榊遊矢のGX次元漂流記   作:おこむね

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#049 『《賢者の石サバティエル》発動!』

 三幻魔を使う影丸とのデュエル――何とか幻魔の猛攻を無事に凌ぎきり、ターンプレイヤーが十代から遊矢へと変わっていく。

 

「俺のターン、ドロー! 手札の《EMレディアンジュ》の効果! 手札のこのカードと《EMレディアンジュ》以外の『EM』モンスター、《EMクレイブレイカー》を墓地へ送り、カードを二枚ドローする!」

 

 まずは手札を入れ替え、体勢を整える。相手のフィールドには幻魔が二体もいる以上、中途半端な手段では返り討ちに合うだけだった。

 

「さらに、俺はセッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚! 現れろ、俺のモンスター達! 手札より、《EMペンデュラム・マジシャン》! EXデッキより、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!」

 

 《EMペンデュラム・マジシャン》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆4 地属性 魔法使い族

 ATK1500 DEF800 攻撃表示

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆7 闇属性 ドラゴン族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 また、一気に二体ものモンスターが同時に召喚されていく。これこそ、ペンデュラムの強みだった。

 

「墓地の《EMクレイブレイカー》の効果発動! このカードが墓地に存在し、自分が二体以上のモンスターを同時にペンデュラム召喚した時、墓地のこのカードを手札に加える!」

 

 再び、手札を増やしていく。

 

「さらに、《EMペンデュラム・マジシャン》の効果! このカードが特殊召喚に成功した時、自分フィールドのカードを二枚まで破壊し、その数だけデッキからペンデュラム・マジシャン以外の『EM』モンスターを手札に加える! 俺はペンデュラムゾーンの二体を破壊し、デッキから《EMドクロバット・ジョーカー》と《EMホタルクス》を手札に!」

 

 これで手札は四枚まで回復した。

 

「手札から、魔法カード《EMキャスト・チェンジ》を発動! 手札の『EM』を任意の数だけ相手に見せ、デッキに戻し、戻した数+一枚のカードをドローする! 俺は手札の《EMクレイブレイカー》と《EMホタルクス》をデッキに戻し、カードを三枚ドロー!」

 

 手札二枚からの大回転で、手札を倍に増やし、さらにはフィールドにモンスターも出している。

 大徳寺はまだペンデュラム自体にそこまで理解が及ばなかったが故に追求しなかったが、これもまた彼でいう所の錬金術の一端でもあった。

 

「手札から、《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚!」

 

 《EMドクロバット・ジョーカー》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆4 闇属性 魔法使い族

 ATK1800 DEF100 攻撃表示

 

 このデッキのキーとでもいうべきモンスターが呼び出されていく。

 

「さらにドクロバット・ジョーカーの効果発動! このカードが召喚に成功した時、デッキから『EM』、『オッドアイズ』モンスター、『魔術師』ペンデュラムモンスターのいずれか一体を手札に加える! 《相克の魔術師》を手札に!」

 

 これで、準備は全て整った。

 

「俺は手札から魔法カード、《死者蘇生》を発動! 墓地の《EMユニ》を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 《EMユニ》

 効果モンスター

 ☆4 光属性 獣戦士族

 ATK800 DEF1500 攻撃表示

 

 墓地から再びユニを呼び出す。しかし、壁モンスターとして呼んだわけではなく、必要なのはモンスター効果の方だった。

 

「《EMユニ》の効果! このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンに一度、手札からレベル3以下の『EM』モンスター一体を攻撃表示で特殊召喚する! 俺は手札のレベル2、《EMソード・フィッシュ》を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 《EMソード・フィッシュ》

 効果モンスター

 ☆2 水属性 魚族

 ATK600 DEF600 攻撃表示

 

 これで、遊矢のフィールドのモンスターゾーンがすべて埋まる。

 

「《EMソード・フィッシュ》の効果発動! このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールド全てのモンスターの攻撃力、守備力を600ポイントダウンする!」

 

 これはモンスターの対象を取る効果ではないので、《失楽園》でも防ぐことは出来なかった。

 

 《神炎皇ウリア》 ATK4000→3400

 《降雷皇ハモン》 ATK4000→3400

 

「俺は、レベル4の《EMペンデュラム・マジシャン》と《EMユニ》でオーバーレイ! 漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ!」

 

 二体のモンスターでオーバーレイネットワークが構築され、モンスターがエクストラデッキから特殊召喚される。

 

「――エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 闇属性 ドラゴン族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 相手の攻撃力の半分を奪う強力な効果を持っているドラゴンだが、モンスター対象を取る効果故に、今は《失楽園》の効果でその効果も使えなくされていた。

 

「フハハハハ、だがせっかく呼び出したダーク・リベリオンも今はただの置物だな!」

「俺は、《EMソード・フィッシュ》の更なる効果発動! このカードがモンスターゾーンに存在し、モンスターが特殊召喚された時、相手フィールド全てのモンスターの攻撃力、守備力を600ポイントダウンする!」

「何だと!?」

 

これで再びウリアとハモンの攻撃力は600ダウンする。

 

 《神炎皇ウリア》 ATK3400→2800

 《降雷皇ハモン》 ATK3400→2800

 

「それでも、まだ我が三幻魔の方が攻撃力が上!」

「さらに、俺はスケール3の《相克の魔術師》とスケール8の《相生の魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング! ただし、相手より自分のフィールドカードの枚数が多いため、《相生の魔術師》のスケールは4となる!」

 

 《相生の魔術師》 Pスケール8→4

 

 これではスケールが合わずにペンデュラム召喚は出来ない――否、そもそもこのターン、既にペンデュラム召喚をしているので、もう遊矢はペンデュラム召喚をすることは出来なかった。

 

 だが、ペンデュラム召喚を行うことが出来ずとも、ペンデュラム効果を使用することは出来る。

 

「対立を見定める《相克の魔術師》よ! その鋭利なる力で、異なる星を一つにせよ! 《相克の魔術師》のペンデュラム効果! 一ターンに一度、自分フィールドのエクシーズモンスター一体は、このターンの終わりまでそのランクと同じ数値のレベルのモンスターとして扱う!」

 

 これにより、ダーク・リベリオンはレベル4モンスターとしても扱うことが出来るようになった。

 応援組の半分は見覚えのある効果に目を見開く。しかし、切り札を遠慮なく出していることから、遊矢がこのデュエルにそれだけ本気で挑んでいるかということがわかった。

 

「和合を見定める《相生の魔術師》よ! その神秘の力で、天高く星を掲げよ! 《相生の魔術師》のペンデュラム効果! 一ターンに一度、自分フィールドのエクシーズモンスター一体と、レベル5以上のモンスターを一体選び、そのエクシーズモンスターのランクはターン終了時まで選んだレベル5以上のモンスターのレベルの数値と同じになる!」

 

 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》 ランク4→7

 

 遅れて影丸も理解する。これで、実質レベル7のモンスターがフィールドに二体並んだということに。

 

「俺は、レベル7の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と、レベル7として扱う《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》でオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」

 

 エクシーズモンスターを使ったエクシーズ召喚――モンスター一体を再構築してのエクシーズチェンジではなく、エクシーズモンスターを普通のモンスターとして利用することでエクシーズを行うというその凄さに、この召喚を見たことがない組は言葉を失う。

 

「――二色の眼の竜よ、深き闇より蘇り、怒りの炎で地上の全てを焼き払え!!」

 

 また、覇王黒竜が出て来ると思っていた十代も、口上が違うことで別のモンスターを呼び出そうとしていることに遅れて気が付いた。

 

「エクシーズ召喚! 出でよ、ランク7! 災い呼ぶ烈火の竜、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》!!」

 

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》

 効果モンスター エクシーズ ペンデュラム

 ランク7 闇属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

 これまで、緊急時以外で自重していた最強のドラゴンを呼び出す。地味に十代は初見ということで、「覇王、烈竜……!」と驚いた声を出していた。

 

「俺は、《EMソード・フィッシュ》の効果発動! このカードがモンスターゾーンに存在し、モンスターが特殊召喚された時、相手フィールド全てのモンスターの攻撃力、守備力を600ポイントダウンする!」

 

 これで、さらに攻撃力がダウンする。

 

 《神炎皇ウリア》 ATK2800→2200

 《降雷皇ハモン》 ATK2800→2200

 

「くっ、三幻魔を……よくも……!」

「まだだ! オッドアイズ・レイジング・ドラゴンの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、一ターンに一度、相手フィールドのカードを全て破壊する!!」

「なに! フィールドのカード全てだと!?」

 

 フィールド魔法、《失楽園》の効果で三幻魔が破壊されることはないが、それをサポートする魔法・罠カードは破壊されてしまう。

 

「ぐっ! 俺のカードが……!」

 

 破壊されたのは《失楽園》、《ハイパーブレイズ》の二枚だが、これで対象を取れるようになり、効果破壊も出来る上、毎ターンの蘇生もなくなった。

 

「オッドアイズ・レイジング・ドラゴンは、ターン終了時まで破壊したカード一枚につき200ポイント攻撃力がアップする! 破壊したカードは二枚。よって、攻撃力は400ポイントアップする!」

 

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》 ATK3000→3400

 

 オッドアイズ・レイジング・ドラゴンの攻撃力が上がったが、同時に相手フィールドのカードを破壊したことで墓地に永続罠が送られたため、ウリアの攻撃力も上がる――ように思えるが、ウリアの攻撃力上昇効果は永続効果のため、攻撃力が下がった時点で攻撃力の数値が上書きされ、以後墓地に永続罠カードが増えても攻撃力変動は起きない裁定だった。

 

「だが、貴様の攻撃モンスターで倒せるのは一体が限度のはず――」

「そうでもない。オッドアイズ・レイジング・ドラゴンは一ターンに二度攻撃できる!」

「馬鹿な、一ターンに二度の攻撃だと!?」

 

 軽く言う遊矢だが、改めて一ターンに一度、相手フィールドを全破壊した上で二回攻撃が出来るというのはチートである。

 勿論、呼び出すこと自体が難しいという欠点はあるが、それを補って尚余りある効果を有していた。

 

「バトルだ! オッドアイズ・レイジング・ドラゴンで、ウリアとハモンに攻撃! 憤激のデストラクション・バースト!!」

 

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》 ATK3400 VS《神炎皇ウリア》 ATK2200

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》 ATK3400 VS《降雷皇ハモン》 ATK2200

 

 二体の幻魔が、破壊の光に飲み込まれて破壊されていく。

 

「ぐおおおおおおおぉぉぉっ!!」

 

 影丸 LP8000→6800→5600

 

「さらに、《EMドクロバット・ジョーカー》でダイレクトアタック!!」

 

 幻魔がいなくなったことで影丸のフィールドもからになり、残りのモンスターでも攻撃が可能となった。

 

 《EMドクロバット・ジョーカー》 ATK1800 VS影丸 LP5600

 

「ぐぬぅぅっ!!」

 

 影丸 LP5600→3800

 

「最後に続けて、《EMソード・フィッシュ》でダイレクトアタック!!」

 

 低級のモンスターだが、塵も積もれば山になるとばかりにダメージを与えていく。

 

 《EMソード・フィッシュ》 ATK600 VS影丸 LP3800

 

「ぐおおっ、ぬぅぅぅん!!」

 

 影丸 LP3800→3200

 

 しかし、これだけ殴られて尚、影丸からは闘志が消えていない。まだ逆転できると確信しているのだ。

 

「俺は、これでターンエンド! そして、オッドアイズ・レイジング・ドラゴンの攻撃力は元に戻る」

 

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》 ATK3400→3000

 

 

 遊矢 手札0枚 LP4100

 フィールド レイジング、ジョーカー、ソード

 魔法・罠 なし

 ペンデュラム 相克、相生

 

 VS

 

 影丸 手札4枚 LP3200

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 

 

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズに《キラー・スネーク》を墓地より回収!」

 

 一筋縄ではいかない。改めて、影丸は気を引き締め直した。

 

「俺は手札から魔法カード、《鳳凰神の羽根》を発動! 手札を一枚捨て、墓地の《ハイパーブレイズ》をデッキトップに戻す」

 

 捨てたのは、当然、《キラー・スネーク》である。

 

「さらに、《強欲な壺》を発動! カードを二枚ドロー!」

 

 これで、《ハイパーブレイズ》が手札へと戻った。次のターンから、幻魔を復活させようという狙いだろう。

 

「俺は手札から《混沌の召喚神》を召喚!」

 

 《混沌の召喚神》

 効果モンスター

 ☆1 闇属性 悪魔族

 ATK0 DEF0 攻撃表示

 

 全身黒く、羽の生えた悪魔がフィールドに現れた。見た目だけなら、竜のようにも見えるが、顔はまるでフルフェイスマスクでも被っているかのようにのっぺらぼうで、逆に不気味さを感じる。

 

「教えてやろう。《混沌の召喚神》の恐ろしい効果を――このカードをリリースすることで、手札から三幻魔一体を、召喚条件を無視して特殊召喚することが出来る!」

 

 そう言って、影丸は手札の最後の幻魔をこちらに見せてきた。

 

「本来、このカードの特殊召喚には、自分フィールドの悪魔族を三体リリースする必要があるが、それも一体で済むということだ! 出でよ、最後の幻魔――《幻魔皇ラビエル》!!」

 

 《幻魔皇ラビエル》

 効果モンスター

 ☆10 闇属性 悪魔族

 ATK4000 DEF4000 攻撃表示

 

 最後の幻魔が降臨する。全身が青く、まさに悪魔の化身とでもいうべき姿をしていた。これで影丸は、三体全ての幻魔を呼び出したことになる。

 

「これが、最後の幻魔か」

「当然のように攻撃力4000かよ」

 

 流石のオッドアイズ・レイジング・ドラゴンも、相手ターンで攻撃力4000が飛び出して来てはどうすることもできなかった。

 

「墓地に送られた《混沌の召喚神》の効果を発動! 墓地のこのカードをゲームから除外し、デッキから《失楽園》を手札に加える! 二枚目の《失楽園》を手札に!」

「くそ、またかよ!」

「せっかく破壊したのに!」

「フハハハハ、いくらでも騒ぐがいい! フィールド魔法、《失楽園》発動! 幻魔が一柱、ラビエルがフィールドに存在することでカードを二枚ドロー!」

 

 これで、影丸の手札は一気に三枚となる。

 

「最高の引きだ! 永続魔法、《王家の神殿》を発動! このカードの効果で、俺は罠カードをセットしたターンに発動できる! 《ハイパーブレイズ》を発動!」

 

 この《王家の神殿》というカードもエラッタ前なので、遊矢の世界では禁止カードとなっていた。エラッタされたことで、一ターンに一度の制限がついたが、それがない今、相手は罠カードを好きなだけ発動できる。

 救いなのは、影丸の手札が後一枚ということだった。とりあえず、このターンは罠を無制限に展開してくるということはないだろう。

 

「《ハイパーブレイズ》の効果で、手札を一枚捨て、墓地の《降雷皇ハモン》を墓地から召喚条件を無視して特殊召喚する! 甦れ、ハモン!!」

 

 《降雷皇ハモン》

 効果モンスター

 ☆10 光属性 雷族

 ATK4000 DEF4000 攻撃表示

 

 ウリアを呼び出しても良かったが、墓地に《EMユニ》がいると仮定すれば戦闘ダメージは与えられない。ならば、戦闘破壊によって効果ダメージを狙えるハモンを優先的に戻すというのが影丸の狙いのようだった。

 

「バトルフェイズ! 《降雷皇ハモン》で、《EMソード・フィッシュ》を攻撃! 失楽の霹靂!!」

 

 《降雷皇ハモン》 ATK4000 VS《EMソード・フィッシュ》 ATK600

 

 雷がソード・フィッシュを襲う。この攻撃が通れば、3400のダメージに効果ダメージ1000で、文句なくライフを削り切られる。が――

 

「墓地の《EMユニ》の効果! このカードと《EMコン》をゲームから除外することで、自分が受ける戦闘ダメージを一度だけゼロにする!」

「ならば、ハモンの効果! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、相手に1000ポイントのダメージを与える! 地獄の贖罪!!」

 

 当然、遊矢はダメージを防いできた。

 しかし、戦闘ダメージはゼロにしても、モンスターが破壊されなかったわけではない。ソード・フィッシュが墓地へ行ったことでハモンの効果が発動する。

 

「ぐああああああああああああぁぁぁっ!!」

 

 遊矢 LP4100→3100

 

「続けて、《幻魔皇ラビエル》で、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を攻撃! 天界蹂躙拳!!」

 

 《幻魔皇ラビエル》 ATK4000 VS《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》 ATK3000

 

 ラビエルの拳が覇王烈竜を殴り飛ばし、真正面から打ち砕いていく。

 遊矢としても、覇王烈竜をフィニッシャーとして出すことが多いので、真正面から打ち倒されるのを見るのはこれが初めてだった。

 

「ぐぅっぅぅぅっ!!」

 

 遊矢 LP3100→2100

 

「これでライフは逆転! これでターンエンドだ!」

 

 

 影丸 手札2枚 LP3200

 フィールド ラビエル、ハモン

 魔法・罠 《失楽園》、《王家の神殿》《ハイパーブレイズ》

 

 VS

 

 遊矢 手札0枚 LP2100

 フィールド ジョーカー

 魔法・罠 なし

 ペンデュラム 相克、相生

 

 

「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《強欲な壺》! デッキからカードを二枚ドローする!」

 

 何とか態勢を立て直そうと、十代も壺で手札を増やしていく。

 

「遊矢、モンスターを借りるぜ! 俺も《死者蘇生》を発動! 墓地の《EMペンデュラム・マジシャン》を特殊召喚する!」

 

 《EMペンデュラム・マジシャン》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆4 地属性 魔法使い族

 ATK1500 DEF800 攻撃表示

 

 ペンデュラムモンスターは普通墓地には行かないが、前のターンにダーク・リベリオンのオーバーレイユニットになったことで、墓地へと送られていた。

 とはいえ、このモンスターで幻魔が倒せるはずもない。だが、これでフィールドにレベル4のモンスターが二体並んだ。

 

「俺はレベル4のペンデュラム・マジシャンとドクロバット・ジョーカーで、オーバーレイ!! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!! 新たな英雄よ、逆境を跳ね返す力をその手に、平和への礎となれ! エクシーズ召喚! 現れろ、《№39希望皇ホープ》!!」

 

 《№39希望皇ホープ》

 効果モンスター エクシーズ

 ランク4 光属性 戦士族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 光の戦士が闇を切り裂かんと剣を振る。

 

「バトルだ! 希望皇ホープで《降雷皇ハモン》に攻撃! ホープ剣・スラッシュ!!」

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500 VS《降雷皇ハモン》 ATK4000

 

 攻撃力の低いホープで攻撃を仕掛けるということはまず間違いなく、十代はあのカードを持っている――見ている誰もが、それを理解していた。

 

「この瞬間、希望皇ホープの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、自身の攻撃を無効にする! さらに、速攻魔法、《ダブル・アップ・チャンス》を発動! モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を二倍にしてもう一度攻撃が出来る!」

 

 これにより、攻撃力を5000にして攻撃をすることができ、幻魔ですら倒せるようになる。

 

 《№39希望皇ホープ》 ATK2500→5000 VS《降雷皇ハモン》 ATK4000

 

 ホープの剣がハモンを切り裂き、再び幻魔を墓地へと送り返した。

 

「くぅぅぅぅっ!!」

 

 影丸 LP3200→2200

 

「メインフェイズ2で、墓地の《置換融合》の効果発動! 墓地のこのカードをゲームから除外し、融合モンスター、フレイム・ウイングマンをEXデッキに戻してカードを一枚ドローする!」

 

 出来ることは全てやろうと、十代はここでさらに手札を増やしていく。

 

「俺はモンスターをセット、カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 十代 手札0枚 LP2100

 フィールド ホープ セット1体

 魔法・罠 リバース1枚

 ペンデュラム 相克、相生

 

 VS

 

 影丸 手札2枚 LP2200

 フィールド ラビエル

 魔法・罠 《失楽園》、《王家の神殿》、《ハイパーブレイズ》

 

 

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズに《キラー・スネーク》が手札に戻る! そして、《ハイパーブレイズ》の効果で、戻った《キラー・スネーク》を捨て、《神炎皇ウリア》を復活!」

 

 《神炎皇ウリア》

 効果モンスター

 ☆10 炎属性 炎族

 ATK0 DEF0 攻撃表示

 

 再びウリアが復活する。先程とは違い、相手にリバースカードがある今、ウリアの方が攻めるのに便利だと考えたのだろう。

 同時にウリアも自身の効果で攻撃力を上げていく。

 

 《神炎皇ウリア》 ATK0→4000

 

「この瞬間、速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動! ゲームから除外されているモンスターを三体まで墓地に戻す――《EMユニ》、《EMコン》を墓地に戻すぜ!」

 

 だが、十代もウリアの効果発動前にリバースカードを発動させることで難を逃れた。

 

「ちっ、ならばフィールド魔法、《失楽園》の効果で、カードを二枚ドロー!」

 

 リバースカードが消えたことで、ウリアを呼んだ意味も消えたが、このドローでさらに起死回生のカードを引き当てる。

 

「フハハハハ、いいカードを引いた! まずは魔法カード、《マジック・プランター》を発動! 《ハイパーブレイズ》を墓地へ送り、カードを二枚ドロー!」

 

 手札が一気に六枚まで回復していく。

 

「続けて、カードを一枚伏せ、《王家の神殿》の効果で即座に発動する! 手札を一枚捨て、罠カード、《ブービートラップE》を発動! さらにチェーンで、速攻魔法、《非常食》を発動! 《ブービートラップE》を墓地に送りライフを1000回復する!」

 

 影丸 LP2200→3200

 

「そして、《ブービートラップE》の効果で、墓地の永続罠を自分フィールドにセットできる! さらにセットしたカードはそのターンに発動が可能。まぁ、《王家の神殿》がある今、この効果はおまけだがな! 俺は、《ハイパーブレイズ》をセットする!」

 

 前もって発動した《マジック・プランター》によって、《ブービートラップE》の効果発動時には、《ハイパーブレイズ》は既に墓地に送られているため、セットが可能となっていた。

 

「永続罠、《ハイパーブレイズ》発動! 手札を一枚捨て、墓地の《降雷皇ハモン》を墓地から特殊召喚する!」

 

 一度墓地を経由したことによって、再び効果が発動可能となる。これで影丸は全ての手札を使い切ったが、フィールドに三幻魔を全て揃えた。

 

 《降雷皇ハモン》

 効果モンスター

 ☆10 光属性 雷族

 ATK4000 DEF4000 攻撃表示

 

「フハハハハハ、三体揃った! 三体揃ったぞー!!」

 

 目の前の影丸の姿が再び変化していく。30代くらいの見た目は、さらに若く20台くらいまで戻り、肉体にも張りが出てさらに力強くなっている。

 同時に、万丈目の《光と闇の竜》の結界もかなり力を失ったようで、輝きがどんどん消え始めていた。

 

「やはり、精霊の力を吸収して自分の肉体を活性化させているのか……!」

 

 先程、幻魔が二体揃った時に、老人から若者に姿を変えた時からそうではないかと感じていたが、二回目にして遊矢も確信を得る。

 

「その通り! そして、このデュエルで精霊の力を強く持つお前らを倒し、その力を奪った時こそ、俺は三幻魔を完全に従え、全てのデュエルモンスターズの精霊から力を奪い、永遠の命を手にするのだ!」

 

 それはつまり、デュエルモンスターズからカードが消え――滅ぶということだった。

 

「そんなもののために、デュエルモンスターズを滅ぼそうというのか!?」

「そんなこと、絶対許さねぇ!!」

「ならば、俺を止めるのだな! 吠えることが許されるのは勝者のみだ!」

 

 そう言って、影丸はカードの効果を発動させていく。

 

「バトルフェイズ! 俺は《幻魔皇ラビエル》で希望皇ホープに攻撃! そして、この瞬間、手札の《幻魔皇ラビエル―天界蹂躙拳》の効果発動! このカードを手札から捨てたターン、《幻魔皇ラビエル》の攻撃力は二倍となり、全てのモンスターに一度ずつ攻撃が出来る!」

 

 《幻魔皇ラビエル》 ATK4000→8000 VS《№39希望皇ホープ》 ATK2500

 

 明らかなオーバーキル。十代としては当然攻撃を防ぐしかない。

 

「希望皇ホープの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、相手の攻撃を無効にする! ムーンバリア!!」

 

 だが、それは当然影丸も理解していた。

 

「防いだな。だが、貴様の希望皇ホープは、オーバーレイユニットがない状態で攻撃されると自壊する効果がある。既に攻撃を仕掛けたラビエルで追撃はできないが、残り二体の幻魔の攻撃は受けきれまい!」

「くっ!」

 

 墓地に戻した《EMユニ》の効果でも、攻撃を受けるのは一回が限度。どうやっても、三幻魔全ての攻撃を防ぐことは不可能だった。

 

「ラビエルでセットモンスターを攻撃! 天界蹂躙拳!!」

 

 《幻魔皇ラビエル》 ATK8000 VS《ハネクリボー》 DEF200

 

 しかし、ここで救世主が現れる。

 

「ぐっ、精霊のカードか!」

 

 セットされていた《ハネクリボー》が表側表示になり十代の盾となって破壊されていく。

 だが、《ハネクリボー》の効果は破壊され墓地へ送られた場合、以後の戦闘ダメージをゼロにするというもの――これで、続く幻魔達の攻撃も凌ぐことが出来た。

 

「っ、サンキュー、《ハネクリボー》!」

「チッ、ならばハモンでホープを攻撃対象に取り破壊する!」

 

 《降雷皇ハモン》 ATK4000 VS《№39希望皇ホープ》 ATK2500

 

 オーバーレイユニットを全て失っているため、バトルに入るまでもなくホープは爆散していく。おかげで、ハモンの効果ダメージを受けなくても済んでいた。

 

「フン、俺はこれでターンエンドだ」

 

 どうやら、《ハネクリボー》の効果を説明しなくても、攻撃が意味をなさないと理解しているようで、影丸はそのままターンをエンドする。

 しかし、ユニやホープ、《ハネクリボー》の効果といい、どうも影丸はこのデュエルに挑む際に、ある程度の情報は集めてきているらしい。

 墓守次元で一度使っただけの覇王烈竜は知られていないみたいだが、デュエルアカデミア内で使用したカードはほぼ知られていると考えてデュエルするべきだろう。

 

 

 影丸 手札1枚 LP3200

 フィールド ラビエル、ウリア、ハモン

 魔法・罠 《失楽園》、《王家の神殿》、《ハイパーブレイズ》

 

 VS

 

 十代 手札0枚 LP2100

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 ペンデュラム 相克、相生

 

 

「俺のターン!」

 

 相手のフィールドには幻魔が全て揃っている。この状況を覆すには、どうすればいいか――ドローカードを確認しながら、遊矢が頭を働かせていく。

 

「俺は手札から魔法カード、《ペンデュラム・ホルト》を発動! EXデッキに表側表示のペンデュラムモンスターが三種類以上存在する場合、カードを二枚ドローする!」

 

 ただし、このカードの発動後、ターン終了時まで遊矢はデッキからカードを手札に加えることが出来なくなった。

 

「さらに、手札から魔法カード、《シャッフル・リボーン》を発動! 自分のフィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のモンスター一体を特殊召喚する! 甦れ、オッドアイズ!」

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆7 闇属性 ドラゴン族

 ATK2500 DEF2000 攻撃表示

 

 フィールドにオッドアイズが蘇る。

 本来、ペンデュラムモンスターであるオッドアイズは墓地になかなかいかないが、前のターンで覇王烈竜が破壊された際、オーバーレイユニットとなっていたことで墓地に送られていた。

 

「さらにセッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚! 現れろ、俺のモンスター達! EXデッキより、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》! 《星読みの魔術師》!」

 

 《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》

 効果モンスター エクシーズ ペンデュラム

 ランク7 闇属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

 《星読みの魔術師》

 効果モンスター ペンデュラム

 ☆5 闇属性 魔法使い族

 ATK1200 DEF2400 守備表示

 

 覇王烈竜はエクシーズモンスターだが、ペンデュラムモンスターでもあるので、レベル7のモンスターとしてペンデュラム召喚が可能となっている。

 しかし、正規の方法で召喚した訳ではないので、当然のようにオーバーレイユニットはなく、またモンスター効果も発動することは出来なかった。

 

「《相克の魔術師》のペンデュラム効果! 一ターンに一度、自分フィールドのエクシーズモンスター一体は、このターンの終わりまでそのランクと同じ数値のレベルのモンスターとして扱う! 俺は《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》をレベル7として扱う!」

「またエクシーズ召喚か!?」

「その通り! 俺はレベル7の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と、レベル7として扱う《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》で、オーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」

 

 エクシーズモンスターを素材する覇王烈竜をさらに素材にするという荒業で、遊矢はさらなるモンスターを呼び出していく。

 

「――二色の眼の龍よ! その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ!! エクシーズ召喚! 出でよ、ランク7! 怒りの眼輝けし竜! 《覇王黒龍オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》!!」

 

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》

 効果モンスター エクシーズ ペンデュラム

 ランク7 闇属性 ドラゴン族

 ATK3000 DEF2500 攻撃表示

 

 覇王烈竜からの覇王黒竜――しかし、攻撃力は3000のため、このままでは幻魔に太刀打ちすることは出来ない。

 

「《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》の効果発動! このカードがエクシーズモンスターを素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、相手フィールドのレベル7以下のモンスターを全て破壊し、破壊した数×1000ポイントのダメージを与える! オーバーロード・ハウリング!!」

「フン、俺の幻魔は全てレベル10! 効かんな!」

「効かなくても問題ない! この効果を使用した《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》は、一ターンに三回攻撃が出来る!」

 

 あくまで破壊効果と効果ダメージはおまけに過ぎなかった。真の狙いは攻撃回数の追加にある。

 

「手札から装備魔法、《月鏡の盾》を発動! このカードの装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、装備モンスターの攻撃力・守備力は、戦闘を行うモンスターの攻撃力か守備力の内、高い方の数値+100になる!」

 

 簡単に言えば、三幻魔よりも攻撃力が100高い数値になるということだった。これで三回攻撃によって全ての幻魔を倒すことが出来る。

 

「バトルだ! 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》で三幻魔に攻撃! 反旗の逆鱗ストライク・ディスオベイ!!」

 

 覇王黒竜の咢に稲妻が迸り、三体の幻魔に向かって真っすぐ突っ込んでいく。

 三体の幻魔の攻撃力・守備力の最大値は全て4000――よって、覇王黒竜の攻撃力はダメージ計算時に+100の4100へと変化し相手を破壊する。

 

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》 ATK3000→4100 VS《神炎皇ウリア》 ATK4000

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》 ATK3000→4100 VS《降雷皇ハモン》 ATK4000

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》 ATK3000→4100 VS《幻魔皇ラビエル》 ATK4000

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉっ!!」

 

 影丸 LP3200→3100→3000→2900

 

「どうだ! 俺はこれでターンエンドだ!」

 

 

 遊矢 手札0枚 LP2100

 フィールド 覇王黒竜、星読み

 魔法・罠 《月鏡の盾》

 ペンデュラム 相克、相生

 

 VS

 

 影丸 手札1枚 LP2900

 フィールド なし

 魔法・罠 《失楽園》、《王家の神殿》、《ハイパーブレイズ》

 

 

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズに《キラー・スネーク》を墓地より回収し、《ハイパーブレイズ》の効果発動! 手札を一枚捨て、墓地より《降雷皇ハモン》を復活!」

 

 《降雷皇ハモン》

 効果モンスター

 ☆10 光属性 雷族

 ATK4000 DEF4000 攻撃表示

 

 やはり、永続罠、《ハイパーブレイズ》をどうにかしない限り、幻魔は永遠に蘇ってしまう。

 だが、《月鏡の盾》がある限り、戦闘で覇王黒竜が倒されることはない。

 

「《失楽園》の効果で、カードを二枚ドローする! フッ、戦闘で倒されないからこのターンは凌げる。そんな表情だなぁ、榊遊矢」

 

 ――はずだった。

 

「魔法カード、《ハリケーン》発動! お互いのフィールドの魔法・罠を全て手札に戻す!」

「なっ!?」

「そう、これで貴様の《月鏡の盾》も手札に戻る」

 

 ついでに、ペンデュラムゾーンの《相克の魔術師》と《相生の魔術師》も手札に戻り、十代のターンでペンデュラムが出来なくなってしまった。

 

「俺は、永続魔法、《王家の神殿》を発動し、再び《ハイパーブレイズ》をセットして発動! 手札を一枚捨て、墓地の《神炎皇ウリア》を復活させる!」

 

 《神炎皇ウリア》

 効果モンスター

 ☆10 炎属性 炎族

 ATK0 DEF0 攻撃表示

 

 これで、フィールドには再び二体の幻魔が並び立っている。

 

 《神炎皇ウリア》 ATK0→4000

 

「続けて、魔法カード、《苦渋の選択》を発動! デッキからカードを5枚選択し、相手はその中から1枚を選択する!」

 

 選ばれたのは二枚の《混沌の召喚神》と三枚の《幻銃士》だった。

 

「そして、相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる! さぁ、選べ!」

「……俺は、《幻銃士》を選択する」

 

 ほぼ二択だが、《混沌の召喚神》は幻魔を簡単に特殊召喚できる以上、実質一択である。

 

「魔法カード、《貪欲な壺》! 墓地の《混沌の召喚神》2体と、《幻銃士》2体、《キラー・スネーク》をデッキに戻し、カードを二枚ドローする!」

 

 肥えていなかった墓地も、《苦渋の選択》でモンスターを増やすことで発動条件を満たしていた。

 

「まだだ! 魔法カード、《死者転生》! 手札のカードを一枚捨て、墓地のモンスター一体を手札に加える! 墓地より《幻魔皇ラビエル》を手札に!」

 

 これで、準備は整ったと、影丸は笑みを浮かべる。

 

「手札から《幻銃士》を召喚!」

 

 《幻銃士》

 効果モンスター

 ☆4 闇属性 悪魔族

 ATK1100 DEF800 攻撃表示

 

 青い鋼殻の悪魔が現れた。背には二つの砲門を持ち、今にもこちらを狙ってきそうである。

 

「《幻銃士》の効果! このカードが召喚・反転召喚に成功した時、自分フィールドのモンスターの数まで《銃士トークン》を特殊召喚する!」

 

 今、《幻銃士》を含め、モンスターは三体。しかし、もう残りのモンスターゾーンは二か所しか空いていないため、二体のトークンが出現した。

 

 《銃士トークン》×2

 トークン

 ☆4 闇属性 悪魔族

 ATK500 DEF500 守備表示

 

「これでフィールドに悪魔族モンスターが三体揃った! 俺は《幻銃士》と《銃士トークン》をリリースし、《幻魔皇ラビエル》を特殊召喚!!」

 

 《幻魔皇ラビエル》

 効果モンスター

 ☆10 闇属性 悪魔族

 ATK4000 DEF4000 攻撃表示

 

 今度は正規の召喚条件で、ラビエルが復活する。

 前のターン、やっとの思いで倒した三幻魔が全て復活し、遊矢と十代に絶望を与えてきた。

 

「バトルだ! 《幻魔皇ラビエル》で、《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》に攻撃! 天界蹂躙拳!!」

 

 《幻魔皇ラビエル》 ATK4000 VS《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》 ATK3000

 

 ラビエルの拳で覇王黒竜が吹き飛ばされていく。《月鏡の盾》がなくなった今、幻魔に太刀打ちできる力は残っていない。

 

「ぐっ!!」

 

 遊矢 LP2100→1100

 

 覇王黒竜には破壊された場合にペンデュラムゾーンに移動できる効果を持っていたが、遊矢は敢えて効果を使用しなかった。

 もし、次に自分のターンが回ってきた場合、EXデッキから覇王黒竜を呼び出す可能性があるかもしれない。手札に相克と相生がいる以上、可能性はゼロではなかった。

 

「続けて、《降雷皇ハモン》で、《星読みの魔術師》に攻撃! 失楽の霹靂!!」

 

 《降雷皇ハモン》 ATK4000 VS《星読みの魔術師》 DEF2400

 

 雷が星読みを黒焦げにしていく。守備力の高い星読みも幻魔の前では壁になっていない。

 

「ハモンの効果! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、相手に1000ポイントのダメージを与える!」

「ペンデュラムモンスターは破壊されても墓地へは行かず、EXデッキに表側表示で加わる! よって、ハモンの効果は発動しない!」

 

 ハモンの効果はあくまで墓地に送られた場合なので、フィールドから墓地へ行かないペンデュラムモンスターには効果がなかった。

 

「チッ、なら最後の攻撃だ! 墓地の効果を使わないと受けきれんぞ! 《神炎皇ウリア》でダイレクトアタック! ハイパーブレイズ!!」

 

 《神炎皇ウリア》 ATK4000 VS遊矢 LP1100

 

 ウリアの炎が遊矢へと迫る。相手の思惑に乗るのは癪だが、使う以外の道がなかった。

 

「くっ、墓地の《EMユニ》の効果! このカードとレディアンジュをゲームから除外し、戦闘ダメージをゼロにする!」

 

 しかし、これで保険も使い切って、もう攻撃を防ぐ手段は何も残されていない。対する影丸のフィールドには攻撃力4000の幻魔が全て揃っていた。

 

「次のターンで終わりだな。俺はカードを一枚伏せてターンエンド!」

 

 フィールド魔法を発動させないということは、おそらくは《失楽園》をコストに使ったのだろう。

 これでドロー効果はなくなり、効果の対象にも取れる上、効果破壊も狙えるようになったが、問題はそれだけの余力が残っていないことだった。

 

 

 影丸 手札0枚 LP2900

 フィールド ラビエル、ウリア、ハモン

 魔法・罠 《失楽園》、《王家の神殿》、《ハイパーブレイズ》、リバース1枚

 

 VS

 

 遊矢 手札0枚 LP1100

 フィールド なし

 魔法・罠 なし

 ペンデュラム なし

 

 

 ターンが十代へと移っていく。残りライフは僅か――おそらく、このターンで決め切れなければ、十代と遊矢に勝ち目はない。それだけ、毎ターン復活してくる三幻魔は圧倒的な力を有していた。

 

「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《E-エマージェンシーコール》! デッキから『E・HERO』モンスター一体を手札に加える! 来い、バブルマン!」

 

 そのまま、手札に加わったバブルマンがフィールドに呼び出される。

 

 《E・HEROバブルマン》

 効果モンスター

 ☆4 水属性 戦士族

 ATK800 DEF1200 守備表示

 

「バブルマンは手札がこのカードだけの場合、特殊召喚できる! そして、召喚・特殊召喚された時、フィールドと手札に他のカードがない場合、デッキからカードを二枚ドローする!」

 

 ここで、遊矢が覇王黒竜をペンデュラムゾーンに移動させなかったことが生きてきた。

 勿論、完全に狙っていた訳ではない。でも、もしかしたらという可能性はあったのだ。

 

「このカードは……!」

 

 カードを引いた十代の表情に驚きが浮かぶ。

 

「……遊矢、カードを借りてもいいか?」

「ああ、全力で行け!」

「墓地の《シャッフル・リボーン》の効果発動! 墓地のこのカードを除外し、フィールドのカード一枚をデッキに戻してカードを一枚ドローする! バブルマンを戻して、カードを一枚ドロー!」

 

 ――やっぱり、と十代は呟いた。

 

「大徳寺先生は、あんたのことずっと心配してた。三幻魔の力に魅入られて道を誤ったアンタを助けようとしてたんだ!」

「フッ、所詮はあの男も計画遂行のためのコマに過ぎない」

「そうかよ! けど、そのコマの力でお前は負けるんだ! 俺は墓地の《EMコン》の効果を発動! 墓地のこのカードと《EMソード・フィッシュ》を除外し、ライフを500回復する!」

 

 十代 LP1100→1600

 

「そして、手札から魔法カード、《賢者の石サバティエル》発動!」

 

 それは大徳寺が十代に託したエメラルド・タブレットに入っていたカードだった。

 

「自分の墓地に『ハネクリボー』モンスターが存在する場合、ライフを半分払って発動! デッキから『融合』魔法カード、又は『フュージョン』魔法カード一枚を手札に加える!」

 

 十代 LP1600→800

 

「俺はデッキから、永続魔法、《未来融合―フューチャー・フュージョン》を手札に加え、そのまま発動! EXデッキの融合モンスター、《E・HEROマッドボールマン》を確認し、その融合素材モンスターであるバブルマンとクレイマンを墓地へ送る! そして、発動後、二回目の自分のスタンバイフェイズにそのモンスターを融合召喚する!」

「ふっ、二ターンなど与えん!」

「ああ、俺も待つ気はないぜ! 手札から二枚目の《賢者の石サバティエル》を発動! ライフを半分支払い、デッキから《ミラクル・フュージョン》を手札に加える!」

 

 十代 LP800→400

 

「まさか――」

 

 遊矢がいち早く察する。もしかして、バブルマンのドローから《シャッフル・リボーン》で引いたその全てのカードが《賢者の石サバティエル》だったのではないかと。

 

「手札から《ミラクル・フュージョン》を発動! 墓地のフェザーマン、バーストレディ、バブルマン、クレイマンをゲームから除外し、《E・HEROエリクシーラー》を融合召喚するぜ!」

 

 《E・HEROエリクシーラー》

 効果モンスター 融合

 ☆10 光属性 戦士族

 ATK2900 DEF2600 攻撃表示

 

 地・水・火・風――その全ての元素を一つにまとめ、十代がここに大徳寺との絆のモンスターを呼び出した。

 

「エリクシーラーの効果発動! このカードが融合召喚された時、ゲームから除外されている全てのカードをデッキに戻す!」

 

 このデュエルで除外された全てのカードがデッキに戻っていく。

 

「さらに、このカードの属性は『風』、『水』、『炎』、『地』としても扱い、相手フィールドに存在するこのカードと同じ属性のモンスター一体につき、攻撃力を300ポイントアップする!」

 

 今、影丸のフィールドには三幻魔が全て揃い、その中でエリクシーラーの属性と同じ属性のモンスターは二体居た。

 

 《E・HEROエリクシーラー》 ATK2900→3500

 

「そして、三枚目の《賢者の石サバティエル》の効果発動! ライフを半分支払い、デッキから《決闘融合―バトル・フュージョン》を手札に加える!」

 

 十代 LP400→200

 

 これで全ての賢者の石を使い切るが、同時に十代の攻撃準備も整う。

 

「墓地の《賢者の石サバティエル》の効果! このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地の《賢者の石サバティエル》三枚を除外し、フィールドのモンスター一体の攻撃力をターン終了時まで、フィールドで攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力分アップする!」

 

 当然、対象はエリクシーラーで、今フィールドで一番攻撃力が高いのは三幻魔だった。

 よって、エリクシーラーの攻撃力が4000ポイントアップする。

 

 《E・HEROエリクシーラー》 ATK3500→7500

 

「攻撃力7500だと!?」

 

 影丸のライフは残り2900。この攻撃が通れば逆転となる。

 

「バトルだ! エリクシーラーで、《幻魔皇ラビエル》を攻撃!!」

「甘いわ! 罠カード、《ハーフ・アンブレイク》を発動! 選択されたフィールド上のモンスター1体はこのターン戦闘では破壊されず、そのモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは半分になる!」

 

 当然、対象はラビエルだった。

 

「なら、こっちも速攻魔法、《決闘融合―バトル・フュージョン》発動! 自分フィールドの融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで相手モンスターの攻撃力分アップする!」

 

 《E・HEROエリクシーラー》 ATK7500→11500 VS《幻魔皇ラビエル》 ATK4000

 

 これで全て――と、ありったけをぶつけていく。

 

「攻撃力11500だと!?」

「これで終わりだ! 究極剣――サバティエル!!」

 

 賢者の石の光が大剣へと変化し、エリクシーラーがラビエルを一刀両断した。

 しかし、《ハーフ・アンブレイク》の効果でラビエルは破壊されず戦闘ダメージも半分になっている――が、それでも余りある攻撃力が、影丸の残り全てのライフを削り切り、このデュエルに決着をつけた。

 

「うわああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 影丸 LP2900→0

 

 ライフがゼロになると同時に、三幻魔も消え去っていく。また、三幻魔の実体化が解除されたことで、奪われた精霊たちの力も解放された。

 倒れる影丸から、奪った力が光となって抜けていく。限界だった《光と闇の竜》も何とか耐えきったようで、全員のカードも何とか無事だった。

 

「十代! やったな!」

「ああ、大徳寺先生が力を貸してくれたよ」

 

 そう笑ってカードを見せようとするが、そのカードは既にカードの形を成していなかった。

 

「あ、賢者の石のカードが……」

「消えていく……」

 

 まるで役割を終えたとばかりに、十代のデッキから《賢者の石サバティエル》のカードが消える。

 このカードがなければ、このターンで影丸を倒すことは出来なかった。大徳寺の思いが、影丸の野望を阻止したのだ。

 

「そうだ、影丸!」

 

 蹲っている影丸に駆け寄る十代と遊矢。

 三幻魔の力を失った影丸は、すっかり元の老人に戻ってしまっていた。この姿では、まともに立つことも出来ないと、影丸が十代に泣きついていく。

しかし、見た目もそうだが、性格が先程までとはまるで別人だ――もしかしたら、ナンバーズと同じく、影丸は三幻魔の持つ闇の力にずっと操られていたのかもしれない。だからこそ、大徳寺も遊矢と十代に、影丸を止めて欲しかったのだろう。

当の影丸も、よく見ると十代に抱き着きながらも、影丸は半分立ち上がっている。とても生体ポッドが必要なほど弱っているようには見えなかった。

 

「爺さんはまだ、元気だよ。自分の力で立ってみろよ」

 

 それに気づいた十代も影丸に立つように声をかける。影丸も、その言葉を信じてゆっくりと立ち上がった。

少しふらついてはいるものの、しっかりと自分の足で立てている。影丸も、自分がこのデュエルを通じて熱意と生気を取り戻したのだと嬉しそうにしていた。

 結局、影丸は三幻魔で世界を滅ぼしたかった訳ではない。ただ、このデュエルアカデミアで生活する生徒達のように、もう一度青春を謳歌したい、その一心だったのだろう。

 

 ヘリで帰っていく影丸を見送る。

 

 これで今度こそ、セブンスターズ――いや、三幻魔を巡る戦いは終わりを告げた。

 元の平和が戻り、十代達も嬉しそうにしている。しかし、十代達にはまだ進級試験という強敵が残っていた。

 現在7月上旬――来週には進級試験、その後は亮を始めとした三年生の卒業式が控えている。

 成績優秀なメンバーはともかく、レッド生である十代の成績では留年も有り得た。試験勉強を何もしていないということで、十代が頭を抱えている。その姿は、とても三幻魔を倒した一人には見えなかった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・#49『VS影丸(後編)三幻魔覚醒』より、アーミタイルはいない。
 影丸時代にはまだアーミタイルは存在していない。そのため、三幻魔をフィールドに揃えることに固執している。

・覇王烈竜からの覇王黒竜。
 これで倒せないって地味に三幻魔さんも強い。

・賢者の石使用前にコンの効果でライフを回復した理由。
 本来であれば、賢者の石を三回使った後にライフを500回復した方が回復量は上だが、ライフ600からの賢者の石発動は原作と同じだったため、そっちの方がエモいと思ったので先にライフを回復した。
 が、そもそもライフ調整をミスっていた件。もうめんどいからこれでいいや。

・エリクシーラー初登場。
 大徳寺はセイヴァーでとどめを刺したので地味に初登場。大徳寺との絆のモンスターとして影丸にとどめを刺した。

・時系列的に今は七月上旬。
 学園祭が六月中旬、みつお君のデュエル(カットした)は六月下旬、大徳寺とのデュエルが七月初めという感じで、七月終わりで一期は終わり、夏休みを挟んで九月に二期。まぁ、今回は一期までしか書いてませんけど。


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