明日香と別れ、何とかパーティの時間にオシリスレッド寮へ戻って来ることが出来た。
時間がギリギリだったこともあり、十代のデュエルを先延ばしにすることが出来た遊矢だったが、そのパーティも他の寮に比べてメニューが質素だと文句をいう生徒が多い。
しかし、文句を言っているのは新入生で、逆に留年組はわかっているのか、騒ぎ立てるようなことはなかった。
おそらく、こういう格差も実力主義の海馬の影響が大きいのだろう。だが、あまりにも差別が過ぎるのではないかとも思った。留年生の悲壮感を見ても、今のオシリスレッドは義務教育を卒業したばかりの子供にはあまりに厳しすぎる環境に見える。
対する十代はデュエルさえ出来れば問題ないとばかりに質素な食事を楽しんでいたが、こういうストイックなタイプを社長は求めているのかもしれない。
あの社長の求めるデュエリストの基準は、少なくともこの程度の環境で挫けるような人間ではないのだろう。
このオシリスレッドの寮を監督している大徳寺という先生も、学生寮で猫を飼っているという不思議な先生のようだし、遊矢も少しずつオシリスレッドが馬鹿にされる理由がわかったような気がした。
そんなこんなで想像していたものとは全く違うパーティが終わると、各々与えられた部屋に戻っていく。
十代と翔は同じ部屋だったようで、変わらないテンションで部屋に入っていったが、夢多き新入生に同室の留年生である前田隼人がオシリスレッドの現実を教えていた。
翔は目に見えてショックを受けていたが、十代は特に気にするそぶりを見せなない。隼人もまた他の留年生と同じく、自身の境遇に食事が喉を通らないようだが、これがオシリスレッドの普通で、十代が特別なのだろう。
その頃、遊矢は海馬の計らいで一人部屋だったこともあり、一人でのんびりとデッキをいじっていた。
「うーん、まだまだ調整が必要だな……」
今、遊矢は、デッキの改良を行っている。理由は、デュエルアカデミアに来る前、海馬からアクションデュエルの使用を禁止されたからだ。
理由は二つあった。
一つ目は、現代技術で再現できない遊矢だけのデュエルは、公平さにかけるという点。
二つ目は、アクションデュエルは身体能力の差に大きく左右されるが故に、老若男女が平等に楽しむことが出来ないという所だった。
若い男性と老人でアクションデュエルをすれば、有利なのは若い男だ。同じく、体が不自由な子供と五体満足な子供でアクションデュエルをすれば、有利なのは五体満足な子供だろう。
誰もが平等に楽しく遊べるのが、デュエルモンスターズの魅力の一つ。一度、自身でアクションデュエルを体感したが故に、海馬は“今はまだ”この世界にアクションデュエルを普及するのは早すぎるという判断を下した。
「とすると、このカードを抜いて……いや、でも……」
遊矢は、海馬の決定に意を唱えなかった。海馬の言うことは理解出来るし、無理にこの世界を荒らすつもりはなかったからだ。
とはいえ、遊矢のデッキはほぼアクションデュエルありきで構成されている。スタンダードデュエルに対応するには、防御カードの採用率を高める必要があった。
そうやって何とかデッキの調整を続ける遊矢だったが、まだ終わりが見える様子はない。
これは徹夜を覚悟する必要があるかもしれない――と、思ったその時、学校から与えられた携帯端末に誰かからメールの着信があった。
「誰だ?」
『榊遊矢。午前0時、オベリスクブルーのデュエルフィールドで待っている。お前の真の実力が見たい。戦う気があるのなら来てくれ。その時は、俺の全力を見せてやる』
「こいつは、確か……万丈目だっけ。午前0時って校則違反なんだけど……」
だが、遊矢に逃げる気はなかった。
明日香の忠告を無視するのは気が引けたが、万丈目のいう全力に興味があったし、何というか万丈目の目が必死に見えたのだ。何か、デュエルをしたい理由があるかもしれない。
「もうあまり時間がないな。今回はこの調整で行くしかないか……」
まだ完壁とは言い難いが、それでもそれなりには動いてくれるだろう。散らばったカードを集め、出かける準備をする。
十代達に声をかけようかとも思ったが、結局遊矢は一人で出かけることにした。別段、一人で来いと言われた訳ではないが、何となく一人で行った方が良いと思ったのだ。
◇◆
「来たか、榊遊矢」
「ああ」
「一人か? てっきり、ぞろぞろと仲間を連れてくるかと思ったが……」
「そういうそっちも一人だな。取り巻きがいるかと思ったけど」
話しながら、デュエルリングに上がる遊矢。
正直、万丈目は取り巻きを連れているかと思っただけに、一人で居ることに驚いていた。
「ふん、お前相手だと、あいつらに構っている余裕もないからな」
「なんか、かなりの評価を頂いてるみたいだな」
「……あのクロノスをワンターンで倒した貴様を過小評価するほど、俺は馬鹿でも間抜けでもない。それに――」
「それに?」
「さっき会ったとき、遊城十代がお前に負けたと聞いた。お前がペンデュラムにエクシーズ、そしてシンクロ、未知の召喚法を駆使するのは周知の事実。そんなお前相手に油断など出来るはずもない」
デッキをデュエルディスクから取り出し、シャッフルする万丈目。
この世界のデュエルディスクにはオートシャッフル機能がないため、シャッフルは自分で行わなくてはならない。遊矢もそれに倣い、手動で自分のデッキをシャッフルする。
そして、互いにデッキを交換し、シャッフルをしながら、万丈目は独白するように呟いた。
「……正直、俺は天狗になっていた。中等部でトップになり、高等部でも俺に勝てるやつなど存在しない。俺がナンバーワンだと、そう思っていた。あの入試デュエルを見るまでは」
あの遊矢のデュエルが良い意味でも悪い意味でも、万丈目準という人間を変えた。
ペンデュラムとエクシーズを駆使して、簡単にクロノスをワンターンキルした遊矢に、万丈目は小さな恐れを抱いたのだ。
そして、その後、すぐI2社からシンクロとエクシーズが、この世界に導入されると聞き、今の環境が変わるであろうことに万丈目はいち早く気がついた。
力こそ全てだった環境が変わる。
それは万丈目に取って、恐怖以外の何物でも無かった。
自分がこれまで培ってきたデュエルが通用しなくなるかもしれない。今まで見下してきた人間が、シンクロとエクシーズの台頭により、自分より強くなってしまうかもしれないのだ。
クロノスを遊矢が倒したように、自分も簡単にやられる日が来るのではないか――そう考えると怖くてたまらなかった。
「俺は、今の自分の全力をお前にぶつける。だから、お前の力を、これから来るであろう新しい時代を俺に見せてくれ」
だが、そんな弱い自分を認めることなど、万丈目のプライドが許さない。遊矢のデュエルを見てから、万丈目からは慢心が少し薄れた。
しかし、だからこそ、他者を見下すこと自体をやめはしなかった。それが万丈目に残された自分を保つ唯一の方法だったからだ。自分は強いのだと、そう自分に言い聞かせるためにはそれしかなかった。
だが、そんなものはただの強がりでしかない。
万丈目は知る必要があった。弱い自分を乗り越えるために、今の自分がどれだけ新しい時代に通用するのか、そして新しいデュエルがどれほどの力を持っているのかを。
そのために、わざわざ遊矢を呼び出したのだ。
自分が抱いている恐怖を乗り越えるために、万丈目にはこのデュエルがどうしても必要だった。
「……とりあえず、お前が全力を求めているのは良くわかった。安心してくれ、どんな相手にも俺はいつも全力だ」
「それを聞いて安心したぜ。行くぞ、榊遊矢!!」
「「デュエル!!」」
互いにシャッフルしたデッキをデュエルディスクに差し込む。
表示された先攻は、万丈目。叫ぶように、声を出し、デッキからカードをドローしていく。
「俺の先攻だ。ドロー!!」
手札を確認した万丈目の動きが止まる。
そして、改めて目を閉じ、大きく深呼吸をすると、万丈目はカードをデュエルディスクに叩きつけた。
「俺は《V―タイガー・ジェット》を攻撃表示で召喚!」
《V―タイガー・ジェット》
通常モンスター
☆4 光属性 機械族
ATK1600 DEF1800 攻撃表示
虎の形をした飛行機のようなモンスターが、ジェット噴射しながらフィールドに召喚される。
「さらに、手札から永続魔法、《前線基地》を発動! 一ターンに一度、自分のメインフェイズに、手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚できる! 俺は、《W―ウィング・カタパルト》を手札から特殊召喚する!」
《W―ウィング・カタパルト》
効果モンスター ユニオン
☆4 光属性 機械族
ATK1300 DEF1500 攻撃表示
続けて、羽のついたカタパルトが、タイガー・ジェットの隣に特殊召喚された。
「ユニオンモンスターか!」
「まだだ! 俺は、《V―タイガー・ジェット》と《W―ウィング・カタパルト》をゲームから除外し、変形融合! 出でよ! 《VW―タイガー・カタパルト》!!」
二体のモンスターが合体し、一つのモンスターとなっていく。
《VW―タイガー・カタパルト》
効果モンスター 融合
☆6 光属性 機械族
ATK2000 DEF2100 攻撃表示
どちらも飛行に特化した形をしていただけあって、素早そうな見た目をしている。
一見、乗っただけに見えるが、こういうロボットの合体は大体が乗っただけだ。
「カードを一枚伏せて、ターン終了だ」
万丈目 手札2枚 LP4000
フィールド VW
魔法・罠 《前線基地》、リバース1枚
VS
遊矢 手札5枚 LP4000
フィールド なし
魔法・罠 なし
緊張の面持ちで万丈目が先攻を終了する。
ワンターン目で、そこそこ攻撃力の高いモンスターを出してはきたが、遊矢のペンデュラムなら状況次第で、似たような状況はすぐに作れるだろう。万丈目も決して油断はしなかった。
「俺のターン! 俺は、手札のスケール1の《星読みの魔術師》とスケール8の《相生の魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!」
二体の魔術師によって、フィールドの両端に光の柱が出現する。
遊矢にとっては見慣れた光景、だが万丈目にとっては見慣れぬ光景だった。遊矢のフィールドに現れた光の柱に、身構える万丈目。
「ペンデュラム召喚か!」
「ああ、これでレベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能! 揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク! ペンデュラム召喚!!」
二柱の間から、二つの光が降り注ぐ。
「現れろ、俺のモンスター達! 《EMジンライノ》、《EMウィム・ウィッチ》!」
《EMジンライノ》
効果モンスター
☆3 光属性 岩石族
ATK200 DEF1800 守備表示
《EMウィム・ウィッチ》
効果モンスター ペンデュラム
☆3 闇属性 魔法使い族
ATK800 DEF800 守備表示
雷様のような太鼓を首につけたコミカルなサイと、マタタビの杖を持ったピンクのコミカルな猫耳魔女っ子がフィールドに守備表示で特殊召喚される。
「ふん、せっかくのペンデュラムも守備表示か」
「まぁ、まずは様子見させてもらうよ。《相生の魔術師》の効果、自分フィールドのカードが相手フィールドより多い場合、このカードのペンデュラムスケールは4になる」
《相生の魔術師》 Pスケール8→4
これで次にペンデュラム出来るのは、レベル2~3のモンスターになった。
とはいえ、万丈目のターンでフィールドが変化すれば、またどうなるかわからない。
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド」
遊矢 LP4000 手札1枚
フィールド ジンライノ、ウィム・ウィッチ
魔法・罠 リバース1枚
ペンデュラム 星読み、相生
VS
万丈目 手札2枚 LP4000
フィールド VW
魔法・罠 《前線基地》、リバース1枚
再び万丈目のターンが回ってくる。遊矢のフィールドには雑魚モンスターが二体のみ。
手を抜かれているのか、それともデッキが上手く回っていないのか、どちらにしても万丈目は攻め手を止めるつもりはなかった。
「俺のターン、ドロー! 魔法カード、《強欲な壺》を発動し、デッキからカードを二枚ドローする!」
「《強欲な壺》か……」
緑色で強欲そうな人間の顔が描かれた壺から光が放たれ、万丈目もデッキからカードを二枚引いていく。
万丈目の使用した《強欲な壺》は、その強力な効果故、遊矢の世界では使用禁止になっているカードだ。
この世界ではまだ制限カードなので、当然使用できる。勿論、遊矢も使用することを考えたが、禁止カードの印象が強いこのカードを使う気になれず、結局デッキには入れなかった。
しかし、入試試験で《破壊輪》や《押収》を見た時も思ったが、こうして自分の世界では禁止だったカードが当然のように使われているのを見ると、何とも言えない気持ちになる。
「俺は、《X―ヘッド・キャノン》を通常召喚! さらに、永続魔法、《前線基地》の効果で、《Z―メタル・キャタピラー》を特殊召喚する!」
《X―ヘッド・キャノン》
通常モンスター
☆4 光属性 機械族
ATK1800 DEF1500 攻撃表示
《Z―メタル・キャタピラー》
効果モンスター ユニオン
☆4 光属性 機械族
ATK1500 DEF1300 攻撃表示
両肩にキャノン砲を付けた巨大な両腕を持つ機械のモンスターと、全身鋼の一見蜘蛛のようにも見える機械のモンスターが、新たに召喚されていく。
名前の関連から見ても、まず間違いなく先程のVWと同じく合体しそうな雰囲気を持っていた。
「そして、俺は手札を一枚捨て、《VW―タイガー・カタパルト》の効果発動! 相手フィールドのモンスター1体の表示形式を変更する!」
「何だって!?」
「俺は貴様のジンライノを攻撃表示にしてバトルフェイズ!」
ジンライノには、自身が存在する限り、他のEMを攻撃対象に選択できなくする効果がある。だが、この状況ではどちらにしろ、万丈目はジンライノを攻撃してくるだろう。
「《VW―タイガー・カタパルト》で《EMジンライノ》を攻撃!」
《VW―タイガー・カタパルト》 ATK2000 VS《EMジンライノ》 ATK200
攻撃力の差は圧倒的だった。逃げようとするジンライノだが、全身から発射されるミサイルを避け切れずに直撃しそうになる。
「罠カード、《ガード・ブロック》! 相手モンスターとのダメージ計算時、戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを一枚ドローする!」
「だが、戦闘破壊は逃れられまい! 行け、VW―タイガー・ミサイル!!」
「くっ!」
遊矢の目の前に展開されたバリアによって、ダメージこそなくなったがジンライノは破壊されてしまった。
心の中でジンライノに謝りながら、遊矢はデッキからカードを一枚ドローする。
「まだだ、《Z―メタル・キャタピラー》で《EMウィム・ウィッチ》を攻撃!」
《Z―メタル・キャタピラー》 ATK1500 VS《EMウィム・ウィッチ》 DEF800
今度はZの砲門を向けられ、ウィム・ウィッチが焦ったように右往左往する。
「墓地のジンライノの効果を発動! このカードが墓地に存在し、ジンライノ以外の『EM』カードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる!」
墓地からジンライノの亡霊が、Zの砲撃からウィム・ウィッチを守っていく。ホッと一安心したような様子を見せるウィム・ウィッチ。
続く、Xの攻撃はこれで何とか凌げそうだった。
「ちっ、ならば、リバースカードオープン! 永続罠、《リビングデッドの呼び声》! 俺は《VW―タイガー・カタパルト》のコストで墓地へ送った《Y―ドラゴン・ヘッド》をフィールドに特殊召喚する!」
《Y―ドラゴン・ヘッド》
効果モンスター ユニオン
☆4 光属性 機械族
ATK1500 DEF1600 攻撃表示
全体的にドラゴンを模した赤い機械のモンスターが、墓地から飛び出してくる。
「バトルフェイズ中に特殊召喚したモンスターはそのまま攻撃が出来る……!」
「その通りだ! 《Y―ドラゴン・ヘッド》で《EMウィム・ウィッチ》を攻撃!」
《Y―ドラゴン・ヘッド》 ATK1500 VS《EMウィム・ウィッチ》 DEF800
Yの口から放たれるレーザーによって、今度こそウィム・ウィッチが破壊されていった。流石に二度は守れなかったらしい。
「これで、貴様を守るモンスターはいなくなった! 《X―ヘッド・キャノン》、榊遊矢にダイレクトアタック!!」
《X―ヘッド・キャノン》 ATK1800 VS遊矢 LP4000
両肩から放たれるキャノンが、モンスターのいなくなった遊矢に直撃していく。
「ぐっ!!」
遊矢 LP4000→2200
目にも止まらぬ連続攻撃。
改めて、十代とのデュエルで見たデッキとはレベルが違った。遊矢もデッキ調整で、《ガード・ブロック》などの防御カードを入れていたから何とか防ぎ切れたが、もし十代がさっきのデュエルで、この連続攻撃を受けていたらひとたまりもなかっただろう。
「……十代に言ったことは、はったりじゃなかったってことか」
「当たり前だ。このデッキはお前の入試デュエルを見た後に、俺の全てをつぎ込んで作った最新のデッキ。さっきのデッキとは完成度は比べものにならん」
実際、I2社は、シンクロとエクシーズを導入するに当たって、本来予定していたカードの販売を前倒しにしている。
それこそ、数年先に販売予定だったカードも、既に販売されていた。そのカードを使えば、さっき万丈目が使っていたデッキを越えるデッキを作るのもそう難しいことでもないだろう。
「だが、まだこれで終わりではない! 俺はフィールドの《X―ヘッド・キャノン》、《Y―ドラゴン・ヘッド》、《Z―メタル・キャタピラー》を除外し、変形融合! 出でよ、《XYZ―ドラゴン・キャノン》!!」
三体のモンスターが組み合わさり、新たなモンスターとなっていく。先程と同様に乗っただけだが、攻撃力は馬鹿に出来たものではなかった。
《XYZ―ドラゴン・キャノン》
効果モンスター 融合
☆8 光属性 機械族
ATK2800 DEF2600 攻撃表示
「また変形か!」
「まだまだ! 俺はさらに《XYZ―ドラゴン・キャノン》、《VW―タイガー・カタパルト》をゲームから除外し、さらに変形融合!」
「さらに変形だって!?」
合体モンスター二体が、再び分離し、新たなパーツとなって一つになっていく。
今度は先程までのように乗っただけではなく、各パーツがちゃんと各部位に配置されていた。
「現れろ! 《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》!!」
《VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン》
効果モンスター 融合
☆8 光属性 機械族
ATK3000 DEF2800 攻撃表示
五体のモンスターが合体しただけあって、その大きさはクロノスの《古代の機械巨人》をも超えている。
また、攻撃力は3000――海馬の青眼にも並ぶ強力モンスターとなっていた。
「VWXYZの効果発動! 一ターンに一度、相手フィールドのカード一枚を除外できる!」
遊矢のフィールドには、モンスターも魔法・罠もない。あるのはペンデュラムスケールにセッティングされた《星読みの魔術師》と《相生の魔術師》のみ。
そして、遊矢と万丈目のフィールドの状況が変化したことにより、《相生の魔術師》のペンデュラムスケールは4から8に戻っている。
「俺は、貴様の《相生の魔術師》をゲームから除外する! VWXYZ―アルティメット・デストラクション!!」
VWXYZの効果で、遊矢のフィールドから《相生の魔術師》が消えていく。
これで、ペンデュラムスケールが崩れた。次のターンが来ても、新たにペンデュラムをセッティングしなければペンデュラム召喚は出来ない。
ペンデュラム召喚は、ペンデュラムスケールの間のレベルのモンスターを呼び出す召喚法だ。高いペンデュラムスケールを崩してしまえば、高レベルのモンスターを呼び出すのも難しくなる。万丈目もそれを見越して、スケールの大きい《相生の魔術師》をゲームから除外したのだろう。
「俺は、これでターンを終了する」
万丈目 手札1枚 LP4000
フィールド VWXYZ
魔法・罠 《前線基地》、《リビングデッドの呼び声》
VS
遊矢 手札2枚 LP2200
フィールド なし
魔法・罠 なし
ペンデュラム 星読み
強い――正直な話、遊矢は万丈目を舐めていた。
海馬から、今年のオベリスクブルーは例年と比べて全体的に成績が悪いと聞いていたのもあるが、実際に十代とのデュエルを見て、全力ではなかったとはいえ、大体のレベルが見えたと思ったからだ。
しかし、万丈目の全力は遊矢の想像以上だった。
今の万丈目は正直十代よりも強い。初見殺しをしたとはいえ、実際にクロノスや十代と戦った時は苦戦する様子もなかった遊矢が、ペンデュラムすら崩されたことがそれを証明している。
遊矢の初期手札があまり良くなかったということもあるが、この世界でここまで苦戦したのは海馬やペガサス以来だ。
勿論、海馬やペガサス並みというつもりは毛頭ないが、それでも万丈目の認識を改めさせられたのは間違いない。
はっきり言って、海馬にデュエルアカデミアに行くように指示された時は、ここまでのデュエルが出来るとは思っていなかっただけに、遊矢は段々このデュエルが面白くなってきていた。
原作との変化点。
・遊矢が万丈目に呼び出された。
昼に十代とは戦ったので、夜は遊矢。しかし、実力者と戦うということでアンティは提案していない。
・アクションデュエルを禁止された。
アクションマジックがチート過ぎたので禁止。もしかしたらどこかでやることもあるかもしれないが、今の所予定はない。
・万丈目の性格が若干変化している。
遊矢の影響で漫画版っぽくなっている。
・万丈目の本気はVWXYZデッキ。
圧倒的なパワーで敵を倒すゾ! シンクロが導入されたら、もしかしたらデッキが変わるかも!
デュエル内容変更。
・万丈目の2ターン目に、遊矢が《捨て身の宝札》を発動させたのですが、二体のモンスターが守秘表示だと発動出来ないことが判明したため使用を止めました。