進級試験も無事に終わり、三年生の卒業試験が終わる頃、デュエルアカデミア卒業記念模範デュエルまで後一週間に迫っていた。
模範デュエルとは、三年生の卒業を記念して、卒業生代表と在校生代表がデュエルをすることである。これは毎年恒例の行事であり、今年は亮が卒業生代表となっていた。
対戦相手は卒業生側が自由に決めていいということで、亮は相手として遊矢を指名したのだが、学校側が遊矢を指名することを認めず、今回は十代が相手となっている。
何故、遊矢は駄目なのか――その理由はノース校との対抗デュエルの時と同じく、半分教師みたいなものなので、模範デュエルの相手には相応しくないということだった。
とはいえ、亮も十代を妥協で選んだ訳ではない。自分が倒せなかったアムナエルを倒し、三幻魔を破った十代ならば、相手にとって相応しいと判断してのチョイスだった。
対する十代は、絶対に勝つと意気込んでいる。
何だかんだ亮と十代は、この一年に何度かデュエルをしているが、通算では僅かに亮が勝ち越していた。しかし、十代も今回のデュエルで通算の成績を五分に戻すつもりでいる。
だが、しばらくして、これがアカデミアでやる最後のデュエルだとわかると、何やら十代のやる気がから回っているようにも見えた。
このままでは十代にとっても、亮にとっても、いい結果にならなそうだったので、遊矢が少しお節介を焼く。結局、やることはいつもと変わらないと十代を諭すと、力んでいた自分に気付いたのか、「絶対勝つぜ」と、いつもの調子を取り戻していた。
――そして当日。
模範デュエルということで、亮から先攻か後攻かを選ばせてもらえることになり、十代は迷わずに先攻を選択していた。
「んじゃ、おっぱじめようぜ!」
「ああ、始めよう!」
「「デュエル!!」」
お互いにデュエルディスクを構え、カードを五枚引いていく。どちらも気負いのない自然体で、これならベストパフォーマンスが出せそうだった。
「俺のターン、ドロー! モンスターをセット、リバースカードを一枚セットしてターンを終了だ」
十代は無難な立ち上がりで最初のターンを終える。まずは様子見という感じだ。
十代 手札4枚 LP4000
フィールド セット1体
魔法・罠 リバース1枚
VS
亮 手札5枚 LP4000
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー! まずは魔法カード、《強欲な壺》でデッキからカードを二枚ドローする!」
開幕から手加減なしで手札を増やしていく。様子見の十代に対し、亮は最初から全力のようだった。
「相手フィールドにのみモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しないことで、《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚する!」
当然のように、相棒たる《サイバー・ドラゴン》がフィールドに出現する。
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
「さらに、《サイバー・ドラゴン・コア》を召喚!」
《サイバー・ドラゴン・コア》
効果モンスター
☆2 光属性 機械族
ATK400 DEF1500 攻撃表示
見た目は蛇のようで、中央のコアが赤く光っている機械の龍が呼び出されていく。
「このカードが召喚に成功した場合、デッキから『サイバー』魔法・罠カード、又は『サイバネティック』魔法・罠カード一枚を手札に加える。俺は、《サイバー・レヴシステム》を手札に!」
あのカードは、前にも見たことがあった。墓地の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚するカードだ。つまり、亮は《サイバー・ドラゴン》を墓地に送る予定があるということである。
「早速、《パワー・ボンド》で来るか!?」
「ふっ、そう慌てるな。《機械複製術》を発動! 自分のフィールドの攻撃力500以下の機械族モンスターと同名カードを、デッキから二体まで特殊召喚する!」
「コアを増やす気か……?」
「ここで、《サイバー・ドラゴン・コア》の永続効果が生きてくる。このカードは、フィールド・墓地では《サイバー・ドラゴン》として扱う!」
「なっ、つまり!?」
「そう、俺はデッキから二体の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚する!」
これで、フィールドには四体の《サイバー・ドラゴン》が並ぶことになった。
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
「俺は魔法カード、《置換融合》を発動! フィールドの二枚の《サイバー・ドラゴン》と、フィールド・墓地で《サイバー・ドラゴン》として扱う《サイバー・ドラゴン・コア》を融合し、《サイバー・エンド・ドラゴン》を融合召喚する!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆10 光属性 機械族
ATK4000 DEF2800 攻撃表示
フィールドに《サイバー・ドラゴン》を一体残しつつ、さらっとサイバー・エンドの召喚を決めていく。
サイバー・エンドには守備モンスターを攻撃した際に貫通ダメージを与える効果があるので、それを狙っているのだろう。
「バトルフェイズ! 《サイバー・エンド・ドラゴン》で、守備モンスターに攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
「その攻撃宣言時に、罠カード、《ドレイン・シールド》発動! サイバー・エンドの攻撃力分、ライフを回復させてもらうぜ!」
「ならば、速攻魔法、《融合解除》! サイバー・エンドの融合を解除し、素材モンスターをフィールドに戻す!」
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
《サイバー・ドラゴン・コア》
効果モンスター
☆2 光属性 機械族
ATK400 DEF1500 攻撃表示
効果対象がいなくなったことで、十代の《ドレイン・シールド》は不発となり無効化される。
「続けて、《サイバー・ドラゴン》で守備モンスターに攻撃! エヴォリューション・バースト!!」
攻撃を仕掛けられたことで、セットモンスターが表側表示になっていく。
《サイバー・ドラゴン》 ATK2100 VS《ハネクリボー》 DEF200
セットされていたのは《ハネクリボー》だった。当然、戦闘破壊されるが、この瞬間に効果が発動し、以後の戦闘ダメージはゼロになる。
「そう簡単に攻撃を通させてはくれないか……」
「まだまだこれからさ」
「では、こっちもさらに進むぞ。メインフェイズ2で、レベル5の《サイバー・ドラゴン》二体で、オーバーレイ! 二体の《サイバー・ドラゴン》でオーバーレイネットワークを構築!!」
「エクシーズ召喚か!」
カミューラ戦後から、一皮むけた亮とはまだ戦っていない。十代も、相手として見るのはこれが初めてだった。
「――エクシーズ召喚! 出でよ、ランク5! 《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》!!」
《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》
効果モンスター エクシーズ
ランク5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
灼熱の炎を纏った新たなドラゴンが降臨する。しかし、亮はまだ止まるつもりはなかった。
「さらに、《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》一体で、オーバーレイネットワークを再構築! エクシーズチェンジ! 出でよ、ランク6! 《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》!!」
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》
効果モンスター エクシーズ
ランク6 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
無限の名を冠するドラゴンへと昇華していく。このモンスターは一ターンに一度、カードの効果を無効にできる強力な効果を持っていた。
「インフィニティの効果! 一ターンに一度、フィールド上のモンスター一体を、自分のオーバーレイユニットにできる! 俺はコアをオーバーレイユニットに変換! そして、インフィニティの攻撃力は、オーバーレイユニットの数×200ポイントアップする!」
攻撃力の低いコアをオーバーレイユニットにすることで、インフィニティの攻撃力を上げながら追撃を阻止している。無駄のないタクティクスだった。
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》 ATK2100→2900
「俺は《アイアンドロー》を発動! 自分のフィールドが機械族の効果モンスター二体のみなので、カードを二枚ドローする!」
冷静に手札も回復していく。
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ。さぁ、いつでも攻めてこい!」
亮 手札3枚 LP4000
フィールド インフィニティ、サイドラ
魔法・罠 リバース1枚
VS
十代 手札4枚 LP4000
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー! 《カードガンナー》を召喚!」
《カードガンナー》
効果モンスター
☆3 地属性 機械族
ATK400 DEF400 攻撃表示
機械には機械とばかりに、十代も新たなモンスターを召喚していく。だが、インフィニティには一ターンに一度カード効果を無効にする力がある。まずは、インフィニティの無効効果を使わせないと話にならなかった。
「《カードガンナー》の効果発動! 一ターンに一度、デッキの上からカードを三枚まで墓地へ送り、送ったカードの数×500ポイント、ターン終了時まで攻撃力をアップする!」
当然、亮はスルーしていた。攻撃力を上げようと、《カードガンナー》でインフィニティはおろか、《サイバー・ドラゴン》ですら倒せない。
《カードガンナー》 ATK400→1900
「さらに、この効果で墓地に送られた《ダンディライオン》の効果発動! 《綿毛トークン》二体を守備表示で特殊召喚する!」
《綿毛トークン》×2
トークン
☆1 風属性 植物族
ATK0 DEF0 守備表示
偶然だが、《カードガンナー》の隣に、二つの綿毛がポッと生えてきた。
「続けて魔法カード、《ヒーロー・マスク》を発動! デッキからスパークマンを墓地へ送り、このターンのエンドフェイズまで《カードガンナー》をスパークマンとして扱う!」
モンスターの名称を変更させる効果に首を傾げつつも、亮はインフィニティの効果を温存していく。
「さらに装備魔法、《スパークガン》をスパークマンになっている《カードガンナー》に装備するぜ!」
「《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》の効果! オーバーレイユニットを一つ使い、《スパークガン》の発動を無効にして破壊する!」
亮は迷わなかった。《スパークガン》の効果は、表側表示モンスターの表示形式を変更するというもの。これで、インフィニティを守備表示にして戦闘破壊するつもりだったのは目に見えている。
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》 ATK2900→2700
「そう簡単にはいかないか……けど、これで、無効効果は使わせた! そして、自分のメインフェイズに相手効果が発動したことで、俺は魔法カード、《三戦の才》を発動! デッキからカードを二枚ドローするぜ!」
引いたカードを確認して、十代は笑みを浮かべた。
「ライフを1000支払い、手札から魔法カード、《簡易融合》を発動! EXデッキからレベル5以下の融合モンスター一体を融合召喚扱いで特殊召喚する! 来い、セイラーマン!」
十代 LP4000→3000
《E・HEROセイラーマン》
効果モンスター 融合
☆5 水属性 戦士族
ATK1400 DEF1000 守備表示
EXデッキからバブルマンとフェザーマンの融合体が飛び出してくる。
「さらに、魔法カード、《ワン・フォー・ワン》を発動! 手札からモンスター一体を墓地へ送り、デッキからレベル1モンスター一体を特殊召喚する! 来い、《アタック・ゲイナー》!」
《アタック・ゲイナー》
効果モンスター チューナー
☆1 地属性 戦士族
ATK0 DEF0 守備表示
これで、十代の手札は全て無くなったが、フィールドにモンスターが五体並んだ。
「俺は、レベル5のセイラーマンと、レベル1の《綿毛トークン》二体に、レベル1のチューナー、《アタック・ゲイナー》をチューニング! 星の海から流れ出でよ、世界を救う一条の光! シンクロ召喚!! 来い、レベル8!《閃珖竜 スターダスト》!!」
《閃珖竜 スターダスト》
効果モンスター シンクロ
☆8 光属性 ドラゴン族
ATK2500 DEF2000 攻撃表示
十代がまさかのシンクロ召喚を行い、会場中がざわめいていく。思えば、スターダストを見たことがあるのは、この中だと遊矢、翔、万丈目、明日香の四人だけだ。亮も話には聞いていたが、実際に見るのはこれが初めてだった。
「これが、噂に聞く《閃珖竜 スターダスト》か!」
「《アタック・ゲイナー》の効果発動! このカードがシンクロ素材として墓地へ送られた時、相手フィールド上の表側表示モンスター一体の攻撃力を1000ポイントダウンする!」
当然、効果対象はインフィニティであり、攻撃力が1000ポイント下がっていく。
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》 ATK2700→1700
「バトルだ! 《カードガンナー》で《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》を攻撃!」
《カードガンナー》 ATK1900 VS《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》 ATK1700
攻撃力が下がったことで、《カードガンナー》でもインフィニティが破壊可能となり、腕から電撃を飛ばして攻撃する。電気攻撃なのは、《ヒーロ・マスク》でスパークマンになっている名残だろう。
「くっ!」
亮 LP4000→3800
「続けて、《閃珖竜スターダスト》で、《サイバー・ドラゴン》に攻撃! シューティング・ブラスト!!」
《閃珖竜スターダスト》 ATK2500 VS《サイバー・ドラゴン》 ATK2100
スターダストのブレスが、《サイバー・ドラゴン》を真正面から破壊していく。
「ぐっ!!」
亮 LP3800→3400
「これで俺はターンエンドだ。同時に、《カードガンナー》の攻撃力も元に戻る」
《カードガンナー》 ATK1900→400
十代 手札0枚 LP3000
モンスター 閃珖竜、《カードガンナー》
魔法・罠 なし
VS
亮 手札3枚 LP3400
フィールド なし
魔法・罠 リバース1枚
「俺のターン、ドロー! 《貪欲な壺》を発動! 墓地の三体の《サイバー・ドラゴン》とノヴァ、インフィニティの五体をデッキに戻し、カードを二枚ドローする!」
亮も手札を回復させていく。
まだまだ勝負はこれからと言わんばかりだ。
「俺は、魔法カード、《サイバー・レヴシステム》を発動! 自分の墓地から《サイバー・ドラゴン》一体を特殊召喚する! また、この効果で特殊召喚したモンスターは効果で破壊されない! 蘇れ、コア!」
《サイバー・ドラゴン・コア》
効果モンスター
☆2 光属性 機械族
ATK400 DEF1500 攻撃表示
コアもフィールド・墓地では《サイバー・ドラゴン》として扱うため、レヴシステムの効果で蘇生することが可能だった。
「罠カード、《融合準備》発動! EXデッキの《サイバー・エンド・ドラゴン》を見せ、その融合素材である《サイバー・ドラゴン》一体をデッキから手札に加え、墓地の《置換融合》を回収する!」
十代や亮も使っている《置換融合》はルール上、《融合》として扱うため、融合のサポート全般を受けることが出来た。
「永続魔法、《未来融合―フューチャー・フュージョン》を発動! EXデッキの《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を互いに確認し、その融合素材である《サイバー・ドラゴン》と機械族モンスター10体をデッキから墓地に送り、発動後二回目のスタンバイフェイズに確認した融合モンスターを融合召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する!」
デッキから計10体のモンスターが墓地へ送られ、亮の墓地を肥やしていく。
「さらに、《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》を通常召喚! このカードもまた、フィールド・墓地に存在する限り、《サイバー・ドラゴン》として扱う!」
《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》
効果モンスター
☆1 光属性 機械族
ATK100 DEF100 攻撃表示
見た目は、コアの赤く光ってないバージョンと言っていい程に似通っていた。
「《置換融合》を発動! フィールドで《サイバー・ドラゴン》として扱う、コアとヘルツを融合し、《サイバー・ツイン・ドラゴン》を融合召喚する!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 光属性 機械族
ATK2800 DEF2100 攻撃表示
がら空きだったはずのフィールドを即座に体勢を立て直してくる。エクシーズや新規カードの採用によって、亮のデッキは一年前とは比べ物にならないほどパワーアップしていた。
「ヘルツの効果! このカードが墓地に送られた場合、デッキ・墓地からこのカード以外の《サイバー・ドラゴン》を手札に加える! 墓地より、二枚目の《サイバー・ドラゴン》を手札に!」
これでまた手札は四枚に回復し、その内の二体が《サイバー・ドラゴン》となる。
「バトルフェイズだ。《サイバー・ツイン・ドラゴン》で、《カードガンナー》を攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800 VS《カードガンナー》 ATK400
ターンを終えて攻撃力が下がっている《カードガンナー》にサイバー・ツインの攻撃が迫っていく。
しかし、リバースカードがない今、十代にはそのまま受ける以外の選択肢はなかった。
「くっ! だが、この瞬間、《カードガンナー》の効果発動! フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、デッキからカードを一枚ドローする!」
十代 LP3000→600
「サイバー・ツインは一ターンに二回まで攻撃が出来る! 続けて、《閃珖竜 スターダスト》を攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800 VS《閃珖竜スターダスト》 ATK2500
サイバー・ツインの二度目の攻撃が、《閃珖竜スターダスト》へと迫る。
「《閃珖竜スターダスト》の効果発動! 一ターンに一度、表側表示で存在するカード一枚を選択し、このターンに一度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されなくする! ソニック・バリア!!」
当然、対象は《閃珖竜スターダスト》だった。
これで、ダメージは受けるものの、何とかフィールドにモンスターを残すことが出来ている。
「ぐっ!」
十代 LP600→300
「やるな。俺はカードを二枚伏せてターンを終了する」
亮 手札2枚 LP3400
フィールド サイバー・ツイン
魔法・罠 未来融合、リバース2枚
VS
十代 手札1枚 LP300
フィールド スターダスト
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《強欲な壺》! デッキからカードを二枚ドロー!」
ここに来て、十代も手札を増やしていく。
「さらに墓地の《置換融合》の効果! このカードをゲームから除外し、墓地の融合モンスター、セイラーマンをEXデッキに戻すことでカードを一枚ドローする!」
前のターン、《カードガンナー》の効果で、《ダンディライオン》と共に落ちていたカードだった。
これで、手札は四枚まで回復する。
「魔法カード、《O-オーバーソウル》を発動! 墓地のスパークマンを特殊召喚し、手札からワイルドマンを召喚!」
《E・HEROスパークマン》
通常モンスター
☆4 光属性 戦士族
ATK1600 DEF1400 攻撃表示
《E・HERO ワイルドマン》
効果モンスター
☆4 地属性 戦士族
ATK1500 DEF1600 攻撃表示
これで、十代のフィールドにレベル4のモンスターが二体揃った。
「――俺は、レベル4のスパークマンとワイルドマンでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 新たな英雄よ、逆境を跳ね返す力をその手に、平和への礎となれ!」
この一年で、十代の代名詞にもなりつつあるモンスターが生成されていく。
「――エクシーズ召喚! 現れろ、《№39希望皇ホープ》!!」
《№39希望皇ホープ》
効果モンスター エクシーズ
ランク4 光属性 戦士族
ATK2500 DEF2000 攻撃表示
スターダストとホープが並び立つ。思えば、この二体がフィールドに揃うのを見るのは、これが初めてだった。
「ふっ、壮観だな」
だが、スターダストとホープが並んだというのに、カイザーにはまだまだ余裕があるように見える。
ここでホープをホープレイにエクシーズチェンジして、効果でサイバー・ツインの攻撃力を下げればライフをゼロにすることも出来た。それは向こうもわかっているはず――にも、関わらずあの余裕だ。
もしかしたら、敢えて十代がホープをホープレイにすることを誘っているのかもしれない。攻撃をリバースカードで受けきり、次のターンでホープの守りを失った十代にとどめを刺すということも十分考えられる。
「俺は《H-ヒートハート》を発動! 《閃珖竜スターダスト》の攻撃力を500ポイントアップする!」
《閃珖竜スターダスト》 ATK2500→3000
「――バトルだ! 《閃珖竜スターダスト》で《サイバー・ツイン・ドラゴン》を攻撃! シューティング・ブラスト!!」
《閃珖竜スターダスト》 ATK3000 VS《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800
残りライフが300しかないということで、十代は守りを選択した。
先程とは反対に、今度は《閃珖竜スターダスト》の攻撃力が上回り、サイバー・ツインを攻撃していく。
「罠カード、《ガード・ブロック》! 戦闘ダメージをゼロにして、カードを一枚ドローする!」
やはり、予想した通り、戦闘ダメージをゼロにするカードを伏せていた。しかし、まだ十代にはホープの攻撃が残っている。普通ならそちらで発動すべき場面だ。
プレイングミス?
いや、まだ亮のフィールドにはリバースカードが一枚残っていた。だが、十代にもまだスターダストの効果も残っている。ここで引く気はないと、攻撃を続けていく。
「希望皇ホープで、カイザーにダイレクトアタック! ホープ剣・スラッシュ!!」
《№39希望皇ホープ》 ATK2500 VS亮 LP3400
がら空きの亮のフィールドに向かって、ホープが剣を構えて攻撃していった。
「それも通さん! 永続罠、《リビングデッドの呼び声》発動! 墓地の《サイバー・ヴァリー》を攻撃表示で特殊召喚する!」
《サイバー・ヴァリー》
効果モンスター
☆1 光属性 機械族
ATK0 DEF0 攻撃表示
未来融合のコストで墓地に送っていた《サイバー・ヴァリー》を復活させる。このカードは、攻撃対象にされた時、このカードを除外することでデッキからカードを一枚ドローし、バトルフェイズを終了させる効果を持っていた。
「……けど、仮に攻撃しなくても第二の効果でカードをドローされるなら一緒だ! 希望皇ホープで、《サイバー・ヴァリー》に攻撃!!」
《№39希望皇ホープ》 ATK2500 VS《サイバー・ヴァリー》 ATK0
しかし、攻撃対象にした瞬間、《サイバー・ヴァリー》の効果が発動する。
「《サイバー・ヴァリー》の効果! 攻撃対象にされた時、このカードを除外することでデッキからカードを一枚ドローし、バトルフェイズを終了させる!」
これで、亮はホープの追撃を阻止した。おまけに、このターンで手札を二枚も増やしている。
「くっ、俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
《閃珖竜スターダスト》 ATK3000→2500
十代 手札0枚 LP300
フィールド スターダスト、ホープ
魔法・罠 リバース1枚
VS
亮 手札4枚 LP3400
フィールド なし
魔法・罠 未来融合、リビングデッド
「俺のターン、ドロー! 墓地の《サイバー・ドラゴン・コア》の効果! 相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外して、デッキから《サイバー・ドラゴン》モンスター一体を特殊召喚する! 出でよ、最後の《サイバー・ドラゴン》!!」
《サイバー・ドラゴン》
効果モンスター
☆5 光属性 機械族
ATK2100 DEF1600 攻撃表示
残りの二枚は既に手札にいるので、これが最後の《サイバー・ドラゴン》となる。
「さらに、《マジック・プランター》を発動し、永続罠、《リビングデッド》の呼び声を墓地に送り、カードを二枚ドローする!」
一気に手札が六枚まで増え、これで亮の準備は完了した。
「いくぞ、十代! 俺は、魔法カード、《パワー・ボンド》発動! 自分の手札・フィールドから《サイバー・ドラゴン》を融合し、《サイバー・エンド・ドラゴン》を融合召喚する!!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆10 光属性 機械族
ATK4000 DEF2800 攻撃表示
再び、サイバー・エンドがフィールドに再誕していく。しかし、今回は前回と違い、亮の全力が込められていた。
「《パワー・ボンド》の効果で融合召喚した《サイバー・エンド・ドラゴン》は攻撃力が二倍になる!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK4000→8000
「さらに魔法カード、《死者蘇生》発動! 自分の墓地の《サイバー・ツイン・ドラゴン》を特殊召喚!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆8 光属性 機械族
ATK2800 DEF2100 攻撃表示
「バトルだ! サイバー・ツインで希望皇ホープに攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800 VS《№39希望皇ホープ》 ATK2500
当然、十代にしてみれば、この攻撃を受ける訳には行かなかった。
「希望皇ホープの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、相手の攻撃を無効にする! ムーンバリア!!」
「だろうな! だが、サイバー・ツインは続けて攻撃が出来る! いけっ、エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800 VS《№39希望皇ホープ》 ATK2500
続く第二打がホープを襲っていく。十代にしてみればホープの効果を使うしかなかった。
「もう一度、希望皇ホープの効果発動! オーバレイユニットを一つ使い、相手の攻撃を無効にする! ムーンバリア!!」
「だが、これでオーバーレイユニットは使い切った!」
「《閃珖竜スターダスト》の効果をホープを対象に発動! このターン、ホープは一度だけ戦闘及びカード効果で破壊されない!」
「攻撃対象になった時に自壊することは防いだか! だが、サイバー・エンドの攻撃は受けきれるか!? いけっ、エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK8000 VS《№39希望皇ホープ》 ATK2500
第三の矢が飛んでくるが、ホープはスターダストに守られ、攻撃対象になっても破壊されずに済んでいる。
「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果! このカードをゲームから除外して、相手の攻撃を一度だけ無効にする!」
「防いだか!」
「あぶねぇ……!」
サイバー・エンドとサイバー・ツインの二体が並ぶというこの危機を乗り越えられるとは――と、亮は驚いたが、それでこそ十代と気を引き締め直す。
十代も、結果的に前のターンでホープを残していたおかげで、何とか生き残ることが出来たということもあって、「ラッキー」と笑顔で汗を拭っていた。
「メインフェイズ2で、魔法カード、《一時休戦》を発動! お互いのプレイヤーはデッキからカードを一枚ドローし、次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージはゼロとなる」
これで、《パワー・ボンド》のデメリットである、エンドフェイズにこのカードの効果でアップした攻撃力分のダメージを受けるという効果も無効となった。
「速攻魔法、《非常食》を発動! 未来融合を墓地へ送り、ライフを1000回復する! これで俺は、ターンエンドだ」
亮 LP3400→4400
今引いたカードを即座に使用する。まさかの未来融合呼び出しキャンセルだが、これも仕方のないことだった。
未来融合で呼び出す予定だった《キメラテック・オーバー・ドラゴン》には、召喚時に自分フィールドのカードを全て墓地に送るという効果がある。
また、未来融合にはこのカードがフィールドから離れた時、召喚モンスターを破壊するデメリットがあるため、《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を出した瞬間に自壊してしまうのだ。
だからこそ、亮はモンスターを呼び出す前にコストとして未来融合を消費してしまうことを決めた。
亮 手札1枚 LP4400
フィールド サイバー・エンド、サイバー・ツイン
魔法・罠 なし
VS
十代 手札1枚 LP300
フィールド スターダスト、ホープ
魔法・罠 リバース1枚
「俺のターン、ドロー! 俺は希望皇ホープ一体でオーバーレイネットワークを再構築! 光の中より混沌と共に出でよ、希望の翼――カオスエクシーズチェンジ! 現れよ、《C№39希望皇ホープレイ》!!」
《C№39希望皇ホープレイ》
効果モンスター エクシーズ
ランク4 光属性 戦士族
ATK2500 DEF2000 攻撃表示
ホープにはもうオーバーレイユニットがない。ならば、次に希望を託す――ホープレイになったことで、サイバー・ツインを倒す目途も立っている。
「希望皇ホープレイの効果! オーバーレイユニットを一つ使い、このターンの終了時まで、このカードの攻撃力を500アップし、相手フィールドのモンスター一体の攻撃力を1000ダウンする! 俺はサイバー・ツインを選択!」
《C№39希望皇ホープレイ》 ATK2500→3000
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK2800→1800
このターン、《一時休戦》の効果でダメージこそ与えられないが、それでも十代は亮のフィールドにモンスターを残したままにするつもりはなかった。
「バトル! 《閃珖竜スターダスト》で《サイバー・ツイン・ドラゴン》に攻撃! シューティング・ブラスト!!」
《閃珖竜スターダスト》 ATK2500 VS《サイバー・ツイン・ドラゴン》 ATK1800
再び、スターダストのブレスによって、サイバー・ツインが破壊されていく。
「っ! だが、《一時休戦》の効果でダメージはゼロ!」
「まだまだ! 希望皇ホープレイで、サイバー・エンドに攻撃! ホープ剣・カオススラッシュ!!」
「なにっ! 攻撃力の低いホープレイで攻撃してくるだと!?」
《C№39希望皇ホープレイ》 ATK3000 VS《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK8000
このままでは自爆特攻にしかならない――だが、十代は奥の手を隠し持っていた。
「墓地の罠カード、《エクシーズ弁当》の効果を発動!」
「墓地からの罠だと!?」
「へへっ、腹が減っては戦は出来ないってね! 墓地のこのカードをゲームから除外し、EXデッキから特殊召喚されたフィールドのモンスター一体の表示形式を変更する! 俺はサイバー・エンドを守備表示に変更するぜ!」
《C№39希望皇ホープレイ》 ATK3000 VS《サイバー・エンド・ドラゴン》 DEF2800
サイバー・エンドの守備力は2800であり、ホープレイの攻撃力が若干上回っている。このために、十代はサイバー・ツインをスターダストで攻撃したのだ。
「ふっ、やるな……!」
「俺は永続魔法《悪夢の蜃気楼》を発動! カードを一枚セットしてターンエンドだ。このターンの終了と同時に、ホープレイの効果も消え、《一時休戦》の効果も切れる」
《C№39希望皇ホープレイ》 ATK3000→2500
十代 手札0枚 LP300
フィールド スターダスト、ホープ
魔法・罠 悪夢、リバース2枚
VS
亮 手札1枚 LP4400
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー!」
「このスタンバイフェイズに《悪夢の蜃気楼》の効果でカードを四枚ドローする!」
十代はここで一気に手札を回復させた。
「ならば、魔法カード、《オーバーロード・フュージョン》発動! 自分のフィールド・墓地から機械族・闇属性の融合モンスターカードによって、決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する!」
亮は墓地に存在するサイバー・ドラゴン三体と、機械族を7体除外していく。
「今度こそ出でよ、《キメラテック・オーバー・ドラゴン》!!」
《キメラテック・オーバー・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆9 闇属性 機械族
ATK? DEF? 攻撃表示
六つの首を持った機械の龍がフィールドに降臨する。しかし、攻撃力・守備力が定まっていない。
「《キメラテック・オーバー・ドラゴン》が融合召喚に成功した場合、このカード以外の自分フィールドのカードを全て墓地に送る――が、俺のフィールドには《キメラテック・オーバー・ドラゴン》のみなので、効果は発動しない」
「そうか、このために未来融合を破壊して――」
十代も遅れて亮の思惑に気付いた。
「さらに、このカードの攻撃力・守備力は融合素材としたモンスターの数×800ポイントとなる! 俺が融合素材にしたモンスターは10体! よって攻撃力・守備力は8000となる!」
《キメラテック・オーバー・ドラゴン》 ATK?→8000 DEF?→8000
「最後に、このカードは一度のバトルフェイズ中に、このカードの融合素材としたモンスターの数まで相手モンスターに攻撃できる!」
「10回までモンスターに攻撃できる効果!?」
「装備魔法、《ブレイク・ドロー》を《キメラテック・オーバー・ドラゴン》に装備! このカードは機械族モンスターにのみ装備が可能! 装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキからカードを一枚ドローする!」
これで準備は終わったと、亮がバトルフェイズへと移っていく。
「バトルだ! 《キメラテック・オーバー・ドラゴン》で希望皇ホープレイを攻撃! エヴォリューション・レザルト・バースト第一打!!」
10回と言わず、この一撃が通るだけでも十代の敗北は決定する。
《キメラテック・オーバー・ドラゴン》 ATK8000 VS《C№39希望皇ホープレイ》 ATK2500
「永続罠、《リミット・リバース》発動! 墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体を攻撃表示で特殊召喚する! 甦れ、《ハネクリボー》!」
『くりくり~!!』
《ハネクリボー》
効果モンスター
☆1 光属性 天使族
ATK300 DEF200 攻撃表示
ホープレイに向かう攻撃に割り込むように、《ハネクリボー》が墓地から復活した。
モンスターの数が増えたことで、フィールドの状況に変化が起き、一度《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の攻撃が中断となる。
「この状況で《ハネクリボー》だと!?」
「さらに、速攻魔法、《非常食》! 《悪夢の蜃気楼》と《リミット・リバース》を墓地へ送り、ライフを2000回復する!」
十代 LP300→2300
「そして、《リミット・リバース》がフィールドから離れたことにより、《ハネクリボー》は再び破壊され墓地へ送られる!」
「そうか! それが狙いか!」
そう、この破壊されるというのが重要だった。《ハネクリボー》が破壊され墓地へ送られたターン、以後の戦闘ダメージはゼロになる。
仮に10回攻撃して来ようと、十代へのダメージがないのであれば無意味だった。
「ありがとな、《ハネクリボー》!」
雑に扱ってしまったが、それでもおかげでこのターンを凌ぐことが出来ている。
当の《ハネクリボー》も自分が十代を救う一助になれたなら問題ないと言わんばかりに、『くりくり~』と返事をしていた。
「しかし、《ハネクリボー》で無効にできるのは戦闘ダメージのみ! ホープレイとスターダストは破壊させてもらう!!」
即死こそ防いだが、モンスターは守り切れず、《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の二連打で破壊されていく。
スターダストの効果で一度だけ戦闘破壊を無効にすることもできるが、10回も連続攻撃が出来るのでは焼け石に水だった。
《キメラテック・オーバー・ドラゴン》 ATK8000 VS《C№39希望皇ホープレイ》 ATK2500
《キメラテック・オーバー・ドラゴン》 ATK8000 VS《閃珖竜スターダスト》 ATK2500
「ぐぅっ!!」
「《ブレイク・ドロー》の効果でカードを合計二枚ドロー!」
戦闘ダメージはないが、モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたことでカードがドローされていく。
「俺は墓地の《置換融合》の効果発動! このカードを除外し、墓地のサイバー・エンドをEXデッキに戻してカードを一枚ドロー! カードを三枚伏せて、ターンエンドだ」
亮 手札0枚 LP4400
フィールド キメラオーバー
魔法・罠 リバース3枚
VS
十代 手札4枚 LP2300
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー! 俺も永続魔法、《未来融合―フューチャー・フュージョン》を発動! EXデッキのエリクシーラーを互いに確認し、その融合素材であるフェザーマン、バーストレディ、バブルマン、クレイマンを墓地へ送る!」
そして、二ターン後のスタンバイフェイズにそのモンスターを融合召喚するが、十代も二ターンなど待つ気はなかった。
「さらに、魔法カード、《天使の施し》! デッキからカードを三枚ドローし、二枚を捨てる! 続けて、《ホープ・オブ・フィフス》発動! 墓地のスパークマン、ワイルドマン、バブルマン、クレイマン、エッジマンをデッキに戻し、カードを二枚ドローする!」
手札入れ替えで墓地を整え、さらにカードをドローしていく。このターンで倒し切る。そのつもりで、十代はカードをプレイしていた。
「魔法カード、《ミラクル・フュージョン》を発動! 墓地のフェザーマンとバーストレディを除外し、フレイム・ウイングマンを融合召喚するぜ!」
《E・HEROフレイム・ウイングマン》
効果モンスター 融合
☆6 風属性 戦士族
ATK2100 DEF1200 攻撃表示
十代のフェイバリットモンスターが呼び出される。しかし、《キメラテック・オーバー・ドラゴン》との攻撃力差は歴然だった。
だが、十代のカードはこれで終わらない。
「さらに、魔法カード、《ミラクルシンクロフュージョン》発動! 自分のフィールド・墓地から融合素材モンスターを除外し、シンクロモンスターを素材とする融合モンスター一体を融合召喚する!!」
「シンクロモンスターを素材とする融合召喚だと!?」
「俺は墓地のシンクロモンスター、《閃珖竜スターダスト》と、戦士族の《№39希望皇ホープ》を除外して、《波動竜騎士ドラゴエクィテス》を融合召喚だ!!」
《波動竜騎士ドラゴエクィテス》
効果モンスター 融合
☆10 風属性 ドラゴン族
ATK3200 DEF2000 攻撃表示
まさかのシンクロモンスターを素材にすると言う裏技で新たなモンスターを呼び出していく。竜騎士というだけあって、全身青い鎧を着た竜人が大きなランスを担いでいた。
「装備魔法、《フェイバリット・ヒーロー》をフレイム・ウイングマンに装備!」
これで全ての準備は完了したと、十代が亮に向き直る。
「いくぜ、カイザー! バトルフェイズだ! この瞬間、《フェイバリット・ヒーロー》の効果発動! 互いのバトルフェイズの開始時に、デッキからフィールド魔法を一枚発動する! フィールド魔法、《摩天楼―スカイスクレイパー―》を発動!」
このフィールド魔法により、フィールドの『E・HERO』モンスターより高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するダメージ計算時のみ、攻撃力が1000アップする。
「さらに装備魔法、《フェイバリット・ヒーロー》の効果で、フィールド魔法ゾーンにカードが存在する場合、フレイム・ウイングマンの攻撃力は元々の守備力分アップする!」
《E・HEROフレイム・ウイングマン》 ATK2100→3300
「続けていくぜ! 《波動竜騎士ドラゴエクィテス》で《キメラテック・オーバー・ドラゴン》に攻撃! スパイラル・ジャベリン!!」
「攻撃力の低いドラゴエクィテスで攻撃だと!?」
「この瞬間、速攻魔法、《決闘融合―バトル・フュージョン》発動! 自分の融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う時、そのモンスターの攻撃力をダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!」
《波動竜騎士ドラゴエクィテス》 ATK3200→11200 VS《キメラテック・オーバー・ドラゴン》 ATK8000
融合使いにとっての最強強化カードとも言えるカードによって、ドラゴエクィテスの攻撃力が《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の攻撃力を超え、その体をランスで貫いていく。
「ぐぅっ!!」
亮 LP4400→1200
「続けてフレイム・ウイングマンでダイレクトアタック!! フレイム・シュート!!」
《E・HEROフレイム・ウイングマン》 ATK3300 VS亮 LP1200
遂に逆王手がかかり、十代が反撃を仕掛ける。フレイム・ウイングマンが、亮に向かって一直線に走っていく。
「速攻魔法、《サイバーロード・フュージョン》発動! 自分のフィールド及び、除外されているモンスターの中から、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターをデッキに戻し、《サイバー・ドラゴン》を融合素材とする融合モンスター一体をEXデッキから特殊召喚する! 現れろ、サイバー流――サイバー・エンドォォッ!!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆10 光属性 機械族
ATK4000 DEF2800 攻撃表示
だが、ここに来て亮も切り札を晒してきた。通算三度目のサイバー・エンドで、相手の場に立ちはだかっていく。
「へっ、読んでたぜ! いけっ、フレイム・ウイングマン! スカイスクレイパー・シュート!!」
だが、十代に驚きはない。むしろ、サイバー・エンドが出て来るのをずっと待っていた。
「この瞬間、スカイスクレイパーの効果で、フレイム・ウイングマンの攻撃力が1000アップする!!」
《E・HEROフレイム・ウイングマン》 ATK3300→4300 VS《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK4000
攻撃力の低いドラゴエクィテスでキメラテックを対処したのは全てこのためだった。
もし、先にフレイム・ウイングマンでキメラテックに攻撃を仕掛けても、先に発動する決闘融合の効果で、スカイスクレイパーの恩恵が受けられなくなり、与えられるダメージは3300止まりになる。
その上、ドラゴエクィテスではサイバー・エンドになすすべがなく泣く泣くターンエンドするしかなかった。
だが、ドラゴエクィテスから攻撃することで3200のダメージを叩き込んだ上で、今の状況が作れている。
攻撃力が3300になっているフレイム・ウイングマンは、スカイスクレイパーの恩恵で攻撃力がサイバー・エンドを超え、その体を燃やし尽くしていく。
「ぐぅっ!!」
亮 LP1200→900
そして――
「フレイム・ウイングマンの効果発動! 戦闘で破壊し墓地へ送ったモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」
――これで、ゲームエンドだった。
「カウンター罠、《ダメージ・ポラリライザー》発動!」
普通のデュエリストが相手だったならば。
「ダメージを与える効果が発動した時、その発動と効果を無効にし、お互いのプレイヤーはカードを一枚ドローする!」
効果が無効になり、フレイム・ウイングマンが十代のフィールドへと戻っていく。
首の皮一枚で、亮は命を拾った。
「まだだ! 《フェイバリット・ヒーロー》の最後の効果! 装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地に送って発動! その攻撃モンスターは続けて攻撃できる!」
「速攻魔法、《エターナル・サイバー》発動! 自分の墓地の機械族の『サイバー』融合モンスター一体をEXデッキに戻すか、召喚条件を無視して特殊召喚する! 蘇れ、サイバー・エンドォォッ!!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》
効果モンスター 融合
☆10 光属性 機械族
ATK4000 DEF2800 攻撃表示
まさに不死鳥といってもいい復活ぶりだった。流石の十代もこれには辟易してきたようで疲れた顔をしている。
「何度も出て来て恥ずかしくないのかー!!」
「サイバー流の切り札はそう簡単には潰えん! お前がサイバー・エンドを読んでいたように、俺もお前のフレイム・ウイングマンは警戒していたよ!」
流石に4000は倒せないと十代も攻撃を諦めた。渋々、矛を収めてメインフェイズ2へと移る。
「くっそー、カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
十代 手札1枚 LP2300
フィールド フレイム・ウイングマン、ドラゴエクィテス
魔法・罠 未来融合、リバース1枚
VS
亮 手札1枚 LP900
フィールド なし
魔法・罠 なし
「俺のターン、ドロー!」
カードを確認し、即バトルフェイズへと移っていく。
「バトルだ! サイバー・エンドでフレイム・ウイングマンを攻撃! この攻撃宣言時、速攻魔法、《決闘融合―バトル・フュージョン》発動! 自分の融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う時、そのモンスターの攻撃力をダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK4000→6100 VS《E・HEROフレイム・ウイングマン》 ATK2100
先程の十代へのプレイの焼き直しとばかりに、サイバー・エンドの攻撃力を上げていった。これで、ダメージ1900が4000に跳ね上がり、十代の残りのライフでは受けきれなくなる。
「こうなりゃ、最終手段だ! 罠カード、《決戦融合-ファイナル・フュージョン》!」
「なっ、そのカードは!?」
「自分フィールドの融合モンスターが、相手フィールドの融合モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その融合モンスター二体を対象にして発動! その攻撃を無効にし、お互いのプレイヤーはその融合モンスター二体の攻撃力の合計分のダメージを受ける!」
それは、亮との最初のタッグデュエルで、引き分けに持っていったカードだった。
「また相打ち狙いか!」
「ところがどっこい! 俺の手札には《ハネワタ》がいてね。このカードを墓地に送ることで効果ダメージをゼロに出来るのさ!」
「つまり、ダメージを受けるのは俺だけか。ならば、ライフを半分支払い、手札からカウンター罠発動! 《レッド・リブート》!」
亮 LP900→450
「相手が罠カードを発動した時、その発動を無効にし、そのカードをセットする。その後、相手は罠カードを一枚選んで自身の魔法・罠ゾーンにセットできるが、このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!」
「げぇっ、じゃあセットしたって意味ないじゃん!?」
「そして、決戦融合が無効になったことで、俺のサイバー・エンドの攻撃も有効となる! エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
《サイバー・エンド・ドラゴン》 ATK4000→6100 VS《E・HEROフレイム・ウイングマン》 ATK2100
貯めに貯めたバーストがフレイム・ウイングマンを包み込み、その差の攻撃力を十代のライフから削り切った。
「今回は俺の勝ちだな。だが、お前にはまだ無限の可能性がある」
「……サンキュー、カイザー。今回は卒業生の言葉を素直に受け取っておくよ」
十代 LP2300→0
デュエル終了と共にソリッドビジョンが消え、十代が大の字に倒れる。どちらも力の限りを尽くした素晴らしいデュエルだった。
その証拠に、観客席中から二人に惜しみのない拍手が送られている。この音こそが、二人のデュエルを祝福している証拠だった。
「十代、お前もプロになれ。次はプロの世界で勝負だ」
「プロかぁ。あんま考えたことなかったなぁ……」
「所詮、俺とお前はまだアマチュアの域を出ない未熟者だ。本当の勝負は、互いにプロになって成長してからにしよう」
その言葉を聞いて、そういえば遊矢も元の世界ではプロデュエリストだったんだよな――と、十代が思考する。
これが、十代がプロを意識するキッカケであり、以後、仲間達と共にプロリーグの放送を追うようになるのだがそれは別の話。
――では、終わらなかった。
それは卒業模範デュエルが終わった夜のこと。明日にはデュエルアカデミアを去るはずの亮が、レッド寮を訪ねてきたのだ。
このデュエルアカデミアを去る前に、どうしても遊矢と決着をつけたいと亮は言っている。また、その気迫は十代とのデュエル時以上に充実していた。むしろ、十代を倒したことで、波に乗っているようにも見える。
勿論、遊矢は受けて立った。
卒業生に心残りがないように、また高い壁であるために、遊矢も全力でデュエルをしていく。このデュエルの勝敗が、どうなるかは――今度こそまた別のお話。
原作との変化点・
・#51『VSカイザー(前編)パワー・ボンド×サイバーエンド』より、十代がから回らなかった。
遊矢のアドバイスでいつものらしさを取り戻した。当然、先行を選んで全力でデュエルしている。
・エクシーズ弁当が、デュエル飯枠。
ちょっと真剣だったので、デュエル飯を挟む隙がなかった。エクシーズ弁当でデュエル飯を再現。
・カイザーが勝利した。
タッグデュエルで引き分けにしてから、ここのラストはカイザーに勝たせると決めていた。
・十代がプロを意識した。
遊矢がプロであることもあって、原作よりもプロへの意識が強くなっている。
・俺達の卒業記念模範デュエルはこれからだ。
カイザーと遊矢のデュエル。勝敗によって、ルートが変わる。カイザーが勝てば、新規カイザールート。負けたらヘルカイザールート。
と、いう訳で、榊遊矢のGX次元漂流記は一旦ここで完結とさせていただきます。
もし、続編を望む声が多ければ、続きを書くこともあるかもしれません。その時はまたよろしくお願いします。
また、もう一つの作品である、ニューサトシのアニポケ冒険記も良ければ見て頂けると嬉しいです。ポケモンですがアニポケ軸で、サトシに憑依する話となっており、この話とは毛色が全く違うのでそれはそれで楽しめるかもしれません。
それでは、ありがとうございました。