動してターンエンドだ!」
十代 手札0枚 LP3200
フィールド セット1体
魔法・罠 《悪夢の蜃気楼》、リバース1枚
VS
三沢 手札2枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》
魔法・罠 《王宮の鉄壁》、リバース1枚
「俺のターン、ドロー!」
「このスタンバイフェイズ、《悪夢の蜃気楼》の効果でカードを四枚ドロー! さらに、速攻魔法、《非常食》! 《悪夢の蜃気楼》を墓地へ送り、ライフを1000回復する!」
十代 LP3200→4200
「ならば、俺は、《ジャンク・シンクロン》を召喚!」
《ジャンク・シンクロン》
効果モンスター チューナー
☆3 闇属性 戦士族
ATK1300 DEF500 攻撃表示
全体的にオレンジ色の装いで、オレンジの防止に白いマフラーをしたモンスターが召喚される。
背中にはバックパックのようなものを背負っており、右側にリコイルスターター(紐のエンジン)がついていた。
「《ジャンク・シンクロン》の効果! このカードが召喚に成功した時、墓地のレベル2以下のモンスターの効果を無効化して特殊召喚する! 俺は墓地から、レベル1の《チューニング・サポーター》を特殊召喚!」
《チューニング・サポーター》
効果モンスター
☆1 光属性 機械族
ATK100 DEF300 守備表示
最初のターン、《マスマティシャン》の効果で墓地へ送られた、頭にフライパンのようなものを被り、黄色いマフラーをしたモンスター墓地から復活する。
「さらに、魔法カード、《機械複製術》を発動! 自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスターと同じモンスターをデッキから二体まで特殊召喚できる! 俺は、デッキから二体の《チューニング・サポーター》を特殊召喚!」
《チューニング・サポーター》×2
効果モンスター
☆1 光属性 機械族
ATK100 DEF300 守備表示
これで、《チューニング・サポーター》は合計三体になった。
「《機械複製術》の効果で、特殊召喚された《チューニング・サポーター》は効果が無効にされていないため、シンクロ素材とする時、自身のレベルを2として扱うことが出来る」
「つまり、最大レベル8のモンスターをシンクロ召喚できるってことか……!」
「ただ、今回は使わない。俺はレベル7、8のシンクロモンスターを持っていないんでね」
デュエルアカデミアはシンクロやエクシーズが一般よりも優先的に普及されているが、それでもなかなか狙ったモンスターが手に入りにくいのが現状である。
「いくぞ、俺はレベル1の《チューニング・サポーター》三体と、レベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング! 召喚条件はチューナー+チューナー以外のモンスター一体以上!」
三体の《チューニング・サポーター》が三つの星となり、《ジャンク・シンクロン》の三つの環と共に光の道を作っていく。
「――GO! シンクロ召喚! 現れろ、《マイティ・ウォリアー》!」
片腕が鋼鉄のガントレットで包まれたモンスターが光の中から飛び出してきた。
《マイティ・ウォリアー》
効果モンスター シンクロ
☆6 地属性 戦士族
ATK2200 DEF2000 攻撃表示
「《チューニング・サポーター》の効果! このカードがシンクロ素材として墓地へ送られた時、デッキからカードを一枚ドローする! 三体送られたため、三枚ドローだ!」
「《ジャンク・シンクロン》の効果で一体の効果は無効になっていたはずじゃ……?」
「残念ながら、これは墓地で発動する効果だ。よって、フィールドで無効にされた効果は無効となる」
厄介この上ないルールだが、三沢が正しかった。1枚になった手札を、4枚まで回復していく。
「このままバトルと行こう。《マイティ・ウォリアー》でセットモンスターに攻撃!」
《マイティ・ウォリアー》 ATK2200 VS《E・HEROフェザーマン》 DEF1000
ガントレットに包まれた巨大な拳が、表側になったフェザーマンをぶっ飛ばしていった。
「《マイティ・ウォリアー》の効果発動! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!」
「なにっ!?」
奇しくも、十代のフェイバリットモンスターであるフレイム・ウイングマンに似た効果と言っていいだろう。
また、《マイティ・ウォリアー》はフレイム・ウイングマンと違って、フィールドの攻撃力を参照するので、破壊したモンスターの攻撃力が元々の攻撃力よりも高くなっていれば、その分も含めた数値の半分のダメージを相手に与えることが出来る。一概に、フレイム・ウイングマンの方が、効果が強いとは言えなかった。
「くっ!」
十代 LP4200→3700
「これで、お前を守るモンスターはいない! いけっ、《ウォーター・ドラゴン》! 十代にダイレクトアタック! アクア・バニッシャー!!」
《ウォーター・ドラゴン》 ATK2800 VS十代 LP3700
十代に向かって、勢いよく水の塊が放射されていく。何とか耐えようとする十代だが、水圧に負けて体が吹き飛んで行った。
「ぐあああああぁぁっ!」
十代 LP3700→900
「ふっ、俺にはお前の考えが手に取るようにわかる。カードを一枚伏せてターンエンドだ」
三沢 手札3枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》、《マイティ・ウォリアー》
魔法・罠 《王宮の鉄壁》、リバース2枚
VS
十代 手札4枚 LP900
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー!」
先程、《悪夢の蜃気楼》で増えた手札で、望み通りのカードを引けたようで、十代が嬉しそうにデュエルディスクにカードを叩きつける。
「俺は《E・HEROワイルドマン》を攻撃表示で召喚!」
《E・HERO ワイルドマン》
効果モンスター
☆4 地属性 戦士族
ATK1500 DEF1600 攻撃表示
この状況でレベル4のモンスターを攻撃表示で出してきたことで、遊矢は十代の意図を察した。
だが、それは対戦相手の三沢も同じだった。
「さらに、リバースカードを三枚セットし、《E・HEROバブルマン》を守備表示で特殊召喚! バブルマンは、手札がこのカードだけの時、特殊召喚が出来る!」
《E・HERO バブルマン》
効果モンスター
☆4 水属性 戦士族
ATK800 DEF1200 守備表示
これで、フィールドにレベル4のモンスターが二体並んだ。
「オーバーレイはさせない! 永続罠、《デビリアン・ソング》を発動! このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上の全てのモンスターのレベルは一つ下がる!」
「なにっ!?」
「言っただろう? 読んでいると。これで、お前はレベル3のモンスターでしかエクシーズが出来ない!」
相手のレベルに干渉するカード。まさに、シンクロやエクシーズには致命的なカードだった。
とはいえ、黙って見ている訳にもいかない。
このままターンを終えれば、返しのターンで十代はライフをゼロにされかねなかった。何とかあのカードを破壊する必要がある。
「リバースカードオープン! 魔法カード、《R-ライトジャスティス》! 自分フィールドの『E・HERO』の数だけ相手の魔法・罠を破壊できる! 俺のフィールドにはバブルマンとワイルドマンの二体がいるぜ!」
「ならば、こちらもチェーンしてリバースカードオープン! 永続罠、《宮廷のしきたり》発動! このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは《宮廷のしきたり》以外の永続罠カードを戦闘・効果では破壊できない!」
チェーンの逆順処理によって、最初に《宮廷のしきたり》の効果が発動。その後にライトジャスティスが有効になる。
だが、カードが二枚破壊出来ても、《宮廷のしきたり》によって、他の永続罠カードは破壊できず、ライトジャスティスで破壊できるのは《宮廷のしきたり》だけとなった。よって、変わらず《デビリアン・ソング》の効果は続いていく。
起死回生の除去カードも三沢に対策され、十代は一気に打つ手がなくなってしまった。
「俺はリバース魔法、《バブル・ショット》を発動。バブルマンに装備! これでバブルマンの攻撃力は800ポイントアップし、このカードを墓地へ送ることで一度だけ戦闘では破壊されなくなる」
《E・HEROバブルマン》 ATK800→1600
「それだけか、十代!?」
「くっ、俺はこれでターンエンドだ」
十代 手札0枚 LP900
フィールド バブルマン、ワイルドマン
魔法・罠 《バブル・ショット》、リバース1枚
VS
三沢 手札3枚 LP3900
フィールド 《ウォーター・ドラゴン》、《マイティ・ウォリアー》
魔法・罠 《王宮の鉄壁》、《デビリアン・ソング》
対策は完ぺきだった。手札・ライフ・フィールドの状況、全てにおいて、三沢が一歩先を行っている。
余程、十代を研究してきたのだろう。魔法・罠カードの半数は対十代に変更されている感じだった。それだけに、十代も全く身動きが取れずにいる。
誰の目にも三沢の優勢は明らかだった。
審判のクロノスも隠す気のない、だらしない笑みを浮かべている。だが、それでも十代の目は死んでいなかった。ライフがゼロになるまでは諦めない。それが全てを奪われた十代に残されたデュエリストとしての誇りだった。
原作との変更点。
・#21『融合封じ! 十代VS三沢(前編)』より、遊矢が国崎と出会わなかった。
結局、この後で会うこともない。
・三沢が十代対策をしてきた。
万丈目戦で使った魔法・罠カードの内、凡庸カード以外をメタカードに変えている。今の所は完璧に十代の動きを封じた。
・シンクロを使った。
何出そうか迷った結果、無難に使えそうなマイティ君に登場願った。三沢はジャンクがなかなか似合う。
本日は祝日なので20時にもう一話後編を更新します。