榊遊矢のGX次元漂流記   作:おこむね

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#037 『粉砕! 玉砕! 大喝采!』

 カミューラを倒してから数日が過ぎ、セブンスターズの攻勢も弱まったということで、翔の提案で体を休ませるために温泉に行こうという話になった。

 勿論、亮やクロノスはまだ安静にしていなくては駄目だし、いつセブンスターズも来るかわからないということで、ようやく回復してきた十代とそのお目付け役に遊矢、万丈目が選ばれ、三沢と明日香に後を任せてきている。

 

 しかし、その温泉がデュエルモンスターズの精霊界に繋がっていたらしく、遊矢、十代、翔、隼人、そして万丈目のレッド5(万丈目はその呼び名を断固拒否している)は、突如としてその精霊界に迷い込んでしまった。

 どうしたら元の世界に帰れるかを考えていると、どこからともなくカイバーマンの精霊が現れ、彼のブルーアイズが十代と戦いたがっていると訴えてくる。

 

 体も治ってきた十代がそのデュエルを受け、勝ったら元の世界へ戻るという約束を取り付けたのだが、遊矢にはどこをどう見てもカイバーマンが海馬社長にしか見えなかった。

 まさか、わざわざデュエルアカデミアまでやってきたのか? いや、あれでも海馬社長はかなり忙しい。余程のことがなければ来ないだろうし、精霊なんてオカルトを信じるタイプでもないので、おそらく彼は海馬社長に限りなくよく似たカイバーマンなのだろう。

 だが、余りにも似すぎていた。似すぎていて何とツッコミを入れたらいいかわからないくらいだ。

 また、十代も普段なら笑顔でデュエルを受けるのだが、最近はセブンスターズと命を懸けて戦っているからか、見知らぬ相手とのデュエルということで、今回は警戒心や恐怖心の方が強いらしい。

 闇のデュエルでダメージを受けたり、地縛神を相手にしたりすると、負け=死に直結しかねないので、その気持ちは良くわかるが、あまり硬くなってもいつもの実力が発揮できない――と、遊矢も心配になっている。

 

「「デュエル!!」」

 

 しかし、そんな心配の中、カイバーマンと十代のデュエルが始まってしまった。先攻はカイバーマンということで、勢いよくデッキから手札を引いていく。

 

「行くぞ、俺の先攻! 《正義の味方 カイバーマン》を召喚!」

 

 《正義の味方 カイバーマン》

 効果モンスター

 ☆3 光属性 戦士族

 ATK200 DEF700 攻撃表示

 

 まさに自身の写し身と言うべきモンスターがカイバーマンのフィールドに現れる。

 

「さらに、カイバーマンの効果! このカードをリリースし、伝説を見せてやる」

 

 どこかで見たような流れだった。遊矢の頭に、初めて海馬とデュエルした時の記憶が蘇ってくる。

 

「出でよ、我が最強の僕! 《青眼の白龍》!!」

 

 《青眼の白龍》

 通常モンスター

 ☆8 光属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

 遊矢の目の前で、再び伝説の龍がここに蘇った。

 初めてブルーアイズを見るであろう十代や応援組も驚いたような顔をしている。

 

「これが、《青眼の白龍》……!」

「先攻は最初のターン、攻撃は出来ない。リバースカードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

 

 カイバーマン 手札3枚 LP4000

 フィールド ブルーアイズ

 魔法・罠 リバース1枚

 

 VS

 

 十代 手札5枚 LP4000

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

 確か、この世界で《青眼の白龍》を持っているのは海馬だけだったと遊矢も記憶していた。

 つまり、このブルーアイズは、カイバーマンが精霊の力で再現したものだろう。誰のデッキを再現したかなど口する必要もない。その証拠に、万丈目も「まさか、あのデッキは――」と、そのデッキの正体に気が付いているようだった。

 

「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《融合》を発動! 手札のフェザーマンとバーストレディを融合し、フレイム・ウイングマンを融合召喚だ!」

 

 十代もお得意の融合召喚で対抗すべく、いつものようにフレイム・ウイングマンを呼んでいる。

 

 《E・HEROフレイム・ウイングマン》

 効果モンスター 融合

 ☆6 風属性 戦士族

 ATK2100 DEF1200 攻撃表示

 

「さらに、スパークマンを召喚!」

 

 《E・HEROスパークマン》

 通常モンスター

 ☆4 光属性 戦士族

 ATK1600 DEF1400 攻撃表示

 

 続けて、通常召喚権を使ってスパークマンも出していく。だが、この二体ではブルーアイズの攻撃力には遠く及ばなかった。

 

「魔法カード、《置換融合》を発動! フィールドのフレイム・ウイングマンとスパークマンを融合し、《E・HEROシャイニング・フレア・ウイングマン》を融合召喚するぜ!」

 

 まさかの連続融合――最初から全力だと言わんばかりに、フレイム・ウイングマンとスパークマンが一つになっていく。

 

 《E・HEROシャイニング・フレア・ウイングマン》

 効果モンスター 融合

 ☆8 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2100 攻撃表示

 

「シャイニング・フレア・ウイングマンの効果! このカードの攻撃力は、墓地の『E・HERO』の数×300ポイントアップする!」

 

 今、十代の墓地に『E・HERO』は四体。よって、攻撃力は1200ポイントアップする。

 

 《E・HEROシャイニング・フレア・ウイングマン》 ATK2500→3700

 

 これで、シャイニング・フレア・ウイングマンはブルーアイズの攻撃力を超えた。

 その上、シャイニング・フレア・ウイングマンもフレイム・ウイングマン同様、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える効果がある。

 

「バトル! シャイニング・フレア・ウイングマンで、《青眼の白龍》に攻撃! 究極の光を放て! シャイニング・シュート!!」

 

 《E・HEROシャイニング・フレア・ウイングマン》 ATK3700 VS《青眼の白龍》 ATK3000

 

 シャイニング・フレア・ウイングマンの光の波動が、ブルーアイズに迫っていく。

 

「罠カード、《強靭!無敵!最強!》を発動! 自分フィールドのブルーアイズモンスター一体は、このターンこのカード以外の効果を受けず、戦闘では破壊されない」

「けど、ダメージは受けて貰うぜ!」

 

 カイバーマン LP4000→3300

 

 当然、闇のデュエルではないので、プレイヤーへのダメージはなかった。それを見て、十代もようやく、「そういえば、普通のデュエルだったな……」と、張りつめていた心が緩んでいく。

 

「フン、セブンスターズとやらのデュエルは余程貴様にトラウマを与えたらしいな」

「お前、奴らのこと!?」

「詳しくは知らん。だが、この世界はお前達の世界と密接に繋がっているが故に、デュエルの波動を感じる時がある」

 

 海馬っぽい人が、理屈ではなく波動などと言う曖昧な発言をしているのに、遊矢は背中がむず痒くなってきた。

 

「しかし、今この時! そんなことは関係ない! 貴様の目の前にいるのは俺だ! 貴様もその辺に転がっている凡骨デュエリストと同じではないというのなら、しっかりと敵を見据えて戦え! 貴様と戦いたがっていたブルーアイズをガッカリさせるな!」

「カイバーマン……」

「貴様の歩んできたデュエル道など、まだ入り口だ。世界には未知のデュエルが沢山ある。見えるはずだ、果てなく続く戦いのロードが! なのに、貴様はここで立ち止まるのか!?」

「立ち止まったりするもんか!!」

「そうだ! 己のデュエルを、己のデッキを信じて進め!!」

 

 精霊的単語を除けば、まさに海馬本人としか思えない言葉だ。しかし、十代もそんなカイバーマンに当てられたのか、徐々にいつものように笑みを浮かべだした。

 

「デュエルを続行する! 《強靭!無敵!最強!》の更なる効果! このカードの対象となったモンスターと戦闘を行った相手モンスターを、ダメージステップ終了後に破壊する!」

「なっ、シャイニング・フレア・ウイングマンが……!?」

 

 ただでは転ばないと、シャイニング・フレア・ウイングマンが爆散していく。

 

「ッ! 墓地の《置換融合》の効果発動! このカードをゲームから除外し、墓地のシャイニング・フレア・ウイングマンをEXデッキに戻して、カードを一枚ドローする!」

「フン、そう来なくてはな」

「俺はカードを二枚伏せてターンエンド!」

 

 

 十代 手札0枚 LP4000

 フィールド なし

 魔法・罠 リバース2枚

 

 VS

 

 カイバーマン 手札3枚 LP4000

 フィールド ブルーアイズ

 魔法・罠 なし

 

 

「俺のターン! 永続魔法、《未来融合―フューチャー・フュージョン》を発動! EXデッキの《F・G・D》を指定し、その融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る!」

 

 当然のようにエラッタ前の効果だった。

 カイバーマンのデッキから、五体のドラゴン族モンスターである《青眼の亜白龍》三枚と、残りの《青眼の白龍》二体が墓地へ送られていく。

 

「その後、二ターン目のスタンバイフェイズ時に、その融合モンスターをEXデッキから特殊召喚する! ただし、このカードがフィールドから離れた時、そのモンスターは破壊され、そのモンスターが破壊された時、このカードは破壊される」

「二ターン後に、《F・G・D》が……!」

「だが、果たして二ターン、持つかな? 俺は魔法カード、《復活の福音》を発動! 自分の墓地のレベル7、8のドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する! ブルーアイズ復活!」

 

 未来融合で墓地に送られたブルーアイズが一体復活し、これでフィールドには二体のブルーアイズが並んだ。

 

 《青眼の白龍》

 通常モンスター

 ☆8 光属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

「行くぞ、ブルーアイズの攻撃! 滅びのバースト・ストリーム!!」

 

 《青眼の白龍》 ATK3000 VS十代 LP4000

 

 十代のフィールドにモンスターはなく、真っすぐにブルーアイズの攻撃が迫っていく。

 

「速攻魔法、《クリボーを呼ぶ笛》! デッキから《ハネクリボー》を守備表示で特殊召喚する!」

 

 だが、十代もしっかりと防御を固めていた。笛の音に誘われて出てきた《ハネクリボー》が十代を守るために前に出て来る。

 

 《ハネクリボー》

 効果モンスター

 ☆1 光属性 天使族

 ATK300 DEF200 守備表示

 

「ならば、《ハネクリボー》を粉砕してくれるわ! 滅びのバースト・ストリーム!!」

 

 《青眼の白龍》 ATK3000 VS《ハネクリボー》 DEF200

 

 力の差はまさに圧倒的で、《ハネクリボー》が蒸発していく。

 

「っ、けど、《ハネクリボー》が破壊され墓地へ送られたことで、このターン俺が受ける戦闘ダメージはゼロになる!」

「追撃を阻止してきたか……」

「さらに、罠カード、《ヒーロー・シグナル》! モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキからレベル4以下の『E・HERO』一体を特殊召喚する! 来い、バブルマン!」

 

 《E・HERO バブルマン》

 効果モンスター

 ☆4 水属性 戦士族

 ATK800 DEF1200 守備表示

 

 こういう状態でこそ輝くモンスター。特殊召喚されるなり、バブルマンが十代へ虹色の泡を送る。

 

「バブルマンの効果発動! このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールドと手札に他のカードがない時、デッキからカードを二枚ドローする!」

「手札を補充してきたか! ならば、二体目のブルーアイズで、バブルマンを攻撃! 滅びのバースト・ストリーム!!」

 

 戦闘ダメージはゼロになっても、モンスターが破壊できない訳ではない。カイバーマンとしても、このまま十代のフィールドにモンスターを残す理由はなかった。

 

 《青眼の白龍》 ATK3000 VS《E・HEROバブルマン》 DEF1200

 

「くっ!」

「俺はこのままターンエンドだ」

 

 

 カイバーマン 手札2枚 LP3300

 フィールド ブルーアイズ×2

 魔法・罠 未来融合

 

 VS

 

 十代 手札2枚 LP4000

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《強欲な壺》! デッキからカードを二枚ドローするぜ!」

 

 いつもの壺――これで、バブルマンの効果と合わせて、手札は四枚まで回復した。

 

「さらに魔法カード、《融合回収》! 墓地の融合素材に使用したバーストレディと《融合》を回収し、そのまま《融合》を発動! バーストレディとクレイマンを融合し、ランパート・ガンナーを守備表示で融合召喚!」

 

 《E・HEROランパート・ガンナー》

 効果モンスター 融合

 ☆6 地属性 戦士族

 ATK2000 DEF2500 守備表示

 

 守備表示のままダイレクトアタックが出来るヒーロー。ブルーアイズの高い攻撃力の前では、流石の十代も守りを固めるしか無さそうに見える。

 

「ランパート・ガンナーは、与えるダメージを半分にすることで、守備表示のまま相手にダイレクトアタックが出来る! いけっ、ランパート・ガンナー! ランパート・ショット!!」

 

 《E・HEROランパート・ガンナー》 ATK2000 VSカイバーマン LP3300

 

 二体のブルーアイズをすり抜けるように、カイバーマンへ攻撃を当てていく。

 

「小賢しい真似を……」

 

 カイバーマン LP3300→2300

 

「俺は、カードを二枚伏せてターンを終了する」

 

 

 十代 手札0枚 LP4000

 フィールド ランパート・ガンナー

 魔法・罠 リバース2枚

 

 VS

 

 カイバーマン 手札2枚 LP2300

 フィールド ブルーアイズ×2

 魔法・罠 未来融合

 

 

「俺のターン! 魔法カード、《死者蘇生》! 墓地の最後のブルーアイズを復活させる!」

 

 これにより、フィールドに三体のブルーアイズが揃った。

 

 《青眼の白龍》

 通常モンスター

 ☆8 光属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

「手札から魔法カード、《置換融合》を発動! フィールドの全てのブルーアイズを融合!」

「ブルーアイズ、三体融合……!?」

「出でよ、《青眼の究極竜》!!」

 

 《青眼の究極竜》

 通常モンスター 融合

 ☆12 光属性 ドラゴン族

 ATK4500 DEF3800 攻撃表示

 

 三つの首を持った一つのドラゴン――亮のサイバー・エンドにも似ているが、迫力が段違いだった。

 

「さらに魔法カード、《アルティメット・バースト》を発動! 自分フィールドに融合召喚されたアルティメットは、このターン、一度のバトルフェイズに三回攻撃が出来る!」

「三回攻撃だって!?」

「そして、アルティメットが攻撃する時、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない! 行くぞ、バトルフェイズだ!!」

 

 つまり、アルティメットの攻撃は絶対に防げない。対処するなら、攻撃前にどうにかするしかなかった。

 

「罠カード、《エレメンタル・チャージ》! フィールドの『E・HERO』の数×1000ポイントのライフを回復する! さらに、《ヒーローバリア》! 相手の攻撃を一度だけ無効にする!」

 

 よく間違えられるが、《ヒーローバリア》は相手が攻撃してきた時だけではなく、『E・HERO』が存在する場合、そのターン中一度だけ相手の攻撃を無効にする効果なので、このタイミングでも罠を発動することが出来る。

 

 十代 LP4000→5000

 

 これで、ギリギリだがアルティメットの攻撃を受けきることが出来るようになった。

 もし、カイバーマンが何かしらの手でモンスターを追加召喚してきたら終わりだったが、向こうも手札を使い切ってこれ以上の展開はないらしい。

 

「ふぅん。覚悟を決めたようだな! ならば、受けるがいい! 《青眼の究極竜》でランパート・ガンナーを攻撃! アルティメット・バースト第一射!!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK4500 VS《E・HEROランパート・ガンナー》 DEF2500

 

 左端のブルーアイズから順に、バーストが発射されていく。しかし、一射目は《ヒーローバリア》の効果でバーストが拡散され無効となった。

 

「まだだ! 《青眼の究極竜》で、ランパート・ガンナーに攻撃! アルティメット・バースト第二射ァ!!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK4500 VS《E・HEROランパート・ガンナー》 DEF2500

 

 今度は真ん中のブルーアイズが、バーストを発射してランパート・ガンナーを破壊していく。

 

「くっ、ランパート・ガンナー……!」

「これで貴様に壁となるモンスターはいない! いくぞ、《青眼の究極龍》でプレイヤーにダイレクトアタック! アルティメット・バースト第三射ァァッ!!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK4500 VS十代 LP5000

 

 もうライフで受ける以外の択はない。回復したライフで、攻撃力4500の直撃を受け入れた。

 

「うおおおおおおおおおおぉぉぉっ!!」

 

 十代 LP5000→500

 

 吹き飛ばされそうになる体を、ギリギリ踏ん張って止める。

 何とか致命傷にならないレベルで済んだが、もしこれが闇のデュエルだったらと思うとゾッとした。

 

「フッ、いい気概だ。俺はこれでターンを終了する」

 

 

 カイバーマン 手札0枚 LP2300

 フィールド アルティメット

 魔法・罠 未来融合

 

 VS

 

 十代 手札0枚 LP500

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《天使の施し》を発動! デッキからカードを三枚ドローし、二枚を捨てる!」

 

 手札が0枚故、この三枚の中で何とか状況を打破できるカードを引き当てたい。

 

「よし! 俺も魔法カード、《死者蘇生》を発動! 墓地のバブルマンを特殊召喚し、その効果でデッキからカードを二枚ドロー!」

 

 デッキは、まだ十代に諦めるなと言っていた。

 

「さらに、魔法カード、《HEROの遺産》を発動! 墓地の『HERO』モンスターを素材とする融合モンスター、フレイム・ウイングマンとランパート・ガンナーをEXデッキに戻し、カードを三枚ドローするぜ!」

「またも連続ドローか!」

「俺は、ワイルドマンを攻撃表示で召喚!」

 

 《E・HERO ワイルドマン》

 効果モンスター

 ☆4 地属性 戦士族

 ATK1500 DEF1600 攻撃表示

 

 これで十代のフィールドにレベル4のモンスターが二体並んだ。

 

「レベル4のバブルマンとワイルドマンでオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!!」

 

 バブルマンとワイルドマンが光に変換され、新たなモンスターが形成されていく。

 

「――新たな英雄よ、逆境を跳ね返す力をその手に、平和への礎となれ! エクシーズ召喚!! 現れろ、《№39希望皇ホープ》!!」

 

 《№39希望皇ホープ》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 肩に39という数字を刻んだ二刀の光の戦士が降臨した。

 

「これが噂のエクシーズモンスターか。しかし、攻撃力2500ではアルティメットの攻撃力には遠く及ばんぞ」

「へへっ、三沢の受け売りだけど、力が全ての時代はもう終わったんだ」

「ふぅん、粋なことを言う。なら、見せてみるがいい」

「行くぜ、バトルフェイズ! 俺は希望皇ホープで、アルティメットドラゴンに攻撃!!」

「なにっ! 攻撃力の低いホープで攻撃してくるだと!?」

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500 VS《青眼の究極竜》 ATK4500

 

「ホープの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、攻撃を無効にする!」

「わざわざ効果を使って攻撃を無効にするだと!?」

「この瞬間、速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》発動! モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターは攻撃するダメージステップの間、攻撃力を二倍にしてもう一度攻撃が出来る!」

「それが狙いか!」

 

 ホープの攻撃力が二倍になったことで、攻撃力はアルティメットを超える。二刀の剣を構えて、ホープがアルティメットに向かって特攻していった。

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500→5000 VS《青眼の究極竜》 ATK4500

 

「ならば、墓地の《復活の福音》の効果を発動! 自分フィールドのドラゴン族モンスターが戦闘、効果で破壊される場合、代わりにこのカードを墓地から除外することで無効にする!」

「くっ、だがダメージは受ける!」

「フン、安いものよ」

 

 カイバーマン LP2300→1800

 

 だが、ここでアルティメットを倒せなかったのは正直痛すぎる。《ダブル・アップ・チャンス》の効果は永続ではない。バトルが終わった今、攻撃力は元の数値に戻っていた。

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK5000→2500

 

「……俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 十代 手札1枚 LP500

 フィールド ホープ

 魔法・罠 リバース1枚

 

 VS

 

 カイバーマン 手札0枚 LP1800

 フィールド アルティメット

 魔法・罠 未来融合

 

 

「俺のターン! このスタンバイフェイズ、未来融合の効果で《F・G・D》が俺のフィールドに現れる!」

 

 既に二ターンが経過し、大きな光が集まると同時に、五つの首を持つ巨大な龍が出現していく。

 

 《F・G・D》

 効果モンスター 融合

 ☆12 闇属性 ドラゴン族

 ATK5000 DEF5000 攻撃表示

 

「くっ、ファイブゴッドまで……」

「二ターン耐えたのは褒めてやる。だが、この二体の攻撃を受けきれるか? 俺は《F・G・D》で希望皇ホープに攻撃!!」

 

 《F・G・D》 ATK5000 VS《№39 希望皇ホープ》 ATK2500

 

 攻撃力の差は二倍――当然、受ければ十代のライフはゼロになる。

 

「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動! このカードを墓地から除外し、相手の攻撃を一度だけ無効にする!」

「《ネクロ・ガードナー》だと!? そうか、《天使の施し》で、既に墓地へ送っていたか! ならば、アルティメットの攻撃を受けて見ろ! アルティメット・バースト!!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK4500 VS《№39 希望皇ホープ》 ATK2500

 

 続く攻撃力4500の二の矢――これも凌がないと負けになってしまう。

 

「希望皇ホープの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、攻撃を無効にする! ムーン・バリア!」

「フン、それは読めている。だが、先にホープの効果を使わなかったということは、何かデメリット効果を持っているな?」

 

 普通なら墓地の効果はギリギリまで残しておく。先に《ネクロ・ガードナー》で攻撃を防いだのはカイバーマンからみれば怪しい動きだった。

 

「ご明察。ホープはオーバーレイユニットがない時に攻撃対象になると自壊する効果がある」

「なるほど、だから先に《ネクロ・ガードナー》で攻撃を防いだのか……センスは悪くない。俺はこのままターンを終了する」

 

 カイバーマン 手札1枚 LP1800

 フィールド アルティメット、《F・G・D》

 魔法・罠 未来融合

 

 VS

 

 十代 手札1枚 LP500

 フィールド ホープ

 魔法・罠 リバース1枚

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 何とか凌いでいるとはいえ、苦しい状況に違いはない。十代もここいらで勝負をかけるつもりのようで、改めて気合を入れていた。

 

「何か仕掛けてくるか?」

「俺は、希望皇ホープ一体でオーバーレイネットワークを再構築! 光の中より混沌と共に出でよ、希望の翼――カオスエクシーズチェンジ! 現れよ、《C№39希望皇ホープレイ》!!」

 

 《C№39希望皇ホープレイ》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 十代の新たなホープが出現する。これで攻撃されても自壊することはなくなったが、攻撃力はカイバーマンのモンスター達には及ばない。

 

「希望皇ホープレイの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、ターン終了時までこのカードの攻撃力を500アップし、相手フィールドのモンスター一体の攻撃力を1000ダウンさせる! 俺はアルティメットを選択!」

 

 ホープレイの効果により、お互いのモンスターの攻撃力に変動が起きる。

 

 《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK2500→3000

 《青眼の究極竜》 ATK4500→3500

 

「だが、攻撃力はまだこちらが上だぞ?」

「魔法カード、《H-ヒートハート》を発動! ホープレイの攻撃力を500ポイントアップする!」

 

 《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK3000→3500

 

「これで攻撃力は並んだ! いけっ、ホープレイ! アルティメットに攻撃だ! ホープ剣・カオススラッシュ!!」

「相打ち狙いか!? 迎え撃て、アルティメット! アルティメット・バースト!!」

 

 三つの首から放たれる滅びの一撃を、二刀の剣を駆使して切り裂いていく。

 

 《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK3500 VS《青眼の究極龍》 ATK3500

 

 しかし、攻撃力が同じ故、アルティメットの首を吹き飛ばすと同時にホープレイも爆散していった。

 

「この瞬間、罠カード、《ゼアル・アライアンス》! 自分フィールドの表側表示のエクシーズモンスターが戦闘又は相手の効果で破壊された場合、ライフを10になるように支払って発動!」

「ライフを10にするだと!?」

 

 十代 LP500→10

 

「自分の墓地から、『希望皇ホープ』モンスター一体を選んで特殊召喚し、デッキからカードを一枚選んでデッキの一番上に置く。そして、この効果で特殊召喚したモンスターは、攻撃力が二倍になり、効果では破壊されず、『ナンバーズ』以外のモンスターとの戦闘では破壊されない! 蘇れ、混沌の使者、希望皇ホープレイ!!」

 

 《C№39 希望皇ホープレイ》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 再び、ホープレイがフィールドに蘇る。

 同時に、攻撃力が二倍になり、効果で破壊されなくなる上、ナンバーズ以外とのモンスターの戦闘では無敵となった。

 

 《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK2500→5000

 

「くっ、《F・G・D》はナンバーズではない!」

「これでファイブゴッドも倒せる! いけっ、ホープレイ! ホープ剣・カオススラッシュ!!」

 

《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK5000 VS《F・G・D》 ATK5000

 

 攻撃力は同じ――だが、ホープレイはナンバーズ以外のモンスターでは戦闘破壊されないので、《F・G・D》だけが一方的に切り裂かされていく。

 

「これで、二体の強力モンスターは攻略したぜ!」

「やってくれる!」

「俺は、カードを一枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

 十代 手札0枚 LP10

 フィールド ホープレイ

 魔法・罠 リバース1枚

 

 VS

 

 カイバーマン 手札1枚 LP1800

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

 何とかカイバーマンの強力モンスター達を倒した十代だが、その代償もまた大きかった。

 残りライフは僅か10。効果ダメージは当然、低レベルモンスターのダイレクトアタックですら負けかねない状況だ。

 だが、その代わりにフィールドには攻撃力5000で、効果で破壊されず、ナンバーズ以外との戦闘では無敵のホープレイがいる。このまま一気に勝負をつけてやる――と、十代も意気込んでいた。

 

「俺のターン! 中々、心躍るデュエルだったが、そろそろ終焉と行こう。俺は墓地の《置換融合》の効果を発動! このカードを除外し、《F・G・D》をEXデッキに戻してカードを一枚ドローする!」

 

 しかし、この状況で尚、カイバーマンは引かない。遊矢の知る海馬もそうだった。あの人は基本的に、攻撃こそが最大の防御という考えでデュエルをしている。

 

「魔法カード、《龍の鏡》を発動! 自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族によって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスターを特殊召喚する。墓地の《青眼の亜白龍》三体をゲームから除外し、出でよ《青眼の究極亜竜》!!」

 

 召喚条件は、アルティメットと同じ、《青眼の白龍》三体融合だが、《青眼の亜白龍》には、フィールド・墓地で《青眼の白龍》として扱う効果があった。

 前にそれで痛い目を見ている遊矢は、そのことをしっかりと覚えている。

 

 《青眼の究極亜竜》

 効果モンスター 融合

 ☆12 光属性 ドラゴン族

 ATK4500 DEF3800 攻撃表示

 

 見た目は、ほぼアルティメットと違いがない。しかし、体の節々に青いラインのようなものが走っていた。

 

「さらに装備魔法、《再融合》を発動! ライフを800支払い、墓地の融合モンスター一体を復活させ、そのモンスターに装備する。蘇れ、《青眼の究極竜》!!」

 

 カイバーマン LP1800→1000

 

 カイバーマンのライフと引き換えに、墓地から再びアルティメットが復活し、オルタナティブと並んだ。

 

 《青眼の究極竜》

 通常モンスター 融合

 ☆12 光属性 ドラゴン族

 ATK4500 DEF3800 攻撃表示

 

「けど、まだ攻撃力はホープレイの方が上だ!」

「攻撃力が全ての時代は終わったのだろう? 俺は、オルタナティブ・アルティメットの効果を発動! 一ターンに一度、相手フィールドのカード一枚を破壊する!」

「《ゼアル・アライアンス》の効果で、ホープレイはカード効果で破壊されない!」

「そんなことは知っている! 俺が破壊するのは、貴様のリバースカードだ!」

「くっ!」

 

 オルタナティブ・アルティメットの効果で、十代のリバースカードが破壊されていく。

 

「フン、《蜃気楼の筒》か。相手モンスターが自分のモンスターに攻撃してきた時、相手に1000ポイントのダメージを与える速攻魔法……貴様、俺がアルティメットを《再融合》してくると読んでいたな?」

「……ああ、アンタならアルティメットを《再融合》してホープレイを超えてくると思った」

 

 十代もカイバーマンがこのまま素直に引き下がるとは考えていなかった。

 だが、攻撃力5000のホープレイに対応するにはどうしてもアルティメットが必要だ。とはいえ、既に《死者蘇生》や《復活の福音》と言った蘇生カード使っている以上、残る蘇生用の魔法カードは《早すぎた埋葬》か《再融合》くらいしか残っていない。

 どちらもライフコスト800を支払うカード。故に、もし攻撃をしてきたら《蜃気楼の筒》の効果でライフを削り切るつもりだった。

 

「正解だ。魔法カード、《受け継がれる力》を発動! オルタナティブ・アルティメットを墓地へ送り、アルティメットの攻撃力をその元々の攻撃力分アップさせる!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK4500→9000

 

 十代はカイバーマンの動きを読んでいた。読んでいて尚、カイバーマンはその上を行った。

 オルタナティブ・アルティメットは効果を使うと攻撃できないデメリットがあるが、それすら逆に攻撃力へと変換することで対処している。

 

「確かに、貴様の言う通り、力こそが全ての時代は終わったのかもしれん。だが、デュエルに力が必要なことに変わりはない! くらえ、アルティメットの攻撃! アルティメット・バースト!!」

 

 《青眼の究極竜》 ATK9000 VS《C№39 希望皇ホープレイ》 ATK5000

 

 ホープレイはナンバーズ以外との戦闘では破壊されないが、戦闘ダメージを受けない訳ではない。

 圧倒的な攻撃力が、ホープレイを貫いて十代の残りライフを削り切っていった。

 

「ぐおおおおおっ!!」

 

 十代 LP10→0

 

「粉砕! 玉砕! 大喝采!!」

 

 十代のライフがゼロになったことで、ソリッドビジョンが解除されていく。同時に、カイバーマンが勝利を喜んだ。

 全力を出し切って尚届かない高みを感じ、十代は気分良く大の字で倒れる。

 

「くっそー。つえー」

 

 しかし、その表情には久しぶりの笑みが浮かんでいた。それだけ楽しかったのだろう。

 ちなみに十代が《ゼアル・アライアンス》でデッキの一番上に持って行ったのは《ホープ・バスター》という、希望皇ホープモンスターがいる時、相手のフィールドの一番攻撃力が低いモンスターを破壊してその攻撃力分のダメージを与えるというカードだった。

 万が一、カイバーマンが守りに回った時、とどめをさせるように用意していたが、出番はなく終わっている。

 だが、見ている人間も気持ちよくなれるデュエルだった。十代も最初は少し固かったが、中盤からはいつも通りのデュエルが出来ていたように遊矢にも思える。

 

「己の力で立ち上がれるか? 立てれば良し、立ち上がれなければそれまでだ」

「立てるさ」

「まだ、負けを恐れるか? 負けを恐れれば、立ち止まるしかない。負けて勝て、遊城十代」

「ああ!」

 

 本当に、アンタ海馬社長じゃないんだよな?

 と、思わず遊矢がツッコミを入れそうになる。

 

「へへっ、遊矢、翔、隼人、万丈目。みんなごめん、俺はもう大丈夫だ」

「それは良かったが、貴様が負けたことで俺達は帰れなくなった訳だが?」

「あー……それは……」

「あの社長――じゃなかった。カイバーマン、どうにかなりませんか? っていない!?」

 

 気づけば、その場にカイバーマン所か、精霊の一人もいなくなっていた。

 同時に、また来た時同様に霧が濃くなっていき、脳内にカイバーマンの声が聞こえてくる。この世界は元の世界と密接に繋がっている故、強く念じろ――と。

 元の世界に戻りたい。

 強く念じた訳ではないが、そう願った次の瞬間には、全員温泉の縁に全裸で倒れていた。疲れを取るために温泉に行ったのに、何故か疲れたのは気のせいではないだろう。

 だが、十代の張りつめていた気持ちはほぐれたようだし、そういう意味ではきっと行って良かったのだと思いたい。残る五人のセブンスターズとの戦いに思いを馳せながら、遊矢はデュエルアカデミアへと帰ることにした。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・#34『湯煙旅情! 青眼の白龍』より、カイバーマンにボコボコにされた。
 今回は普通のアルティメットを使いたかったのでこうなった。なかなか良いデュエルになった。

・十代も大分回復した。
 とりあえず、普通のデュエルが問題なくできるくらいには回復した。十代は地縛神の直撃を受けていないので、まだ回復が早い方。


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