三沢とタニアの怪我はかなり大きいものだった。デュエルアカデミアの保健室では手当てしきれないということで、校長がヘリをチャーターして本土の病院へと送っている。
亮も一歩間違えば本土の病院行きだったこともあり、鮎川先生からは改めて怪我をしないように注意されたが、闇のデュエルをする以上、怪我をしないというのは地縛神を出させずにノーダメージで勝つ以外になく、相手の強さを考えるとかなり厳しい注文だった。
結局、タニアが意識不明の重体だったため、遊矢との約束は守られなかったが、まだセブンスターズは四人も残っているということで改めて気を引き締めている。
タニアのように、闇のデュエルに否定的なセブンスターズだと、いろいろ話が通しやすいのだが、中にはダークネスやカミューラのように好戦的な敵も多いだろう。
それでも、ナンバーズの謎を解くために、何とかカミューラの呪いを解こうと一生懸命になる遊矢だったが、そこにアナシスと名乗る大金持ちの男が、三幻魔のカードを求めてデュエルアカデミアにやってきた。
自前の潜水艦の上から、三幻魔のカードを賭けて闇のデュエルをしろというアナシスを見て、遊矢達は新たなセブンスターズが来たことを理解する。
アナシスは対戦相手に万丈目を指名してきた。また、今回は海底でデュエルをするということで、アナシスの潜水艦で海底の特設デュエルステージまで向かう。当然、遊矢、十代、明日香も、同じ七精門の鍵を守る仲間として一緒に海底まで付き合うことにした。
海底のデュエルステージは壁全てがガラスで出来ており、海の底が一望できるようになっている。
しかし、デュエルステージに入れるのは、あくまでデュエルをするアナシスと万丈目だけということで、遊矢と十代、明日香の三人はアナシスの潜水艦で待機になり、モニター越しに万丈目を応援することになった。
初の闇のデュエルということで、モニター越しでも万丈目が緊張しているのがわかる。だが、対するアナシスは特に気負った様子もなく、普通にデュエルディスクを構えていた。見た目はそこまで強そうには見えないが、やはり相手はセブンスターズということだろう。
「「デュエル!!」」
そんな中で、デュエルは始まった。先行は万丈目ということで、デッキから手札を引いていく。
同時に、デュエルステージが暗闇に包まれていった。思わず、万丈目も「始まったか!」と声を上げる。
「俺のターン! 俺はモンスターを裏守備表示でセット、カードを一枚伏せてターンを終了する!」
万丈目 手札4枚 LP4000
フィールド セット1体
魔法・罠 リバース1枚
VS
アナシス 手札5枚 LP4000
フィールド なし
魔法・罠 なし
万丈目の一ターン目は無難な立ち上がりだった。
相手がどんなデッキで来るかわからない初動では、下手に展開しても崩される危険がある。十代のように、毎回融合するのはかなりリスキーな行動だ。そういう意味で、万丈目は大人な運びをしてくれるので見ていて安心だった。
「それで、このゲームで負けた者はどうなるんだ?」
自分のターンを終えた万丈目が、アナシスにそう質問する。対するアナシスは何を言っているかわからないというような顔をしていた。
「どう?」
「聞き方が変だったか。お前が勝ったら何を望む?」
「だから、三幻魔のカードだって言ってるっちゅーの!」
「そうじゃない! 闇のゲームの定番だろう! 負けたら人形にされたり、カードに魂を封印されたり! まぁ、中にはタニアのように闇のゲームに興味が薄い奴もいたが……」
「えっ? いや、海のデュエルにそんなルールは……」
「……海のデュエル?」
今、アナシスはハッキリと「海」と言った。
まさか――という表情をする万丈目に遅れて、潜水艦内にいる三人も理解する。実は、アナシスがデュエルを申し込んできた時、潜水艦の上からマイクを使って話しかけていたのだが、そのせいで音がたまにハウリングして聞こえづらい時があったのだ。
遊矢達はてっきりまたセブンスターズが闇のデュエルを申し込んできたと勘違いしていたが、あれは海のデュエルを申し込んでいたらしい。
「やみ、と、うみを聞き間違えるなんて、我ながらベタ過ぎにも程があるわ……」
「ちょっと待った! でも、今、デュエルが始まった瞬間、辺りが暗く――」
暗くなったじゃないか――と、十代が言い切る前に、潜水艦の船員が「ドームの停電直りました!」と、副船長らしき人物に報告している。
「ハハハ、じゃあ、やっぱり俺達の勘違いだったんだ……」
遊矢が苦笑いでモニターに視線を戻すと、万丈目もアナシスとの会話で真実を理解したようだった。
また、アナシスは勝てば三幻魔のカードが貰えると勘違いしているみたいだったので、三幻魔を封じている七精門について教え、仮にこのデュエルに勝ったとしても、アナシスの望みは叶わないことを教えてやる。
聞けば、アナシスの目的は金に物を言わせて、この海底に真のデュエルアカデミアを作ることだったらしい。
三幻魔はそのシンボルとして欲しがっていたようで、入手が困難とわかると、今度は万丈目にその矛先を向けていた。万丈目を新たなシンボルにすると言っている。
いわば、デュエルアカデミアでいう亮の立ち位置だ。亮はカイザーという名称で、全国に名が知れ渡ったデュエリストである。
知名度という点だと、万丈目は亮に少し劣るかもしれないが、少し前のデュエルアカデミア本校とノース校の対抗戦で十代に勝って万丈目も名を上げていた。
特にあのデュエルは万丈目グループによって全国放送されており、アナシスもそれを見ていたのだろう。今回のデュエル相手に指定したのもそのために違いない。
「で、お前いくらだ?」
「いくらだと?」
「そうだ。百万か? 一千万か? 一億か?」
「馬鹿馬鹿しい。貴様の泥船に乗るつもりはない」
「そうか、なら仕方ねぇ……が、お前さっき俺に「お前が勝ったら何を望む?」と聞いてきたな?」
「まさか――」
「そのまさかよ。俺がこのデュエルに勝ったら、お前に俺の作る真のデュエルアカデミアのシンボルになって貰うっちゅーの!」
万丈目としては、もう戦う意味もないのでデュエルを止めようと思っていたのだろう。しかし、相手がレートを吊り上げてきたことによって、もう引くことが出来なくなっていた。
「楽しくなってきたっちゅーの。俺のターン、ドロー!」
そう笑顔でアナシスがカードを引いた瞬間――その笑みが凍り付いた。
同時に、潜水艦内にいる遊矢と十代が、モニター越しでも負のオーラを感じ取る。また、目の前の万丈目も、感覚的に何かが起きたことを察した。
「万丈目! 逃げろ、ナンバーズだ!」
「アナシスから急にナンバーズの気配がする! そのデュエルは危険だ!!」
今の今まで異常がなかったのに、急にその力は現れた。まるで、今まで力を隠して見つからないようにしていたかのように。
「馬鹿を言うな! この俺様が逃げる訳がないだろう! ナンバーズだろうと何だろうと叩き潰してやる!」
「けど、万丈目……」
「お前は前に一度ナンバーズに……」
「あの時と今の俺は違う! 今の俺は、一、十、百、千、万丈目サンダーだ!!」
マイク越しに何とかデュエルを止めようとする二人だったが、万丈目の決意は固かった。
上手く話についていけていない明日香だが、ナンバーズという人を操るカードの存在は、噂話程度には聞いたことがあり、二人の様子からそれは真実なのだということを察する。
「――わかった。一度使ったことのあるお前ならわかってると思うけど、ナンバーズは基本的にナンバーズでしか戦闘破壊できない。効果破壊を狙いつつ、相手のライフをゼロにしてくれ」
結局、遊矢が折れる形で、デュエルは続行することになった。こちらの話し合いが終わったとわかると、アナシスもデュエルを進めていく。
「俺は手札から《深海のディーヴァ》を召喚だっちゅーの!」
《深海のディーヴァ》
効果モンスター チューナー
☆2 水属性 海竜族
ATK200 DEF400 攻撃表示
下半身が魚で上半身が女性――まるで人魚の歌姫のようなモンスターが現れた。
海底でデュエルをしたり、海底にアカデミアを作ろうとしているだけあって、デッキも海に関わるカードが多いのだろう。
「《深海のディーヴァ》の効果発動! このカードが召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスター一体を特殊召喚するっちゅーの! 出でよ、《深海のミンストレル》!」
《深海のミンストレル》
効果モンスター チューナー
☆3 水属性 海竜族
ATK1200 DEF1500 攻撃表示
再び下半身が魚で上半身が女性のモンスターが現れる。しかし、今度はどちらかというと詩人のような感じで、芸術に詳しそうな見た目をしていた。
「さらに、フィールド魔法、《深海の都 マガラニカ》を発動! このカードはルール上、《海》として扱い、このカードの効果処理としてデッキから水属性モンスター一体をデッキの一番上に置くことが出来るんだっちゅーの!」
そう言って、二枚目の《深海のディーヴァ》をデッキの一番上に置く。これで、次のターンも、同じように展開するつもりなのだろう。
「さらに、マガラニカの二つ目の効果を発動! 自分フィールドの水属性モンスター一体のレベルをターン終了時まで一つか二つ上げる! 俺は《深海のディーヴァ》のレベルを一つ上げるっちゅーの!」
《深海のディーヴァ》 ☆2→3
「これで、レベル3のモンスターが二体……!」
「俺は、レベル3の《深海のディーヴァ》と《深海のミンストレル》でオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築するっちゅーの!」
早速、エクシーズを仕掛けてくる。予想以上に、モンスターを並べるのが早すぎて万丈目も打つ手がないようだった。
「エクシーズ召喚! 出でよ、ランク3! 《№17リバイス・ドラゴン》!!」
《№17リバイス・ドラゴン》
効果モンスター エクシーズ
ランク3 水属性 ドラゴン族
ATK2000 DEF0 攻撃表示
二体の深海モンスターをオーバーレイユニットに変換し、全身青色で六枚羽のドラゴンが降臨する。
しかし、ドラゴンではあるが、どちらかというとリヴァイアサンに近い。海竜族ではないが、そちら寄りのドラゴンにも見えた。
「来たな、ナンバーズ!」
「リバイス・ドラゴンの効果を発動! 一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、攻撃力を500ポイントアップさせるんだっちゅーの!」
《№17リバイス・ドラゴン》 ATK2000→2500
「純粋にパワーを上げる効果か!」
「バトル! リバイス・ドラゴンで、セットモンスターに攻撃! バイス・ストリーム!!」
リバイス・ドラゴンの口から流水が放たれ、万丈目のセットモンスターである《仮面竜》が表側表示になっていく。
《№17リバイス・ドラゴン》 ATK2500 VS《仮面竜》 DEF1100
守備力1100で耐えきれるはずもなく、《仮面竜》が消し飛ばされた。しかし、守備表示故にダメージはない。
「《仮面竜》の効果発動! このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚する!」
おそらく、《アームド・ドラゴンLV3》を呼び出すつもりなのだろう。しかし、デッキをめくっていく万丈目の手は止まらなかった。
「あれ?」
もう一度、デッキを確認していく。しかし、何故かデッキに《アームド・ドラゴンLV3》のカードはない。それ所か、レベル5、レベル7、レベル10の姿もなかった。
しかし、代わりに見たこともないカードがデッキに入っている。これ以上、デュエルを遅延させる訳にも行かず、仕方なく万丈目はそのモンスターをフィールドに召喚した。
「い、いでよ! 《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》
効果モンスター
☆3 風属性 ドラゴン族
ATK1200 DEF900 守備表示
それはアームド・ドラゴンであって、アームド・ドラゴンではなかった。
姿形やステータスは前のアームド・ドラゴンと同じだが、効果が全く変わっており、おまけに手に雷を貯めているのか、バリバリと放電させている。
「アームド・ドラゴン……」
「サンダー……?」
だが、驚いたのは万丈目だけではなかった。
十代と明日香が、なんだそれはと言わんばかりの声を出している。微妙にマイクに音が乗ったのか、万丈目が「俺だって知らん! 何故か、デッキのアームド・ドラゴンが全部変わっていたんだ!!」と、大声を出していた。
しかし、この中で唯一遊矢だけが、その現象に心当たりがあったため、冷静でいることが出来ている。
数年前、まだこの次元に来る前、自分がズァークの一部だとも知らなかった頃、チャンピオンのストロング石島とのデュエルで、ピンチだった自分のカードが変化したあの時と一緒だったのだ。
ペンデュラムが作られたあの瞬間と。
「万丈目! カードを信じろ! お前のデッキはお前を裏切ったりしない!」
だから、遊矢に出来るのは信じさせることだけだった。カードはデュエリストを移す鏡のようなものだ。信じられなくなると、プレイする自分までもが曇ってしまう。
「わかっている! 俺は俺のデッキを信じる! 《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》はフィールド・墓地に存在する限り、《アームド・ドラゴンLV3》として扱う!」
だが、無用な心配だったらしい。どうやら、吹っ切ったようで普通にプレイをしている。
「さぁ! まだ貴様のターンだぞ!」
「俺はカードを二枚伏せてターン終了だっちゅーの」
アナシス 手札2枚 LP4000
フィールド リバイス・ドラゴン
魔法・罠 マガラニカ リバース2枚
VS
万丈目 手札4枚 LP4000
フィールド サンダーLV3
魔法・罠 リバース1枚
「俺のターン、ドロー! 俺は《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》の効果を発動! 手札からモンスター一体とフィールドのこのカードを墓地に送り、手札、デッキからレベル5以下の『アームド・ドラゴン』モンスター一体を特殊召喚する!」
前の《アームド・ドラゴンLV3》は、スタンバイフェイズになると進化する受動的な効果だったが、サンダーになったことで、手札モンスターコストこそいるが能動的に進化が出来るようになっていた。
「出でよ、《アームド・ドラゴン・サンダーLV5》!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV5》
効果モンスター
☆5 風属性 ドラゴン族
ATK2400 DEF1700 攻撃表示
やはり、サンダーになっても姿形は大きく変わっていない。レベル3同様に、ステータスもほぼ同じだが、効果が別物になっており、手がバリバリと放電していた。
「《アームド・ドラゴン・サンダーLV5》もまた、フィールド・墓地に存在する限り、《アームド・ドラゴンLV5》として扱う! さらに、LV3の進化で手札から墓地に送った、二枚目の《アームド・ドラゴン・サンダーLV5》の効果を発動!」
どうやら、手札コストにしたのは今フィールドに出ているのと同じサンダーカードだったらしい。
「このカードがドラゴン族モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、デッキからレベル5以上のドラゴン族・風属性モンスターを手札に加える! 俺は《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》を手札に!」
まるで、相互補完されている効果だった。自身の進化に二枚目の自身を使えば、実質ノーコストで進化が出来ている。
「そして、今手札に加えた《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》をコストに、《アームド・ドラゴン・サンダーLV5》の効果を発動! このカードもLV3と同じく、自身と手札のモンスターを墓地に送り、レベル7以下の『アームド・ドラゴン』モンスター一体を特殊召喚する!」
本家のアームド・ドラゴンはLV5からは手札のモンスターを捨て、その攻撃力以下のモンスターを破壊する単体破壊効果があったが、サンダーになったことでその効果はなくなり、代わりに共通効果として手札コストで進化する効果が追加されているようだ。
「出でよ、《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》
効果モンスター
☆7 風属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF1000 攻撃表示
やはりこちらも姿形、ステータスは変わらないが、効果が変わっている。おまけに、前のLV3やLV5と同じく手が放電しており、その規模も進化と共に大きくなっていた。
「《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》もまた、フィールド・墓地に存在する限り、《アームド・ドラゴンLV7》として扱う! さらに、LV5の進化で手札から墓地に送った、二枚目の《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》の効果を発動!」
まるで、一つ前の焼き直しだ。
「このカードがドラゴン族モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、デッキから『アームド・ドラゴン』モンスターを手札に加える! 俺は二枚目の《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》を手札に!」
手札コストで進化しているはずなのに手札が減っていない。
「そして、今手札に加えた《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》をコストに、《アームド・ドラゴン・サンダーLV7》の効果を発動! このカードもLV5と同じく、自身と手札のモンスターを墓地に送り、レベル10以下の『アームド・ドラゴン』モンスター一体を特殊召喚する!」
本家のアームド・ドラゴンはLV7からは手札のモンスターを捨て、その攻撃力以下のモンスターを全て破壊する全体破壊効果があったが、サンダーになったことでその効果はなくなり、やはり共通効果として手札コストで進化する効果が追加されているらしい。
本家のアームド・ドラゴン程、破壊力はないが、《レベルアップ!》もなしに、一気に最終レベルまで進化出来てしまう能力は破格だった。
「出でよ、《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》
効果モンスター
☆10 風属性 ドラゴン族
ATK3000 DEF2000 攻撃表示
ワンターンで、アームド・ドラゴンの最終形態までたどり着いている。姿形やステータスは当然変わらないが、その効果が今までで一番変化していた。
おまけに、もはや放電が手に留まらず、体の至る所が発電し、まさに雷の化身と化している。
「さらに、LV7の進化で手札から墓地に送った、二枚目の《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》の効果を発動! このカードがドラゴン族モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、デッキからカードを一枚ドローする!」
これで、実質手札コストなしで、アームド・ドラゴン・サンダーはLV10となった。
「《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》の効果発動! 『アームド・ドラゴン』モンスターの効果で特殊召喚したこのカードは、自身の攻撃力の数値によって効果を得る。攻撃力が1以上の時、カード名を《アームド・ドラゴンLV10》として扱う。攻撃力が10以上の時、このカードのコントロールは変更されない。攻撃力が100以上の時、このカードは戦闘では破壊されない。攻撃力1000以上の時、相手ターンに一度、手札を一枚墓地へ送り、フィールドの他のカード一枚を破壊し、攻撃力を1000アップする」
一、十、百、千で効果が追加されていく。まさに、万丈目サンダーそのものと言っていい効果だった。
「そして、このカードの攻撃力が10000以上の時、一ターンに一度、フィールドの他のカード全てを破壊する!」
効果を聞いた十代が、「一万は流石に難しいか」と呟く。しかし、マイクに乗っていないはずのその声はしっかりと万丈目に届いていた。
「10000が難しい? あまり万丈目サンダーを舐めるなよ、見せてやろうじゃないか! 10000ポイントの効果を! 俺は永続魔法、《武装竜の震霆》を、LV10を対象に発動!」
十代とのデュエルでも使ったカードだ。《武装竜の震霆》は対象にしたモンスターのレベル×100攻撃力を上げるか、対象にしたモンスター以下のレベルを持つ『アームド・ドラゴン』モンスターを墓地から回収する効果を持っている。
「俺は攻撃力を上げる効果を選択。これで、LV10の攻撃力は1000ポイントアップ!」
《アームド・ドラゴン。サンダーLV10》 ATK3000→4000
「さらに俺は魔法カード、《武装竜の襲雷》を発動! このカードを発動するターン、俺はドラゴン族モンスターしか召喚出来ないが、自分フィールドのアームド・ドラゴンモンスター一体を対象に、その同名モンスター一体をデッキ・墓地から選び手札に加えるか召喚条件を無視して特殊召喚する! 俺は二体目のLV10を、召喚条件を無視して特殊召喚!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》
効果モンスター
☆10 風属性 ドラゴン族
ATK3000 DEF2000 攻撃表示
デッキから二体目のLV10が呼び出されていく。しかし、このカードは『アームド・ドラゴン』モンスターの効果で特殊召喚されていないが故、効果を使用できなかった。
「《武装竜の襲雷》の効果で特殊召喚したモンスターは直接攻撃できないが、必要なのは攻撃力だ! 魔法カード、《受け継がれる力》を発動! 今出したLV10を墓地に送り、その元々の攻撃力を、強化しているLV10の攻撃力に加える!」
十代や三沢も利用しているカードだ。どうやら万丈目も採用しているようだった。
遊矢にしてみれば、アド損カードに思えるが、これでさらに攻撃力を3000アップしたのは間違いない。
《アームド・ドラゴン。サンダーLV10》 ATK4000→7000
しかし、既にリバイス・ドラゴンを上から殴り殺せる数値になっているが、10000に拘る万丈目は止まらなかった。
「魔法カード、《死者蘇生》! このカードの効果で、二枚目のLV10を墓地より蘇らせる!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》
効果モンスター
☆10 風属性 ドラゴン族
ATK3000 DEF2000 攻撃表示
墓地より、再びLV10が復活する。だが、やはりアームド・ドラゴンモンスターの効果で特殊召喚されていないが故、効果を使用できなかった。
「そして、罠カード、《武装竜の万雷》! 自分のフィールドのLV10を対象に発動! 対象のモンスターの攻撃力を、そのモンスターのレベル以下のレベルを持つ、自分の墓地のアームド・ドラゴンモンスターの種類×1000ポイントアップする!」
墓地にはLV3、LV5、LV7の三種類がいる。よって、攻撃力は3000ポイントアップした。
《アームド・ドラゴン。サンダーLV10》 ATK7000→10000
「これで、ピッタリ10000ポイントだ!!」
先に二体目のLV10を蘇らせたのは、おそらく攻撃力が10000ポイントを超えさせないためだろう。
別に11000でも問題ないと遊矢は思うが、万丈目には譲れないラインのようだった。
「まぁ、《武装竜の万雷》の対象になったモンスターが相手に与える戦闘ダメージはゼロになるが、もう関係ない! 行くぞ、《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》の効果発動! 攻撃力が10000以上の時、一ターンに一度、フィールドの他のカード全てを破壊する! 吹き飛ばせ、万丈目サンダーハリケーン!!」
攻撃力10000のLV10が持てる全ての雷エネルギーを放出する。流石のナンバーズでもこれは防げないようで、なすすべもなく破壊され、アナシスのリバースカードも吹き飛ばしていく。
伏せられていたのは、攻撃してきた相手モンスターを破壊する《聖なるバリア―ミラーフォース―》と、破壊された水属性モンスターを墓地から蘇生し、その数×500のダメージを与える《激流蘇生》だった。
どちらも今は発動条件を満たしていないが故に、そのまま破壊されていく。だが、それに留まらず、LV10は万丈目のフィールドのカードも破壊していった。
「おっと、永続魔法《武装竜の震霆》の効果! 自分フィールドの『アームド・ドラゴン』モンスターが効果で破壊される場合、代わりにこのカードを墓地へ送ることが出来る! これで、二体目のLV10は無事だ」
攻撃力10000のLV10は《武装竜の襲雷》のデメリットで戦闘ダメージを与えられない以上、メインの火力となるのは墓地から蘇った方のLV10だ。流石に万丈目もその辺りは考慮しているらしい。
「しかし、このターンで決め切れないのは締まりが悪いな。俺は魔法カード、《貪欲な壺》を発動! 墓地のモンスター五体をデッキに戻して、カードを二枚ドロー!」
墓地から、《仮面竜》、LV3二体、LV5、LV7の五体が回収され、手札を増やしていく。
「速攻魔法、《武装竜の霹靂》を発動! デッキからレベル3の『アームド・ドラゴン』モンスター一体を守備表示で特殊召喚する! 来い、《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》!!」
《アームド・ドラゴン・サンダーLV3》
効果モンスター
☆3 風属性 ドラゴン族
ATK1200 DEF900 守備表示
これで攻撃力の合計は4000を超えたが、守備表示では攻撃できない。
「俺はこのターン、まだ通常召喚をしていない。攻撃力10000のLV10とLV3をリリースし、《光と闇の竜》をアドバンス召喚!!」
《光と闇の竜》
効果モンスター
星8 光属性 ドラゴン族
ATK2800 DEF2400 攻撃表示
ペガサスから渡された万丈目のエースモンスターが降臨する。しかし、とどめを刺すためとはいえ、攻撃力10000のLV10をあっさりリリース要員にしてしまう万丈目はやはりすごい奴だった。
十代も、「10000をリリース? 勿体ねぇ……!」と言っているように、普通はそれだけの攻撃力があればフィールドに残したくなるのが心情だ。
「さて、いろいろあったが、デュエルを終わりにするか……」
「待て、お前のライフ1000ポイントを一千万で買い取ろう。どうだ? 悪い話じゃないだろう?」
「ふっ、ナンバーズに操られて尚、そこまで自我が残るのも貴様だけだろうな。だが、答えはノーだ! 仮に何億積まれたとしても、俺はデュエルに情けなどかけはしない!!」
桁が万から億になっているのは、やはり万丈目財閥のお坊ちゃん故に金銭感覚なのだろう。
アナシスを操っているナンバーズも、もうどうしようもないと判断したのか、すっかり黙り込んでしまった。
「バトルだ! 《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》と《光と闇の竜》でダイレクトアタック! 合体攻撃! 万丈目サンダーブレス!!」
LV10が稲妻のエネルギーを、《光と闇の竜》に渡し、そのエネルギーをブレスに変換していく。主の無茶ぶりにしっかりと応える素晴らしいカード達だった。
《アームド・ドラゴン・サンダーLV10》 ATK3000 &《光と闇の竜》 ATK2800 VSアナシス LP4000
「どああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」
アナシス LP4000→0
万丈目の勝利と共に、ソリッドビジョンが解除され、アナシスが倒れていく。これまでのナンバーズに操られた人達同様、しばらくは気を失ったままだろう。
仕方ないとばかりに、万丈目がアナシスを担いで潜水艦に戻ってくる。戦利品であるリバイス・ドラゴンのカードは遊矢に渡され、また遊矢から研究所へ送られることになった。
原作との変化点。
・#38『水中デュエル! 伝説の都アトランティス』より、対戦相手が万丈目に変更になった。
アナシスが対戦相手に選んだのは、学園対抗デュエルの勝者だったため、勝った万丈目に対象が変更になった。十代のデュエルがどんどん減っていくが、これも仕方なし。
・時間差ナンバーズ。
トロイの木馬式ナンバーズとして、ある程度デュエルが進んだらナンバーズが目覚めるようになっていた。相手を油断させるための一手。
・アームドドラゴンがサンダーになった。
精霊の力で変質した。各二枚ずつある。いずれ、変質していない通常のアームドドラゴンも揃えようと思った万丈目だった。通常は通常で使い道が多い。
・マガラニカ採用。
レベル調整が楽だったので採用。伝説の都も増えたもんだ。